65 / 87
第65話:友人たちに挨拶に行きました
しおりを挟む
まず向かったのは、ファリサの家だ。家から馬車で3分、あっという間についた。
「急にごめんなさい、大事な話があって」
「いいのよ、さあ、上がって」
突然来たにも関わらず、ファリサは客間に通してくれようとした。
「ありがとう。でも、まだカルミアやティーナ様の家にもいかないといけないから。ここで大丈夫よ。実はおばあ様が怪我をして入院したの。それで、急遽グラシュ国に行かないといけなくて。いつ帰国出来るか分からないから、直接挨拶をしたくて」
「まあ、おばあ様が!それは心配ね。それで、いつ出発するの?」
「明日の朝よ。とにかくおばあ様が心配だから…」
命に別条がないといいのだけれど。お兄様の手紙には、相当悪いと書いてあった。きっとかなり危険な状態なのだろう。
「ローズ、気を確かに。わかったわ、あなたの分のノートはしっかり取っておいてあげるから。こっちの事は気にせず、気をつけて行って来て」
「ありがとう、ファリサ。それじゃあ、私はもう行くわね」
「ええ、気を付けてね」
ファリサの家の次は、カルミアの家だ。同じく馬車で3分、あっという間についた。カルミアもファリサ同様、“こちらの事は心配しなくてもいい”と言ってくれた。
最後はティーナ様の家だ。もしかしたら夕食時かもしれない。でも、やっぱりティーナ様には挨拶をしたい。そう思い、ティーナ様の家を訪ねた。
「ローズ様、急にいらしてどうされたのですか?」
心配そうな顔のティーナ様。
「急に訪ねて来てごめんなさい。実はおばあ様が怪我をしてしまって、急遽グラシュ国に明日向かう事になったのです。いつ帰国出来るか分からないので、ご挨拶をと思いまして」
「まあ、おばあ様が!立ち話も何なので、どうか中へ」
「ありがとうございます。でも、旅の準備もありますし」
「そうですわね。ごめんなさい。それで、マイケル様がアデルには挨拶を?」
「いいえ、急でしたので、幼馴染2人とティーナ様にだけ挨拶をと思いまして。どうか2人には、ティーナ様からお伝え願いますか?」
「…あの、せめてアデルにだけは挨拶をしていってあげて頂けないかしら?家が隣なので、すぐに使いを出します。お時間は取らせませんので、どうかお願いします」
何度も頭を下げるティーナ様。アデル様の顔も、しばらくは見られない。それなら、目に焼き付けておきたい。
「分かりましたわ。お気遣いありがとうございます」
「よかった。今すぐにアデルを呼んできて!」
ティーナ様が近くにいたメイドに指示を出す。すると奥からご両親も出てきた。
「やあ、ローズ嬢、よく来たね。せっかくだから上がって行ってくれ」
「突然押しかけて申し訳ございません。すぐに帰りますので、だい…」
「父もそう申しておりますし、さあ、参りましょう」
結局お家に上がらせていただく事になった。なんだか申し訳ないわ。
「すぐにアデルも来ると思いますので」
私が席に付いた時だった。
「ティーナ、ローズが来ていると聞いたが、一体何があったんだい?」
勢いよく入って来たのは、アデル様だ。どうやらグラス様は来ていないらしい。珍しいわね、こういう時、必ずグラス様も来そうなのに。
「アデル様、および立てして申し訳ございません。実はグラシュ国にいる祖母が怪我をしまして、それで明日急遽様子を見に行く事になったのです。いつ帰国出来るか分かりませんので、ご挨拶をと思いまして」
「ローズのおばあ様がかい?それは大変だ。1人では心細いだろう。僕も一緒についていくよ」
「えっと…アデル様。さすがにアデル様に付いて来ていただく訳にはいきませんわ」
なぜ自分も付いて行くという話になるのかしら?もしかして、ティーナ様も一緒についてくると思っているとか?
「アデル、いくら何でもそんな事は出来ないわよ。そもそもローズ様は遊びに行く訳ではないのよ。とにかく、きちんと見送ってあげましょう。ローズ様、アデルがごめんなさいね。気を付けて行って来てください。それから…もし可能でしたら、お手紙を頂けると嬉しいですわ」
「ええ、もちろんお手紙を書きますわ。アデル様も私の事を気遣ってくださり、ありがとうございます。では、私は旅の準備がありますので。これで」
2人に頭を下げ、部屋から出た。するとなぜかグラス様がいたのだ。
「あら、グラス様、こんなところにいらしたのですね。ちょうどよかったですわ、しばらく私は留守に致します。どうかティーナ様の事をよろしくお願いいたします」
「ティーナは僕の婚約者だ。君に頼まれなくても、ティーナは僕が守るから問題ないよ」
「そうですか。それでは失礼いたします」
グラス様に頭を下げ、玄関の方へと向かう。
「ティーナ様、アデル様、グラス様、ごきげんよう。それでは私はこれで失礼いたします」
ペコリと頭を下げ、馬車に乗り込んだ。
すると…
「待ってくれ、ローズ。しばらく会えないのだろう?どうか僕に家まで送らせてくれないだろうか?」
アデル様に話しかけられた。その瞳は、なんだか悲しみでにじんでいた。そんな瞳で見つめられたら、さすがに断れない。それに…私ももう少しアデル様と一緒にいたいわ…
そんな思いから
「ええ、アデル様さえよろしければ、よろしくお願いいたします」
そう伝えた。
「よかった。それじゃあ、行こうか」
「はい」
ティーナ様とグラス様に見送られ、2人で馬車に乗り込んだのであった。
「急にごめんなさい、大事な話があって」
「いいのよ、さあ、上がって」
突然来たにも関わらず、ファリサは客間に通してくれようとした。
「ありがとう。でも、まだカルミアやティーナ様の家にもいかないといけないから。ここで大丈夫よ。実はおばあ様が怪我をして入院したの。それで、急遽グラシュ国に行かないといけなくて。いつ帰国出来るか分からないから、直接挨拶をしたくて」
「まあ、おばあ様が!それは心配ね。それで、いつ出発するの?」
「明日の朝よ。とにかくおばあ様が心配だから…」
命に別条がないといいのだけれど。お兄様の手紙には、相当悪いと書いてあった。きっとかなり危険な状態なのだろう。
「ローズ、気を確かに。わかったわ、あなたの分のノートはしっかり取っておいてあげるから。こっちの事は気にせず、気をつけて行って来て」
「ありがとう、ファリサ。それじゃあ、私はもう行くわね」
「ええ、気を付けてね」
ファリサの家の次は、カルミアの家だ。同じく馬車で3分、あっという間についた。カルミアもファリサ同様、“こちらの事は心配しなくてもいい”と言ってくれた。
最後はティーナ様の家だ。もしかしたら夕食時かもしれない。でも、やっぱりティーナ様には挨拶をしたい。そう思い、ティーナ様の家を訪ねた。
「ローズ様、急にいらしてどうされたのですか?」
心配そうな顔のティーナ様。
「急に訪ねて来てごめんなさい。実はおばあ様が怪我をしてしまって、急遽グラシュ国に明日向かう事になったのです。いつ帰国出来るか分からないので、ご挨拶をと思いまして」
「まあ、おばあ様が!立ち話も何なので、どうか中へ」
「ありがとうございます。でも、旅の準備もありますし」
「そうですわね。ごめんなさい。それで、マイケル様がアデルには挨拶を?」
「いいえ、急でしたので、幼馴染2人とティーナ様にだけ挨拶をと思いまして。どうか2人には、ティーナ様からお伝え願いますか?」
「…あの、せめてアデルにだけは挨拶をしていってあげて頂けないかしら?家が隣なので、すぐに使いを出します。お時間は取らせませんので、どうかお願いします」
何度も頭を下げるティーナ様。アデル様の顔も、しばらくは見られない。それなら、目に焼き付けておきたい。
「分かりましたわ。お気遣いありがとうございます」
「よかった。今すぐにアデルを呼んできて!」
ティーナ様が近くにいたメイドに指示を出す。すると奥からご両親も出てきた。
「やあ、ローズ嬢、よく来たね。せっかくだから上がって行ってくれ」
「突然押しかけて申し訳ございません。すぐに帰りますので、だい…」
「父もそう申しておりますし、さあ、参りましょう」
結局お家に上がらせていただく事になった。なんだか申し訳ないわ。
「すぐにアデルも来ると思いますので」
私が席に付いた時だった。
「ティーナ、ローズが来ていると聞いたが、一体何があったんだい?」
勢いよく入って来たのは、アデル様だ。どうやらグラス様は来ていないらしい。珍しいわね、こういう時、必ずグラス様も来そうなのに。
「アデル様、および立てして申し訳ございません。実はグラシュ国にいる祖母が怪我をしまして、それで明日急遽様子を見に行く事になったのです。いつ帰国出来るか分かりませんので、ご挨拶をと思いまして」
「ローズのおばあ様がかい?それは大変だ。1人では心細いだろう。僕も一緒についていくよ」
「えっと…アデル様。さすがにアデル様に付いて来ていただく訳にはいきませんわ」
なぜ自分も付いて行くという話になるのかしら?もしかして、ティーナ様も一緒についてくると思っているとか?
「アデル、いくら何でもそんな事は出来ないわよ。そもそもローズ様は遊びに行く訳ではないのよ。とにかく、きちんと見送ってあげましょう。ローズ様、アデルがごめんなさいね。気を付けて行って来てください。それから…もし可能でしたら、お手紙を頂けると嬉しいですわ」
「ええ、もちろんお手紙を書きますわ。アデル様も私の事を気遣ってくださり、ありがとうございます。では、私は旅の準備がありますので。これで」
2人に頭を下げ、部屋から出た。するとなぜかグラス様がいたのだ。
「あら、グラス様、こんなところにいらしたのですね。ちょうどよかったですわ、しばらく私は留守に致します。どうかティーナ様の事をよろしくお願いいたします」
「ティーナは僕の婚約者だ。君に頼まれなくても、ティーナは僕が守るから問題ないよ」
「そうですか。それでは失礼いたします」
グラス様に頭を下げ、玄関の方へと向かう。
「ティーナ様、アデル様、グラス様、ごきげんよう。それでは私はこれで失礼いたします」
ペコリと頭を下げ、馬車に乗り込んだ。
すると…
「待ってくれ、ローズ。しばらく会えないのだろう?どうか僕に家まで送らせてくれないだろうか?」
アデル様に話しかけられた。その瞳は、なんだか悲しみでにじんでいた。そんな瞳で見つめられたら、さすがに断れない。それに…私ももう少しアデル様と一緒にいたいわ…
そんな思いから
「ええ、アデル様さえよろしければ、よろしくお願いいたします」
そう伝えた。
「よかった。それじゃあ、行こうか」
「はい」
ティーナ様とグラス様に見送られ、2人で馬車に乗り込んだのであった。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく
たまこ
恋愛
10年の間、王子妃教育を受けてきた公爵令嬢シャーロットは、政治的な背景から王子妃候補をクビになってしまう。
多額の慰謝料を貰ったものの、婚約者を見つけることは絶望的な状況であり、シャーロットは結婚は諦めて公爵家の仕事に打ち込む。
もう会えないであろう初恋の相手のことだけを想って、生涯を終えるのだと覚悟していたのだが…。
【完結】記憶にありませんが、責任は取りましょう
楽歩
恋愛
階段から落ちて三日後、アイラは目を覚ました。そして、自分の人生から十年分の記憶が消えていることを知らされる。
目の前で知らない男が号泣し、知らない子どもが「お母様!」としがみついてくる。
「状況を確認いたします。あなたは伯爵、こちらは私たちの息子。なお、私たちはまだ正式な夫婦ではない、という理解でよろしいですね?」
さらに残されていたのは鍵付き箱いっぱいの十年分の日記帳。中身は、乙女ゲームに転生したと信じ、攻略対象を順位付けして暴走していた“過去のアイラ”の黒歴史だった。
アイラは一冊の日記を最後の一行まで読み終えると、無言で日記を暖炉へ投げ入れる。
「これは、焼却処分が妥当ですわね」
だいぶ騒がしい人生の再スタートが今、始まる。
【完結】愛しき冷血宰相へ別れの挨拶を
川上桃園
恋愛
「どうかもう私のことはお忘れください。閣下の幸せを、遠くから見守っております」
とある国で、宰相閣下が結婚するという新聞記事が出た。
これを見た地方官吏のコーデリアは突如、王都へ旅立った。亡き兄の友人であり、年上の想い人でもある「彼」に別れを告げるために。
だが目当ての宰相邸では使用人に追い返されて途方に暮れる。そこに出くわしたのは、彼と結婚するという噂の美しき令嬢の姿だった――。
新聞と涙 それでも恋をする
あなたの照らす道は祝福《コーデリア》
君のため道に灯りを点けておく
話したいことがある 会いたい《クローヴィス》
これは、冷血宰相と呼ばれた彼の結婚を巡る、恋のから騒ぎ。最後はハッピーエンドで終わるめでたしめでたしのお話です。
第22回書き出し祭り参加作品
2025.1.26 女性向けホトラン1位ありがとうございます
2025.2.14 後日談を投稿しました
【完結】彼を幸せにする十の方法
玉響なつめ
恋愛
貴族令嬢のフィリアには婚約者がいる。
フィリアが望んで結ばれた婚約、その相手であるキリアンはいつだって冷静だ。
婚約者としての義務は果たしてくれるし常に彼女を尊重してくれる。
しかし、フィリアが望まなければキリアンは動かない。
婚約したのだからいつかは心を開いてくれて、距離も縮まる――そう信じていたフィリアの心は、とある夜会での事件でぽっきり折れてしまった。
婚約を解消することは難しいが、少なくともこれ以上迷惑をかけずに夫婦としてどうあるべきか……フィリアは悩みながらも、キリアンが一番幸せになれる方法を探すために行動を起こすのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも掲載しています。
【完結】そんなに好きならもっと早く言って下さい! 今更、遅いです! と口にした後、婚約者から逃げてみまして
Rohdea
恋愛
──婚約者の王太子殿下に暴言?を吐いた後、彼から逃げ出す事にしたのですが。
公爵令嬢のリスティは、幼い頃からこの国の王子、ルフェルウス殿下の婚約者となるに違いない。
周囲にそう期待されて育って来た。
だけど、当のリスティは王族に関するとある不満からそんなのは嫌だ! と常々思っていた。
そんなある日、
殿下の婚約者候補となる令嬢達を集めたお茶会で初めてルフェルウス殿下と出会うリスティ。
決して良い出会いでは無かったのに、リスティはそのまま婚約者に選ばれてしまう──
婚約後、殿下から向けられる態度や行動の意味が分からず困惑する日々を送っていたリスティは、どうにか殿下と婚約破棄は出来ないかと模索するも、気づけば婚約して1年が経っていた。
しかし、ちょうどその頃に入学した学園で、ピンク色の髪の毛が特徴の男爵令嬢が現れた事で、
リスティの気持ちも運命も大きく変わる事に……
※先日、完結した、
『そんなに嫌いなら婚約破棄して下さい! と口にした後、婚約者が記憶喪失になりまして』
に出て来た王太子殿下と、その婚約者のお話です。
【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて
ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」
お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。
綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。
今はもう、私に微笑みかける事はありません。
貴方の笑顔は別の方のもの。
私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。
私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。
ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか?
―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。
※ゆるゆる設定です。
※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」
※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド
後妻の条件を出したら……
しゃーりん
恋愛
妻と離婚した伯爵令息アークライトは、友人に聞かれて自分が後妻に望む条件をいくつか挙げた。
格上の貴族から厄介な女性を押しつけられることを危惧し、友人の勧めで伯爵令嬢マデリーンと結婚することになった。
だがこのマデリーン、アークライトの出した条件にそれほどズレてはいないが、貴族令嬢としての教育を受けていないという驚きの事実が発覚したのだ。
しかし、明るく真面目なマデリーンをアークライトはすぐに好きになるというお話です。
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる