21 / 62
第21話:私、何をしているのかしら?
しおりを挟む
ライアンが去っていくと、私をジト目で睨む令嬢たち。ふん、別に睨まれても怖くないんだから。そもそも私は、1度目の生の時は、もっと熾烈な戦いをしていたのだから!
そう思っていたのだが…
「マリア、あなたライアン様がやっぱり好きなのね。それにしても、すごいわね。令嬢たちからライアン様を奪い取り、そのまま令嬢たちに一切の隙を与えないのですもの」
「本当ね…まるでお妃候補の戦いを見ている様だったわ…」
お妃候補の戦い?
しまった、私ったらつい熱くなってしまったわ。これじゃあ、1度目の生の時の私と同じじゃない。こんな事をしていたら、きっと素敵な殿方とは巡り合えないわ!
でも…
どうしてもライアンが他の令嬢たちと仲良く話す姿を見るのが嫌だったのだ。私ったら、どうしたのかしら?1度目の生の時は、ライアンが他の令嬢に囲まれていても、何とも思わなかったのに…
そもそもライアンは、どうして1度目の生の時、結婚をしなかったのかしら。1度目の時も今と同じくらい、令嬢からは人気があったはずなのに…
考えれば考えるほど、分からない。
「マリア、大丈夫?確かに気になる令息が他の令嬢に囲まれていたら、気が気ではないものね。気持ち、わかるわ」
そう言って私の肩を叩いて慰めてくれるリリア。て、何でそうなるのよ。
「リリア、私は別にライアンの事なんて…」
「好きじゃないとでも言いたげね。まあ、マリアは鈍いから、自分の気持ちにまだ気が付いていないのね…マリア、とにかく後悔しないようにね。ライアン様はとてもモテるのよ、他の令嬢と婚約してから泣いても知らないからね」
他の令嬢と婚約か…
後悔しない様に…
その言葉が、妙に引っかかる。私は今、一度目の生を糧に、二度目の生を生きている。今度こそ幸せになる為だ。
その為に、今回はヒューゴ様には近づかない様にしていた。そして、素敵な殿方を見つけ、幸せな結婚を夢見ていた。でも…
稽古場で再び稽古をしているライアンを見つめる。ただの幼馴染だと思っていたのに…
どうして急に、ライアンが他の令嬢と仲良くすると、無性に腹が立ったのかしら?
このまま1度目の生の時みたいに、ライアンをめぐって熾烈な争いを続けるの?そんなのは嫌よ。そもそもライアンは、本当に結婚するかどうか分からないのに…
とにかく、今回の生では幸せになりたいのよ。出来れば争いは避けつつ…
リリアはああ言っていたけれど、今回の生では争いごとは避けたい。と言っても、早速女の争いに参加してしまったが…
その点は大いに反省中だ。
そんな事を考えているうちに、お昼休憩に入った。一斉にライアンに群がる令嬢たち。その姿を見て、やはりモヤモヤとするが、もう令嬢たちの争いに参加しないと決めたのだ。
少し離れたところで、様子を見守る。
「マリア、ライアン様のところに行かなくていいの?」
「ええ、私は令嬢たちの争いには参加するつもりはないもの」
「もう、素直じゃないんだから…本当にマリアは…」
あきれ顔のリリア。なんと言われようと、私はもう争いには参加しないし、穏やかに暮らしたい。そして、私だけを見てくれる殿方と、幸せになりたいのだ。
「やあ、マリアちゃんたち。今日の俺たち、格好よかっただろう?」
私たちの元にやって来たのは、ジャック様やジン様、同じクラスの令息たちだ。彼らも騎士団に所属している。
「ええ、皆とてもカッコよかったですわ。やっぱりああやって竹刀を振るっている姿を見ると、見とれてしまいますわね」
「それは本当かい?マリアちゃんに褒められると、俄然やる気が出てくるな」
私は思った事を言っただけなのに、なぜか頬を赤らめ嬉しそうに笑う令息たち。
「おい、お前たち、マリアに近づくな。お前、なんでさっきみたいに俺のところに来ないんだよ」
なんとか令嬢を振り切ったライアンが、ふくれっ面で私の元にやって来た。
「だって、皆ライアンが好きで集まっているのでしょう?邪魔しちゃ悪いと思って…」
「何が悪いだよ!ほら、もう一般公開の時間は終わりだ。門まで送って行ってやるから。いいか、寄り道せずにまっすぐ帰るんだぞ。いいな、分かったな?お前の馬車が走り出すまで、しっかり見張っているからな」
そう言うと、私の腕を掴んで歩き出したラアイン。
「ライアン、マリアちゃんを独り占めするなよ。そうだ、せっかくだから、皆で騎士団の食堂で食事をしようぜ。物凄く旨いんだぜ」
「まあ、それは本当?せっかくだから、皆で頂きていきましょう」
「そうね、騎士団の食堂なんて、中々入れるものではないものね」
リリアたちも乗り気だ。早速騎士団の食堂へ向かおうとした時だった。
「いい加減にしろよ!あそこは男がウジャウジャいるんだぞ。とにかく、マリアはもう帰れ!」
そう言うと、無理やり私を門の方へ連れて行こうとするライアン。
「どうしてよ。ちょっとくらい食堂で食事をしてもいいじゃない!ライアンのケチ!」
「誰がケチだよ!」
「まあまあ、ラアイン。ちょっとくらいいいじゃないか。ほら、マリアちゃん、行こうぜ」
そう言うと、私たちの背中を押すジャック様達。すかさず文句を言うライアンをスルーし、皆で楽しく食堂で食事をしたのだった。
そう思っていたのだが…
「マリア、あなたライアン様がやっぱり好きなのね。それにしても、すごいわね。令嬢たちからライアン様を奪い取り、そのまま令嬢たちに一切の隙を与えないのですもの」
「本当ね…まるでお妃候補の戦いを見ている様だったわ…」
お妃候補の戦い?
しまった、私ったらつい熱くなってしまったわ。これじゃあ、1度目の生の時の私と同じじゃない。こんな事をしていたら、きっと素敵な殿方とは巡り合えないわ!
でも…
どうしてもライアンが他の令嬢たちと仲良く話す姿を見るのが嫌だったのだ。私ったら、どうしたのかしら?1度目の生の時は、ライアンが他の令嬢に囲まれていても、何とも思わなかったのに…
そもそもライアンは、どうして1度目の生の時、結婚をしなかったのかしら。1度目の時も今と同じくらい、令嬢からは人気があったはずなのに…
考えれば考えるほど、分からない。
「マリア、大丈夫?確かに気になる令息が他の令嬢に囲まれていたら、気が気ではないものね。気持ち、わかるわ」
そう言って私の肩を叩いて慰めてくれるリリア。て、何でそうなるのよ。
「リリア、私は別にライアンの事なんて…」
「好きじゃないとでも言いたげね。まあ、マリアは鈍いから、自分の気持ちにまだ気が付いていないのね…マリア、とにかく後悔しないようにね。ライアン様はとてもモテるのよ、他の令嬢と婚約してから泣いても知らないからね」
他の令嬢と婚約か…
後悔しない様に…
その言葉が、妙に引っかかる。私は今、一度目の生を糧に、二度目の生を生きている。今度こそ幸せになる為だ。
その為に、今回はヒューゴ様には近づかない様にしていた。そして、素敵な殿方を見つけ、幸せな結婚を夢見ていた。でも…
稽古場で再び稽古をしているライアンを見つめる。ただの幼馴染だと思っていたのに…
どうして急に、ライアンが他の令嬢と仲良くすると、無性に腹が立ったのかしら?
このまま1度目の生の時みたいに、ライアンをめぐって熾烈な争いを続けるの?そんなのは嫌よ。そもそもライアンは、本当に結婚するかどうか分からないのに…
とにかく、今回の生では幸せになりたいのよ。出来れば争いは避けつつ…
リリアはああ言っていたけれど、今回の生では争いごとは避けたい。と言っても、早速女の争いに参加してしまったが…
その点は大いに反省中だ。
そんな事を考えているうちに、お昼休憩に入った。一斉にライアンに群がる令嬢たち。その姿を見て、やはりモヤモヤとするが、もう令嬢たちの争いに参加しないと決めたのだ。
少し離れたところで、様子を見守る。
「マリア、ライアン様のところに行かなくていいの?」
「ええ、私は令嬢たちの争いには参加するつもりはないもの」
「もう、素直じゃないんだから…本当にマリアは…」
あきれ顔のリリア。なんと言われようと、私はもう争いには参加しないし、穏やかに暮らしたい。そして、私だけを見てくれる殿方と、幸せになりたいのだ。
「やあ、マリアちゃんたち。今日の俺たち、格好よかっただろう?」
私たちの元にやって来たのは、ジャック様やジン様、同じクラスの令息たちだ。彼らも騎士団に所属している。
「ええ、皆とてもカッコよかったですわ。やっぱりああやって竹刀を振るっている姿を見ると、見とれてしまいますわね」
「それは本当かい?マリアちゃんに褒められると、俄然やる気が出てくるな」
私は思った事を言っただけなのに、なぜか頬を赤らめ嬉しそうに笑う令息たち。
「おい、お前たち、マリアに近づくな。お前、なんでさっきみたいに俺のところに来ないんだよ」
なんとか令嬢を振り切ったライアンが、ふくれっ面で私の元にやって来た。
「だって、皆ライアンが好きで集まっているのでしょう?邪魔しちゃ悪いと思って…」
「何が悪いだよ!ほら、もう一般公開の時間は終わりだ。門まで送って行ってやるから。いいか、寄り道せずにまっすぐ帰るんだぞ。いいな、分かったな?お前の馬車が走り出すまで、しっかり見張っているからな」
そう言うと、私の腕を掴んで歩き出したラアイン。
「ライアン、マリアちゃんを独り占めするなよ。そうだ、せっかくだから、皆で騎士団の食堂で食事をしようぜ。物凄く旨いんだぜ」
「まあ、それは本当?せっかくだから、皆で頂きていきましょう」
「そうね、騎士団の食堂なんて、中々入れるものではないものね」
リリアたちも乗り気だ。早速騎士団の食堂へ向かおうとした時だった。
「いい加減にしろよ!あそこは男がウジャウジャいるんだぞ。とにかく、マリアはもう帰れ!」
そう言うと、無理やり私を門の方へ連れて行こうとするライアン。
「どうしてよ。ちょっとくらい食堂で食事をしてもいいじゃない!ライアンのケチ!」
「誰がケチだよ!」
「まあまあ、ラアイン。ちょっとくらいいいじゃないか。ほら、マリアちゃん、行こうぜ」
そう言うと、私たちの背中を押すジャック様達。すかさず文句を言うライアンをスルーし、皆で楽しく食堂で食事をしたのだった。
86
あなたにおすすめの小説
【完結】愛しき冷血宰相へ別れの挨拶を
川上桃園
恋愛
「どうかもう私のことはお忘れください。閣下の幸せを、遠くから見守っております」
とある国で、宰相閣下が結婚するという新聞記事が出た。
これを見た地方官吏のコーデリアは突如、王都へ旅立った。亡き兄の友人であり、年上の想い人でもある「彼」に別れを告げるために。
だが目当ての宰相邸では使用人に追い返されて途方に暮れる。そこに出くわしたのは、彼と結婚するという噂の美しき令嬢の姿だった――。
新聞と涙 それでも恋をする
あなたの照らす道は祝福《コーデリア》
君のため道に灯りを点けておく
話したいことがある 会いたい《クローヴィス》
これは、冷血宰相と呼ばれた彼の結婚を巡る、恋のから騒ぎ。最後はハッピーエンドで終わるめでたしめでたしのお話です。
第22回書き出し祭り参加作品
2025.1.26 女性向けホトラン1位ありがとうございます
2025.2.14 後日談を投稿しました
私が、良いと言ってくれるので結婚します
あべ鈴峰
恋愛
幼馴染のクリスと比較されて悲しい思いをしていたロアンヌだったが、突然現れたレグール様のプロポーズに 初対面なのに結婚を決意する。
しかし、その事を良く思わないクリスが・・。
【完結】出来損ないと罵られ続けた“無能な姫”は、姉の代わりに嫁ぐ事になりましたが幸せです ~あなた達の後悔なんて知りません~
Rohdea
恋愛
──隠されていた私の真実(ほんとう)の力はあなたに愛されて知りました。
小国の末姫、クローディアは、王族なら誰もが持つはずの特殊能力を授からなかったせいで、
誰からも愛されず“無能な姫”と罵られて来た。
そんなある日、大国の王から姉に縁談話が舞い込む。
王妃待遇だけど後妻、年齢も親子ほど離れている為、
泣いて嫌がった姉は自分の身代わりとしてクローディアを嫁がせればいいと言う。
反発するクローディア。
しかし、国としてクローディアは身代わりとして嫁ぐ事が決定してしまう。
罪悪感に苛まれたまま、大国に嫁いでいくクローディア。
しかし、何故かそんなクローディアを出迎えたのは……
(あれ? 私、後妻になるのでは??)
それだけでなく、嫁ぎ先での生活は想像したものと大きく違っていた。
嫁いだ先でクローディアは愛される事を知り、
また、自分に隠された真実(ほんとう)の力を知る事になる。
一方、何も知らず“無能な姫”だと言ってクローディアを手放した祖国の者達は──……
夫に相手にされない侯爵夫人ですが、記憶を失ったので人生やり直します。
MIRICO
恋愛
第二章【記憶を失った侯爵夫人ですが、夫と人生やり直します。】完結です。
記憶を失った私は侯爵夫人だった。しかし、旦那様とは不仲でほとんど話すこともなく、パーティに連れて行かれたのは結婚して数回ほど。それを聞いても何も思い出せないので、とりあえず記憶を失ったことは旦那様に内緒にしておいた。
旦那様は美形で凛とした顔の見目の良い方。けれどお城に泊まってばかりで、お屋敷にいてもほとんど顔を合わせない。いいんですよ、その間私は自由にできますから。
屋敷の生活は楽しく旦那様がいなくても何の問題もなかったけれど、ある日突然パーティに同伴することに。
旦那様が「わたし」をどう思っているのか、記憶を失った私にはどうでもいい。けれど、旦那様のお相手たちがやけに私に噛み付いてくる。
記憶がないのだから、私は旦那様のことはどうでもいいのよ?
それなのに、旦那様までもが私にかまってくる。旦那様は一体何がしたいのかしら…?
小説家になろう様に掲載済みです。
片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜
橘しづき
恋愛
姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。
私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。
だが当日、姉は結婚式に来なかった。 パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。
「私が……蒼一さんと結婚します」
姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。
あなたに未練などありません
風見ゆうみ
恋愛
「本当は前から知っていたんだ。君がキャロをいじめていた事」
初恋であり、ずっと思いを寄せていた婚約者からありえない事を言われ、侯爵令嬢であるわたし、アニエス・ロロアルの頭の中は真っ白になった。
わたしの婚約者はクォント国の第2王子ヘイスト殿下、幼馴染で親友のキャロラインは他の友人達と結託して嘘をつき、私から婚約者を奪おうと考えたようだった。
数日後の王家主催のパーティーでヘイスト殿下に婚約破棄されると知った父は激怒し、元々、わたしを憎んでいた事もあり、婚約破棄後はわたしとの縁を切り、わたしを家から追い出すと告げ、それを承認する書面にサインまでさせられてしまう。
そして、予告通り出席したパーティーで婚約破棄を告げられ絶望していたわたしに、その場で求婚してきたのは、ヘイスト殿下の兄であり病弱だという事で有名なジェレミー王太子殿下だった…。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※中世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物などは現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
好きでした、婚約破棄を受け入れます
たぬきち25番
恋愛
シャルロッテ子爵令嬢には、幼い頃から愛し合っている婚約者がいた。優しくて自分を大切にしてくれる婚約者のハンス。彼と結婚できる幸せな未来を、心待ちにして努力していた。ところがそんな未来に暗雲が立ち込める。永遠の愛を信じて、傷つき、涙するシャルロッテの運命はいかに……?
※十章を改稿しました。エンディングが変わりました。
【完結】初恋相手に失恋したので社交から距離を置いて、慎ましく観察眼を磨いていたのですが
藍生蕗
恋愛
子供の頃、一目惚れした相手から素気無い態度で振られてしまったリエラは、異性に好意を寄せる自信を無くしてしまっていた。
しかし貴族令嬢として十八歳は適齢期。
いつまでも家でくすぶっている妹へと、兄が持ち込んだお見合いに応じる事にした。しかしその相手には既に非公式ながらも恋人がいたようで、リエラは衆目の場で醜聞に巻き込まれてしまう。
※ 本編は4万字くらいのお話です
※ 他のサイトでも公開してます
※ 女性の立場が弱い世界観です。苦手な方はご注意下さい。
※ ご都合主義
※ 性格の悪い腹黒王子が出ます(不快注意!)
※ 6/19 HOTランキング7位! 10位以内初めてなので嬉しいです、ありがとうございます。゚(゚´ω`゚)゚。
→同日2位! 書いてて良かった! ありがとうございます(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる