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第45話:お母様と話をしました
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「おかえりなさい、随分と早かったわね」
屋敷に着くと、お母様が出迎えてくれた。
「ああ、ちょっと色々とあってね。私はもう一度王宮に行くよ。ソフィーナ、今日は屋敷でゆっくりしていなさい」
「はい、分かりましたわ。私の軽はずみな言葉のせいで、本当に申し訳ございませんでした」
「ソフィーナが気にする事ではないよ。ただ…今貴族世界も色々と不安定でね…とにかくソフィーナは、誰に何を言われても、自分の気持ちを押し通すのだよ。分かったね」
「はい、分かりました」
それは一体どういう意味だろう?殿下が私に言い寄って来るという事かしら?
「ソフィーナ、何があったの?いつも元気なソフィーナが、落ち込んでいるみたいだけれど。さあ、こっちにいらっしゃい」
お母様に連れられて、屋敷に入った。
「さあ、ここに座って。それで王宮で一体、何があったの?」
「私…」
お母様に今日あった事を、素直に話した。
「私の軽はずみな発言のせいで、殿下とお父様に迷惑をかけてしまいました。どうしましょう…私…」
「そんなに気にしなくていいのよ。お父様も殿下も、迷惑だなんて思っていないと思うわ。殿下はずっとあなたに好意を抱いていたみたいだから、きっと感情が爆発してしまったのね」
そう言って笑ったお母様。
「殿下がずっと私の事を好きだったというのは、一体どういう事でしょうか?以前の私は、どうしようもないクズで、とてもではないですが、誰かに好きになってもらえるような人間ではありませんでしたわ」
「ソフィーナ、自分の事をその様に言うのは止めなさい。私も詳しい事はよくわからないけれど、どうやら殿下はずっとソフィーナとの結婚を望んでいた様よ。でもあなたが言う様に、昔はとてもではないけれど王妃だなんてなれる器ではなかったでしょう。
その為、陛下や他の貴族から認めてもらえなかったらしいわ。でも今は、すっかりあなたもまともになったでしょう。だから殿下は今、ソフィーナと婚約を結ぶために必死の様よ」
「そうなのですね…ですが私、殿下には散々迷惑をかけてしまいましたし。それにどうしてそこまで殿下が私を思って下さるのか、さっぱりわからなくて」
「それは本人に聞いてみたら?それでソフィーナは、どの殿方が気になるの?あなたは公爵令嬢、お父様やソリティオは結婚なんてする必要はないと、あなたを甘やかしてはいるけれど、そんな事は出来ないのよ。
年頃になれば、あなたもどこかの殿方の元に嫁がないといけない。とはいえ、ソフィーナ自身が、相手を選べばいいと、私もお父様も考えているわ。
まあ、一番有力なのがアレック様、セシル様、ファラオ殿下というところね。ソフィーナはアレック様やセシル様と2人で出かけているし、やはりこの2人の中から選ぶつもりなの?」
今日はいつも以上に、踏み込んだ質問をして来るお母様。
「私は…アレック様もセシル様もとてもお優しくて、一緒にいて楽しいのですが…なんだかお兄様と一緒にいる様な感覚がするのです。結婚相手というよりも、兄の様な存在というか…」
お2人ともとても魅力的なのだが、異性としてよりも、なんだか家族の延長線上みたいな感じなのだ。
「そう、それじゃあ、ファラオ殿下は?」
「ファラオ殿下は…ただ申し訳ない事をしてしまったという思いが強くて…」
「そう、それじゃあファラオ殿下が今、一番有力という事ね」
「どうしてファラオ殿下が、一番有力なのですか?私は別に、ファラオ殿下の事が好きとかそう言った気持ちは…」
「あら、他の2人はもう、兄みたいな存在なのでしょう?それなら、まだ気持ちがよくわからないファラオ殿下が一番有力なのではなくって。まあ、兄みたいな存在から恋に変わる事もあるし。ゆっくり考えなさい。あなたの人生は、あなたのものなのだから」
私の人生は、私のもの。確かにそうだ、前世は何もできないまま命を落とした。でも今世は!
「そうですね!自分の気持ちに正直に生きますわ。もし誰も好きになれなかったら、その時は一生独身でもいいですよね。だって私の人生なのですから」
「そうね、その時は仕方がないわね。でも、ソフィーナはちゃんと誰かを選ぶと思うわよ」
そう言って笑ったお母様。
私が誰かを選ぶか…今は全く想像できないが、もし誰かを好きになる事が出来たら、それはそれで素晴らしい事だ。
せっかく今、殿方が私に興味を持ってくれているのだ。私も全力で彼らに向き合おう。そう心に誓ったのだった。
屋敷に着くと、お母様が出迎えてくれた。
「ああ、ちょっと色々とあってね。私はもう一度王宮に行くよ。ソフィーナ、今日は屋敷でゆっくりしていなさい」
「はい、分かりましたわ。私の軽はずみな言葉のせいで、本当に申し訳ございませんでした」
「ソフィーナが気にする事ではないよ。ただ…今貴族世界も色々と不安定でね…とにかくソフィーナは、誰に何を言われても、自分の気持ちを押し通すのだよ。分かったね」
「はい、分かりました」
それは一体どういう意味だろう?殿下が私に言い寄って来るという事かしら?
「ソフィーナ、何があったの?いつも元気なソフィーナが、落ち込んでいるみたいだけれど。さあ、こっちにいらっしゃい」
お母様に連れられて、屋敷に入った。
「さあ、ここに座って。それで王宮で一体、何があったの?」
「私…」
お母様に今日あった事を、素直に話した。
「私の軽はずみな発言のせいで、殿下とお父様に迷惑をかけてしまいました。どうしましょう…私…」
「そんなに気にしなくていいのよ。お父様も殿下も、迷惑だなんて思っていないと思うわ。殿下はずっとあなたに好意を抱いていたみたいだから、きっと感情が爆発してしまったのね」
そう言って笑ったお母様。
「殿下がずっと私の事を好きだったというのは、一体どういう事でしょうか?以前の私は、どうしようもないクズで、とてもではないですが、誰かに好きになってもらえるような人間ではありませんでしたわ」
「ソフィーナ、自分の事をその様に言うのは止めなさい。私も詳しい事はよくわからないけれど、どうやら殿下はずっとソフィーナとの結婚を望んでいた様よ。でもあなたが言う様に、昔はとてもではないけれど王妃だなんてなれる器ではなかったでしょう。
その為、陛下や他の貴族から認めてもらえなかったらしいわ。でも今は、すっかりあなたもまともになったでしょう。だから殿下は今、ソフィーナと婚約を結ぶために必死の様よ」
「そうなのですね…ですが私、殿下には散々迷惑をかけてしまいましたし。それにどうしてそこまで殿下が私を思って下さるのか、さっぱりわからなくて」
「それは本人に聞いてみたら?それでソフィーナは、どの殿方が気になるの?あなたは公爵令嬢、お父様やソリティオは結婚なんてする必要はないと、あなたを甘やかしてはいるけれど、そんな事は出来ないのよ。
年頃になれば、あなたもどこかの殿方の元に嫁がないといけない。とはいえ、ソフィーナ自身が、相手を選べばいいと、私もお父様も考えているわ。
まあ、一番有力なのがアレック様、セシル様、ファラオ殿下というところね。ソフィーナはアレック様やセシル様と2人で出かけているし、やはりこの2人の中から選ぶつもりなの?」
今日はいつも以上に、踏み込んだ質問をして来るお母様。
「私は…アレック様もセシル様もとてもお優しくて、一緒にいて楽しいのですが…なんだかお兄様と一緒にいる様な感覚がするのです。結婚相手というよりも、兄の様な存在というか…」
お2人ともとても魅力的なのだが、異性としてよりも、なんだか家族の延長線上みたいな感じなのだ。
「そう、それじゃあ、ファラオ殿下は?」
「ファラオ殿下は…ただ申し訳ない事をしてしまったという思いが強くて…」
「そう、それじゃあファラオ殿下が今、一番有力という事ね」
「どうしてファラオ殿下が、一番有力なのですか?私は別に、ファラオ殿下の事が好きとかそう言った気持ちは…」
「あら、他の2人はもう、兄みたいな存在なのでしょう?それなら、まだ気持ちがよくわからないファラオ殿下が一番有力なのではなくって。まあ、兄みたいな存在から恋に変わる事もあるし。ゆっくり考えなさい。あなたの人生は、あなたのものなのだから」
私の人生は、私のもの。確かにそうだ、前世は何もできないまま命を落とした。でも今世は!
「そうですね!自分の気持ちに正直に生きますわ。もし誰も好きになれなかったら、その時は一生独身でもいいですよね。だって私の人生なのですから」
「そうね、その時は仕方がないわね。でも、ソフィーナはちゃんと誰かを選ぶと思うわよ」
そう言って笑ったお母様。
私が誰かを選ぶか…今は全く想像できないが、もし誰かを好きになる事が出来たら、それはそれで素晴らしい事だ。
せっかく今、殿方が私に興味を持ってくれているのだ。私も全力で彼らに向き合おう。そう心に誓ったのだった。
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