全てを失ったと思ったのですが…騎士団の隊長に拾われ溺愛されました

Karamimi

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第87話:因果応報とはこのことです

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 早速馬車で向かう。それにしても、豪華な馬車だ。こんな豪華な馬車が村を走っているせいか、村人たちが驚いてこちらを見つめている。

 そりゃそうよね、こんな小さな村に、立派な馬車が何台も走っていたら、何事かと思うわよね。

「ゼルス様、リースおばあさん、伯父さん、あれが両親と住んでいた家ですわ。そして隣が、叔父夫婦の家です」

 懐かしいわね。あの家で私は生まれ育ったのだ。両親が亡くなった後は、叔父さんたちに酷い目に遭わされていたが、それでも私にとっては大切な故郷。

「あの意地悪そうな女が、リリアを虐めていた叔母か?」

 豪華な馬車がやって来たから、叔母さんが見に来た様だ。

「はい、そうですわ」

「そうか、リリアはここで待っていてもいいぞ」

「いえ、大丈夫ですわ。一緒に降ります」

 皆と一緒に馬車から降りる。すると…

「リリア、あんたリリアじゃないか!あんたのせいで、我が家は今大変な事になっているんだよ。この恩知らずが!」

 何を思ったのか、叔母さんが私を見つけるなり殴りかかって来たのだ。ただ…

「ぎゃぁぁぁ!!!痛い!」

「貴様、よくも俺の可愛いリリアを虐めてくれたな。タダで済むと思うなよ!」

 ゼルス様が叔母さんを捕まえ、思いっきり地面にたたきつけたのだ。さらに、首根っこを掴み、地面に押さえつけている。

「ゼルス、その辺にしておきなさい。こんなゴミくずのような人間でも、傷つけるのは良くないわ」

「あら、いいじゃない。この女は、私の可愛い孫娘を虐めていた女でしょう?あなた、よくも私の可愛いリリアちゃんを虐めたわね。あなた、クレッセル侯爵家の人間に酷い事をするだなんて、いい度胸ね。タダで済むとは思っていないわよね」

 なんと車いすのリースおばあさんが立ち上がり、叔母さんの顔を踏みつけたのだ。あんなに穏やかなおばあさんが、こんな事をするだなんて。

「母上、気持ちは分かるが、リリアが驚いている。すまない、リリア、こう見えて母上は気性が荒くて。さあ、ゼルス殿もこの辺にして、レアが住んでいた家を見せてもらおう」

「レアって、まさか…」

「そうよ、あなたの義姉、レアさんは、クレシレス王国のクレッセル侯爵令嬢だったのよ。そういえばあなたの家、今非常に苦しいらしいわね。そりゃそうよね、今までリリアちゃんをこき使い、そのお金で生きていたのだから。

 そうそう、あなた達がやっていたことは、村人たちが色々と話してくれたわ。近々あなた達を裁判にかけるつもりだから、そのつもりでね。さあ、この犯罪者たちを連れて行きなさい」

「「「承知いたしました」」」

「ちょっと待って…そんな、私はリリアがそんな高貴な身分の女性とは知らなかったのです。それにこの子は、夫と血のつながった姪…」

「たとえ姪であっても、虐待は犯罪よ。しっかり裁きを受ける事ね。もちろん、あなたの夫と子供たちも、連行していくから安心して」

 笑顔で近くに控えていた騎士たちに指示を出す、アロマおばあさん。この人、優しそうに見えて、やるときはやる人だ。そこもゼルス様に似ている。

「そんな…リリア、お願い。助けて。あなたを育ててあげた恩を忘れたの?」

「私は叔母さんに育ててもらった記憶はありませんわ。殴られたりご飯を与えられなかったり、寝る暇もなく働かされた記憶しか…」

「そんな…あんたって子は!」

「早くこの性悪女を連れて行け!これ以上リリアの視界に、この女を入れさせるな!」

「申し訳ございません。さあ、こっちにこい!」

 泣き叫びながら連れていかれる叔母さん。さらに家の中にいた叔父さんや従兄弟達も連れていかれた。

「さあ、厄介者も片付いたし、リリアちゃんの家に行きましょう」

 気を取り直して、皆で私が住んでいた家へと向かった。家の中に入ると、私が出て行ったままになっていた。
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