転生公爵令嬢は悲劇の運命しかない推しを守りたい!

Karamimi

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第16話:王太子は一体何を考えているの?

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クラウド様と付き合い始めて、初めての学院。早くクラウド様に会いたくて、いつもより早めに学院へと向かった。教室に着くと、デートの時に出会った令嬢が私の元へとやって来た。

「ミレニア様、あの後どうなりましたか?」

物凄く笑顔の令嬢。きっと私たちが付き合ったかどうかが気になるのね。

「お陰様で、無事付き合う事が出来ましたわ」

「そう、それは良かったですわ!そうだわ、今度は4人で一緒にお出掛けをしませんか?きっと楽しいですわよ!」

「それは楽しそうね、ぜひ行きましょう!」

これはダブルデートという奴ね。令嬢と盛り上がっていると

「楽しそうだね、何を話しているんだい?」

やって来たのは、王太子だ。こいつ、婚約を解消して以降なぜか頻繁に話しかけて来る。はっきり言って、迷惑だ!

「ミレニア様とクラウド殿下が、ついにお付き合いする事になったのですって。それで、今度私達カップルと一緒に、お出掛けをしようという話をしていましたのよ」

「何だって!ミレニアと第二王子がだと!あっ、でも、婚約した訳ではないのだろう?そのお出掛け、楽しそうだね、俺も一緒に行ってもいいかい?」

なぜそう言う話になるのよ。どうしてこいつと一緒にお出掛けしないといけないの!

「別に構いませんよ。でも、カップルの中に殿下が混じるとなると、殿下が浮いてしまいませんか?最近ソフィー様とお別れしたと聞いたし。そうだわ、殿下も気になる女性を誘ってみてはいかがですか?私たちも応援しますよ。ね、ミレニア嬢!」

何だと、ソフィー様と別れたですって!

「王太子殿下、ソフィー様と別れたというのは本当ですか?どうしてですか?あんなにも愛し合っていたではありませんか?」

ヒーローとヒロインが別れてしまったら、小説のストーリーが進まないじゃない!

「別にソフィーとは付き合っていたわけではない!ただ彼女が1人で寂しそうにしていたから、一緒にいてやっただけだ。それなのにミレニアが誤解をして、婚約を解消したいと言い出したのだろう?」

は?バカなのかこいつは?恋仲ではなかっただと?

「へ~、殿下は恋仲ではない女性の肩を抱き、2人きりでランチを食べ、抱き合っていたのですね。なるほど!」

「人聞きの悪い言い方をしないでくれ!とにかく俺は、ソフィーの事を愛していた訳ではない!」

そうはっきり言い切った王太子。こいつ、ここまでクズだったのか?一体小説ではなぜこんなクズ男がヒーローになっていたんだ?そして心優しく優秀なクラウド様が、悪役として処刑されるだなんて!

あの作者、一体何を考えていたのかしら?でも、作者もまさかここまでヒーローがクズだなんて思っていなかったわよね。うん、そういう事にしておこう。でも、どうやら小説の世界の性格とは、少し違う様ね。

そもそも、悪役令嬢でもある私が、物語の中盤でヒーローでもある王太子と婚約を解消し、悪役でもあるクラウド様と恋仲になった。完全にストーリーをぶった切ってしまった為、何らかのひずみが出来てしまったのかもしれない。

ちょっと待って!という事は、私がストーリーをぶった切ったせいで、ヒロインのソフィー様がヒーローと幸せになれない可能性が出て来たって事?ソフィー様も相当な苦労人よ。彼女が幸せになれないのは、ちょっとまずいわね。

でも、本当にこんな浮気クズ王太子と一緒にいて、ソフィー様は幸せになれるのかしら?考えれば考える程、分からなくなって来て、つい頭を掻きむしってしまった。

「ミレニア、何をやっているんだい?美しい髪が乱れているよ!」

この声は、クラウド様だわ!クラウド様は掻きむしっている私の手を頭から離すと、髪を整えてくれた。

「クラウド様、おはよう!」

「おはようミレニア。それより、どうしたんだい?頭を掻きむしったりして」

「え~っと…何でもありませんわ!」

ヒロインのソフィー様がこのままでは幸せになれないかもしれない!なんて言えないので、誤魔化しておいた。

「クラウド殿下、おはようございます。ミレニア様とついにお付き合いする事になったのですってね。おめでとうございます」

「ありがとう。それにしても、早速情報が流れているんだね」

頬を赤らめながら嬉しそうに呟くクラウド様。そんなクラウド様を見て、私も頬が緩む。

「おい、第二王子!お前ミレニアと付き合えたからって調子に乗るなよ!そもそも、付き合うなんて子供の恋愛ごっこに過ぎないんだ!その事はしっかり覚えておけよ!」

なぜか物凄く上から目線の王太子。何なんだ、こいつは!

「分かっていますよ。そうそう、ずっと王太子殿下には、お礼を言いたかったのです。ミレニアと婚約を解消してくれて、ありがとうございます!おかげで、可愛いミレニアを手に入れる事が出来ました」

私の肩を抱き、にっこり笑って王太子に伝えるクラウド様!

「別にお前に礼を言われる筋合いはない!そもそも、俺とミレニアは婚約を解消したが、また結び直すことだって出来ると母上が言っていたしな!とにかく、今のうちに恋愛ごっこを楽しんでおくんだな!」

真っ赤な顔でそう叫ぶと、がに股で教室を出て行った。

「王太子は何をおっしゃっているのかしら?そもそも、私の事を最初から好きではなかった、無理やり婚約を結ばされて迷惑だって言ったのは王太子なのに!そのせいで、お父様とお母様は大激怒したのよ!それなのに婚約を結び直すなんて、世界が滅んでもあり得ないわ」

無意識に呟いてしまった。そう、無意識にだ!

「ミレニア様、心の声が漏れてしまっていますわよ…」

苦笑いの令嬢に指摘されてしまった。

「あら、ごめんなさい!ついうっかりしておりましたわ。さっき私が言った事は、どうかお忘れくださいね」

そう伝えておいたが、きっと周りにいた令嬢や令息たちが忘れてくれる事はないだろう。別にわざと言葉に発したわけではない。あまりにも王太子の言葉が衝撃過ぎて、つい本音が漏れてしまっただけだ。


気を取り直して、授業を受けた。1限目は歴史だ。自慢じゃないが、私は昔から歴史が嫌いだ。過去に起こった事なんて、あまり興味が無いのよね。退屈な授業が終わると、急いでお手洗いへと向かう。実は授業中からずっと我慢していたのだ。急いでトイレに入ろうとした瞬間、令嬢たちの噂話が聞こえて来た。

「それにしても、ソフィー嬢、いい気味よね。そもそも、男爵令嬢の分際で王太子殿下に手を出すなんて。それもミレニア様と婚約をしている期間によ!でも、結局ミレニア様と殿下が婚約を解消した瞬間、捨てられるなんてね」

「本当よね!きっと殿下も、あまり身分の高い令嬢だと後々トラブルになった時、面倒になると思ったのでしょうね。それできっと、手軽で簡単に使い捨てが出来る男爵令嬢を選んだのよ!それを完全に勘違いするなんて、バカな女よね」

「そもそも、ミレニア様に勝てる訳ないのにね!」

「「「本当よね。アハハハハハ」」」

ちょっと、黙って聞いていれば随分と好き勝手な事を言ってくれるじゃない!いい加減頭に来たわ!

「何がそんなにおかしいのかしら?」

悪役令嬢らしく、睨みをきかせながらの登場だ!

「ミレニア様!いえね、ソフィー嬢がいい気味だという話をしていたのですよ。本当にあの女、身の程知らずで嫌になりますわよね」

この令嬢たち、同じクラスの令嬢ではないわね。

「ソフィー様のどこが身の程知らずなのかしら?先に近づいたのは王太子殿下の方よ。どう考えても王太子殿下が悪いとは思わない?純粋なソフィー様の心を弄んだあの浮気男…失礼、王太子殿下が悪いに決まっていますわ!そもそも、人の悪口を大きな声で話すのは、令嬢としていかがなものかしらね」

少し前まで悪口三昧だった私が言っても説得力がないかもしれない。でも、私は公爵令嬢だ!多少理不尽でも、きっと許してくれるだろう。

「とにかく、ソフィー様の悪口を言うのはお止めさない!」

「「「はい、すみませんでした」」」

私が怖かったのか、急いで逃げて行く令嬢たち。

フン、小心者どもめ!

心がスッキリしたところで、体もスッキリさせないとね。そう思い、トイレに入ろうとしたのだが、ふと時計を見ると、休憩時間終了1分前だ!しまった、あの令嬢たちのせいで、トイレに行けなかったわ。仕方ない、我慢するか…

トイレを諦めて教室に戻ったものの、やはり我慢できずに授業中トイレに行く羽目になったミレニアであった。
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