私を陥れる様な婚約者はいりません!彼と幸せになりますから邪魔しないで下さい

Karamimi

文字の大きさ
20 / 73

第20話:俺がアントアーネを大切に思う理由【1】~ブラッド視点~

「ブラッド殿、君の気持ちは有難いのですが、一体どうやって?」

「俺に考えがあります。どうか俺に、アントアーネを託してくださいませんか?」

 真っすぐ伯爵を見つめた。

「父上、ブラッド殿ならきっと、アントアーネを守ってくれるよ。俺は一番近くで、ずっとブラッド殿を見てきたんだ。ここは、ブラッド殿に任せよう」

「あなた、私からもお願い。きっとブラッド様なら、アントアーネを守ってくださるわ。だって彼は、リマの息子なのですもの。リマは昔から、正義感が強くて曲がった事が大嫌いだった子よ。私も何度リマに助けられたか」

 アントニオ殿と夫人も、俺の味方をしてくれた。

「分かったよ、ブラッド殿、どうかアントアーネをお願いします。私にできる事があったら、何でもしますから、何なりと申しつけて下さい」

「ありがとうございます。それでは、しばらく俺もこの国に滞在しますので、その申請をお願いします」

「ええ、分かりました。明日早速、申請を出して来ましょう。それから、すぐにブラッド殿の部屋の準備を。アントニオもブラッド殿も、さすがに疲れているだろう。今日はゆっくり休んでくれ。

 それから2人とも、アントアーネの為に駆けつけてくれて、ありがとう」

「父上、何をおっしゃっているのですか。妹が傷つけられたと聞いたのです。飛んで帰ってくるのは、当たり前です」

「そうですよ、伯爵。アントアーネは俺にとっても、大切な子ですから」

 そう、俺にとって、かけがえのない子…それがアントアーネなのだ。

「そうか、野暮な事を言ってすまなかったな。それじゃあ、ゆっくり休んでくれ。ブラッド殿を、お部屋まで案内してくれ」

 伯爵が、近くに控えていた使用人に声をかけた。

「承知いたしました、ブラッド様、どうぞこちらです」

「ありがとう、だが、もう少しアントアーネを見ているよ。少し見たら、部屋に戻るから、その時に案内してくれるかい?」

 苦しそうに眠るアントアーネを、このまま放っておく訳にはいかない。それに、少しでも彼女の傍にいたいのだ。

 その時だった。

「お取込み中失礼いたします。旦那様、ラドル様が訪ねていらっしゃいました。お嬢様にどうしても会わせてほしいと…」

「なんだって!!あの男、ふざけているのか!アントアーネをここまで苦しめたくせに。すぐにブラッディ伯爵に連絡をしろ!二度と我が家に来させない事を、約束させてやる!それでは私はこれで。アントアーネをよろしくお願します」

 そう言うと伯爵が足早に去っていく。それに続いて、夫人とアントニオ殿も後に続いて出て行った。あの男、本当に何を考えているのだろう。八つ裂きにしてやりたいところだが、ここは伯爵たちに任せよう。

 改めてアントアーネを見つめる。

「しばらく会わないうちに、本当に綺麗になったね」

 そっと彼女の髪をひと房とった。美しい銀色の髪。あの頃と変わらない、サラサラで触っていて気持ちいい。

 あの頃よりもずっと大きくなったアントアーネ。強くて優しくて、人の痛みが分かる素敵な女の子。君がいてくれたから、俺は強くなれた。今の俺があるのは、全て君のお陰だよ。

 ふと瞳を閉じた。

 幼い頃、俺は異国出身の母親を持つ子供として、周りから距離を置かれていた。当時リューズ王国は、異国民は非常に珍しいうえ、小麦色の肌を持つリューズ王国の人々と違い、俺は母親に似て白い肌をしていた。

 そのせいで子供の頃から、色白でひ弱な男と言われていたのだ。さらに陰では、異国民の子供と馬鹿にされていた。

 元々大人しい性格だった俺は、お茶会に出るたびにバカにされることが嫌で、いつしか引きこもるようになっていた。

 そんな俺を心配した母上が、俺が5歳の時に母上の故郷でもあるサルビア王国に一時的に里帰りをしたのだ。

 その時に出会ったのが、アントアーネだった。

 ~10年前~
「ブラッド、今日はね、あなたに会わせたい子がいるの。私の親友、マリネの子供たちよ。とてもいい子たちなの。きっとあなたもお友達になれるわ」

「僕はいいよ」

「そう言わないで、会ってみて。ほら、行くわよ」

 そう言って僕を無理やり部屋から出した母上。

「会わないと言っているだろう?もう放っておいてくれ」

 僕は皆から嫌われているんだ。リューズ王国では、皆僕の事をバカにしている!きっとここでも…

 母上の手を振り払い、部屋に戻ろうとした時だった。

「こんにちは、あなたがブレッド様ね。初めまして、アントアーネ・ディーストンよ。よろしくね」

 銀色の髪に、大きなクリクリのエメラルドグリーンの瞳をした女の子が、僕の方に走って来たのだ。そして何を思ったのか、僕の手を握った。

あなたにおすすめの小説

奪われる人生とはお別れします 婚約破棄の後は幸せな日々が待っていました

水空 葵
恋愛
婚約者だった王太子殿下は、最近聖女様にかかりっきりで私には見向きもしない。 それなのに妃教育と称して仕事を押し付けてくる。 しまいには建国パーティーの時に婚約解消を突き付けられてしまった。 王太子殿下、それから私の両親。今まで尽くしてきたのに、裏切るなんて許せません。 でも、これ以上奪われるのは嫌なので、さっさとお別れしましょう。 ◇2024/2/5 HOTランキング1位に掲載されました。 ◇第17回 恋愛小説大賞で6位&奨励賞を頂きました。 ◇レジーナブックスより書籍発売中です! 本当にありがとうございます!

【本編完結】婚約者を守ろうとしたら寧ろ盾にされました。腹が立ったので記憶を失ったふりをして婚約解消を目指します。

しろねこ。
恋愛
「君との婚約を解消したい」 その言葉を聞いてエカテリーナはニコリと微笑む。 「了承しました」 ようやくこの日が来たと内心で神に感謝をする。 (わたくしを盾にし、更に記憶喪失となったのに手助けもせず、他の女性に擦り寄った婚約者なんていらないもの) そんな者との婚約が破談となって本当に良かった。 (それに欲しいものは手に入れたわ) 壁際で沈痛な面持ちでこちらを見る人物を見て、頬が赤くなる。 (愛してくれない者よりも、自分を愛してくれる人の方がいいじゃない?) エカテリーナはあっさりと自分を捨てた男に向けて頭を下げる。 「今までありがとうございました。殿下もお幸せに」 類まれなる美貌と十分な地位、そして魔法の珍しいこの世界で魔法を使えるエカテリーナ。 だからこそ、ここバークレイ国で第二王子の婚約者に選ばれたのだが……それも今日で終わりだ。 今後は自分の力で頑張ってもらおう。 ハピエン、自己満足、ご都合主義なお話です。 ちゃっかりとシリーズ化というか、他作品と繋がっています。 カクヨムさん、小説家になろうさん、ノベルアッププラスさんでも連載中(*´ω`*) 表紙絵は猫絵師さんより(⁠。⁠・⁠ω⁠・⁠。⁠)⁠ノ⁠♡

2度目の人生は好きにやらせていただきます

みおな
恋愛
公爵令嬢アリスティアは、婚約者であるエリックに学園の卒業パーティーで冤罪で婚約破棄を言い渡され、そのまま処刑された。 そして目覚めた時、アリスティアは学園入学前に戻っていた。 今度こそは幸せになりたいと、アリスティアは婚約回避を目指すことにする。

悪役令嬢は推し活中〜殿下。貴方には興味がございませんのでご自由に〜

みおな
恋愛
 公爵家令嬢のルーナ・フィオレンサは、輝く銀色の髪に、夜空に浮かぶ月のような金色を帯びた銀の瞳をした美しい少女だ。  当然のことながら王族との婚約が打診されるが、ルーナは首を縦に振らない。  どうやら彼女には、別に想い人がいるようで・・・

はい!喜んで!

みおな
恋愛
 伯爵令嬢のシリルは、婚約者から婚約破棄を告げられる。  時を同じくして、侯爵令嬢のリエルも、婚約者から婚約破棄を告げられる。  彼女たちはにっこりと微笑んで答えた。 「はい。喜んで」

【完結】期間限定聖女ですから、婚約なんて致しません

との
恋愛
第17回恋愛大賞、12位ありがとうございました。そして、奨励賞まで⋯⋯応援してくださった方々皆様に心からの感謝を🤗 「貴様とは婚約破棄だ!」⋯⋯な〜んて、聞き飽きたぁぁ! あちこちでよく見かける『使い古された感のある婚約破棄』騒動が、目の前ではじまったけど、勘違いも甚だしい王子に笑いが止まらない。 断罪劇? いや、珍喜劇だね。 魔力持ちが産まれなくて危機感を募らせた王国から、多くの魔法士が産まれ続ける聖王国にお願いレターが届いて⋯⋯。 留学生として王国にやって来た『婚約者候補』チームのリーダーをしているのは、私ロクサーナ・バーラム。 私はただの引率者で、本当の任務は別だからね。婚約者でも候補でもないのに、珍喜劇の中心人物になってるのは何で? 治癒魔法の使える女性を婚約者にしたい? 隣にいるレベッカはささくれを治せればラッキーな治癒魔法しか使えないけど良いのかな? 聖女に聖女見習い、魔法士に魔法士見習い。私達は国内だけでなく、魔法で外貨も稼いでいる⋯⋯国でも稼ぎ頭の集団です。 我が国で言う聖女って職種だからね、清廉潔白、献身⋯⋯いやいや、ないわ〜。だって魔物の討伐とか行くし? 殺るし? 面倒事はお断りして、さっさと帰るぞぉぉ。 訳あって、『期間限定銭ゲバ聖女⋯⋯ちょくちょく戦闘狂』やってます。いつもそばにいる子達をモフモフ出来るまで頑張りま〜す。 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結まで予約投稿済み R15は念の為・・

嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな
恋愛
 伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。  そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。  その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。  そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。  ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。  堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・

死に戻りの魔女は溺愛幼女に生まれ変わります

みおな
恋愛
「灰色の魔女め!」 私を睨みつける婚約者に、心が絶望感で塗りつぶされていきます。  聖女である妹が自分には相応しい?なら、どうして婚約解消を申し込んでくださらなかったのですか?  私だってわかっています。妹の方が優れている。妹の方が愛らしい。  だから、そうおっしゃってくだされば、婚約者の座などいつでもおりましたのに。  こんな公衆の面前で婚約破棄をされた娘など、父もきっと切り捨てるでしょう。  私は誰にも愛されていないのだから。 なら、せめて、最後くらい自分のために舞台を飾りましょう。  灰色の魔女の死という、極上の舞台をー