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第42話:なんだか皆の様子が変です
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貴族学院に入学してから、早半年。ヴァイオレットともすっかり打ち解け、毎日楽しい日々を送っている。
ただ、一応は警戒心を解かない様にはしているつもりだが、彼女の可愛らしい笑顔を見ると、つい油断してしまうのだ。
今日も放課後5人でお茶を楽しんだ後、家に帰るため校門に向かった。
「それじゃあ皆、また明日ね」
「ええ、また明日」
それぞれ別れを告げ、馬車に乗り込もうとした時だった。
「ルージュ、ちょっといい?」
話しかけてきたのは、セレーナだ。一体どうしたのだろう?
「ええ、いいわよ。一体どうしたの?」
なぜか真剣な表情をしているセレーナ。
「あのね、ヴァイオレット様の事なのだけれど…」
「あら?ルージュ様、セレーナ様、まだ帰らないのですか?」
後ろから話しかけてきたのは、ヴァイオレットだ。一瞬セレーナがびくりと震えたのを、私は見逃さなかった。
「ちょっとルージュに聞きたい事があったのだけれど、また今度にするわ。それじゃあね、ルージュ、ヴァイオレット様」
そう言って馬車に乗り込んでいったセレーナ。一体どうしたのかしら?不審に思いつつも、私も馬車に乗り込んだ。
1度目の生の時は、ほぼ毎日王宮に行っていたから、こんな風に放課後令嬢たちとお茶をする事ってほとんどなかったのよね。毎日友人たちに会えて、時間が合えばお茶が出来るだなんて、本当に幸せね。
この幸せな時間が、ずっと続くといいな。このまま何も起こらずに、3年が過ぎ、皆で笑顔で卒院出来たら。ついそんな事を考えてしまう。
私、随分と平和ボケしているわね。もっと警戒しないといけないのに。
頭では分かっているのだが、なぜか心のどこかで安心しきっている自分がいるのだ。現にこの3ヶ月、ヴァイオレットが何かしてくることもなかった。
そもそもヴァイオレットも、侯爵令嬢だ。身分の高い私たちと一緒にいた方が、何かと都合がいいだろう。そう考えると、あえてリスクを冒してまで、私に何かしてくるだなんて考えられない。
何よりも私はもう、クリストファー殿下の婚約者でも何でもないのだから。
ただ、今日のセレーナ、なんだか様子がおかしかった。もしかしたら、何か悩みがあるのかもしれない。明日もう一度、セレーナに聞いてみよう。
そう思っていたのだが、翌日、なぜかセレーナは学院をお休みしたのだ。
「セレーナ、一体どうしたのかしら?風邪でもひいたのかしら?」
やっぱり何かあったのかもしれない。今日学院が終わった後、セレーナの様子を見に行こう。そう思い、彼女の家に向かったのだが…
「申し訳ございません、お嬢様は少し体調を崩されておりまして、お会いする事は出来ません」
「そうですか。それでは、これを渡してください。セレーナの大好きな苺と、苺のタルトです。私はこれで、失礼します」
そう言って彼女の家を後にした。
翌日、すっかり元気になったセレーナが学院にやって来たのだ。
「ルージュ、昨日は美味しい苺と苺のタルトをありがとう。あの苺を食べたら、一気に元気になったわ」
「それは良かったわ。あなたがお休みする前日、何か思い詰めていたでしょう?何か悩みがあるなら、何でも話して。私にできる事なら、何でもするから」
「それならもう解決したわ。私が本当に愚かだっただけだから…」
「それならいいのだけれど…」
よくわからないが、セレーナが元気になってよかった。
ただ、その後、今度はメアリーとマリーヌが思い詰めた顔をしていたが、数日たつと、すっかり元気になっていた。
一体彼女たちの身に、何が起こっていたのだろう。
心配になって彼女たちにも聞いたのだが
「ルージュは気にしないで。私達が愚かだっただけだから」
そう言って2人とも笑っていた。本当に皆、何があったのだろう…
ただ、一応は警戒心を解かない様にはしているつもりだが、彼女の可愛らしい笑顔を見ると、つい油断してしまうのだ。
今日も放課後5人でお茶を楽しんだ後、家に帰るため校門に向かった。
「それじゃあ皆、また明日ね」
「ええ、また明日」
それぞれ別れを告げ、馬車に乗り込もうとした時だった。
「ルージュ、ちょっといい?」
話しかけてきたのは、セレーナだ。一体どうしたのだろう?
「ええ、いいわよ。一体どうしたの?」
なぜか真剣な表情をしているセレーナ。
「あのね、ヴァイオレット様の事なのだけれど…」
「あら?ルージュ様、セレーナ様、まだ帰らないのですか?」
後ろから話しかけてきたのは、ヴァイオレットだ。一瞬セレーナがびくりと震えたのを、私は見逃さなかった。
「ちょっとルージュに聞きたい事があったのだけれど、また今度にするわ。それじゃあね、ルージュ、ヴァイオレット様」
そう言って馬車に乗り込んでいったセレーナ。一体どうしたのかしら?不審に思いつつも、私も馬車に乗り込んだ。
1度目の生の時は、ほぼ毎日王宮に行っていたから、こんな風に放課後令嬢たちとお茶をする事ってほとんどなかったのよね。毎日友人たちに会えて、時間が合えばお茶が出来るだなんて、本当に幸せね。
この幸せな時間が、ずっと続くといいな。このまま何も起こらずに、3年が過ぎ、皆で笑顔で卒院出来たら。ついそんな事を考えてしまう。
私、随分と平和ボケしているわね。もっと警戒しないといけないのに。
頭では分かっているのだが、なぜか心のどこかで安心しきっている自分がいるのだ。現にこの3ヶ月、ヴァイオレットが何かしてくることもなかった。
そもそもヴァイオレットも、侯爵令嬢だ。身分の高い私たちと一緒にいた方が、何かと都合がいいだろう。そう考えると、あえてリスクを冒してまで、私に何かしてくるだなんて考えられない。
何よりも私はもう、クリストファー殿下の婚約者でも何でもないのだから。
ただ、今日のセレーナ、なんだか様子がおかしかった。もしかしたら、何か悩みがあるのかもしれない。明日もう一度、セレーナに聞いてみよう。
そう思っていたのだが、翌日、なぜかセレーナは学院をお休みしたのだ。
「セレーナ、一体どうしたのかしら?風邪でもひいたのかしら?」
やっぱり何かあったのかもしれない。今日学院が終わった後、セレーナの様子を見に行こう。そう思い、彼女の家に向かったのだが…
「申し訳ございません、お嬢様は少し体調を崩されておりまして、お会いする事は出来ません」
「そうですか。それでは、これを渡してください。セレーナの大好きな苺と、苺のタルトです。私はこれで、失礼します」
そう言って彼女の家を後にした。
翌日、すっかり元気になったセレーナが学院にやって来たのだ。
「ルージュ、昨日は美味しい苺と苺のタルトをありがとう。あの苺を食べたら、一気に元気になったわ」
「それは良かったわ。あなたがお休みする前日、何か思い詰めていたでしょう?何か悩みがあるなら、何でも話して。私にできる事なら、何でもするから」
「それならもう解決したわ。私が本当に愚かだっただけだから…」
「それならいいのだけれど…」
よくわからないが、セレーナが元気になってよかった。
ただ、その後、今度はメアリーとマリーヌが思い詰めた顔をしていたが、数日たつと、すっかり元気になっていた。
一体彼女たちの身に、何が起こっていたのだろう。
心配になって彼女たちにも聞いたのだが
「ルージュは気にしないで。私達が愚かだっただけだから」
そう言って2人とも笑っていた。本当に皆、何があったのだろう…
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