次は絶対に幸せになって見せます!

Karamimi

文字の大きさ
16 / 62

第16話:マリアは何を考えているんだ~ライアン視点~

しおりを挟む
騎士団に着いても、マリアの事が心配で稽古に集中できない。先輩騎士に何度も注意を受けてしまった。やっと騎士団の稽古が終わり、急いでマリアの家に向かう。

さすがにもう帰って来ているだろう。

マリアの家に着くと、おばさんが出迎えてくれた。

「おばさん、マリアはどうだったんだ?マリアに会いたいんだ!」

するとおばさんは、少し困った顔をしている。

「ライアン、マリアを心配してくれてありがとう。あの子、泣きながら帰って来たのよ。どうやらお茶会で浮いてしまった様で…お妃候補には興味がないのに、どうして私がお茶会に呼ばれたのって…明日陛下には、改めてお妃候補には興味がない旨を伝えようと思っているのよ。可哀そうに、きっと令嬢たちに酷い事を言われたのね…」

泣いて帰ってきただって!でもこれではっきりとした。マリアは王妃にはやっぱり興味がないのだと!

「ライアン、あなたにも心配をかけてごめんなさいね。今疲れて眠っている様なの」

「わかった、それならマリアが起きるまで待つよ」

客間でマリアを待つ事にした。マリアの奴、きっと気の強い令嬢たちにコテンパンにやられたんだろうな。あいつ、ああ見えて意外と繊細なところがあるからな。それにしても、王太子殿下はどうしてマリアを誘ったのだろう。

いくら王太子殿下がマリアに興味を抱いたとしても、マリアがその気にならなければ、決して結ばれることもないのに…

そんな事を考えていると、ガチャリとドアが開く音が。そこには、マリアが立っていた。泣いた後眠ったせいか、少し目が腫れている。俺はすぐにマリアの元に駆けつけた。

抱えていた感情を一気に爆発させるマリア。よほど今日のお茶会が嫌だったのだろう。必死に俺に訴えかけてくる。

そんなマリアをなだめた。なぜそこまで王太子殿下がマリアに執着する理由が分からなくて、夜会の時何かあったのかと聞くと、中庭で話をしたとの事。

なるほど、美しいマリアに一目ぼれしたって訳か。でもいくら殿下が一目ぼれしようが、マリアにその気がないのなら諦めるしかない。

でも、相手が殿下でよかった。もし公爵令息とか、家やマリアの家よりも身分の高い貴族に気に入られたら、さすがに断れないもんな。これ以上マリアを野放しにしておくのは危険だ。

出来るだけ傍にいよう。

いっその事、このままいけば俺たちは婚約するという事を伝えようか?いや、ダメだ。マリアが15歳になるまでは、マリアにも俺にも他の貴族を選ぶ権利があるんだ。

そういえば来月には貴族学院に入学するんだよな。貴族学院か…あそこは男も多いからな…

マリアには、これ以上男に目を付けられるような事は控えろと、厳しく言っておいた。絶対に男を近づかせないようにしないと、そう思っていたのに…


入学式早々、なぜかまだ諦めていない様子の王太子殿下に絡まれた。その時点で、俺はイライラしていた。さらにクラスの男どもが、マリアをチラリラ見ている。これ以上マリアに男を近づかせる訳にはいかない。さっさと帰ろうとしたのだが、あろう事か

「せっかく同じクラスになれたのですもの。皆で今から街に出ませんか?一緒に昼食を食べながら、仲を深めましょう」

何て言いだしたんだ。こいつ、バカなのか?そんな事をしたら、令息どもが集まって来るだろう。案の定、たくさんの令息が一緒に行きたいと言い出した。

チラリと王太子殿下の方を見ると、自分も行きたいというような顔をしていたが、令嬢に囲まれて身動きが取れない様だった。

仕方なく馬車に乗り合わせて、店へと向かう。ジンが執事に頼んで、一足先に店の準備を依頼していた。

「マリア嬢、めちゃくちゃ感じのいい子じゃないか?誰だよ、マリア嬢はとっつきにくくて、話しかけても無視するとか言ったやつは」

「本当にな。笑顔も向けてくれたし。それに、やっぱりあの子、めちゃくちゃ可愛いな…」

鼻の下を伸ばす男ども。クソ、マリアは俺のなのに…でも、まだ正式に婚約を結んでいる訳ではない。マリアが15歳になるまで、まだ10カ月近くもあるのか…

お店に着くと急いでマリアの隣をキープした。そんな俺を見たジャックが、俺とマリアはいずれ婚約するのか?と、聞いて来たのだ。

するとマリアが

「私たちはただの幼馴染ですわ。それにライアンは騎士団にしか興味がない様なので、私たちが婚約を結ぶことはあり得ないですの」

と、これまたふざけた事を言いだしたんだ。こいつは何を言っているんだ?俺がなぜ結婚しない事になっているんだ!そもそも俺は侯爵家の嫡男だぞ!

あまりにもふざけた事を言うものだから、ついマリアに向かって怒ってしまった。オロオロするマリア。そんな俺たちを宥めたジャックによって、その話は終わったが、それでも俺のイライラは止まらない。

楽しそうに男どもと話すマリアを睨みつけてやったが、とうの本人は全く気が付いていない。本当に鈍い女だ!

そして食事会はやっとお開きになり、行きと同じように馬車に乗り込んだ。

「いやぁ、マリアちゃん。本当に素敵な子だよな。お妃候補にも興味がない様だし、俺、マリアちゃんが15歳になったら、結婚を申し込もうかな?」

「俺も今同じことを考えていたんだよ。何だ、やっぱりライバルが多いのか…そうだよな。でも負けないからな」

何てふざけたとこを話している男ども。そもそもマリアは、俺と婚約する事が決まっているんだ。イヤ…まだ決まっていないのか…15歳になって、お互い好きな人がいなかったら婚約するという親同士のルールがある。

もちろん俺たちが好き同士なら問題ないが、少なくともマリアは、俺の事を異性としてあまり見ていない気がする。

このままではとにかくマズイ。何とかしないと…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私が、良いと言ってくれるので結婚します

あべ鈴峰
恋愛
幼馴染のクリスと比較されて悲しい思いをしていたロアンヌだったが、突然現れたレグール様のプロポーズに 初対面なのに結婚を決意する。 しかし、その事を良く思わないクリスが・・。

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

【完結】伯爵令嬢は婚約を終わりにしたい〜次期公爵の幸せのために婚約破棄されることを目指して悪女になったら、なぜか溺愛されてしまったようです〜

よどら文鳥
恋愛
 伯爵令嬢のミリアナは、次期公爵レインハルトと婚約関係である。  二人は特に問題もなく、順調に親睦を深めていった。  だがある日。  王女のシャーリャはミリアナに対して、「二人の婚約を解消してほしい、レインハルトは本当は私を愛しているの」と促した。  ミリアナは最初こそ信じなかったが王女が帰った後、レインハルトとの会話で王女のことを愛していることが判明した。  レインハルトの幸せをなによりも優先して考えているミリアナは、自分自身が嫌われて婚約破棄を宣告してもらえばいいという決断をする。  ミリアナはレインハルトの前では悪女になりきることを決意。  もともとミリアナは破天荒で活発な性格である。  そのため、悪女になりきるとはいっても、むしろあまり変わっていないことにもミリアナは気がついていない。  だが、悪女になって様々な作戦でレインハルトから嫌われるような行動をするが、なぜか全て感謝されてしまう。  それどころか、レインハルトからの愛情がどんどんと深くなっていき……? ※前回の作品同様、投稿前日に思いついて書いてみた作品なので、先のプロットや展開は未定です。今作も、完結までは書くつもりです。 ※第一話のキャラがざまぁされそうな感じはありますが、今回はざまぁがメインの作品ではありません。もしかしたら、このキャラも更生していい子になっちゃったりする可能性もあります。(このあたり、現時点ではどうするか展開考えていないです)

片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜

橘しづき
恋愛
 姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。    私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。    だが当日、姉は結婚式に来なかった。  パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。 「私が……蒼一さんと結婚します」    姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。

美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛

らがまふぃん
恋愛
 こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。10~15話前後の短編五編+番外編のお話です。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。※R6.5/18お気に入り登録300超に感謝!一話書いてみましたので是非是非! *らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。 ※R7.2/22お気に入り登録500を超えておりましたことに感謝を込めて、一話お届けいたします。本当にありがとうございます。  ※R7.10/13お気に入り登録700を超えておりました(泣)多大なる感謝を込めて一話お届けいたします。 *らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.10/30に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。 ※R7.12/8お気に入り登録800超えです!ありがとうございます(泣)一話書いてみましたので、ぜひ!

出来レースだった王太子妃選に落選した公爵令嬢 役立たずと言われ家を飛び出しました でもあれ? 意外に外の世界は快適です

流空サキ
恋愛
王太子妃に選ばれるのは公爵令嬢であるエステルのはずだった。結果のわかっている出来レースの王太子妃選。けれど結果はまさかの敗北。 父からは勘当され、エステルは家を飛び出した。頼ったのは屋敷を出入りする商人のクレト・ロエラだった。 無一文のエステルはクレトの勧めるままに彼の邸で暮らし始める。それまでほとんど外に出たことのなかったエステルが初めて目にする外の世界。クレトのもとで仕事をしながら過ごすうち、恩人だった彼のことが次第に気になりはじめて……。 純真な公爵令嬢と、ある秘密を持つ商人との恋愛譚。

狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します

ちより
恋愛
 侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。  愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。  頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。  公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。

愛する旦那様が妻(わたし)の嫁ぎ先を探しています。でも、離縁なんてしてあげません。

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
【清い関係のまま結婚して十年……彼は私を別の男へと引き渡す】 幼い頃、大国の国王へ献上品として連れて来られリゼット。だが余りに幼く扱いに困った国王は末の弟のクロヴィスに下賜した。その為、王弟クロヴィスと結婚をする事になったリゼット。歳の差が9歳とあり、旦那のクロヴィスとは夫婦と言うよりは歳の離れた仲の良い兄妹の様に過ごして来た。 そんな中、結婚から10年が経ちリゼットが15歳という結婚適齢期に差し掛かると、クロヴィスはリゼットの嫁ぎ先を探し始めた。すると社交界は、その噂で持ちきりとなり必然的にリゼットの耳にも入る事となった。噂を聞いたリゼットはショックを受ける。 クロヴィスはリゼットの幸せの為だと話すが、リゼットは大好きなクロヴィスと離れたくなくて……。

処理中です...