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第16話:身も心もズタボロです
「まだそんな事を言っているのかよ、お前。どれだけ性格が悪いんだよ!」
「そうよ、これもあなたがでっち上げたのでしょう。ラドル様がそんな事をするはずがないわ」
「そうよ、昨日の婚約解消だって、あなたの評判が悪すぎるから、ラドル様側から申し出たに違いないわ。とにかく、これ以上ラドル様を侮辱するのは許さないわ」
「こんな映像まで準備して…本当に呆れるぜ。とにかく、ラドルに謝れよ」
「そうだ、謝れ!」
「謝れ!」
また周りから、謝れコールが沸き起こる。分かっていた、私が何を言っても誰も信じてくれない事くらい。この学院の人たちに…いいえ、この国の人たちに何を言っても無駄だって事。
いい加減疲れたわ…
「待って、皆。これ以上アントアーネを虐めないでくれ。アントアーネ、僕が悪かったよ。君に寂しい思いをさせてしまって、本当にすまなかった。確かに君は、過ちを犯したかもしれない。
でも僕は、そんな君を丸ごと受け止めるよ。だから安心してほしい。さあ、こっちにおいで」
すっと私の腕を掴もうとしたラドル様の手を、振り払った。
「ラドル様…いいえ、ブラッディ伯爵令息様、私が悪うございましたわ。申し訳ございませんでした…もう二度と、私はあなた様に近づきません。この映像も、あなたにあげます。もう二度と、あなたに関する情報を、誰かに漏らそうとも考えません。
ですからどうか、あなたももう私には、二度と関わらないで下さい。周りの方がおっしゃるように、私は最低なクズ人間なのでしょう。そんな私に、これ以上近づいてはいけませんわ。私の事はもう忘れて、どうか令嬢と幸せになって下さいませ」
これ以上、ここにはいたくない。ここに私の味方など、誰一人としていない。負けたくない、自分らしく生きたい、何を言われようと貴族学院を卒業したい、そう思っていた。
でも…
もう私には、ここでたった1人で戦う気力は残されていない。このまま酷い暴言を受けながら、惨めに学院に通う事なんてできない。
もしたった1人でも、私の味方がいれば違ったのかもしれない。でも…
周りを見渡す。かつて私と仲良くしてくれていた令嬢たちも、私をゴミを見る様な目で睨んでいる。親友だと思っていた友人も、掌を返して私に暴言を吐いている。
ここには、私の味方なの誰一人としていないのだ。
もう疲れた…
そのままクルリと反対側を向いて、歩こうとした時だった。
「待てよ、それが謝罪か?そんな謝罪で、許されると思っているのか?」
「そうよ、ラドル様を侮辱し、陥れようとしたのに、申し訳ございませんだけで済むと思っているの?」
「皆様の言う通りですわ。本当に申し訳ないと思っているのでしたら、頭を地面に付けて謝罪するのが、筋と言うものではありませんか」
「そうよ、頭を地面にこすりつけて謝りなさいよ」
そう言って皆がニヤニヤと笑い出したのだ。確かに我が国では、頭を地面に付けて謝罪するという、最大の謝罪方法がある。ただ、貴族である以上、その様な行為は絶対に行わない。
たとえこの命を奪われたとしてもだ。それなのに、私にそれを要求すると言うの?どこまで私をバカにすれば気が済むの?私が逃げられない様に、皆が私を囲んでいる。
さらに…
「早く謝りなさいよ」
令嬢たちが私の頭を押さえつけ始めたのだ。
ふとラドル様の方を見つめる。すると、少し困った顔をしていた。
「皆、落ち着いてくれ。彼女は伯爵令嬢だよ。その様な謝罪は、さすがに可哀そうだ。とはいえ、僕もさすがに今回の件はこのままという訳にはいかないな。君がもし、僕の言う事を何でも聞いてくれるのなら、許してあげてもいいよ」
そう言ってニヤリと笑ったのだ。
この男、どこまで腐っているのだろう。
でも、謝ればここで解放される…
ここで謝って、そのまま消えてしまうのも悪くないかもしれない。
そう思い、膝を地面に付けた時だった。
「そうよ、これもあなたがでっち上げたのでしょう。ラドル様がそんな事をするはずがないわ」
「そうよ、昨日の婚約解消だって、あなたの評判が悪すぎるから、ラドル様側から申し出たに違いないわ。とにかく、これ以上ラドル様を侮辱するのは許さないわ」
「こんな映像まで準備して…本当に呆れるぜ。とにかく、ラドルに謝れよ」
「そうだ、謝れ!」
「謝れ!」
また周りから、謝れコールが沸き起こる。分かっていた、私が何を言っても誰も信じてくれない事くらい。この学院の人たちに…いいえ、この国の人たちに何を言っても無駄だって事。
いい加減疲れたわ…
「待って、皆。これ以上アントアーネを虐めないでくれ。アントアーネ、僕が悪かったよ。君に寂しい思いをさせてしまって、本当にすまなかった。確かに君は、過ちを犯したかもしれない。
でも僕は、そんな君を丸ごと受け止めるよ。だから安心してほしい。さあ、こっちにおいで」
すっと私の腕を掴もうとしたラドル様の手を、振り払った。
「ラドル様…いいえ、ブラッディ伯爵令息様、私が悪うございましたわ。申し訳ございませんでした…もう二度と、私はあなた様に近づきません。この映像も、あなたにあげます。もう二度と、あなたに関する情報を、誰かに漏らそうとも考えません。
ですからどうか、あなたももう私には、二度と関わらないで下さい。周りの方がおっしゃるように、私は最低なクズ人間なのでしょう。そんな私に、これ以上近づいてはいけませんわ。私の事はもう忘れて、どうか令嬢と幸せになって下さいませ」
これ以上、ここにはいたくない。ここに私の味方など、誰一人としていない。負けたくない、自分らしく生きたい、何を言われようと貴族学院を卒業したい、そう思っていた。
でも…
もう私には、ここでたった1人で戦う気力は残されていない。このまま酷い暴言を受けながら、惨めに学院に通う事なんてできない。
もしたった1人でも、私の味方がいれば違ったのかもしれない。でも…
周りを見渡す。かつて私と仲良くしてくれていた令嬢たちも、私をゴミを見る様な目で睨んでいる。親友だと思っていた友人も、掌を返して私に暴言を吐いている。
ここには、私の味方なの誰一人としていないのだ。
もう疲れた…
そのままクルリと反対側を向いて、歩こうとした時だった。
「待てよ、それが謝罪か?そんな謝罪で、許されると思っているのか?」
「そうよ、ラドル様を侮辱し、陥れようとしたのに、申し訳ございませんだけで済むと思っているの?」
「皆様の言う通りですわ。本当に申し訳ないと思っているのでしたら、頭を地面に付けて謝罪するのが、筋と言うものではありませんか」
「そうよ、頭を地面にこすりつけて謝りなさいよ」
そう言って皆がニヤニヤと笑い出したのだ。確かに我が国では、頭を地面に付けて謝罪するという、最大の謝罪方法がある。ただ、貴族である以上、その様な行為は絶対に行わない。
たとえこの命を奪われたとしてもだ。それなのに、私にそれを要求すると言うの?どこまで私をバカにすれば気が済むの?私が逃げられない様に、皆が私を囲んでいる。
さらに…
「早く謝りなさいよ」
令嬢たちが私の頭を押さえつけ始めたのだ。
ふとラドル様の方を見つめる。すると、少し困った顔をしていた。
「皆、落ち着いてくれ。彼女は伯爵令嬢だよ。その様な謝罪は、さすがに可哀そうだ。とはいえ、僕もさすがに今回の件はこのままという訳にはいかないな。君がもし、僕の言う事を何でも聞いてくれるのなら、許してあげてもいいよ」
そう言ってニヤリと笑ったのだ。
この男、どこまで腐っているのだろう。
でも、謝ればここで解放される…
ここで謝って、そのまま消えてしまうのも悪くないかもしれない。
そう思い、膝を地面に付けた時だった。
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