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第50話:そう言う事でしたのね
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「皆、どうしたの?そんな顔をして?」
3人に声をかける。すると3人が、顔を見合わせて何やら小声で話をしている。一体どうしたというのだろう。
「ルージュ、本当にごめんなさい」
「「ごめんなさい」」
急に3人が謝罪したのだ。
「ちょっと、急にどうしたのよ。どうして謝るの?」
「あのね…実は私、ヴァイオレット様に“ルージュが私の悪口を言っている”と言われたの。結構具体的に言われたから、ついヴァイオレット様の言う事を信じちゃって。ほら、私が学院をお休みして、ルージュが心配して様子を見に来てくれたことがあったでしょう。あの時よ」
「そうだったのね。ヴァイオレット様ったら、セレーナにそんな酷い事をしていたのね。でも後々、セレーナはいつも通り私に接してくれたじゃない」
「その件なのだけれど、あの後ミシェルが家に来て“ルージュがそんな事を言う訳がないでしょう。あなたはルージュの何を見て来たの?”そう叱られて。どうやらミシェルにも、ヴァイオレット様は同じことを言っていたみたいよ。でも、ミシェルは全く信じていないと言っているのを聞いて…私はルージュの何を見て来たのだろうと思ったら、恥ずかしくなって。ルージュ、本当にごめんなさい」
「私もよ。アルフレッド様とルージュが実は陰で恋仲だなんて嘘を吹き込まれて。確かにアルフレッド様とルージュは仲が良いから、変に心配をしてしまって…どうしても気になってアルフレッド様に確認したら“ヴァイオレット嬢に言い寄られた事はあるが、ルージュ嬢とは学院に入学してから2人で話した事すらない。ルージュ嬢含め友人達3人は、マリーヌが嫌な思いをしないようにと、いつも気を使ってくれているよ”と教えられて。ルージュ、本当にごめんなさい」
「私もよ、ヴァイオレット様に、ルージュが私の悪口を言っていると言われて…それを少しだけ信じてしまったの。ただ、皆も同じ様にヴァイオレット様から嘘を吹き込まれたと聞いて。ずっとずっと一緒にいた大切な友達を疑ってしまった事が、情けなくてたまらなくて」
なるほど、それで3人の様子がおかしかったのね。
「私は最初からヴァイオレット様を怪しんでいたから騙されなかったけれど、3人はヴァイオレット様を本当の友達だと思っていたから。だからどうか3人を許してあげて」
「許すも何も、私は最初から怒っていないわ。最初から信じてくれていたミシェルはもちろん、最後は私を信じてくれた3人にも感謝しているの。もし私が逆の立場だったら、きっと皆と同じように、信じてしまうと思うし。だから、最後には私を信じてくれてありがとう。あなた達は、最高の友人よ」
「「「ルージュ!!」」」
3人が私に抱き着いて来た。私も3人をギュッと抱きしめる。
「ごめんね、ルージュ。あの女があそこまで腐っていただなんて。きっとあの女、ルージュを陥れるために、私たちに近づいたのね。それなのに私たちは…」
「泣かないで。私こそ、皆の苦しみに気が付いてあげられなくてごめんね。それに今セレーナが言った通り、きっと私を陥れるために、ヴァイオレット様は私達に近づいたのだと思う。皆を巻き込んでしまって、本当にごめんなさい」
私のせいで、大切な友人に辛い思いをさせてしまった。それが一番悔しいし、何よりも申し訳ない。
「何を言っているの?私たちが油断したからいけないのよ。大体あの女、入学式の時に、ルージュに喧嘩を売ったのに。翌日にはコロッと掌を返して。よく考えたら、信用すること自体間違っていたのだわ」
「とにかくもう二度とあんな女に騙されないから。私達がルージュを守るからね」
「ありがとう、皆。でもきっと、もう私たちに絡んでくることはないと思うし」
直接私たちに絡んでくることはないだろう。これからは陰で、陰湿に動いてくることが予想される。また新たな味方を付けて。あの女はそういう女だ。一番警戒をしなければいけないのは殿下だが、今のところ殿下は、なぜかヴァイオレットを嫌っている。
彼はなぜか最初から、ヴァイオレットに嫌悪感を抱いていた。殿下とヴァイオレットは初めて出会ったはずなのに。どうして?
もしかして、殿下も1度目の生の時の記憶が残っている?…さすがにそれはないか。
たとえ残っていたとしても、1度目の生の時の殿下とヴァイオレットは、非常に仲睦まじかった。殿下はヴァイオレットを溺愛し、周りの言う事なんて全く聞かなかった。まさに、今日のファウスン侯爵の様に…
「ヴァイオレット様は、今日から3ヶ月停学処分なのよね。それなら、少なくとも3ヶ月は平和に暮らせるわね。3ヶ月後、学院に出てきた後、たとえしおらしく謝って来ても、絶対に許さないのだから。皆、いい、騙されちゃダメよ」
「もちろんよ、一度ならず二度までも騙されるおバカがいるものですか」
「そうよね、絶対に騙されないわ。皆でルージュを守りましょう」
なぜか3人が盛り上がっている。
「あなた達、張り切るのはいいけれど、あの女をあまり刺激しない方がいい気がするわ。停学が終わったら、向こうがちょっかいを出してこない限り、関わらないようにしましょう」
「私もミシェルの意見に賛成よ。あの人にはもう、極力関わらない方がいいと思うの。でも、皆、ありがとう。私の為に色々と考えてくれて。こんな私だけれど、これからもよろしくね」
「もちろんよ、私たちはずっと親友よ」
まさか友人達にまであの女が何かを仕掛けていただなんて。増々あの女が許せない。ただ…今回の件でまた、私たちの仲が深まった気がする。その点は良かったのかもしれないわね。
※次回、ヴァイオレット視点です。
よろしくお願いします。
3人に声をかける。すると3人が、顔を見合わせて何やら小声で話をしている。一体どうしたというのだろう。
「ルージュ、本当にごめんなさい」
「「ごめんなさい」」
急に3人が謝罪したのだ。
「ちょっと、急にどうしたのよ。どうして謝るの?」
「あのね…実は私、ヴァイオレット様に“ルージュが私の悪口を言っている”と言われたの。結構具体的に言われたから、ついヴァイオレット様の言う事を信じちゃって。ほら、私が学院をお休みして、ルージュが心配して様子を見に来てくれたことがあったでしょう。あの時よ」
「そうだったのね。ヴァイオレット様ったら、セレーナにそんな酷い事をしていたのね。でも後々、セレーナはいつも通り私に接してくれたじゃない」
「その件なのだけれど、あの後ミシェルが家に来て“ルージュがそんな事を言う訳がないでしょう。あなたはルージュの何を見て来たの?”そう叱られて。どうやらミシェルにも、ヴァイオレット様は同じことを言っていたみたいよ。でも、ミシェルは全く信じていないと言っているのを聞いて…私はルージュの何を見て来たのだろうと思ったら、恥ずかしくなって。ルージュ、本当にごめんなさい」
「私もよ。アルフレッド様とルージュが実は陰で恋仲だなんて嘘を吹き込まれて。確かにアルフレッド様とルージュは仲が良いから、変に心配をしてしまって…どうしても気になってアルフレッド様に確認したら“ヴァイオレット嬢に言い寄られた事はあるが、ルージュ嬢とは学院に入学してから2人で話した事すらない。ルージュ嬢含め友人達3人は、マリーヌが嫌な思いをしないようにと、いつも気を使ってくれているよ”と教えられて。ルージュ、本当にごめんなさい」
「私もよ、ヴァイオレット様に、ルージュが私の悪口を言っていると言われて…それを少しだけ信じてしまったの。ただ、皆も同じ様にヴァイオレット様から嘘を吹き込まれたと聞いて。ずっとずっと一緒にいた大切な友達を疑ってしまった事が、情けなくてたまらなくて」
なるほど、それで3人の様子がおかしかったのね。
「私は最初からヴァイオレット様を怪しんでいたから騙されなかったけれど、3人はヴァイオレット様を本当の友達だと思っていたから。だからどうか3人を許してあげて」
「許すも何も、私は最初から怒っていないわ。最初から信じてくれていたミシェルはもちろん、最後は私を信じてくれた3人にも感謝しているの。もし私が逆の立場だったら、きっと皆と同じように、信じてしまうと思うし。だから、最後には私を信じてくれてありがとう。あなた達は、最高の友人よ」
「「「ルージュ!!」」」
3人が私に抱き着いて来た。私も3人をギュッと抱きしめる。
「ごめんね、ルージュ。あの女があそこまで腐っていただなんて。きっとあの女、ルージュを陥れるために、私たちに近づいたのね。それなのに私たちは…」
「泣かないで。私こそ、皆の苦しみに気が付いてあげられなくてごめんね。それに今セレーナが言った通り、きっと私を陥れるために、ヴァイオレット様は私達に近づいたのだと思う。皆を巻き込んでしまって、本当にごめんなさい」
私のせいで、大切な友人に辛い思いをさせてしまった。それが一番悔しいし、何よりも申し訳ない。
「何を言っているの?私たちが油断したからいけないのよ。大体あの女、入学式の時に、ルージュに喧嘩を売ったのに。翌日にはコロッと掌を返して。よく考えたら、信用すること自体間違っていたのだわ」
「とにかくもう二度とあんな女に騙されないから。私達がルージュを守るからね」
「ありがとう、皆。でもきっと、もう私たちに絡んでくることはないと思うし」
直接私たちに絡んでくることはないだろう。これからは陰で、陰湿に動いてくることが予想される。また新たな味方を付けて。あの女はそういう女だ。一番警戒をしなければいけないのは殿下だが、今のところ殿下は、なぜかヴァイオレットを嫌っている。
彼はなぜか最初から、ヴァイオレットに嫌悪感を抱いていた。殿下とヴァイオレットは初めて出会ったはずなのに。どうして?
もしかして、殿下も1度目の生の時の記憶が残っている?…さすがにそれはないか。
たとえ残っていたとしても、1度目の生の時の殿下とヴァイオレットは、非常に仲睦まじかった。殿下はヴァイオレットを溺愛し、周りの言う事なんて全く聞かなかった。まさに、今日のファウスン侯爵の様に…
「ヴァイオレット様は、今日から3ヶ月停学処分なのよね。それなら、少なくとも3ヶ月は平和に暮らせるわね。3ヶ月後、学院に出てきた後、たとえしおらしく謝って来ても、絶対に許さないのだから。皆、いい、騙されちゃダメよ」
「もちろんよ、一度ならず二度までも騙されるおバカがいるものですか」
「そうよね、絶対に騙されないわ。皆でルージュを守りましょう」
なぜか3人が盛り上がっている。
「あなた達、張り切るのはいいけれど、あの女をあまり刺激しない方がいい気がするわ。停学が終わったら、向こうがちょっかいを出してこない限り、関わらないようにしましょう」
「私もミシェルの意見に賛成よ。あの人にはもう、極力関わらない方がいいと思うの。でも、皆、ありがとう。私の為に色々と考えてくれて。こんな私だけれど、これからもよろしくね」
「もちろんよ、私たちはずっと親友よ」
まさか友人達にまであの女が何かを仕掛けていただなんて。増々あの女が許せない。ただ…今回の件でまた、私たちの仲が深まった気がする。その点は良かったのかもしれないわね。
※次回、ヴァイオレット視点です。
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