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第70話:俺の過ち【その4】~クロード視点~
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「リリアの居場所を知っているというのは、本当ですか?リリアは今、どこにいるのですか?」
今までどれだけ聞き込みをしても、見つからなかったのに。
「リリアさんは今、ゼルスの元にいるわ。シャールン市の東地区を取り仕切っている隊長のね」
ゼルス隊長…シャールン市に住んでいる人間なら、誰もが知っている名前だ。美しい顔とは裏腹に、非常に強く若くして隊長までのぼりつめた男。あまりにも強すぎて、特に荒れている東地区を任されている人だ。
彼が東地区を取り仕切る様になってから、随分治安もよくなり、俺たち市民も彼には感謝している。だが、どうしてそんな方の元に、リリアが?
「大丈夫?口があきっぱなしよ。どうやらリリアさんは行く当てがなく困っていたところを、ゼルスに拾われたそうなの。最初は家政婦として働いていた様なのだけれど、今では恋人になった様よ。本当にあり得ないわよね。ゼルスは元侯爵家の人間なのに。平民の、それも小さな村出身の娘を傍に置くだなんて」
「待って下さい。リリアがゼルス隊長の恋人だなんて。確かにリリアは美しいが、ゼルス隊長は極度の女性嫌いなのは、有名な話。近づく女性たちを、悪党を見る様な目で睨みつけ、一切近づかせない方と聞いております。そんな方が、リリアを恋人にするだなんて」
あり得ない。確かにリリアは美しいが…
「そのあり得ないことが、起こっている様なの。でも、私とゼルスは近々婚約を結ぶことが決まっているの。あっ、自己紹介をするのを忘れていたわね。私はクレシレス王国の伯爵令嬢、レティ・ウレィシアよ」
クレシレス王国の、伯爵令嬢だって。そんな身分の高い方が、わざわざ俺に会いに来ただって。ゼルス隊長も、元侯爵家の人間と言っていたな。20年前まで我が国でも存在していた、貴族や王族達。
まだ身分制度が廃止され、民主主義になってから20年しかたっていないとあって、我が国では実質的に身分制度が残っている。もちろん、俺たち平民が元貴族や王族と接する事など、まず考えられないのだ。
なるほど、元侯爵家の人間でもあるゼルス隊長と他国の伯爵令嬢の結婚、普通に考えられる事だな。
「あなた様とゼルス隊長の身分については理解いたしました。それでリリアは、どうなるのですか?もしかして、処罰されるとか…」
「さすがにそんな非道な事はしないわ。ただ、さすがに邪魔なのよね。それでね、いい考えがあるの。皆が幸せになれる方法よ。私がリリアさんを、あなたの元に連れてきてあげる。ただ、今あなたが住んでいる場所だと、すぐに見つかってしまうかもしれないから、シャールン市の外れの人気の少ないところに家を準備するわ。もう手配はしてあるの。
そこでしばらくは、リリアさんと生活をしてくれるかしら?その後折を見て、我がクレシレス王国で暮せるように手配するから。もちろん、生活費は私が出すから安心して仕事を辞めて大丈夫よ」
生活費も住む家も、レティ様が出してくれる。そのうえ、リリアを連れてきてくれるだなんて。
「ありがとうございます。そこまでして頂けるだなんて、光栄です。ですが、どうして俺たちが、クレシレス王国に向かうのですか?そこでひっそりと暮らしてもいいかと思うのですが」
「ダメよ!私、とても嫉妬深いの。ゼルスが愛した女がこの国にいるというだけで、虫唾が走るのよね。生活面は私が面倒を見ると言っているのだから、言う事を聞きなさい!」
急に怖い顔で俺を睨みつけてきたレティ様。この人に逆らうと面倒だ。それに俺は、リリアと一緒に暮らせるなら、場所なんてどこでもいい。
「承知しました。あなたの言う通りにします」
「そう、物分かりがよくて助かったわ。私の考えた方法は、全員が幸せになれる、まさに完璧な方法なのよ。あなたは知らないでしょうけれど、貴族には貴族のルールがあるの。いくら身分制度が廃止されたと言っても、元貴族と元平民が結婚する事なんて、不可能なのよ。
ゼルスはその事を本当に分かっていないのだから、嫌になるわ。いくら親から逃げようと、元貴族としての身分は消えないのにね。まあいいわ、さすがのゼルスも、リリアさんがいなくなれば、諦めるでしょうし」
嬉しそうにベラベラと話をするレティ様。俺だってそれくらいは知っている。貴族世界は、家のために政略結婚をするのが当たり前だ。いくら身分制度が廃止されても、今まで根付いて来たしきたりは、早々変える事など出来ない。
今後苦労する事が目に見えているゼルス隊長との生活よりも、俺のと生活の方がリリアにはあっているのだ。
これでやっとリリアと一緒にいられる。そう考えると、嬉しくてたまらない。
その後俺は、会社を辞める手続きをした。社長はいつでも戻って来てもいいと言ってくれたが、もう二度と戻るつもりはない。これからはリリアと一緒に、悠々自適な暮らしをするのだから。
そして今日、リリアがやって来た。かなりショックを受けている様だが、元々リリアは俺の事が好きだったんだ。時間が経てば、リリアも諦めるだろう。
明日からは目いっぱいリリアを大切にしよう。これからはずっとリリアと一緒だ。俺はこれからの未来に、胸躍らせながら、眠りについたのだった。
※次回、ゼルス視点です。
よろしくお願いいたします。
今までどれだけ聞き込みをしても、見つからなかったのに。
「リリアさんは今、ゼルスの元にいるわ。シャールン市の東地区を取り仕切っている隊長のね」
ゼルス隊長…シャールン市に住んでいる人間なら、誰もが知っている名前だ。美しい顔とは裏腹に、非常に強く若くして隊長までのぼりつめた男。あまりにも強すぎて、特に荒れている東地区を任されている人だ。
彼が東地区を取り仕切る様になってから、随分治安もよくなり、俺たち市民も彼には感謝している。だが、どうしてそんな方の元に、リリアが?
「大丈夫?口があきっぱなしよ。どうやらリリアさんは行く当てがなく困っていたところを、ゼルスに拾われたそうなの。最初は家政婦として働いていた様なのだけれど、今では恋人になった様よ。本当にあり得ないわよね。ゼルスは元侯爵家の人間なのに。平民の、それも小さな村出身の娘を傍に置くだなんて」
「待って下さい。リリアがゼルス隊長の恋人だなんて。確かにリリアは美しいが、ゼルス隊長は極度の女性嫌いなのは、有名な話。近づく女性たちを、悪党を見る様な目で睨みつけ、一切近づかせない方と聞いております。そんな方が、リリアを恋人にするだなんて」
あり得ない。確かにリリアは美しいが…
「そのあり得ないことが、起こっている様なの。でも、私とゼルスは近々婚約を結ぶことが決まっているの。あっ、自己紹介をするのを忘れていたわね。私はクレシレス王国の伯爵令嬢、レティ・ウレィシアよ」
クレシレス王国の、伯爵令嬢だって。そんな身分の高い方が、わざわざ俺に会いに来ただって。ゼルス隊長も、元侯爵家の人間と言っていたな。20年前まで我が国でも存在していた、貴族や王族達。
まだ身分制度が廃止され、民主主義になってから20年しかたっていないとあって、我が国では実質的に身分制度が残っている。もちろん、俺たち平民が元貴族や王族と接する事など、まず考えられないのだ。
なるほど、元侯爵家の人間でもあるゼルス隊長と他国の伯爵令嬢の結婚、普通に考えられる事だな。
「あなた様とゼルス隊長の身分については理解いたしました。それでリリアは、どうなるのですか?もしかして、処罰されるとか…」
「さすがにそんな非道な事はしないわ。ただ、さすがに邪魔なのよね。それでね、いい考えがあるの。皆が幸せになれる方法よ。私がリリアさんを、あなたの元に連れてきてあげる。ただ、今あなたが住んでいる場所だと、すぐに見つかってしまうかもしれないから、シャールン市の外れの人気の少ないところに家を準備するわ。もう手配はしてあるの。
そこでしばらくは、リリアさんと生活をしてくれるかしら?その後折を見て、我がクレシレス王国で暮せるように手配するから。もちろん、生活費は私が出すから安心して仕事を辞めて大丈夫よ」
生活費も住む家も、レティ様が出してくれる。そのうえ、リリアを連れてきてくれるだなんて。
「ありがとうございます。そこまでして頂けるだなんて、光栄です。ですが、どうして俺たちが、クレシレス王国に向かうのですか?そこでひっそりと暮らしてもいいかと思うのですが」
「ダメよ!私、とても嫉妬深いの。ゼルスが愛した女がこの国にいるというだけで、虫唾が走るのよね。生活面は私が面倒を見ると言っているのだから、言う事を聞きなさい!」
急に怖い顔で俺を睨みつけてきたレティ様。この人に逆らうと面倒だ。それに俺は、リリアと一緒に暮らせるなら、場所なんてどこでもいい。
「承知しました。あなたの言う通りにします」
「そう、物分かりがよくて助かったわ。私の考えた方法は、全員が幸せになれる、まさに完璧な方法なのよ。あなたは知らないでしょうけれど、貴族には貴族のルールがあるの。いくら身分制度が廃止されたと言っても、元貴族と元平民が結婚する事なんて、不可能なのよ。
ゼルスはその事を本当に分かっていないのだから、嫌になるわ。いくら親から逃げようと、元貴族としての身分は消えないのにね。まあいいわ、さすがのゼルスも、リリアさんがいなくなれば、諦めるでしょうし」
嬉しそうにベラベラと話をするレティ様。俺だってそれくらいは知っている。貴族世界は、家のために政略結婚をするのが当たり前だ。いくら身分制度が廃止されても、今まで根付いて来たしきたりは、早々変える事など出来ない。
今後苦労する事が目に見えているゼルス隊長との生活よりも、俺のと生活の方がリリアにはあっているのだ。
これでやっとリリアと一緒にいられる。そう考えると、嬉しくてたまらない。
その後俺は、会社を辞める手続きをした。社長はいつでも戻って来てもいいと言ってくれたが、もう二度と戻るつもりはない。これからはリリアと一緒に、悠々自適な暮らしをするのだから。
そして今日、リリアがやって来た。かなりショックを受けている様だが、元々リリアは俺の事が好きだったんだ。時間が経てば、リリアも諦めるだろう。
明日からは目いっぱいリリアを大切にしよう。これからはずっとリリアと一緒だ。俺はこれからの未来に、胸躍らせながら、眠りについたのだった。
※次回、ゼルス視点です。
よろしくお願いいたします。
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