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第17話:マリアにもっとアピールしないと~ライアン視点~

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学院に着くと、マリアの家の馬車に乗り込んだ。このままマリアと離れたくなかったからだ。ただ俺は、ものすごくマリアに腹を立てていた。その為、醜い嫉妬心をむき出し、マリアを責め立ててしまった。

そんな俺を必死に宥めるマリア。久しぶりに、一緒にマリアの家の中庭に行く事になった。中庭では昔の話を嬉しそうにマリアが話す。そして何を思ったのか、なぜ5歳で騎士団に入ったのか聞いて来た。

それは、お前を守れるくらい強くなりたかったから…
お前が結婚したいと言った、強くて優しい騎士になる為…

そう頭に浮かんだが、マリアに伝える事はなかった。そんな事、恥ずかしくて言えるか!そう思ったからだ。

不思議そうな顔をするマリアを連れ、そのまま中庭を散歩した。こうやってマリアと2人でゆっくり過ごしたのはいつぶりだろう。こいつ、一気に綺麗になりやがって…

「ライアン、私の顔に何かついている?」

俺がマリアを見つめていたからか、コテンと首を傾げ、そう聞いてくる。本当にこいつは…

「別に何にもないよ。ほら、そろそろ夕食の時間だろう。早く行くぞ」

マリアの手を握り、食堂へと向かった。すると、なぜか俺の両親と弟たちも来ていた。

「ライアンがレィークス侯爵家で食事をすると聞いて、私たちも来たんだ。最近中々こうやって皆で食事をする機会がなかったもんな。さあ、今日はゆっくり食事をしよう」

父上とマリアの父親が嬉しそうにワインを飲み始めた。母上とマリアの母親も、楽しそうに話しをしている。俺の弟たちとマリアの弟のヴァンも、話しをしながら食事を始めた。

「ライアン、私たちも食べましょう。こうやって2家族が食事をするのって、本当に久しぶりね。なんだか子供の頃を思い出すわ」

確かに子供の頃は、よく2家族で食事をしていたな。久しぶりという事もあり、父親たちはかなり酒を飲んでいる様だ。

「そういえばマリアは、王太子殿下に気に入られたそうじゃないか?」

急に父上がマリアに話しかけた。

「気に入られたというか…でも、しっかりお断りしましたわ」

「そうか、それは良かった。マリアはライアンと結婚するのだからな」

ガハガハと笑いながら、父上がそう言ったのだ。

「おじ様、少し飲みすぎですわ。私とライアンは、そんな関係ではありませんから」

マリアが父上にお水を渡している。

「何を言っているんだ。お前はライアンと結婚して、侯爵夫人になるんだぞ。いいか、マリア、ライアン以外に好きな男を作るなよ。いいな!」

マリアに何度も言い聞かせる父上。いいぞ、父上。これでマリアが俺の事を意識してくれたら!そう思ったのだが…

「おい、いい加減にしろ。マリア、ちょっとこいつは飲みすぎた様だ。こいつの言う事は気にしなくてもいいぞ」

マリアの父親がそう伝えたのだ。

「分かっていますわ、お父様。ライアンも私も、相手を選ぶ権利がありますものね。ちゃんと自分で結婚相手を選びますから」

そう言って笑っていた。自分で結婚相手を選ぶか…確かにこの国の貴族は、恋愛結婚が増えてきている。好きでもない相手と家の為に結婚しても、離縁率が高いからだ。家の両親もマリアの両親も、恋愛結婚なのだ。

その為、マリアも自分で婚約者を選ぶと思っているのだろう。
結局その日は夜遅くまで、マリアの家でご馳走になった。完全に出来上がった父上を連れ、馬車に乗り込む。

「ライアン…お前、マリア意外とは結婚するつもりがないんだろ?俺はお前に侯爵家を継いでもらいたいと思っている。いいか、何が何でもマリアを手に入れろよ…いざとなったら、俺が侯爵に話しを付けてやるかなら…いいな…」

父上が何度も俺にそう伝えた。

「もう、あなたは飲みすぎですよ。でも、私もマリアちゃんがライアンのお嫁さんになってくれたら、嬉しいわ。ライアン、頑張るのよ」

母上までそんな事を言っている。両親に言われなくても、俺はマリアと結婚するつもりだ。その為に、今まで努力してきたのだから…
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