前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません

Karamimi

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第43話:何が起こっているのだ?~ファラオ視点~

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 翌日、今日は僕の15歳の誕生日だ。正直ちっとも嬉しくない。好きでもない令嬢と一緒に、腕を組まないといけないだなんて。まあ、ソラ嬢も同じ気持ちだろうが…

「殿下、このドレスで、本当によかったのでしょうか?ルドルフ様の瞳の色のドレスだなんて…」

「問題ないよ。きっと貴族たちは、僕の髪の色をイメージしたと思うだろうし。僕も紫色のタキシードを着ているが、きっと君の瞳の色を意識していると思うだろう。ソフィーナ嬢の瞳の色を意識して作った服とも知らずにね」

 僕たちは、ささやかな抵抗として、相手の思い人の瞳の色の衣装を着る事にしたのだ。とはいえ、ソラ嬢とソフィーナ嬢の瞳は同じ紫色。ルドルフ殿の瞳は、僕の髪と同じ黒色をしているのだ。

 きっと貴族たちは、勘違いするのだろうな。

 もしもソフィーナ嬢が、今回の件で何か動きを見せるのなら、その時は彼女にしっかりと僕の気持ちを伝えよう。もしソフィーナ嬢が僕を受け入れてくれたら、その時は本格的に彼女の意識改革を行おう。大丈夫だ、ソフィーナ嬢は、根はやさしい子。

 真剣に僕の気持ちを伝えれば、きっとわかってくれる。考えてみれば僕は、ちゃんとソフィーナ嬢と向き合ってこなかったな…それもよくなったのだろう。

 とにかく今日は、ソフィーナ嬢がまた貴族たちからの評価が下がらない様に、全力を尽くそう。そう思いながら、パーティに参加したのだが…

 なんとソフィーナ嬢は性格が、180度変わっていたのだ。どうやら事故の影響で、人格が変わってしまったらしい。彼女はかつての自分の行いを恥じ、1人1人謝罪して回っていた。

 これがあのソフィーナ嬢なのか…でも、子猫に向けられた優しい眼差しは、まさにこんな感じだったな。

 ただ、ソフィーナ嬢が穏やかで優しい女性に生まれ変わった事で、令息たちの見る目も180度変わったのだ。元々神的に美しかったソフィーナ嬢は、あっと言う間に男たちを虜にしてしまった。

 兄のソリティオはもちろん、アレックやセシルまでも、ソフィーナ嬢の虜になってしまった。今まで毛嫌いしていたくせに!ソフィーナ嬢の性格がよくなった途端、掌を返すだなんて…

 ただ、今のソフィーナ嬢なら、きっと貴族たちも僕の婚約者と認めてくれるはずだ。だが当のソフィーナ嬢は、もう僕には興味がない様だ。それどころか、ソラ嬢と僕が婚約すると思い込み、全力で祝福されたのだ。

 このままではまずいぞ!

 一気にライバルが増えてしまった僕は、その日のうちに父上の元に向かった。

「父上、大変です。ソフィーナ嬢が」

「ファラオか…ああ、さっき執事からソフィーナ嬢の件、聞いたよ。すっかり人格が変わってしまっただなんて。公爵も、どうしてその事を教えてくれなかったのだろうか。今のソフィーナ嬢なら、ファラオのお妃も十分務まるだろう」

「父上、すぐに公爵を呼んでください。既にアレックやセシルを含めた貴族たちが、ソフィーナ嬢を狙っている。僕はずっと、ソフィーナ嬢を想い続けていたのです。今まで毛嫌いしていた奴らにソフィーナ嬢を奪われたら、僕は…」

「わかった。すぐに公爵を呼ぼう。ただ…あいつは頑固だからな…なんというやら」

 そう言いつつも、翌日公爵を呼び出してくれた父上。なぜかソリティオも付いてきて、好き勝手言っていた。ソリティオだって、散々ソフィーナ嬢を嫌っていたじゃないか。それなのに、掌を変えてソフィーナ嬢を可愛がるだなんて。

 ただ、公爵は僕の気持ちを汲み取ってくれ、ソフィーナ嬢が僕を選んでくれるのなら、僕とソフィーナ嬢が結婚しても構わないと言ってくれたのだ。

 そして翌日。

「殿下、陛下や他の貴族から聞きました。殿下はずっと、ソフィーナの事を思い続けて下さっていたのですね。そうとも知らずに、失礼な事を申し上げてしまい、申し訳ございませんでした。

 ですが私は、自他ともに認める親バカです。それはソリティオが呆れるほどに…もしこのまま殿下がソラ嬢と婚約せずに、ソフィーナと婚約を結ぶことがあれば、きっと世間はソラ嬢から殿下を奪った女として、ソフィーナを好奇な目で見るでしょう。

 私はもう、娘の評判を落としたくはないのです。それに娘も、今の殿下とは婚約を結びたがらないでしょう。ですので、もし本当に娘との婚約を考えているのでしたら、ソラ嬢の件をうまく解決してからにして下さい」

 そう言われたのだ。確かに公爵の言う通り、やり方を間違えてしまえば、ソフィーナ嬢がソラ嬢から僕を奪ったと思う貴族もいるだろう。そのせいで、ソフィーナ嬢が嫌な思いをしたら大変だ。

 とにかく、上手く話を進める必要がありそうだな。
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