43 / 100
第43話:何が起こっているのだ?~ファラオ視点~
しおりを挟む
翌日、今日は僕の15歳の誕生日だ。正直ちっとも嬉しくない。好きでもない令嬢と一緒に、腕を組まないといけないだなんて。まあ、ソラ嬢も同じ気持ちだろうが…
「殿下、このドレスで、本当によかったのでしょうか?ルドルフ様の瞳の色のドレスだなんて…」
「問題ないよ。きっと貴族たちは、僕の髪の色をイメージしたと思うだろうし。僕も紫色のタキシードを着ているが、きっと君の瞳の色を意識していると思うだろう。ソフィーナ嬢の瞳の色を意識して作った服とも知らずにね」
僕たちは、ささやかな抵抗として、相手の思い人の瞳の色の衣装を着る事にしたのだ。とはいえ、ソラ嬢とソフィーナ嬢の瞳は同じ紫色。ルドルフ殿の瞳は、僕の髪と同じ黒色をしているのだ。
きっと貴族たちは、勘違いするのだろうな。
もしもソフィーナ嬢が、今回の件で何か動きを見せるのなら、その時は彼女にしっかりと僕の気持ちを伝えよう。もしソフィーナ嬢が僕を受け入れてくれたら、その時は本格的に彼女の意識改革を行おう。大丈夫だ、ソフィーナ嬢は、根はやさしい子。
真剣に僕の気持ちを伝えれば、きっとわかってくれる。考えてみれば僕は、ちゃんとソフィーナ嬢と向き合ってこなかったな…それもよくなったのだろう。
とにかく今日は、ソフィーナ嬢がまた貴族たちからの評価が下がらない様に、全力を尽くそう。そう思いながら、パーティに参加したのだが…
なんとソフィーナ嬢は性格が、180度変わっていたのだ。どうやら事故の影響で、人格が変わってしまったらしい。彼女はかつての自分の行いを恥じ、1人1人謝罪して回っていた。
これがあのソフィーナ嬢なのか…でも、子猫に向けられた優しい眼差しは、まさにこんな感じだったな。
ただ、ソフィーナ嬢が穏やかで優しい女性に生まれ変わった事で、令息たちの見る目も180度変わったのだ。元々神的に美しかったソフィーナ嬢は、あっと言う間に男たちを虜にしてしまった。
兄のソリティオはもちろん、アレックやセシルまでも、ソフィーナ嬢の虜になってしまった。今まで毛嫌いしていたくせに!ソフィーナ嬢の性格がよくなった途端、掌を返すだなんて…
ただ、今のソフィーナ嬢なら、きっと貴族たちも僕の婚約者と認めてくれるはずだ。だが当のソフィーナ嬢は、もう僕には興味がない様だ。それどころか、ソラ嬢と僕が婚約すると思い込み、全力で祝福されたのだ。
このままではまずいぞ!
一気にライバルが増えてしまった僕は、その日のうちに父上の元に向かった。
「父上、大変です。ソフィーナ嬢が」
「ファラオか…ああ、さっき執事からソフィーナ嬢の件、聞いたよ。すっかり人格が変わってしまっただなんて。公爵も、どうしてその事を教えてくれなかったのだろうか。今のソフィーナ嬢なら、ファラオのお妃も十分務まるだろう」
「父上、すぐに公爵を呼んでください。既にアレックやセシルを含めた貴族たちが、ソフィーナ嬢を狙っている。僕はずっと、ソフィーナ嬢を想い続けていたのです。今まで毛嫌いしていた奴らにソフィーナ嬢を奪われたら、僕は…」
「わかった。すぐに公爵を呼ぼう。ただ…あいつは頑固だからな…なんというやら」
そう言いつつも、翌日公爵を呼び出してくれた父上。なぜかソリティオも付いてきて、好き勝手言っていた。ソリティオだって、散々ソフィーナ嬢を嫌っていたじゃないか。それなのに、掌を変えてソフィーナ嬢を可愛がるだなんて。
ただ、公爵は僕の気持ちを汲み取ってくれ、ソフィーナ嬢が僕を選んでくれるのなら、僕とソフィーナ嬢が結婚しても構わないと言ってくれたのだ。
そして翌日。
「殿下、陛下や他の貴族から聞きました。殿下はずっと、ソフィーナの事を思い続けて下さっていたのですね。そうとも知らずに、失礼な事を申し上げてしまい、申し訳ございませんでした。
ですが私は、自他ともに認める親バカです。それはソリティオが呆れるほどに…もしこのまま殿下がソラ嬢と婚約せずに、ソフィーナと婚約を結ぶことがあれば、きっと世間はソラ嬢から殿下を奪った女として、ソフィーナを好奇な目で見るでしょう。
私はもう、娘の評判を落としたくはないのです。それに娘も、今の殿下とは婚約を結びたがらないでしょう。ですので、もし本当に娘との婚約を考えているのでしたら、ソラ嬢の件をうまく解決してからにして下さい」
そう言われたのだ。確かに公爵の言う通り、やり方を間違えてしまえば、ソフィーナ嬢がソラ嬢から僕を奪ったと思う貴族もいるだろう。そのせいで、ソフィーナ嬢が嫌な思いをしたら大変だ。
とにかく、上手く話を進める必要がありそうだな。
「殿下、このドレスで、本当によかったのでしょうか?ルドルフ様の瞳の色のドレスだなんて…」
「問題ないよ。きっと貴族たちは、僕の髪の色をイメージしたと思うだろうし。僕も紫色のタキシードを着ているが、きっと君の瞳の色を意識していると思うだろう。ソフィーナ嬢の瞳の色を意識して作った服とも知らずにね」
僕たちは、ささやかな抵抗として、相手の思い人の瞳の色の衣装を着る事にしたのだ。とはいえ、ソラ嬢とソフィーナ嬢の瞳は同じ紫色。ルドルフ殿の瞳は、僕の髪と同じ黒色をしているのだ。
きっと貴族たちは、勘違いするのだろうな。
もしもソフィーナ嬢が、今回の件で何か動きを見せるのなら、その時は彼女にしっかりと僕の気持ちを伝えよう。もしソフィーナ嬢が僕を受け入れてくれたら、その時は本格的に彼女の意識改革を行おう。大丈夫だ、ソフィーナ嬢は、根はやさしい子。
真剣に僕の気持ちを伝えれば、きっとわかってくれる。考えてみれば僕は、ちゃんとソフィーナ嬢と向き合ってこなかったな…それもよくなったのだろう。
とにかく今日は、ソフィーナ嬢がまた貴族たちからの評価が下がらない様に、全力を尽くそう。そう思いながら、パーティに参加したのだが…
なんとソフィーナ嬢は性格が、180度変わっていたのだ。どうやら事故の影響で、人格が変わってしまったらしい。彼女はかつての自分の行いを恥じ、1人1人謝罪して回っていた。
これがあのソフィーナ嬢なのか…でも、子猫に向けられた優しい眼差しは、まさにこんな感じだったな。
ただ、ソフィーナ嬢が穏やかで優しい女性に生まれ変わった事で、令息たちの見る目も180度変わったのだ。元々神的に美しかったソフィーナ嬢は、あっと言う間に男たちを虜にしてしまった。
兄のソリティオはもちろん、アレックやセシルまでも、ソフィーナ嬢の虜になってしまった。今まで毛嫌いしていたくせに!ソフィーナ嬢の性格がよくなった途端、掌を返すだなんて…
ただ、今のソフィーナ嬢なら、きっと貴族たちも僕の婚約者と認めてくれるはずだ。だが当のソフィーナ嬢は、もう僕には興味がない様だ。それどころか、ソラ嬢と僕が婚約すると思い込み、全力で祝福されたのだ。
このままではまずいぞ!
一気にライバルが増えてしまった僕は、その日のうちに父上の元に向かった。
「父上、大変です。ソフィーナ嬢が」
「ファラオか…ああ、さっき執事からソフィーナ嬢の件、聞いたよ。すっかり人格が変わってしまっただなんて。公爵も、どうしてその事を教えてくれなかったのだろうか。今のソフィーナ嬢なら、ファラオのお妃も十分務まるだろう」
「父上、すぐに公爵を呼んでください。既にアレックやセシルを含めた貴族たちが、ソフィーナ嬢を狙っている。僕はずっと、ソフィーナ嬢を想い続けていたのです。今まで毛嫌いしていた奴らにソフィーナ嬢を奪われたら、僕は…」
「わかった。すぐに公爵を呼ぼう。ただ…あいつは頑固だからな…なんというやら」
そう言いつつも、翌日公爵を呼び出してくれた父上。なぜかソリティオも付いてきて、好き勝手言っていた。ソリティオだって、散々ソフィーナ嬢を嫌っていたじゃないか。それなのに、掌を変えてソフィーナ嬢を可愛がるだなんて。
ただ、公爵は僕の気持ちを汲み取ってくれ、ソフィーナ嬢が僕を選んでくれるのなら、僕とソフィーナ嬢が結婚しても構わないと言ってくれたのだ。
そして翌日。
「殿下、陛下や他の貴族から聞きました。殿下はずっと、ソフィーナの事を思い続けて下さっていたのですね。そうとも知らずに、失礼な事を申し上げてしまい、申し訳ございませんでした。
ですが私は、自他ともに認める親バカです。それはソリティオが呆れるほどに…もしこのまま殿下がソラ嬢と婚約せずに、ソフィーナと婚約を結ぶことがあれば、きっと世間はソラ嬢から殿下を奪った女として、ソフィーナを好奇な目で見るでしょう。
私はもう、娘の評判を落としたくはないのです。それに娘も、今の殿下とは婚約を結びたがらないでしょう。ですので、もし本当に娘との婚約を考えているのでしたら、ソラ嬢の件をうまく解決してからにして下さい」
そう言われたのだ。確かに公爵の言う通り、やり方を間違えてしまえば、ソフィーナ嬢がソラ嬢から僕を奪ったと思う貴族もいるだろう。そのせいで、ソフィーナ嬢が嫌な思いをしたら大変だ。
とにかく、上手く話を進める必要がありそうだな。
645
あなたにおすすめの小説
【完結】記憶喪失の令嬢は無自覚のうちに周囲をタラシ込む。
ゆらゆらぎ
恋愛
王国の筆頭公爵家であるヴェルガム家の長女であるティアルーナは食事に混ぜられていた遅延性の毒に苦しめられ、生死を彷徨い…そして目覚めた時には何もかもをキレイさっぱり忘れていた。
毒によって記憶を失った令嬢が使用人や両親、婚約者や兄を無自覚のうちにタラシ込むお話です。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
【完結】2番目の番とどうぞお幸せに〜聖女は竜人に溺愛される〜
雨香
恋愛
美しく優しい狼獣人の彼に自分とは違うもう一人の番が現れる。
彼と同じ獣人である彼女は、自ら身を引くと言う。
自ら身を引くと言ってくれた2番目の番に心を砕く狼の彼。
「辛い選択をさせてしまった彼女の最後の願いを叶えてやりたい。彼女は、私との思い出が欲しいそうだ」
異世界に召喚されて狼獣人の番になった主人公の溺愛逆ハーレム風話です。
異世界激甘溺愛ばなしをお楽しみいただければ。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi(がっち)
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
前世の記憶しかない元侯爵令嬢は、訳あり大公殿下のお気に入り。(注:期間限定)
miy
恋愛
(※長編なため、少しネタバレを含みます)
ある日目覚めたら、そこは見たことも聞いたこともない…異国でした。
ここは、どうやら転生後の人生。
私は大貴族の令嬢レティシア17歳…らしいのですが…全く記憶にございません。
有り難いことに言葉は理解できるし、読み書きも問題なし。
でも、見知らぬ世界で貴族生活?いやいや…私は平凡な日本人のようですよ?…無理です。
“前世の記憶”として目覚めた私は、現世の“レティシアの身体”で…静かな庶民生活を始める。
そんな私の前に、一人の貴族男性が現れた。
ちょっと?訳ありな彼が、私を…自分の『唯一の女性』であると誤解してしまったことから、庶民生活が一変してしまう。
高い身分の彼に関わってしまった私は、元いた国を飛び出して魔法の国で暮らすことになるのです。
大公殿下、大魔術師、聖女や神獣…等など…いろんな人との出会いを経て『レティシア』が自分らしく生きていく。
という、少々…長いお話です。
鈍感なレティシアが、大公殿下からの熱い眼差しに気付くのはいつなのでしょうか…?
※安定のご都合主義、独自の世界観です。お許し下さい。
※ストーリーの進度は遅めかと思われます。
※現在、不定期にて公開中です。よろしくお願い致します。
公開予定日を最新話に記載しておりますが、長期休載の場合はこちらでもお知らせをさせて頂きます。
※ド素人の書いた3作目です。まだまだ優しい目で見て頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
※初公開から2年が過ぎました。少しでも良い作品に、読みやすく…と、時間があれば順次手直し(改稿)をしていく予定でおります。(現在、146話辺りまで手直し作業中)
※章の区切りを変更致しました。(9/22更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる