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第41話:楽しい誕生日パーティーのはずが…
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「さあ、ルーナ、いつまでも顔を真っ赤にしていないで、そろそろ招待客も来る頃だよ」
「お父様、誰が顔を真っ赤にして…」
文句を言おうとしたタイミングで、他の貴族たちも続々と入って来た。そして、みんなが挨拶をしに来てくれる。
ただ…
「ルーナ様、そのドレス、もしかして?」
なぜか私の隣をキープしているエヴァン様の顔を交互に見ながら、ほほ笑んでいる令嬢たち。
「あの…違うのよ!私たちは…」
そう訂正しようとしたのだが、エヴァン様がすかさず
「今日のドレス、僕が贈ったんだ。どうだい?良く似合っているだろう?」
なんていうものだから、完全に勘違いしてしまった令嬢たち。あぁ…後で訂正しておかないと。
「エヴァン様のせいで、完全に勘違いされてしまったじゃないですか。本当にもう!」
「怒った顔のルーナも可愛いね。昔もよく頬を膨らませて怒っていたね」
そう言って、私の膨れた頬を片手で潰す。
「もう、お止めください」
急いで手を振り払う。本当にこの人は…
その後もこんな感じでたくさんの人に誤解を与えてしまった。
その時だった、ナタリー様が私たちの元にやって来たのだ。
「ルーナ様、16歳のお誕生日、おめでとう。これ、私からのプレゼントよ」
ニヤリと笑いながら、プレゼントを渡してきたナタリー様。
「ありがとうございます…あの、開けてもよろしいでしょうか?」
「貰ってすぐに開けるなんて、卑しい女ね。普通は後で開けるものでしょう!」
そう言って怒られてしまった。
「申し訳ございません。後でゆっくり見せていただきますわ」
「それでいいのよ。それじゃあ、私はそろそろ帰るわ」
そう言うと、もう帰って行ってしまった。一体何のプレゼントが入っているのかしら?正直恐怖でしかないのだが…
「一体どんなプレゼントを贈って来たのだ。蛇やカエルじゃないといいのだが…ルーナは爬虫類が苦手だもんね…」
隣で呟くエヴァン様。ちょっと、そんな恐ろしい事を言わないで欲しいわ。
「あの…エヴァン様、このプレゼント…」
「大丈夫だよ。僕も傍にいるから、一緒に開けよう」
そう言ってくれた。とりあえず1人で開けるのは怖いし、メイドに押し付けるのも申し訳ないから、後でエヴァン様と一緒に開ける事にした。
その後なぜか途中エヴァン様がどこかへ行ってしまったが、それでもたくさんの人にお祝いされ、無事誕生日パーティーが終わった。
ただ、やはりたくさんの人が、私とエヴァン様が再度婚約を結び直すと思っている様だ。その点は、早急に誤解を解かないと…
「ルーナ、疲れただろう?ナタリー嬢のプレゼントも気になるし、それに少し侯爵と話したい事もあるから、僕はもう少し侯爵家に滞在させていただくよ」
「あら、それならせっかくだから、家で夕飯を食べて行って頂戴。私も久しぶりにエリーとゆっくり話がしたいし」
「そうね、それがいいわ。そうしましょう」
どうやらエヴァン様の家族も一緒に、夕食を食べていく様だ。あれほど怒っていた両親やお兄様家族も、なんだか最近エヴァン様と仲良しだし…
まあ、元々仲は良かったのよね。昔に戻った様なものなのだが、なんだか私としてはふに落ちない。
それでも久しぶりにエヴァン様の家族と一緒に食べる夕食は、やっぱり楽しかった。食後、
「さあ、ルーナ、そろそろ部屋に行こうか」
エヴァン様に促され、別室へと向かう。すると、沢山のプレゼントが並んでいた。他の貴族の物もある。せっかくなので、1つ1つ開けて確認して行った。そしていよいよ、ナタリー様のプレゼントになった。
「ルーナ、僕が開けようか?何が入っているか分からないし」
私が中々箱を開ける事が出来ず、固まっていたからか、エヴァン様が声を掛けてくれた。
「いいえ、大丈夫ですわ。それでは開けますね」
ゆっくりリボンを外し、箱を開けると…
「キャァァァ…」
とっさに箱を落としてしまった。
「この人形は、ルーナ?それにしても悪質だな…」
私にそっくりの人形を贈ってくれた様だが、無残にも首が切り落され、血のりの様な物が全体に塗られていたのだ。まるで、私が斬首されたかのように…
あまりの恐怖から、無意識にエヴァン様に抱き着いていた。
「エヴァン様、これは私の首を切り落とすという、ナタリー様からの予告でしょうか?私は、ナタリー様に殺されるのでしょうか?」
「大丈夫だよ、そんな事はさせないから。それにしてもナタリー嬢!一体あの女は何を考えているのだ。この様な人形を、わざわざ誕生日に贈りつけてくるなんて。こんな事をすれば、自分の置かれている状況も危うくなると言うのに…とにかく、この人形は僕から父上や陛下、ハドソン殿下に報告しておこう」
私を強く抱きしめ、そう言ってくれたエヴァン様。
すぐに私にそっくりな人形を片付けてくれた。
でも、私の頭には、私にそっくりな人形の首を切られた姿が脳裏に焼き付いて離れない。それくらい、人形は私にそっくりだったのだ。
どうしてこんなに私に執着するの?
私が一体何をしたと言うの?
ナタリー様、あなたは一体何を考えているの?
さっきまでは間違いなく幸せだったはずなのに、今は恐怖でしかない。
私は一体、どうなってしまうのだろう…
※次回、エヴァン視点です。
「お父様、誰が顔を真っ赤にして…」
文句を言おうとしたタイミングで、他の貴族たちも続々と入って来た。そして、みんなが挨拶をしに来てくれる。
ただ…
「ルーナ様、そのドレス、もしかして?」
なぜか私の隣をキープしているエヴァン様の顔を交互に見ながら、ほほ笑んでいる令嬢たち。
「あの…違うのよ!私たちは…」
そう訂正しようとしたのだが、エヴァン様がすかさず
「今日のドレス、僕が贈ったんだ。どうだい?良く似合っているだろう?」
なんていうものだから、完全に勘違いしてしまった令嬢たち。あぁ…後で訂正しておかないと。
「エヴァン様のせいで、完全に勘違いされてしまったじゃないですか。本当にもう!」
「怒った顔のルーナも可愛いね。昔もよく頬を膨らませて怒っていたね」
そう言って、私の膨れた頬を片手で潰す。
「もう、お止めください」
急いで手を振り払う。本当にこの人は…
その後もこんな感じでたくさんの人に誤解を与えてしまった。
その時だった、ナタリー様が私たちの元にやって来たのだ。
「ルーナ様、16歳のお誕生日、おめでとう。これ、私からのプレゼントよ」
ニヤリと笑いながら、プレゼントを渡してきたナタリー様。
「ありがとうございます…あの、開けてもよろしいでしょうか?」
「貰ってすぐに開けるなんて、卑しい女ね。普通は後で開けるものでしょう!」
そう言って怒られてしまった。
「申し訳ございません。後でゆっくり見せていただきますわ」
「それでいいのよ。それじゃあ、私はそろそろ帰るわ」
そう言うと、もう帰って行ってしまった。一体何のプレゼントが入っているのかしら?正直恐怖でしかないのだが…
「一体どんなプレゼントを贈って来たのだ。蛇やカエルじゃないといいのだが…ルーナは爬虫類が苦手だもんね…」
隣で呟くエヴァン様。ちょっと、そんな恐ろしい事を言わないで欲しいわ。
「あの…エヴァン様、このプレゼント…」
「大丈夫だよ。僕も傍にいるから、一緒に開けよう」
そう言ってくれた。とりあえず1人で開けるのは怖いし、メイドに押し付けるのも申し訳ないから、後でエヴァン様と一緒に開ける事にした。
その後なぜか途中エヴァン様がどこかへ行ってしまったが、それでもたくさんの人にお祝いされ、無事誕生日パーティーが終わった。
ただ、やはりたくさんの人が、私とエヴァン様が再度婚約を結び直すと思っている様だ。その点は、早急に誤解を解かないと…
「ルーナ、疲れただろう?ナタリー嬢のプレゼントも気になるし、それに少し侯爵と話したい事もあるから、僕はもう少し侯爵家に滞在させていただくよ」
「あら、それならせっかくだから、家で夕飯を食べて行って頂戴。私も久しぶりにエリーとゆっくり話がしたいし」
「そうね、それがいいわ。そうしましょう」
どうやらエヴァン様の家族も一緒に、夕食を食べていく様だ。あれほど怒っていた両親やお兄様家族も、なんだか最近エヴァン様と仲良しだし…
まあ、元々仲は良かったのよね。昔に戻った様なものなのだが、なんだか私としてはふに落ちない。
それでも久しぶりにエヴァン様の家族と一緒に食べる夕食は、やっぱり楽しかった。食後、
「さあ、ルーナ、そろそろ部屋に行こうか」
エヴァン様に促され、別室へと向かう。すると、沢山のプレゼントが並んでいた。他の貴族の物もある。せっかくなので、1つ1つ開けて確認して行った。そしていよいよ、ナタリー様のプレゼントになった。
「ルーナ、僕が開けようか?何が入っているか分からないし」
私が中々箱を開ける事が出来ず、固まっていたからか、エヴァン様が声を掛けてくれた。
「いいえ、大丈夫ですわ。それでは開けますね」
ゆっくりリボンを外し、箱を開けると…
「キャァァァ…」
とっさに箱を落としてしまった。
「この人形は、ルーナ?それにしても悪質だな…」
私にそっくりの人形を贈ってくれた様だが、無残にも首が切り落され、血のりの様な物が全体に塗られていたのだ。まるで、私が斬首されたかのように…
あまりの恐怖から、無意識にエヴァン様に抱き着いていた。
「エヴァン様、これは私の首を切り落とすという、ナタリー様からの予告でしょうか?私は、ナタリー様に殺されるのでしょうか?」
「大丈夫だよ、そんな事はさせないから。それにしてもナタリー嬢!一体あの女は何を考えているのだ。この様な人形を、わざわざ誕生日に贈りつけてくるなんて。こんな事をすれば、自分の置かれている状況も危うくなると言うのに…とにかく、この人形は僕から父上や陛下、ハドソン殿下に報告しておこう」
私を強く抱きしめ、そう言ってくれたエヴァン様。
すぐに私にそっくりな人形を片付けてくれた。
でも、私の頭には、私にそっくりな人形の首を切られた姿が脳裏に焼き付いて離れない。それくらい、人形は私にそっくりだったのだ。
どうしてこんなに私に執着するの?
私が一体何をしたと言うの?
ナタリー様、あなたは一体何を考えているの?
さっきまでは間違いなく幸せだったはずなのに、今は恐怖でしかない。
私は一体、どうなってしまうのだろう…
※次回、エヴァン視点です。
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