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第4話:婚約者と親友を一度に失いました
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「ちょっと待って下さい。アーロ殿、一体どういう事ですか?アリスとの婚約を破棄するだなんて…侯爵、あなたはこの話に賛成なのですか?」
状況がのみ込めず、頭がパニックになっている私に代わり、侯爵様とアーロ様を問い詰めているのはお父様だ。
「伯爵、こんな事になってしまって、本当に申し訳ない!アーロがどうしてもその令嬢と結婚したいと言うんだ。もちろん、私も説得した。でも、その令嬢と結婚できないなら、この家を出る!とまで言っていてね。申し訳ないが、婚約破棄を受け入れてもらえないだろうか。もちろん、慰謝料はたっぷり払うから」
そこまでその女性の事を愛しているだなんて…
「そんな…それではアリスがあんまりです!アリスはずっとアーロ様をお慕いしていたのに…それなのに、急に現れた令嬢のせいで婚約破棄されるだなんて…そもそも、家のアリスは1人娘なんです。本来なら婿をとって伯爵家を継いでもらうはずだったのに、侯爵様がどうしても家との繋がりを強めたいからって言ったから、アリスと婚約させたのに!こんなの酷すぎます!」
目に涙を溜めて訴えてくれているのは、お母様だ。私は元々伯爵家の1人娘。本来であれば、私が伯爵家を継ぐことになっていたのだ。でも4年前の婚約で、私が家を出る事になった。本来なら養子をとって伯爵家を継いでもらう者をすぐにでも育てたいはずなのに
「知らない男の子が家に住むのは嫌だろう?」
そう言って、私が嫁いでから養子を貰おうと考えていた心優しい両親。アーロ様との婚約破棄もかなりショックだが、何より私に魅力がないばかりに、両親を悲しませてしまう結果になってしまった事も、物凄くショックだ。
「本当にアリスには申し訳ないと思っている!でも、もう僕には彼女しか愛せないんだ!別の女性を思ったままの僕なんかと結婚しても、きっとアリスを不幸にしてしまう。だから、どうか婚約破棄を受け入れて欲しい!頼む!」
そう言って深々と頭を下げるアーロ様。
「アーロ様、1つお伺いしてもよろしいでしょうか?アーロ様にとって、私はどんな存在だったのでしょうか?」
私にとってアーロ様は、大好きな人だった。でもアーロ様は、どうだったんだろう…
「僕にとって君は、親が決めた婚約者で、特に恋愛感情を持ったりはしていなかった…でも、彼女に出会うまでは君と結婚しようとは思っていたんだよ。これは事実だ!」
そう…アーロ様にとって私は、親が決めたただの婚約者。分かっていた事だったけれど、実際本人の口から言われると、キツイわね…気が付くと瞳から、大粒の涙がポロポロと流れ出ていた。
そんな私をギューッと抱きしめてくれるお母様。お母様の目からも、涙がポロポロと溢れている。
「それで、相手のご令嬢はどんな方なのですか?」
お父様が恐る恐るアーロ様に訪ねる。そうだわ、相手の令嬢は、どんな方なのかしら?でも…正直聞くのが怖い…そんな複雑な感情が入り混じる。
「相手は…第3王女のエドリーン王女だ…」
えっ?今なんて言った?エドリーンですって?
「嘘よ!そんなはずはないわ!エドリーンは私の親友なのよ!親友の私を裏切って、アーロ様と婚約したいだなんて、言うはずがないわ!嘘を付くのは止めて下さい!いくら何でも酷すぎます!」
そうよ、エドリーンは私の婚約者を奪うような、そんな女性ではないわ!だって、あんなにも私の事を考えてくれているのですもの!
「嘘ではない!エドリーンと僕は、密かに愛し合っていたんだ。でも、エドリーンは君の親友でもある。だから、“アリスを悲しませたくはない。だからもうあなたには会わないわ”そう言ったんだ。それくらい心が優しい子なんだ!君もエドリーンの親友なら、親友の幸せを少しは祝福してあげたらどうなんだ!いつも自分の事ばかりだったんじゃないのかい?」
アーロ様の言葉が、胸に突き刺さった。そう言えば、エドリーンは婚約者のいる人を好きだと言っていた。そうか…それってアーロ様の事だったのね…それに、やたら婚約破棄を勧めて来たし…
私から婚約破棄をすれば、アーロ様と正式にお付き合いできるものね。全てが今、繋がったわ…
「それで、エドリーンとはもう婚約を結ばれるのですか?」
聞きたくない…聞きたくないのに、口が勝手に動く。
「そうだね、君と正式に婚約破棄をしたら、改めてエドリーンにプロポーズする予定だ!エドリーンがOKをくれ次第、すぐに発表する予定だよ」
そうなのね…きっとエドリーンはアーロ様のプロポーズを受けるだろう。そうなれば、晴れて2人は婚約者同士か…
「ちょっと待って下さい!アリスの立場はどうなるのですか?婚約者に親友を取られた可哀そうな令嬢として、好奇な目に晒されます!そんな目で見られたら、アリスの将来にも関わります。どうか、発表は待っていただけないでしょうか?」
お母様が必死にアーロ様に訴えている。
「貴族社会は噂の宝庫です。たとえ正式に発表しなくても、あっという間に噂として広がります。ですから、発表しようがしまいが関係ありませんよ。そうだ、それなら僕の友人をアリスに紹介しましょう。男爵令息のトビーなんていかがですか?あの男は5男なので、きっと喜んで飛びついてきますよ!」
「ふざけないで下さい!もう結構です。こんな男に私の可愛いアリスを嫁がせられないわ!婚約破棄でも何でもして下さい。それでいいわね、アリス!」
「ええ…」
もうどうでもいいわ…婚約破棄でも何でも、好きにして…
状況がのみ込めず、頭がパニックになっている私に代わり、侯爵様とアーロ様を問い詰めているのはお父様だ。
「伯爵、こんな事になってしまって、本当に申し訳ない!アーロがどうしてもその令嬢と結婚したいと言うんだ。もちろん、私も説得した。でも、その令嬢と結婚できないなら、この家を出る!とまで言っていてね。申し訳ないが、婚約破棄を受け入れてもらえないだろうか。もちろん、慰謝料はたっぷり払うから」
そこまでその女性の事を愛しているだなんて…
「そんな…それではアリスがあんまりです!アリスはずっとアーロ様をお慕いしていたのに…それなのに、急に現れた令嬢のせいで婚約破棄されるだなんて…そもそも、家のアリスは1人娘なんです。本来なら婿をとって伯爵家を継いでもらうはずだったのに、侯爵様がどうしても家との繋がりを強めたいからって言ったから、アリスと婚約させたのに!こんなの酷すぎます!」
目に涙を溜めて訴えてくれているのは、お母様だ。私は元々伯爵家の1人娘。本来であれば、私が伯爵家を継ぐことになっていたのだ。でも4年前の婚約で、私が家を出る事になった。本来なら養子をとって伯爵家を継いでもらう者をすぐにでも育てたいはずなのに
「知らない男の子が家に住むのは嫌だろう?」
そう言って、私が嫁いでから養子を貰おうと考えていた心優しい両親。アーロ様との婚約破棄もかなりショックだが、何より私に魅力がないばかりに、両親を悲しませてしまう結果になってしまった事も、物凄くショックだ。
「本当にアリスには申し訳ないと思っている!でも、もう僕には彼女しか愛せないんだ!別の女性を思ったままの僕なんかと結婚しても、きっとアリスを不幸にしてしまう。だから、どうか婚約破棄を受け入れて欲しい!頼む!」
そう言って深々と頭を下げるアーロ様。
「アーロ様、1つお伺いしてもよろしいでしょうか?アーロ様にとって、私はどんな存在だったのでしょうか?」
私にとってアーロ様は、大好きな人だった。でもアーロ様は、どうだったんだろう…
「僕にとって君は、親が決めた婚約者で、特に恋愛感情を持ったりはしていなかった…でも、彼女に出会うまでは君と結婚しようとは思っていたんだよ。これは事実だ!」
そう…アーロ様にとって私は、親が決めたただの婚約者。分かっていた事だったけれど、実際本人の口から言われると、キツイわね…気が付くと瞳から、大粒の涙がポロポロと流れ出ていた。
そんな私をギューッと抱きしめてくれるお母様。お母様の目からも、涙がポロポロと溢れている。
「それで、相手のご令嬢はどんな方なのですか?」
お父様が恐る恐るアーロ様に訪ねる。そうだわ、相手の令嬢は、どんな方なのかしら?でも…正直聞くのが怖い…そんな複雑な感情が入り混じる。
「相手は…第3王女のエドリーン王女だ…」
えっ?今なんて言った?エドリーンですって?
「嘘よ!そんなはずはないわ!エドリーンは私の親友なのよ!親友の私を裏切って、アーロ様と婚約したいだなんて、言うはずがないわ!嘘を付くのは止めて下さい!いくら何でも酷すぎます!」
そうよ、エドリーンは私の婚約者を奪うような、そんな女性ではないわ!だって、あんなにも私の事を考えてくれているのですもの!
「嘘ではない!エドリーンと僕は、密かに愛し合っていたんだ。でも、エドリーンは君の親友でもある。だから、“アリスを悲しませたくはない。だからもうあなたには会わないわ”そう言ったんだ。それくらい心が優しい子なんだ!君もエドリーンの親友なら、親友の幸せを少しは祝福してあげたらどうなんだ!いつも自分の事ばかりだったんじゃないのかい?」
アーロ様の言葉が、胸に突き刺さった。そう言えば、エドリーンは婚約者のいる人を好きだと言っていた。そうか…それってアーロ様の事だったのね…それに、やたら婚約破棄を勧めて来たし…
私から婚約破棄をすれば、アーロ様と正式にお付き合いできるものね。全てが今、繋がったわ…
「それで、エドリーンとはもう婚約を結ばれるのですか?」
聞きたくない…聞きたくないのに、口が勝手に動く。
「そうだね、君と正式に婚約破棄をしたら、改めてエドリーンにプロポーズする予定だ!エドリーンがOKをくれ次第、すぐに発表する予定だよ」
そうなのね…きっとエドリーンはアーロ様のプロポーズを受けるだろう。そうなれば、晴れて2人は婚約者同士か…
「ちょっと待って下さい!アリスの立場はどうなるのですか?婚約者に親友を取られた可哀そうな令嬢として、好奇な目に晒されます!そんな目で見られたら、アリスの将来にも関わります。どうか、発表は待っていただけないでしょうか?」
お母様が必死にアーロ様に訴えている。
「貴族社会は噂の宝庫です。たとえ正式に発表しなくても、あっという間に噂として広がります。ですから、発表しようがしまいが関係ありませんよ。そうだ、それなら僕の友人をアリスに紹介しましょう。男爵令息のトビーなんていかがですか?あの男は5男なので、きっと喜んで飛びついてきますよ!」
「ふざけないで下さい!もう結構です。こんな男に私の可愛いアリスを嫁がせられないわ!婚約破棄でも何でもして下さい。それでいいわね、アリス!」
「ええ…」
もうどうでもいいわ…婚約破棄でも何でも、好きにして…
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