10 / 103
第10話:出来る事はやります
しおりを挟む
「だが…」
「お気遣いいただき、ありがとうございました。今日は疲れたので、休ませていただきます。それではおやすみなさい」
極力笑顔を作り、男性に頭を下げ、先ほど男性から使ってもよいと言われたお部屋に入った。
ただ、お部屋は食べ物の残りかすやお酒の瓶が沢山転がっていたのだ。
「すまない、先日騎士団の後輩たちが泊まりに来て、そのままになっていたのだった。近いうちに清掃員を手配しようと思っていたのだが、忙しくて…そうだ、今日は俺の部屋を使ってくれ」
さっきまでクールだった男性が、急に慌てだしたのだ。
「この程度なら、今から片づけますので大丈夫ですわ」
「だが、その様な事は…」
「私は居候の身です。これ位させてください。それに掃除は得意なので」
子供の頃から、家事全般を1人でこなしてきたのだ。その上、お店もほぼ1人で切り盛りしていた。これくらい朝飯前だ。
手際よく掃除をしていく。すると、何を思ったのか男性も手伝ってくれている。
「お手伝いいただき、ありがとうございます。ですがあなた様のお手を煩わせる訳にはいきません。どうかあなた様は、お休みください」
そう伝えたのだが…
「いいや、俺たちが汚した部屋だからな。それに客人にこのような事をさせる訳には…」
「私は客人ではありません。ただの居候なのです。それにしても、この街の人は皆、親切な方ばかりですね」
アロマおばあさんといい、道を教えてくれた女性といい、この男性といい、みんな親切な人ばかりだ。
「色々な人間がこの街に住んでいるから。いい人間ばかりではないよ。むしろ、悪い奴の方が多いかもしれない。大きな街に住んでいると、出世するチャンスも多い。欲に目がくらみ、悪い道に足を踏み入れる者も多いからな…」
「そうなのですね…」
騎士様がそうおっしゃるのだから、実際そうなのだろう。クロードもきっと、私が知らないところで沢山苦労をして来たのだろう。もしかしたら一緒に住んでいた女性が、クロードを支えてくれていたのかもしれない。
今更考えても、どうにもならないけれど…
「ある程度片付いたな。これでゆっくり休めるだろう」
「ありがとうございます。とてもきれいになりましたわ」
2人で片づけたお陰で、あっと言う間に綺麗になった。
「それじゃあ俺はこれで。先に湯あみをしてもらって構わないから」
「はい、ありがとうございます。では、お言葉に甘えさせていただきます」
居候の身で湯あみだなんて贅沢だが、せっかくなのでお言葉に甘えさせてもらった。昨日と今日、2日連続で湯あみが出来るだなんて、幸せだ。髪をしっかり乾かし、ベッドに横になる。
騎士様、最初はとても恐ろしい方かと思ったけれど、悪い人ではなさそうだ。こんなどこの馬の骨かもわからない私を、泊めて下さるだなんて…
隊長様と言っていたわね。きっと使命感から私を置いて下さっているのだろう。とはいえ、このままお言葉に甘えさせていただき続ける訳にもいかないし、ただの居候として大きな顔をして置いてもらう訳にはいかない。
せっかくご厚意でしばらく置いてもらえることになったのだ。私が出来る事をしっかりやって、少しでも恩返しができるように頑張ろう。
そんな思いで、眠りについた。
翌日
朝いつもの様に目が覚めた私は、キッチンとお風呂、トイレの掃除を行う。私は居候の身、昨日の夜、私が出来る事は何かと考えた結果、掃除や洗濯など家事全般を行う事だと思ったのだ。
掃除が終わると、恐る恐る外に出た。周りにはたくさんのお店や家が立ち並んでいる。既にたくさんの人が歩いていて、お店も開いている。こんな時間からお店が開いているだなんて、やっぱりシャールン市はすごいわ。
少ない所持金を握りしめ、周りを見て回る。私でも買えるものかつ、食べ応えがありそうな食材を選んで買っていく。騎士様は体力勝負と聞いたことがある。きっと朝から、がっつり食べるだろう、そう思ったのだ。
買い物を終え、家に戻ると、早速朝食の準備に取り掛かる。早く作らないと、騎士様が起きていらっしゃるわ。そんな思いで、いつもの様に手際よく料理を作っていく。
その時だった。
「おはよう、もう起きていたのか。早いな。それにしても、いい匂いがするのだが」
騎士様が起きて来たのだ。
「お気遣いいただき、ありがとうございました。今日は疲れたので、休ませていただきます。それではおやすみなさい」
極力笑顔を作り、男性に頭を下げ、先ほど男性から使ってもよいと言われたお部屋に入った。
ただ、お部屋は食べ物の残りかすやお酒の瓶が沢山転がっていたのだ。
「すまない、先日騎士団の後輩たちが泊まりに来て、そのままになっていたのだった。近いうちに清掃員を手配しようと思っていたのだが、忙しくて…そうだ、今日は俺の部屋を使ってくれ」
さっきまでクールだった男性が、急に慌てだしたのだ。
「この程度なら、今から片づけますので大丈夫ですわ」
「だが、その様な事は…」
「私は居候の身です。これ位させてください。それに掃除は得意なので」
子供の頃から、家事全般を1人でこなしてきたのだ。その上、お店もほぼ1人で切り盛りしていた。これくらい朝飯前だ。
手際よく掃除をしていく。すると、何を思ったのか男性も手伝ってくれている。
「お手伝いいただき、ありがとうございます。ですがあなた様のお手を煩わせる訳にはいきません。どうかあなた様は、お休みください」
そう伝えたのだが…
「いいや、俺たちが汚した部屋だからな。それに客人にこのような事をさせる訳には…」
「私は客人ではありません。ただの居候なのです。それにしても、この街の人は皆、親切な方ばかりですね」
アロマおばあさんといい、道を教えてくれた女性といい、この男性といい、みんな親切な人ばかりだ。
「色々な人間がこの街に住んでいるから。いい人間ばかりではないよ。むしろ、悪い奴の方が多いかもしれない。大きな街に住んでいると、出世するチャンスも多い。欲に目がくらみ、悪い道に足を踏み入れる者も多いからな…」
「そうなのですね…」
騎士様がそうおっしゃるのだから、実際そうなのだろう。クロードもきっと、私が知らないところで沢山苦労をして来たのだろう。もしかしたら一緒に住んでいた女性が、クロードを支えてくれていたのかもしれない。
今更考えても、どうにもならないけれど…
「ある程度片付いたな。これでゆっくり休めるだろう」
「ありがとうございます。とてもきれいになりましたわ」
2人で片づけたお陰で、あっと言う間に綺麗になった。
「それじゃあ俺はこれで。先に湯あみをしてもらって構わないから」
「はい、ありがとうございます。では、お言葉に甘えさせていただきます」
居候の身で湯あみだなんて贅沢だが、せっかくなのでお言葉に甘えさせてもらった。昨日と今日、2日連続で湯あみが出来るだなんて、幸せだ。髪をしっかり乾かし、ベッドに横になる。
騎士様、最初はとても恐ろしい方かと思ったけれど、悪い人ではなさそうだ。こんなどこの馬の骨かもわからない私を、泊めて下さるだなんて…
隊長様と言っていたわね。きっと使命感から私を置いて下さっているのだろう。とはいえ、このままお言葉に甘えさせていただき続ける訳にもいかないし、ただの居候として大きな顔をして置いてもらう訳にはいかない。
せっかくご厚意でしばらく置いてもらえることになったのだ。私が出来る事をしっかりやって、少しでも恩返しができるように頑張ろう。
そんな思いで、眠りについた。
翌日
朝いつもの様に目が覚めた私は、キッチンとお風呂、トイレの掃除を行う。私は居候の身、昨日の夜、私が出来る事は何かと考えた結果、掃除や洗濯など家事全般を行う事だと思ったのだ。
掃除が終わると、恐る恐る外に出た。周りにはたくさんのお店や家が立ち並んでいる。既にたくさんの人が歩いていて、お店も開いている。こんな時間からお店が開いているだなんて、やっぱりシャールン市はすごいわ。
少ない所持金を握りしめ、周りを見て回る。私でも買えるものかつ、食べ応えがありそうな食材を選んで買っていく。騎士様は体力勝負と聞いたことがある。きっと朝から、がっつり食べるだろう、そう思ったのだ。
買い物を終え、家に戻ると、早速朝食の準備に取り掛かる。早く作らないと、騎士様が起きていらっしゃるわ。そんな思いで、いつもの様に手際よく料理を作っていく。
その時だった。
「おはよう、もう起きていたのか。早いな。それにしても、いい匂いがするのだが」
騎士様が起きて来たのだ。
956
あなたにおすすめの小説
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
砕けた愛
篠月珪霞
恋愛
新婚初夜に男に襲われた公爵令嬢エヴリーヌは、不義密通の罪を被せられた。反逆罪に問われた彼女の一族は処刑されるが、気付くと時間が巻き戻っていた。
あなたへの愛? そんなものとうに、砕け散ってしまいました。
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
【完結】没落寸前の貧乏令嬢、お飾りの妻が欲しかったらしい旦那様と白い結婚をしましたら
Rohdea
恋愛
婚期を逃し、没落寸前の貧乏男爵令嬢のアリスは、
ある日、父親から結婚相手を紹介される。
そのお相手は、この国の王女殿下の護衛騎士だったギルバート。
彼は最近、とある事情で王女の護衛騎士を辞めて実家の爵位を継いでいた。
そんな彼が何故、借金の肩代わりをしてまで私と結婚を……?
と思ったら、
どうやら、彼は“お飾りの妻”を求めていたらしい。
(なるほど……そういう事だったのね)
彼の事情を理解した(つもり)のアリスは、その結婚を受け入れる事にした。
そうして始まった二人の“白い結婚”生活……これは思っていたよりうまくいっている?
と、思ったものの、
何故かギルバートの元、主人でもあり、
彼の想い人である(はずの)王女殿下が妙な動きをし始めて……
【完結】契約の花嫁だったはずなのに、無口な旦那様が逃がしてくれません
Rohdea
恋愛
──愛されない契約の花嫁だったはずなのに、何かがおかしい。
家の借金返済を肩代わりして貰った代わりに
“お飾りの妻が必要だ”
という謎の要求を受ける事になったロンディネ子爵家の姉妹。
ワガママな妹、シルヴィが泣いて嫌がった為、必然的に自分が嫁ぐ事に決まってしまった姉のミルフィ。
そんなミルフィの嫁ぎ先は、
社交界でも声を聞いた人が殆どいないと言うくらい無口と噂されるロイター侯爵家の嫡男、アドルフォ様。
……お飾りの妻という存在らしいので、愛される事は無い。
更には、用済みになったらポイ捨てされてしまうに違いない!
そんな覚悟で嫁いだのに、
旦那様となったアドルフォ様は確かに無口だったけど───……
一方、ミルフィのものを何でも欲しがる妹のシルヴィは……
英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない
百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。
幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。
※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。
「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い
腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。
お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。
当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。
彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。
【完】瓶底メガネの聖女様
らんか
恋愛
伯爵家の娘なのに、実母亡き後、後妻とその娘がやってきてから虐げられて育ったオリビア。
傷つけられ、生死の淵に立ったその時に、前世の記憶が蘇り、それと同時に魔力が発現した。
実家から事実上追い出された形で、家を出たオリビアは、偶然出会った人達の助けを借りて、今まで奪われ続けた、自分の大切なもの取り戻そうと奮闘する。
そんな自分にいつも寄り添ってくれるのは……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる