全てを失ったと思ったのですが…騎士団の隊長に拾われ溺愛されました

Karamimi

文字の大きさ
35 / 103

第35話:楽しい時間はあっという間です

しおりを挟む
「あら、それは私も同じよ。リリアが知っているお料理、私にもたくさん教えて欲しいわ」

「もちろんよ。お互い知っている料理のレシピを、交換しましょう。そうすれば、レパートリーも増えるもの。最近お料理がマンネリ化して困っていたのよ」

「私もよ。それじゃあ私は、牛タンシチューの作り方を教えてもらおうかしら?今日の晩御飯は、鯛のムニエルと牛タンシチューにするわ」

「でも、トマトの煮込み料理は?せっかく立派な鯛があるのに、勿体ないわ」

「明日トマトの煮込み料理に使えばいいわ。レシピを書いておくから、その通りに作ったら美味しく出来るはずよ」

「ありがとう、ルル。それじゃあ私も今夜は鯛のムニエルと、牛タンのシチューにするわ。それじゃあ、早速牛タンのシチューの作り方を教えるわね」

 こうやってお友達と一緒に、お料理を作るのはなんて楽しいのかしら。つい笑顔が漏れる。

「これで完成ね。ちょっと味見をしてみてもいいかしら?」

「ええ、もちろんよ。少し食べてみて」

 早速お皿に2人で作った牛タンのシチューを入れた。

「とっても美味しいわ。ルークが絶賛する訳ね。やっぱりリリアはお料理の天才ね。こんな美味しい料理が作れるのだから」

「ルルだって、美味しいお魚料理を教えてくれたじゃない。ムニエルのソース、味見したけれどとても美味しかったわ。下ごしらえをした鯛とソースを合わせて食べるのが、今から楽しみだわ」

 鯛は食べる直前に焼く予定の為、下ごしらえをした状態で置いてある。その為、ムニエルの味見は残念ながら出来ないが、きっととても美味しいだろう。

「そう言ってもらえると嬉しいわ。さて、料理も一通り作ったし、せっかくだからゆっくりお話しをしましょう」

「そうね、そうしましょう」

 再びお茶を出し、2人でイスに座って話をする。すっかり打ち解けた私達、話しに花を咲かせた。

「ずいぶん暗くなってしまったわね。そろそろルークも帰ってくる頃だから、私はもう帰るわ。今日は楽しい時間をありがとう。またお店がお休みの時に、遊びに来てもいいかしら?」

「ええ、もちろんよ。私もとても楽しかったわ。また一緒にお話しをしたり、料理を作りましょうね。今日は来てくれてありがとう」

「私の家は、ここから徒歩で5分くらいだから、またリリアも遊びに来て。これ、私の家とお店の地図よ」

「ありがとう。それじゃあ、私もまたお邪魔させてもらうわ」

 ルルが住所と地図を手渡してくれた。そしてお料理を入れた大きなバスケットをぶら下げ、手を振りながら帰っていくルルを見送る。今日はとても楽しかったな。まさか私にお友達が出来るだなんて。

 村にいたときなら、考えられなかった事だ。

 今日はとても素敵な1日だった。

 ルルの姿が見えなくなるまで手を振っていると、入れ違いでゼルス様の馬車が入って来た。今日はいつもより、1時間も早い。一体どうしたのだろう。

「ゼルス様、お帰りなさい。今日は随分早いお帰りですね。どうかされましたか?」

「ただいま。いや、その…リリアが心配で…あの女に何か酷い事をされなかったかい?」

 どうやら私を心配して、早く帰って来てくださった様だ。

「ゼルス様ったら。ルルとはとても仲良くなったのですよ。今日はルルが教えてくれた、鯛のムニエルを晩御飯に出そうと思っているのです。すぐに準備しますから」

 本当にゼルス様は心配性ね。でも、こんな風に私の事を心配してくれることが、とても嬉しい。

 急いで食事の準備を整え、2人でお料理を頂く。

「ゼルス様、この鯛のムニエル、どうですか?ルルに教えてもらって作ったのですが」

「とても美味しいよ。ただ、俺はこっちの牛タンのシチューの方が好きだがな。やっぱりリリアが考えた料理が、一番うまい」

「そうですか…やっぱり初めて鯛を使ったお料理を作ったから、あまりうまく出来なかったのかしら?」

 ルルの様に、上手に捌けなかったものね。でも、ソースは上手に出来たと思ったのけれどな…

「いや、そういう意味じゃなくて。もちろん、この鯛もとても美味しいよ。特にソースが絶品だ。リリアが作ってくれたのだろう?」

「はい、私がルルに教えてもらって作りました。私もこのソース、大好きなのです。明日は鯛と野菜のトマト煮を作る予定でいますので、楽しみにしていてくださいね」

 よかった、ゼルス様も気に入ってくれた様だ。それにしても、今日はとても楽しかった。またルルと一緒に、色々な料理を作ったり、お話ししたりしたいな…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】戸籍ごと売られた無能令嬢ですが、子供になった冷徹魔導師の契約妻になりました

水都 ミナト
恋愛
最高峰の魔法の研究施設である魔塔。 そこでは、生活に不可欠な魔導具の生産や開発を行われている。 最愛の父と母を失い、継母に生家を乗っ取られ居場所を失ったシルファは、ついには戸籍ごと魔塔に売り飛ばされてしまった。 そんなシルファが配属されたのは、魔導具の『メンテナンス部』であった。 上層階ほど尊ばれ、難解な技術を必要とする部署が配置される魔塔において、メンテナンス部は最底辺の地下に位置している。 貴族の生まれながらも、魔法を発動することができないシルファは、唯一の取り柄である周囲の魔力を吸収して体内で中和する力を活かし、日々魔導具のメンテナンスに従事していた。 実家の後ろ盾を無くし、一人で粛々と生きていくと誓っていたシルファであったが、 上司に愛人になれと言い寄られて困り果てていたところ、突然魔塔の最高責任者ルーカスに呼びつけられる。 そこで知ったルーカスの秘密。 彼はとある事件で自分自身を守るために退行魔法で少年の姿になっていたのだ。 元の姿に戻るためには、シルファの力が必要だという。 戸惑うシルファに提案されたのは、互いの利のために結ぶ契約結婚であった。 シルファはルーカスに協力するため、そして自らの利のためにその提案に頷いた。 所詮はお飾りの妻。役目を果たすまでの仮の妻。 そう覚悟を決めようとしていたシルファに、ルーカスは「俺は、この先誰でもない、君だけを大切にすると誓う」と言う。 心が追いつかないまま始まったルーカスとの生活は温かく幸せに満ちていて、シルファは少しずつ失ったものを取り戻していく。 けれど、継母や上司の男の手が忍び寄り、シルファがようやく見つけた居場所が脅かされることになる。 シルファは自分の居場所を守り抜き、ルーカスの退行魔法を解除することができるのか―― ※他サイトでも公開しています

婚約者は冷酷宰相様。地味令嬢の私が政略結婚で嫁いだら、なぜか激甘溺愛が待っていました

春夜夢
恋愛
私はずっと「誰にも注目されない地味令嬢」だった。 名門とはいえ没落しかけの伯爵家の次女。 姉は美貌と才覚に恵まれ、私はただの飾り物のような存在。 ――そんな私に突然、王宮から「婚約命令」が下った。 相手は、王の右腕にして恐れられる冷酷宰相・ルシアス=ディエンツ公爵。 40を目前にしながら独身を貫き、感情を一切表に出さない男。 (……なぜ私が?) けれど、その婚約は国を揺るがす「ある計画」の始まりだった。

英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない

百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。 幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。 ※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。

【完結】騎士団長の旦那様は小さくて年下な私がお好みではないようです

大森 樹
恋愛
貧乏令嬢のヴィヴィアンヌと公爵家の嫡男で騎士団長のランドルフは、お互いの親の思惑によって結婚が決まった。 「俺は子どもみたいな女は好きではない」 ヴィヴィアンヌは十八歳で、ランドルフは三十歳。 ヴィヴィアンヌは背が低く、ランドルフは背が高い。 ヴィヴィアンヌは貧乏で、ランドルフは金持ち。 何もかもが違う二人。彼の好みの女性とは真逆のヴィヴィアンヌだったが、お金の恩があるためなんとか彼の妻になろうと奮闘する。そんな中ランドルフはぶっきらぼうで冷たいが、とろこどころに優しさを見せてきて……!? 貧乏令嬢×不器用な騎士の年の差ラブストーリーです。必ずハッピーエンドにします。

【完結】契約の花嫁だったはずなのに、無口な旦那様が逃がしてくれません

Rohdea
恋愛
──愛されない契約の花嫁だったはずなのに、何かがおかしい。 家の借金返済を肩代わりして貰った代わりに “お飾りの妻が必要だ” という謎の要求を受ける事になったロンディネ子爵家の姉妹。 ワガママな妹、シルヴィが泣いて嫌がった為、必然的に自分が嫁ぐ事に決まってしまった姉のミルフィ。 そんなミルフィの嫁ぎ先は、 社交界でも声を聞いた人が殆どいないと言うくらい無口と噂されるロイター侯爵家の嫡男、アドルフォ様。 ……お飾りの妻という存在らしいので、愛される事は無い。 更には、用済みになったらポイ捨てされてしまうに違いない! そんな覚悟で嫁いだのに、 旦那様となったアドルフォ様は確かに無口だったけど───…… 一方、ミルフィのものを何でも欲しがる妹のシルヴィは……

【完結】二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました

三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。 優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。 優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。 そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。 絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。 そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。

編み物好き地味令嬢はお荷物として幼女化されましたが、えっ?これ魔法陣なんですか?

灯息めてら
恋愛
編み物しか芸がないと言われた地味令嬢ニニィアネは、家族から冷遇された挙句、幼女化されて魔族の公爵に売り飛ばされてしまう。 しかし、彼女の編み物が複雑な魔法陣だと発見した公爵によって、ニニィアネの生活は一変する。しかもなんだか……溺愛されてる!?

【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます 修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。 その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。 彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。 ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。 一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。 必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。 なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ── そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。 これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。 ※小説家になろうが先行公開です

処理中です...