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第63話:ローズは誰にも渡さないよ~アデル視点~
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怒りで体が震える。こんなに怒りを覚えたのは初めてだ。でも…
とにかく冷静に対応しないと!
「ええ…大丈夫ですよ。でも、盗み聞きしていた僕を、きっとローズは軽蔑したでしょうね…それにしてもローズに好きな人がいたなんて。それも、決して振り向いてもらえない相手だそうですよ。一体誰の事でしょうかね?」
兄上に向かって投げかけた。
「…さあ、誰だろうね。全く心当たりがないよ…」
気まずそうに兄上がそう呟いた。兄上は都合が悪くなると、目をそらす癖がある。
「ローズの好きな人は、兄上ではないのですか?ローズの口ぶりから考えて、間違いないかと」
真っすぐ兄上をみて、そう呟いた。
「確かに、ローズ嬢の発言からしたら、僕の事を好きなように読み取れるね。僕にはティーナという最愛の婚約者がいるから、ローズ嬢がいくら僕を思ってくれても、その期待に答える事は出来ない」
頭ではわかっていても、兄上の口から直接聞くと、どうしようもない怒りがこみ上げてくる。何が“ローズ嬢がいくら僕を思ってくれても、その期待に答える事は出来ない”だ。ふざけるな!
「兄上はいつも僕から大切な人を奪っていく。ティーナも、ローズも。一体どれくらい僕から奪えば気が済むのですか?百歩譲ってティーナの事はもういいです。でも、ローズは、ローズだけは許さない!ローズは僕の大切な人だ。僕の全てなんだ!」
僕の凍え切った心を溶かしてくれたローズ。彼女といるだけで、彼女に触れているだけで、心が満たされていく。僕にとってもうローズは、いなくては生きていけない、心臓の様な存在なんだ。それなのに…
「アデル、落ち着け。そもそも、ローズ嬢は本当に僕の事が好きなのかい?ティーナの事で、明らかに僕を嫌っていたように見えるけれど…」
「嫌い嫌いも好きのうちという言葉もあるでしょう。とにかく、ローズは絶対に兄上には渡しませんから!」
「僕だって、貰うつもりはないよ。とにかく、僕は全力でアデルの恋を応援するつもりだ。だから安心して欲しい」
必死に僕に訴えかけてくる兄上。僕だってわかっている、兄上は悪くない。でも、どうしても感情を抑えきれないのだ。
「分かりました…それなら、なるべくローズの視界に入らないようにしてください」
出来るだけローズと兄上を会わせたくはない。そう思ったのだ。
「アデル、それは無理だ。ローズ嬢はティーナと仲がいい、ティーナの傍には、必ず僕がいるからね。アデルだってわかっているだろう?」
確かにそうだ。でも、嫌なものは嫌なんだ!
「は~、誰よりも物分かりが良くて、自分の気持ちを押し殺すアデルが、ここまで感情的になるなんてね。わかったよ、極力ローズ嬢の視界には入らない様に気を付けるよ。僕からローズ嬢に話しかけるのも止める。それでいいかい?」
「…わかりました。本当はローズの瞳に兄上が映ること自体嫌ですが。まあ、仕方がないですね」
あまりローズを兄上から遠ざけて、悲しい顔をされるのも辛い。それに急に兄上がローズを避けたら、本人も不審に思うだろう。ただ…マイケルの事もあるし、僕もこのまま気持ちを隠しておく訳にもいかない。
本当なら今すぐにでもローズの元に向かい、気持ちを伝えたいのはやまやまだ。でも…ローズの好きな人が分かった今、僕にはそんな勇気はない。それにもし好きな人の弟に告白されても、迷惑だろうし…
「アデル、とにかくローズ嬢はマイケルの事を恋愛対象として見ていない様だし…それに君は僕によく似ている。もしかしたら、僕によく似た君を好きになってくれるかも」
「それは僕に兄上の身代わりになれという事ですか?」
ジト目で兄上を睨みつけた。
「いや…そういう訳ではない。すまない…僕はどうやら、少し考えが浅はかな様だ」
珍しく兄上がシュンとしている。
とにかく僕は、僕という人間をローズに見て欲しいんだ。だから、兄上の代わり何てごめんだ。
僕はローズの心も手に入れたい!
それにしても、ティーナの時はただ笑っていてくれたらいいと思っていたのに。僕はいつからこんなに欲張りになったのだろう。
「アデル、とにかく本当にローズ嬢が僕の事を好きなのか、検証する必要がある。もしかしたら、全然違う人物が好きなのかもしれないし」
確かに兄上の言う通りだ。僕はローズの事を何も知らない。まずはローズの事を徹底的に調べよう。ローズの家族構成はもちろん、好きな食べ物、嫌いな食べ物、好きな教科や嫌いな教科、足のサイズ。ありとあらゆることを調べよう。
全てを知った後、ローズ好みの男になればいいんだ。
そうだ、どうして僕は、ローズに好かれる努力を怠っていたのだろう。やっぱり人間、努力しないとダメだね。
「ありがとうございます、兄上、方向性が見えてきました。ローズの事を徹底的に調べ上げ、ローズ好みの男になって見せます」
まずは執事に依頼して、ローズについて調べてもらおう。…いいや、執事だけでは役不足だ。そういえば、街に色々な情報を提供してくれる組織があったな。そこに依頼するのもいいな。
とにかく、出来る事は何でもしよう。ローズを手に入れるために…
とにかく冷静に対応しないと!
「ええ…大丈夫ですよ。でも、盗み聞きしていた僕を、きっとローズは軽蔑したでしょうね…それにしてもローズに好きな人がいたなんて。それも、決して振り向いてもらえない相手だそうですよ。一体誰の事でしょうかね?」
兄上に向かって投げかけた。
「…さあ、誰だろうね。全く心当たりがないよ…」
気まずそうに兄上がそう呟いた。兄上は都合が悪くなると、目をそらす癖がある。
「ローズの好きな人は、兄上ではないのですか?ローズの口ぶりから考えて、間違いないかと」
真っすぐ兄上をみて、そう呟いた。
「確かに、ローズ嬢の発言からしたら、僕の事を好きなように読み取れるね。僕にはティーナという最愛の婚約者がいるから、ローズ嬢がいくら僕を思ってくれても、その期待に答える事は出来ない」
頭ではわかっていても、兄上の口から直接聞くと、どうしようもない怒りがこみ上げてくる。何が“ローズ嬢がいくら僕を思ってくれても、その期待に答える事は出来ない”だ。ふざけるな!
「兄上はいつも僕から大切な人を奪っていく。ティーナも、ローズも。一体どれくらい僕から奪えば気が済むのですか?百歩譲ってティーナの事はもういいです。でも、ローズは、ローズだけは許さない!ローズは僕の大切な人だ。僕の全てなんだ!」
僕の凍え切った心を溶かしてくれたローズ。彼女といるだけで、彼女に触れているだけで、心が満たされていく。僕にとってもうローズは、いなくては生きていけない、心臓の様な存在なんだ。それなのに…
「アデル、落ち着け。そもそも、ローズ嬢は本当に僕の事が好きなのかい?ティーナの事で、明らかに僕を嫌っていたように見えるけれど…」
「嫌い嫌いも好きのうちという言葉もあるでしょう。とにかく、ローズは絶対に兄上には渡しませんから!」
「僕だって、貰うつもりはないよ。とにかく、僕は全力でアデルの恋を応援するつもりだ。だから安心して欲しい」
必死に僕に訴えかけてくる兄上。僕だってわかっている、兄上は悪くない。でも、どうしても感情を抑えきれないのだ。
「分かりました…それなら、なるべくローズの視界に入らないようにしてください」
出来るだけローズと兄上を会わせたくはない。そう思ったのだ。
「アデル、それは無理だ。ローズ嬢はティーナと仲がいい、ティーナの傍には、必ず僕がいるからね。アデルだってわかっているだろう?」
確かにそうだ。でも、嫌なものは嫌なんだ!
「は~、誰よりも物分かりが良くて、自分の気持ちを押し殺すアデルが、ここまで感情的になるなんてね。わかったよ、極力ローズ嬢の視界には入らない様に気を付けるよ。僕からローズ嬢に話しかけるのも止める。それでいいかい?」
「…わかりました。本当はローズの瞳に兄上が映ること自体嫌ですが。まあ、仕方がないですね」
あまりローズを兄上から遠ざけて、悲しい顔をされるのも辛い。それに急に兄上がローズを避けたら、本人も不審に思うだろう。ただ…マイケルの事もあるし、僕もこのまま気持ちを隠しておく訳にもいかない。
本当なら今すぐにでもローズの元に向かい、気持ちを伝えたいのはやまやまだ。でも…ローズの好きな人が分かった今、僕にはそんな勇気はない。それにもし好きな人の弟に告白されても、迷惑だろうし…
「アデル、とにかくローズ嬢はマイケルの事を恋愛対象として見ていない様だし…それに君は僕によく似ている。もしかしたら、僕によく似た君を好きになってくれるかも」
「それは僕に兄上の身代わりになれという事ですか?」
ジト目で兄上を睨みつけた。
「いや…そういう訳ではない。すまない…僕はどうやら、少し考えが浅はかな様だ」
珍しく兄上がシュンとしている。
とにかく僕は、僕という人間をローズに見て欲しいんだ。だから、兄上の代わり何てごめんだ。
僕はローズの心も手に入れたい!
それにしても、ティーナの時はただ笑っていてくれたらいいと思っていたのに。僕はいつからこんなに欲張りになったのだろう。
「アデル、とにかく本当にローズ嬢が僕の事を好きなのか、検証する必要がある。もしかしたら、全然違う人物が好きなのかもしれないし」
確かに兄上の言う通りだ。僕はローズの事を何も知らない。まずはローズの事を徹底的に調べよう。ローズの家族構成はもちろん、好きな食べ物、嫌いな食べ物、好きな教科や嫌いな教科、足のサイズ。ありとあらゆることを調べよう。
全てを知った後、ローズ好みの男になればいいんだ。
そうだ、どうして僕は、ローズに好かれる努力を怠っていたのだろう。やっぱり人間、努力しないとダメだね。
「ありがとうございます、兄上、方向性が見えてきました。ローズの事を徹底的に調べ上げ、ローズ好みの男になって見せます」
まずは執事に依頼して、ローズについて調べてもらおう。…いいや、執事だけでは役不足だ。そういえば、街に色々な情報を提供してくれる組織があったな。そこに依頼するのもいいな。
とにかく、出来る事は何でもしよう。ローズを手に入れるために…
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