彼の幸せを願っていたら、いつの間にか私も幸せになりました

Karamimi

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第71話:また勝手な事を

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「ローズ、おばあ様もそろそろお開きにしよう。明日からずっとローズはいるのだから、今日そんなに話さなくてもいいだろう」

「そうだね、つい懐かしくて話し込んでしまった。そうだ、今日は久しぶりにローズと一緒に眠ろうかしら?ローズは甘えん坊で、よく私の布団に潜り込んできていたわよね」

そう言っておばあ様がクスクス笑っている。

「おばあ様、私はもう14歳になったのですよ。1人で寝られますわ。でも…おばあ様がどうしてもとおっしゃるなら、一緒に寝てもいいですよ」

「本当かい?それは嬉しいね。そうかい…もう14歳になったのかい。月日が経つのは早いね」

なんだかしんみりした空気になってきた。

「それでは急いで湯あみをして準備をしてきますので、おばあ様はお部屋で待っていて下さいね。おばあ様のお部屋は、私の部屋の隣の隣ですよね?」

「ああ、そうだよ。そうそう、明日はローランドの婚約者の、アリサちゃんも来てくれることになっているんだよ。ローズにも紹介しないとね。ねえ、ローランド」

「そうだね、ローズに会うのを、アリサも楽しみをしているよ。きっと仲良くなれるよ」

お兄様の婚約者は、アリサ様という様だ。

「私もアリサ様に会えるのを、楽しみにしておりますわ」

つい笑みがこぼれる。こうしちゃいられないわ。今日は早く寝て、明日に備えないと。寝不足の顔では、会えないものね。

急いで自室に戻ると、通信機がヴーヴーなっている事に気が付いた。アデル様からだわ!急いで通信機を手に取る。

“ローズ、今まで何をしていたんだい?何度も通信機を鳴らしたんだよ。それなのに、全然でないし。事故にでもあったのではないかと、心配したんだからね”

「ごめんなさい、アデル様。今まで家族3人で食事をしていて。それで、通信機に出る事が出来なかったのです」

“通信機は肌身放さず持っていてくれと、伝えたと思うのだが…まあいい、家族3人とは、どういう事だい?君のおばあ様は、入院しているのではないのかい?”

「それが、ちょっと転んだだけだったみたいで、入院も念のために1日だけだったみたいですわ」

“そうだったんだね。よかったね、おばあ様が大したことなくて。それじゃあ、すぐにこっちに戻ってくるのだろう?”

「ええ…そうですわね…ただ、おばあ様が随分と弱っていらして…少し様子を見てから帰ろうと思っておりますの」

“そうか…ローズは優しいからね。分かったよ…でも…僕も寂しくてたまらないから出来るだけ早く…”

「ローズ、ちょっといいかい?」

この声はお兄様だわ。アデル様の声を被せる様に、ドア越しにお兄様の声が聞こえた。

「ごめんなさい、アデル様。お兄様が来たみたいなの。また明日連絡をしますね」

“あ…待って…”

アデル様がまだ何か言いかけていたが、急いで通信機を切り、ドアを開けた。

「お待たせしました」

「今誰かと話をしていた様だが?」

「気のせいですわ。それで、どういったご用件ですか?」

とりあえずお兄様を部屋に招き入れた。

「実は、ローズの事、おばあ様には“ローズはずっとこっちで暮らす”と伝えてしまっていてね。ほら、おばあ様も歳のせいか、随分とローズを恋しがっていて…」

「ちょっとお兄様、いくらおばあ様が寂しがっていたとしても、どうしてそんな嘘を伝えたのですか?私はしばらく様子を見たら、国に帰るつもりでいるのですよ」

本当にこの人は!

「分かっているよ。でも、これからはずっとローズと暮らせると思っているおばあ様を見ていたら、本当の事を言い出せなくてね。すまないが、しばらくは居てやってくれないかい?そうだ、学年末休みまでいたらいい。2年生のタイミングで、国に帰ればいいだろう」

「お兄様、学年末休みまで、まだ2ヶ月以上あるのですよ。そんなに長い期間、学院をお休みできません!とにかく、おばあ様には私から話しますわ」

さすがにそんな長い時間、学院を休むわけにはいかない。それに、アデル様ともその間ずっと離れ離れになってしまうし…

「わかったよ、そんなに怒らなくてもいいだろう。そうだ、期間限定でラーディエンス学院に通ってはどうだい?ローズは俺の妹だ。ラーディエンス学院が気に入るかもしれない。そうしたら、編入すればいい」

また勝手な事を…

「お兄様、いい加減に…」

「どうしたんだい?ローズもローランドも大きな声を出して。外まで響いていたよ」

杖を突きながら心配そうな顔で部屋に入って来たのは、おばあ様だ。

「何でもないよ。ローズにラーディエンス学院に通う様、提案していただけだから」

「まあ、ラーディエンス学院にかい。それはいい考えじゃないか、ローズ。あそこなら来年からローランドもいるし。ねえ、ローズ、そうしたらいいじゃない」

「あの…おばあ様、私はラーディエンス学院には通うつもりはありませんわ。それに私は…」

「そうかい…それは残念だね。でも、学院に通わなくても、ローズは十分優秀だからね。それにずっと独りで頑張って来たんだから、しばらくはこの国でゆっくりしたらいい。落ち着いたら、自分のやりたい事を見つけたらいいわ」

無邪気な笑顔でそう言われたら、これ以上は何も言えない。

「わかったわ、おばあ様。実は私、まだ湯あみをしていないの。すぐに湯あみをしてから、おばあ様の部屋に行くわ。お兄様、おばあ様を送ってあげて」

「ああ、わかったよ」

お兄様に支えられて、ゆっくりと部屋から出ていくおばあ様。私がこの国に来たことを、あんなにも喜んでくれているおばあ様を見ていたら、どうしても言えないわ。国に帰りたいなんて…
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