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第45話:地獄に落ちろ~ライアン視点~
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「皆の者、今日集まってもらったのは他でもない。実は昨日、レィークス侯爵家のマリア嬢が貴族学院内の林で、ディースティン男爵家のクラシエ嬢に毒殺されかけた。毒で苦しんでいるマリア嬢を、ライアンが見つけ助け出した事で、事なきを得た」
「何だって、あり得ないでしょう。侯爵令嬢が男爵令嬢を手に掛けるならわかりますが…」
「なんて恐ろしい事を。それも安全と言われていた貴族学院で…」
周りが明らかに動揺しだし、ざわめいている。そりゃそうだろう、貴族学院内で、男爵令嬢が侯爵令嬢を毒殺しようだなんて。前代未聞の大事件だ。
「皆の者、落ち着いてくれ。騎士団長、経緯の説明を」
騎士団長が前に出て、今回の事件の詳細を説明し始めた。もちろん、録音されていた音声もその場で流された。
「それから、ディースティン男爵家を家宅捜索した結果、レィークス侯爵令嬢に使われた毒も、ディースティン男爵令嬢の部屋から発見されました。さらに、どうやら彼女は闇の人間を雇っていた様で、契約書や毒の購入に関する資料なども押収しております。それがこちらです。雇っていた男も、既に捕まえております」
騎士団長が書類を広げた。さらに
「それから、毒について医師に確認を取りました。どうやらこの毒は、丸半日激痛と息苦しさに襲われた後、命を落とすタイプの様です。すぐに殺さず苦しませて殺すだなんて、はっきり申し上げて、鬼畜のする事です」
騎士団長がはっきりと告げた。あの女、そんな恐ろしい毒を使ったのか。
「そんな恐ろしい毒を、侯爵令嬢に使うだなんて…それに、これほどまでに証拠がそろっているのだ。即刻ディースティン男爵令嬢の処罰を」
「陛下、どうか厳罰を!」
周りの貴族たちが、騒ぎ始めた。
「皆の者、静粛に。確かに皆が言う様に、これほど証拠がそろっているのだ。早く処罰した方がいいだろう。法にのっとり、極刑に処すという事でよいな。異議があるものは挙手を」
誰も手を上げなかった。これであの女の処刑が決まった。またあの女に協力した男も、一緒に処刑されるとの事。さらにディースティン男爵家は取り潰しになり、財産は全てレィークス侯爵家に支払う慰謝料に充てられることになった。
それでも足りない分は、今後一族が一生かけて返していく事で話はついた。
そして刑の執行は、今日の午後行われることになった。まさに、異例の速さだ。だが、あの女が極刑に処されることが決まったからと言って、俺はあの女を許す事なんてできない。
「ライアン、後は執行されるのを待つだけだ。どうする?お前が希望するなら、立ち会ってもいいんだぞ」
騎士団長が俺に話しかけてきてくれた。
「お気遣い、ありがとうございます、騎士団長。刑執行には時間が掛かるでしょう。その間にマリアが目覚めたら困るので、俺はマリアの側にいる事にします。ただ、最後にディースティン男爵令嬢と話をしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ああ、構わない。行ってこい」
「ありがとうございます」
騎士団長に頭を下げ、地下牢へと向かった。牢の前まで来ると、あの女がうずくまっている姿が目に入った。
「さっきお前の処罰が確定した。毒殺刑だ。お前は今日の午後、マリアに飲ませた毒で命を落とす」
自分で準備した毒を、まさか自分が飲むことになるなんてな。
「そんな…あの毒を私に飲めというの?酷いわ。お願い、ちょっとした嫉妬心だったの。そもそも、マリア様は一命を取り留めたのでしょう?それなら、私が死ぬ必要なんてないじゃない。お願い、助けて…」
必死に牢にしがみつき、俺に訴えるこの女。本当にバカなのか?許すわけがないだろう。
「お前、俺の事を舐めているのか?俺の大切なマリアを苦しめたくせに。本当は俺の手で八つ裂きにしたいくらいなんだ。それとも本当に八つ裂きにして欲しいか?」
スッと剣を抜くと、あの女の喉元に突き付けた。
「ひぃぃぃぃ。あなた、騎士団員でしょう。市民を守る騎士団員が、こんな事をしてもいいの?」
「そうだな、本来ならよくない。でも、お前は死刑囚だ、多少傷つけても問題はないだろう」
ニヤリと笑うと
「ひぃぃぃ、ごめんなさい、ごめんなさい」
そう言って何度も膝をついて謝る女。きっと俺が本当にこの女を傷つけると思ったのだろう。本当にクズだな、この女。こいつと同じ空気を吸っていると思うと、虫唾が走る。剣を腰にしまうと
「それじゃあな、ディースティン元男爵令嬢、せいぜい残り少ない余生を楽しむのだな」
そう言い残して、地下牢を後にした。地下牢をでるとき、王太子殿下とすれ違った。きっと殿下も今からあの女に最後の挨拶をしに行くのだろう。
俺にはどうでもいいことだが…それにしても、本当に最後までふてぶてしい女だ。やっぱり刑を執行されるとき、様子を見に行こう。あの女が苦しむ姿を見るのも、悪くないだろう。
でもまずは、マリアに会いに行かないと。その為にも一旦家に帰り、体を清めないとな。待っていてくれ、マリア、今会いに行くからな。
「何だって、あり得ないでしょう。侯爵令嬢が男爵令嬢を手に掛けるならわかりますが…」
「なんて恐ろしい事を。それも安全と言われていた貴族学院で…」
周りが明らかに動揺しだし、ざわめいている。そりゃそうだろう、貴族学院内で、男爵令嬢が侯爵令嬢を毒殺しようだなんて。前代未聞の大事件だ。
「皆の者、落ち着いてくれ。騎士団長、経緯の説明を」
騎士団長が前に出て、今回の事件の詳細を説明し始めた。もちろん、録音されていた音声もその場で流された。
「それから、ディースティン男爵家を家宅捜索した結果、レィークス侯爵令嬢に使われた毒も、ディースティン男爵令嬢の部屋から発見されました。さらに、どうやら彼女は闇の人間を雇っていた様で、契約書や毒の購入に関する資料なども押収しております。それがこちらです。雇っていた男も、既に捕まえております」
騎士団長が書類を広げた。さらに
「それから、毒について医師に確認を取りました。どうやらこの毒は、丸半日激痛と息苦しさに襲われた後、命を落とすタイプの様です。すぐに殺さず苦しませて殺すだなんて、はっきり申し上げて、鬼畜のする事です」
騎士団長がはっきりと告げた。あの女、そんな恐ろしい毒を使ったのか。
「そんな恐ろしい毒を、侯爵令嬢に使うだなんて…それに、これほどまでに証拠がそろっているのだ。即刻ディースティン男爵令嬢の処罰を」
「陛下、どうか厳罰を!」
周りの貴族たちが、騒ぎ始めた。
「皆の者、静粛に。確かに皆が言う様に、これほど証拠がそろっているのだ。早く処罰した方がいいだろう。法にのっとり、極刑に処すという事でよいな。異議があるものは挙手を」
誰も手を上げなかった。これであの女の処刑が決まった。またあの女に協力した男も、一緒に処刑されるとの事。さらにディースティン男爵家は取り潰しになり、財産は全てレィークス侯爵家に支払う慰謝料に充てられることになった。
それでも足りない分は、今後一族が一生かけて返していく事で話はついた。
そして刑の執行は、今日の午後行われることになった。まさに、異例の速さだ。だが、あの女が極刑に処されることが決まったからと言って、俺はあの女を許す事なんてできない。
「ライアン、後は執行されるのを待つだけだ。どうする?お前が希望するなら、立ち会ってもいいんだぞ」
騎士団長が俺に話しかけてきてくれた。
「お気遣い、ありがとうございます、騎士団長。刑執行には時間が掛かるでしょう。その間にマリアが目覚めたら困るので、俺はマリアの側にいる事にします。ただ、最後にディースティン男爵令嬢と話をしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ああ、構わない。行ってこい」
「ありがとうございます」
騎士団長に頭を下げ、地下牢へと向かった。牢の前まで来ると、あの女がうずくまっている姿が目に入った。
「さっきお前の処罰が確定した。毒殺刑だ。お前は今日の午後、マリアに飲ませた毒で命を落とす」
自分で準備した毒を、まさか自分が飲むことになるなんてな。
「そんな…あの毒を私に飲めというの?酷いわ。お願い、ちょっとした嫉妬心だったの。そもそも、マリア様は一命を取り留めたのでしょう?それなら、私が死ぬ必要なんてないじゃない。お願い、助けて…」
必死に牢にしがみつき、俺に訴えるこの女。本当にバカなのか?許すわけがないだろう。
「お前、俺の事を舐めているのか?俺の大切なマリアを苦しめたくせに。本当は俺の手で八つ裂きにしたいくらいなんだ。それとも本当に八つ裂きにして欲しいか?」
スッと剣を抜くと、あの女の喉元に突き付けた。
「ひぃぃぃぃ。あなた、騎士団員でしょう。市民を守る騎士団員が、こんな事をしてもいいの?」
「そうだな、本来ならよくない。でも、お前は死刑囚だ、多少傷つけても問題はないだろう」
ニヤリと笑うと
「ひぃぃぃ、ごめんなさい、ごめんなさい」
そう言って何度も膝をついて謝る女。きっと俺が本当にこの女を傷つけると思ったのだろう。本当にクズだな、この女。こいつと同じ空気を吸っていると思うと、虫唾が走る。剣を腰にしまうと
「それじゃあな、ディースティン元男爵令嬢、せいぜい残り少ない余生を楽しむのだな」
そう言い残して、地下牢を後にした。地下牢をでるとき、王太子殿下とすれ違った。きっと殿下も今からあの女に最後の挨拶をしに行くのだろう。
俺にはどうでもいいことだが…それにしても、本当に最後までふてぶてしい女だ。やっぱり刑を執行されるとき、様子を見に行こう。あの女が苦しむ姿を見るのも、悪くないだろう。
でもまずは、マリアに会いに行かないと。その為にも一旦家に帰り、体を清めないとな。待っていてくれ、マリア、今会いに行くからな。
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