60 / 87
第60話:このままではよくないです
しおりを挟む
結局ティーナ様とグラス様に教室まで送ってもらった。
私のおでこを見て固まっているカルミアとファリサ。すぐに私のところに来ようとしたが、生憎先生が来てしまったため、そのまま席に付く2人。私も慌てて席に付いた。
休み時間。
「ちょっとローズ、そのおでこ、どうしたのよ。それもティーナ様とグラス様に教室まで送ってもらうだなんて」
案の定、私の元に飛んできたのは、カルミアとファリサだ。
「このおでこは…その…馬車から降りるときにぶつけたのよ」
マイケル様に動揺してね。と、都合の悪い事は、心の中で呟いた。
「どうして馬車でおでこをぶつけるのよ。それで、昨日はどうだったの?」
「え…昨日?」
「とぼけないでよ。マイケル様に告白されたのでしょう?実はね、昨日あなたがトイレに行っているうちに、マイケル様から聞いたのよ。“今日ローズに気持ちを伝えるつもりだから、協力して欲しい”てね」
「なんですって!それならそうと、何で教えてくれなかったのよ?私はそのせいで、かなり動揺したのよ。朝だって、2回もおでこを殴打したのだから」
「そんな事を言われても、私たちも急に言われたから…でもね、ローズ、マイケル様はずっとあなたにアプローチしていたじゃない。それに気づかないあなたも悪いのよ」
ティーナ様も似たような事を言っていた。やっぱり皆、マイケル様の気持ちに気が付いていたのね…
「それで、何て返事をしたの?」
「“返事は、今はいい”て言われたから、答えていないわ…」
「なるほどね、それで朝から動揺しまくって、おでこを怪我したのね。あなた、どれだけおでこを怪我すれば気が済むのよ。全く…でも、きっとマイケル様もあなたに告白した事、相当勇気がいったと思うの。だから、彼の努力は認めてあげなさいよ」
「分かっているわよ…」
「それにしても、ローズはモテるわね。でも、あなたはアデル様が好きなのでしょう?マイケル様も素敵な人なのに、もったいない…」
「確かにマイケル様は素敵だと思うわ。でも…私にとっては大切な友人の1人なのよ…」
そう、マイケル様は友人の1人なのだ。だから、彼を恋愛対象として急に見ろと言われても、戸惑ってしまう。
「それなら、はっきりと自分の気持ちを伝えた方がいいのではなくって?もし少しでもマイケル様と付き合う可能性があるのなら、そのままでいてもいいと思うけれど。あなたはアデル様が好きなのでしょう?それなら、はっきりとマイケル様に伝えた方がいいわよ」
ファリサの言葉にハッとした。確かに私は、マイケル様を好きになる事は…たぶんないだろう。何より私は、アデル様が好きだ。この気持ちが一生報われなくても、諦める事なんて出来ない。それなら、はっきりとマイケル様に伝えるべきよね。
「そうよね、ファリサの言う通りだわ。私、マイケル様に自分の気持ちをしっかり伝えるわ。ありがとう、早速今日の放課後にでも、マイケル様と話をする事にするわ」
そうと決まれば行動あるのみ。やっぱり2人に相談してよかったわ。でも、私の気持ちを聞いて、マイケル様はショックを受けないかしら?やはりお断りするという事は、辛い事よね。
て、そんな弱気でどうするの?マイケル様は精一杯気持ちを伝えてくれたのだ。私も精一杯の気持ちを伝えないと!
そう決意し、お昼休みを迎えた。今日はティーナ様たちと食事をするため、教室を出ようとしたのだが…
「ローズ、どこに行くんだい?さあ、早くお昼ご飯にしよう」
やって来たマイケル様に引き留められた。あら?ティーナ様たちから話を聞いていなかったのかしら?
「あの、マイケル様、今日はティーナ様たちとお昼を…」
「マイケル、やっぱりローズのところにいたのですね。ローズは今日は僕たちと食事をする予定になっているのです。兄上やティーナから聞いているでしょう?」
すかさずアデル様が、私のクラスにやって来た。後ろにはティーナ様とグラス様もいる。
「そうだったかな?まあいいじゃん。皆で食べようよ、ほら座って」
マイケル様に強引に座らされ、なんだか気まずい雰囲気の中、昼食を食べた。そしていつもの様に勉強タイムが終わると、皆が教室から出ていく。
ちなみにグラス様もティーナ様も非常に優秀で、他の生徒にも教えていた。才色兼備とはこの人たちの事を言うのだろう。
あっ、そうだ。マイケル様に伝えたい事があったのだった。
「マイケル様、放課後、少し時間を頂いて宜しいでしょうか?」
「え…俺に?いいよ。それじゃあ、放課後教室まで迎えに来るよ」
「ありがとうございます、よろしくお願いします」
手を振って去っていくマイケル様に頭を下げた。
「ローズ、マイケルと2人きりで何を話すんだい?もしかして、2人が付き合うという話かい?」
急に話に入って来たのは、アデル様だ。あまりにも勢いよく詰め寄ってくるので、つい後ずさってしまう。
「別に、大した話ではありませんわ。ほら、アデル様も教室に戻らないと、授業に遅れてしまいますわよ」
まだ何か言いたげなアデル様も、教室から追い出した。最近のアデル様は、本当に様子がおかしい。私にかなり構ってくるのだ。
でも、私に構う様になってから、グラス様のティーナ様に対する束縛が緩くなった。もしかして、ティーナ様を自由にする作戦なのかしら?
頭の良いアデル様が、考えそうな事ね。でも…正直私の心臓が持たないのよね。あんなにもお美しい顔で迫られると、本当に緊張するのだ。
なんだか既に疲れてしまったが、本番はこれからだ。私の気持ちをしっかり、マイケル様に伝えないと!
私のおでこを見て固まっているカルミアとファリサ。すぐに私のところに来ようとしたが、生憎先生が来てしまったため、そのまま席に付く2人。私も慌てて席に付いた。
休み時間。
「ちょっとローズ、そのおでこ、どうしたのよ。それもティーナ様とグラス様に教室まで送ってもらうだなんて」
案の定、私の元に飛んできたのは、カルミアとファリサだ。
「このおでこは…その…馬車から降りるときにぶつけたのよ」
マイケル様に動揺してね。と、都合の悪い事は、心の中で呟いた。
「どうして馬車でおでこをぶつけるのよ。それで、昨日はどうだったの?」
「え…昨日?」
「とぼけないでよ。マイケル様に告白されたのでしょう?実はね、昨日あなたがトイレに行っているうちに、マイケル様から聞いたのよ。“今日ローズに気持ちを伝えるつもりだから、協力して欲しい”てね」
「なんですって!それならそうと、何で教えてくれなかったのよ?私はそのせいで、かなり動揺したのよ。朝だって、2回もおでこを殴打したのだから」
「そんな事を言われても、私たちも急に言われたから…でもね、ローズ、マイケル様はずっとあなたにアプローチしていたじゃない。それに気づかないあなたも悪いのよ」
ティーナ様も似たような事を言っていた。やっぱり皆、マイケル様の気持ちに気が付いていたのね…
「それで、何て返事をしたの?」
「“返事は、今はいい”て言われたから、答えていないわ…」
「なるほどね、それで朝から動揺しまくって、おでこを怪我したのね。あなた、どれだけおでこを怪我すれば気が済むのよ。全く…でも、きっとマイケル様もあなたに告白した事、相当勇気がいったと思うの。だから、彼の努力は認めてあげなさいよ」
「分かっているわよ…」
「それにしても、ローズはモテるわね。でも、あなたはアデル様が好きなのでしょう?マイケル様も素敵な人なのに、もったいない…」
「確かにマイケル様は素敵だと思うわ。でも…私にとっては大切な友人の1人なのよ…」
そう、マイケル様は友人の1人なのだ。だから、彼を恋愛対象として急に見ろと言われても、戸惑ってしまう。
「それなら、はっきりと自分の気持ちを伝えた方がいいのではなくって?もし少しでもマイケル様と付き合う可能性があるのなら、そのままでいてもいいと思うけれど。あなたはアデル様が好きなのでしょう?それなら、はっきりとマイケル様に伝えた方がいいわよ」
ファリサの言葉にハッとした。確かに私は、マイケル様を好きになる事は…たぶんないだろう。何より私は、アデル様が好きだ。この気持ちが一生報われなくても、諦める事なんて出来ない。それなら、はっきりとマイケル様に伝えるべきよね。
「そうよね、ファリサの言う通りだわ。私、マイケル様に自分の気持ちをしっかり伝えるわ。ありがとう、早速今日の放課後にでも、マイケル様と話をする事にするわ」
そうと決まれば行動あるのみ。やっぱり2人に相談してよかったわ。でも、私の気持ちを聞いて、マイケル様はショックを受けないかしら?やはりお断りするという事は、辛い事よね。
て、そんな弱気でどうするの?マイケル様は精一杯気持ちを伝えてくれたのだ。私も精一杯の気持ちを伝えないと!
そう決意し、お昼休みを迎えた。今日はティーナ様たちと食事をするため、教室を出ようとしたのだが…
「ローズ、どこに行くんだい?さあ、早くお昼ご飯にしよう」
やって来たマイケル様に引き留められた。あら?ティーナ様たちから話を聞いていなかったのかしら?
「あの、マイケル様、今日はティーナ様たちとお昼を…」
「マイケル、やっぱりローズのところにいたのですね。ローズは今日は僕たちと食事をする予定になっているのです。兄上やティーナから聞いているでしょう?」
すかさずアデル様が、私のクラスにやって来た。後ろにはティーナ様とグラス様もいる。
「そうだったかな?まあいいじゃん。皆で食べようよ、ほら座って」
マイケル様に強引に座らされ、なんだか気まずい雰囲気の中、昼食を食べた。そしていつもの様に勉強タイムが終わると、皆が教室から出ていく。
ちなみにグラス様もティーナ様も非常に優秀で、他の生徒にも教えていた。才色兼備とはこの人たちの事を言うのだろう。
あっ、そうだ。マイケル様に伝えたい事があったのだった。
「マイケル様、放課後、少し時間を頂いて宜しいでしょうか?」
「え…俺に?いいよ。それじゃあ、放課後教室まで迎えに来るよ」
「ありがとうございます、よろしくお願いします」
手を振って去っていくマイケル様に頭を下げた。
「ローズ、マイケルと2人きりで何を話すんだい?もしかして、2人が付き合うという話かい?」
急に話に入って来たのは、アデル様だ。あまりにも勢いよく詰め寄ってくるので、つい後ずさってしまう。
「別に、大した話ではありませんわ。ほら、アデル様も教室に戻らないと、授業に遅れてしまいますわよ」
まだ何か言いたげなアデル様も、教室から追い出した。最近のアデル様は、本当に様子がおかしい。私にかなり構ってくるのだ。
でも、私に構う様になってから、グラス様のティーナ様に対する束縛が緩くなった。もしかして、ティーナ様を自由にする作戦なのかしら?
頭の良いアデル様が、考えそうな事ね。でも…正直私の心臓が持たないのよね。あんなにもお美しい顔で迫られると、本当に緊張するのだ。
なんだか既に疲れてしまったが、本番はこれからだ。私の気持ちをしっかり、マイケル様に伝えないと!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,388
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる