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第13話:ライアンに怒られました
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「それじゃあ皆、今日はありがとう。とても楽しかったわ」
「俺たちもすごく楽しかったよ。またこうやって、皆で定期的に食事をしような」
すっかり仲良くなった私たちは、夕方近くまで話が盛り上がってしまい、急いで家路につくことにした。
馬車に乗り込むと、なぜかライアンまで私の家の馬車に乗り込んできたのだ。
「あら、ライアン、一体どうしたの?私の馬車に乗り込んでくるなんて」
話しかけても、ブスっとした顔をして座っている。
「もう、ライアン。一体どうしたのよ。何を怒っているの?」
「何を怒っているかだって?お前、一体何を考えているんだよ。なんで野郎どもを引き連れて、食事なんかに来た?」
「別に引き連れてなんていないわよ。私はただ、せっかく同じクラスになったのだから、仲良くしたいと思っていただけよ」
「クラスの令息どもと仲良くして、何になるんだよ。そもそも皆の前で、俺が結婚しないとか言いやがって。どうしてそういう発想になるんだよ!」
「その件に関しては…ごめんなさい。ライアンは騎士団でかなり頑張っていたから、もしかして結婚せずにそのまま騎士団を引っ張っていくのかなって思って…」
実際1度目の生の時もそうだったし…と、都合の悪い事は心の中で呟いておいた。
「お前、俺がなんの為に騎士団に入ったと思っているんだよ!俺は…何でもない。とにかく、あまり令息と仲良くするな!いいな、分かったな」
「どうしてよ、せっかく同じクラスになったのだから、殿方とも仲良くしたいわ。それにこの機会に、素敵な殿方が見つかるかもしれないじゃない」
「はっ?お前、結婚相手を探すために、あいつらに声を掛けたのかよ!ふざけるな!そんなバカな動機で男どもに近づくなんて。大体な、お前、5歳の時に誘拐されたのを覚えていないのかよ。あの時の犯人の動機を忘れたのか?」
そういえば、誘拐されたことがあったような…
犯人の動機?そんなもの、覚えている訳がない。
「はぁ~、あのなぁ、お前は無駄に顔が整っているんだよ。そんなお前を妻にしたいっていう理由で、変態貴族に誘拐されたんだろうが…そんなに色々な男に愛想を振りまいていて、また誘拐でもされたらどうするんだよ!」
そういえばそうだったような…
正直誘拐されたときの記憶が、すっぽりと消えているのだ。
「そうだったわね。でも、もう私も14歳よ。それに、学院に通っている令息たちは、そんなバカな事をする訳がないわ…」
「そうかもしれないが、とにかく念には念を入れておけ。それから今日は、お前のせいで騎士団を休むことになったじゃないか」
「それは知らないわよ。それならラアインは参加せず、騎士団に行けばよかったじゃない」
「お前を置いて行けるかよ!いいな、もうこれ以上勝手な行動をするなよ。わかったな?」
何よ、勝手な行動だなんて。どうして私がライアンに怒られないといけないのよ。でも、今日のライアン、なんだか怖いのよね…
「わかったわ。そんなに怒らないでよ。でももう私も14歳なんだから、大丈夫よ」
そう伝えておいた。そういえばライアン、私がお妃候補に名乗りを上げた時、ものすごく反対していたわね。でも結局ライアンの反対を押し切って、私はお妃候補になった。
もしかしたら、熾烈な女の戦いに私が耐えられないと思ったのかもしれない。ライアンったら、無駄に心配性なんだもの。でも、あの時ライアンの意見を聞いていれば、私もあんな孤独な思いをしないで済んだのかもしれない。
ふとライアンの方を見ると、まだブツブツと文句を言っている。きっとライアンなりに、私の事を心配してくれているのだろう。
「ライアン、そんなに怒らないでよ。心配してくれてありがとう。そうだわ、せっかくだから家で晩御飯を食べて行かない?おじ様には家から連絡しておくから。ねっ、たまにはいいでしょう?きっとヴァンも喜ぶわよ」
「はぁ~、分かったよ。お前、あんまり俺を心配させるなよ」
そう言って私の頭を撫でたライアン。
「もう、子ども扱いしないでよ」
プクっと頬を膨らませて抗議をする。
「そうやって頬を膨らませるところが子供なんだよ。ほら、お前の家に着いたぞ。飯の時間まで中庭でゆっくり過ごすか」
2人で馬車を降りると、そのまま中庭へと向かった。
「子供の頃、よく中庭で遊んだわよね。覚えている?ここでよくかくれんぼをしたのよね」
「そうだったな。お前隠れるのが下手すぎて、すぐに俺に見つかっては怒っていたよな」
「あら、1度だけ上手に隠れた事があったじゃない」
「あれはお前が、中庭の奥の建屋に隠れたからだろう。あの時お前が見つからないから、使用人たちまで集まって大騒ぎだったんだぞ」
「そうだったわね。懐かしいわ…」
あの頃はいつもライアンと遊んでいた。本当に毎日が楽しかったわ。でも5歳のある日、急にライアンが騎士団に入団したのだ。それで忙しくなって、来なくなったんだわ。
「ねえライアン、騎士団って通常7歳で入団するでしょう?どうして5歳で入団したの?そのせいで、私物凄く寂しかったのよ」
「それは…まあ、色々あるんだよ」
そう言って明後日の方向を向いてしまった。色々か…
でもこれからは、貴族学院で毎日会える。ライアンともたくさん思い出を作らないと。
「俺たちもすごく楽しかったよ。またこうやって、皆で定期的に食事をしような」
すっかり仲良くなった私たちは、夕方近くまで話が盛り上がってしまい、急いで家路につくことにした。
馬車に乗り込むと、なぜかライアンまで私の家の馬車に乗り込んできたのだ。
「あら、ライアン、一体どうしたの?私の馬車に乗り込んでくるなんて」
話しかけても、ブスっとした顔をして座っている。
「もう、ライアン。一体どうしたのよ。何を怒っているの?」
「何を怒っているかだって?お前、一体何を考えているんだよ。なんで野郎どもを引き連れて、食事なんかに来た?」
「別に引き連れてなんていないわよ。私はただ、せっかく同じクラスになったのだから、仲良くしたいと思っていただけよ」
「クラスの令息どもと仲良くして、何になるんだよ。そもそも皆の前で、俺が結婚しないとか言いやがって。どうしてそういう発想になるんだよ!」
「その件に関しては…ごめんなさい。ライアンは騎士団でかなり頑張っていたから、もしかして結婚せずにそのまま騎士団を引っ張っていくのかなって思って…」
実際1度目の生の時もそうだったし…と、都合の悪い事は心の中で呟いておいた。
「お前、俺がなんの為に騎士団に入ったと思っているんだよ!俺は…何でもない。とにかく、あまり令息と仲良くするな!いいな、分かったな」
「どうしてよ、せっかく同じクラスになったのだから、殿方とも仲良くしたいわ。それにこの機会に、素敵な殿方が見つかるかもしれないじゃない」
「はっ?お前、結婚相手を探すために、あいつらに声を掛けたのかよ!ふざけるな!そんなバカな動機で男どもに近づくなんて。大体な、お前、5歳の時に誘拐されたのを覚えていないのかよ。あの時の犯人の動機を忘れたのか?」
そういえば、誘拐されたことがあったような…
犯人の動機?そんなもの、覚えている訳がない。
「はぁ~、あのなぁ、お前は無駄に顔が整っているんだよ。そんなお前を妻にしたいっていう理由で、変態貴族に誘拐されたんだろうが…そんなに色々な男に愛想を振りまいていて、また誘拐でもされたらどうするんだよ!」
そういえばそうだったような…
正直誘拐されたときの記憶が、すっぽりと消えているのだ。
「そうだったわね。でも、もう私も14歳よ。それに、学院に通っている令息たちは、そんなバカな事をする訳がないわ…」
「そうかもしれないが、とにかく念には念を入れておけ。それから今日は、お前のせいで騎士団を休むことになったじゃないか」
「それは知らないわよ。それならラアインは参加せず、騎士団に行けばよかったじゃない」
「お前を置いて行けるかよ!いいな、もうこれ以上勝手な行動をするなよ。わかったな?」
何よ、勝手な行動だなんて。どうして私がライアンに怒られないといけないのよ。でも、今日のライアン、なんだか怖いのよね…
「わかったわ。そんなに怒らないでよ。でももう私も14歳なんだから、大丈夫よ」
そう伝えておいた。そういえばライアン、私がお妃候補に名乗りを上げた時、ものすごく反対していたわね。でも結局ライアンの反対を押し切って、私はお妃候補になった。
もしかしたら、熾烈な女の戦いに私が耐えられないと思ったのかもしれない。ライアンったら、無駄に心配性なんだもの。でも、あの時ライアンの意見を聞いていれば、私もあんな孤独な思いをしないで済んだのかもしれない。
ふとライアンの方を見ると、まだブツブツと文句を言っている。きっとライアンなりに、私の事を心配してくれているのだろう。
「ライアン、そんなに怒らないでよ。心配してくれてありがとう。そうだわ、せっかくだから家で晩御飯を食べて行かない?おじ様には家から連絡しておくから。ねっ、たまにはいいでしょう?きっとヴァンも喜ぶわよ」
「はぁ~、分かったよ。お前、あんまり俺を心配させるなよ」
そう言って私の頭を撫でたライアン。
「もう、子ども扱いしないでよ」
プクっと頬を膨らませて抗議をする。
「そうやって頬を膨らませるところが子供なんだよ。ほら、お前の家に着いたぞ。飯の時間まで中庭でゆっくり過ごすか」
2人で馬車を降りると、そのまま中庭へと向かった。
「子供の頃、よく中庭で遊んだわよね。覚えている?ここでよくかくれんぼをしたのよね」
「そうだったな。お前隠れるのが下手すぎて、すぐに俺に見つかっては怒っていたよな」
「あら、1度だけ上手に隠れた事があったじゃない」
「あれはお前が、中庭の奥の建屋に隠れたからだろう。あの時お前が見つからないから、使用人たちまで集まって大騒ぎだったんだぞ」
「そうだったわね。懐かしいわ…」
あの頃はいつもライアンと遊んでいた。本当に毎日が楽しかったわ。でも5歳のある日、急にライアンが騎士団に入団したのだ。それで忙しくなって、来なくなったんだわ。
「ねえライアン、騎士団って通常7歳で入団するでしょう?どうして5歳で入団したの?そのせいで、私物凄く寂しかったのよ」
「それは…まあ、色々あるんだよ」
そう言って明後日の方向を向いてしまった。色々か…
でもこれからは、貴族学院で毎日会える。ライアンともたくさん思い出を作らないと。
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