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第61話:中々うまく行かないものです
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午後の授業が終わり、いよいよマイケル様に自分の気持ちを伝える時が来た。物凄く緊張している私を見たファリサが
「ローズ、少し落ち着いて。そんなガチガチでは、マイケル様に笑われてしまうわよ」
そう言って呆れいている。
そう言われても、緊張するなという方が無理だろう。
「ローズ、待たせちゃったかな?ごめんね、アデルに絡まれてしまって…」
なぜかマイケル様の隣には、アデル様が。
「アデル様、申し訳ないのですが、今からマイケル様と2人きりで話がしたいのです。どうか2人にして頂けないでしょうか?」
パッと見たところ、ティーナ様はいない様だ。それなのに、こんな演技をするだなんて、一体アデル様は何を考えているのかしら?
「しかし…」
不満そうな顔のアデル様。
「アデル、いい加減にしないか。これ以上ローズを困らせてはいけないよ。ほら、グラスとティーナ嬢も来たみたいだし、君は大好きな兄上とティーナ嬢のところにでも行くといい」
シッシッと追い払う様に、アデル様を2人の元に向かわせようとするマイケル様。
「ローズがそう言うなら、分かったよ…」
なぜかトボトボとグラス様とティーナ様の元へと歩いて行くアデル様。きっと演技よね…でも、演技とはいえ、アデル様を悲しませてしまった。あんな姿を見せられたら、胸が痛いじゃない!
「ローズ、それじゃあ行こうか。2人で話したいという事だろうから、大切な話なのだろう。校舎裏でもいいかな?」
「はい、もちろんですわ」
もしかしたらマイケル様、私が昨日の返事をしようとしている事に、気が付いているのかしら?
とにかく、私も誠実に自分の気持ちを伝えないと!そんな思いで、マイケル様と一緒に裏庭へと向かう。
なぜか隣でクスクスと笑っているマイケル様。急にどうしたのかしら?気になってマイケル様の方を見た。すると
「ごめんね、あまりにも真剣な表情をしているものだから、なんだか可笑しくて…」
「もう、マイケル様ったら、私をからかって。私だって、真剣な表情くらいいたしますわ」
本当に失礼しちゃうわ。
でも…なんだか少し緊張がほぐれた。もしかして、私の緊張をほぐすために言ってくださったのかしら?きっとそうね…マイケル様は、そういう人だ。そんな人に、私は今から断りの返事をするのね。なんだか気が重い…
あっという間に裏庭についてしまった。
「それでローズ、一体何の用だい?」
「はい、今日は昨日の返事をしたいと思って、マイケル様をお呼び立ていたしました」
「昨日の返事?それはまだ聞かないと言ったはずだけれど…」
「いいえ、こういう事は、きちんとお返事をするべきだと思いまして。マイケル様、昨日は気持ちを伝えていただき、ありがとうございました。ですが私は、マイケル様の事を、友人の1人と考えております。ですので、あなた様の気持ちには答える事が出来ません。申し訳ございません」
ペコリとマイケル様に頭を下げた。
「そんな事は知っているよ。だから、あえて返事は聞かないと伝えたのではないか。今返事を聞いたら、間違いなく断られると思ったからね」
ハァっと、マイケル様がため息を付いている。
「それでも、私は自分の気持ちをきちんと伝えたいと思ったのです。ですから、どうか私の事は、諦めて頂けますでしょうか?」
「いいや、諦められないね。そうだな、君が心から愛する人と恋人同士になったら、その時は諦めよう。それまでは、俺は絶対に諦めない。俺は諦めの悪い男だからね」
なんと!これほどまでにはっきりと伝えているのに、諦めて頂けないですって。
「あの…私には別に好きな人がいます。その人は…」
「ストップ!待って、それ以上は言わないで。ローズに好きな人がいるというのは、何となくわかっていたよ。でも、まだその人と付き合うと決まった訳ではないだろう」
「ええ…むしろその方は、私がいくら思っても、決して振り向いてもらえない相手です。それでも私は、彼の事を愛しております。たとえ一生、気持ちが伝わらなかったとしても…」
アデル様には、はっきりと言われているのだ。“ティーナ以外を好きになる事はない。だから、僕の事を好きにならないでくれ”と。それでも私は、アデル様が好きなのだ。
「ん?決して振り向いてもらえない相手?」
なんだかかなり困惑しているマイケル様。何をそんなに混乱しているのかしら?
「ローズ、君の好きな人は…」
「おい、アデル、押すな!今いいところなんだ」
「兄上こそ、そんなに身を乗り出したら、2人に気づかれるでしょう」
この声は…
「アデル様、それにグラス様も。こんなところで何をなさっているのですか?まさか、盗み聞きをしていたのですか?」
彼らの傍に行くと、気まずそうなアデル様とグラス様、さらにその後ろには、申し訳なさそうに立っているティーナ様もいた。
「ローズ、違うんだ。別に僕は盗み聞きをしようとした訳ではないんだ。そう、兄上が散歩をしたいと言うから…それで…」
「そう、散歩だ。たまたま散歩をしていたら、君たちを見つけたんだ」
しらじらしい嘘を…
「ローズ様、マイケル様、ごめんなさい。何とか止めようとしたのですが、私1人では抑えきれなくて…」
後ろでティーナ様が、申し訳なさそうに頭を下げている。やっぱり覗きに来たのね。
「アデル様、グラス様、大切な話を盗み聞きしようとは、どういうおつもりですか。あなた達の行っている事は、最低な事ですよ」
「本当だ。君たち兄弟は、そんな低能な人間だったのか?見損なったぞ」
私とマイケル様に怒られ、すっかり小さくなった2人。
結局その後、アデル様たちに文句を言っていた為、結局あれ以上マイケル様と話をする事が出来なった。
ただ…帰り際マイケル様からは
「俺は諦めるつもりはないよ。君が別の男を諦めきれない様に、俺もそう簡単には諦めきれない。君に振り向いてもらえる様に頑張るよ。これからもよろしくね、ローズ」
そう言われてしまった。
中々思い通りにはいかないものだ。それでも私の事をそこまで思ってくれるのは嬉しい。出来ればこれからも、マイケル様とは良き友達でいれたらいいな。と、自己中な事を考えている自分がいるのであった。
「ローズ、少し落ち着いて。そんなガチガチでは、マイケル様に笑われてしまうわよ」
そう言って呆れいている。
そう言われても、緊張するなという方が無理だろう。
「ローズ、待たせちゃったかな?ごめんね、アデルに絡まれてしまって…」
なぜかマイケル様の隣には、アデル様が。
「アデル様、申し訳ないのですが、今からマイケル様と2人きりで話がしたいのです。どうか2人にして頂けないでしょうか?」
パッと見たところ、ティーナ様はいない様だ。それなのに、こんな演技をするだなんて、一体アデル様は何を考えているのかしら?
「しかし…」
不満そうな顔のアデル様。
「アデル、いい加減にしないか。これ以上ローズを困らせてはいけないよ。ほら、グラスとティーナ嬢も来たみたいだし、君は大好きな兄上とティーナ嬢のところにでも行くといい」
シッシッと追い払う様に、アデル様を2人の元に向かわせようとするマイケル様。
「ローズがそう言うなら、分かったよ…」
なぜかトボトボとグラス様とティーナ様の元へと歩いて行くアデル様。きっと演技よね…でも、演技とはいえ、アデル様を悲しませてしまった。あんな姿を見せられたら、胸が痛いじゃない!
「ローズ、それじゃあ行こうか。2人で話したいという事だろうから、大切な話なのだろう。校舎裏でもいいかな?」
「はい、もちろんですわ」
もしかしたらマイケル様、私が昨日の返事をしようとしている事に、気が付いているのかしら?
とにかく、私も誠実に自分の気持ちを伝えないと!そんな思いで、マイケル様と一緒に裏庭へと向かう。
なぜか隣でクスクスと笑っているマイケル様。急にどうしたのかしら?気になってマイケル様の方を見た。すると
「ごめんね、あまりにも真剣な表情をしているものだから、なんだか可笑しくて…」
「もう、マイケル様ったら、私をからかって。私だって、真剣な表情くらいいたしますわ」
本当に失礼しちゃうわ。
でも…なんだか少し緊張がほぐれた。もしかして、私の緊張をほぐすために言ってくださったのかしら?きっとそうね…マイケル様は、そういう人だ。そんな人に、私は今から断りの返事をするのね。なんだか気が重い…
あっという間に裏庭についてしまった。
「それでローズ、一体何の用だい?」
「はい、今日は昨日の返事をしたいと思って、マイケル様をお呼び立ていたしました」
「昨日の返事?それはまだ聞かないと言ったはずだけれど…」
「いいえ、こういう事は、きちんとお返事をするべきだと思いまして。マイケル様、昨日は気持ちを伝えていただき、ありがとうございました。ですが私は、マイケル様の事を、友人の1人と考えております。ですので、あなた様の気持ちには答える事が出来ません。申し訳ございません」
ペコリとマイケル様に頭を下げた。
「そんな事は知っているよ。だから、あえて返事は聞かないと伝えたのではないか。今返事を聞いたら、間違いなく断られると思ったからね」
ハァっと、マイケル様がため息を付いている。
「それでも、私は自分の気持ちをきちんと伝えたいと思ったのです。ですから、どうか私の事は、諦めて頂けますでしょうか?」
「いいや、諦められないね。そうだな、君が心から愛する人と恋人同士になったら、その時は諦めよう。それまでは、俺は絶対に諦めない。俺は諦めの悪い男だからね」
なんと!これほどまでにはっきりと伝えているのに、諦めて頂けないですって。
「あの…私には別に好きな人がいます。その人は…」
「ストップ!待って、それ以上は言わないで。ローズに好きな人がいるというのは、何となくわかっていたよ。でも、まだその人と付き合うと決まった訳ではないだろう」
「ええ…むしろその方は、私がいくら思っても、決して振り向いてもらえない相手です。それでも私は、彼の事を愛しております。たとえ一生、気持ちが伝わらなかったとしても…」
アデル様には、はっきりと言われているのだ。“ティーナ以外を好きになる事はない。だから、僕の事を好きにならないでくれ”と。それでも私は、アデル様が好きなのだ。
「ん?決して振り向いてもらえない相手?」
なんだかかなり困惑しているマイケル様。何をそんなに混乱しているのかしら?
「ローズ、君の好きな人は…」
「おい、アデル、押すな!今いいところなんだ」
「兄上こそ、そんなに身を乗り出したら、2人に気づかれるでしょう」
この声は…
「アデル様、それにグラス様も。こんなところで何をなさっているのですか?まさか、盗み聞きをしていたのですか?」
彼らの傍に行くと、気まずそうなアデル様とグラス様、さらにその後ろには、申し訳なさそうに立っているティーナ様もいた。
「ローズ、違うんだ。別に僕は盗み聞きをしようとした訳ではないんだ。そう、兄上が散歩をしたいと言うから…それで…」
「そう、散歩だ。たまたま散歩をしていたら、君たちを見つけたんだ」
しらじらしい嘘を…
「ローズ様、マイケル様、ごめんなさい。何とか止めようとしたのですが、私1人では抑えきれなくて…」
後ろでティーナ様が、申し訳なさそうに頭を下げている。やっぱり覗きに来たのね。
「アデル様、グラス様、大切な話を盗み聞きしようとは、どういうおつもりですか。あなた達の行っている事は、最低な事ですよ」
「本当だ。君たち兄弟は、そんな低能な人間だったのか?見損なったぞ」
私とマイケル様に怒られ、すっかり小さくなった2人。
結局その後、アデル様たちに文句を言っていた為、結局あれ以上マイケル様と話をする事が出来なった。
ただ…帰り際マイケル様からは
「俺は諦めるつもりはないよ。君が別の男を諦めきれない様に、俺もそう簡単には諦めきれない。君に振り向いてもらえる様に頑張るよ。これからもよろしくね、ローズ」
そう言われてしまった。
中々思い通りにはいかないものだ。それでも私の事をそこまで思ってくれるのは嬉しい。出来ればこれからも、マイケル様とは良き友達でいれたらいいな。と、自己中な事を考えている自分がいるのであった。
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