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第38話:気にくわないです
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「シャレル嬢、おはようございます。あなたに会うだなんて、珍しいですね」
「おはようございます、ディン様。ええ、そうですね…」
「シャレル嬢と私が話をすると、殿下の機嫌が悪くなってしまいますので、私はこれで失礼いたします。シャレル嬢、あまり王宮内をウロウロしていると、ダーウィン殿下に叱られますよ」
「ウロウロだなんてしておりませんわ。私は真っすぐと中庭に向かっているところです。それでは、失礼いたします」
あの男が王宮をウロウロとし始めてから、早3ヶ月、私のデビュータントの時、ダーウィン様に近づくためにダンスを誘って来た男。
非常に優秀と評判だが、何分1度目の生の時、ジョーン殿下の側近だった彼を信じられず、どうしたものかと考えていた所、あろう事か3ヶ月前に、上手くダーウィン様に近づき、まんまと彼の側近になったのだ。
正直あの男がダーウィン様を裏切らないか心配でたまらないが、なぜかダーウィン様は、あの男を傍に置いている。
私と会う事はほとんどないが、会うとチクリチクリと嫌味を言ってくるのだ。あんな感じの悪い男だと知っていたら、全力で止めたのに。
「何なのかしら、あの男。本当に感じの悪い男ね」
「お言葉ですがお嬢様、我が家に入り込んでいたスパイを暴いたのも、ディン様です。それに心配性のダーウィン殿下を説得して、中庭までなら出てもよいという許可を取って下さったのも、ディン様ですよ」
「そんな事は分かっているわよ。でも、なんだか癪に障るのよね。あの男」
そもそも、ダーウィン様の一番の理解者は私だ。それなのに、ダーウィン様ったら、ずっとあの男を傍に置いて。別に私だって、我が家にスパイを送りこまれていた事くらい、すぐに気づけたわよ…ただ…あの子はあまりにもいい子だったから、遠慮していただけ…
そう、決してスパイに気が付けなかったわけではない。それに別に私は、部屋から出してもらえなくてもよかったのだ。それなのにあの男が、勝手な事をしただけ…
それなのに!みんな、あの男にきっと騙されているのよ!
「お嬢様、今日は中庭でのティータイムは中止いたしましょう。すぐにお部屋に戻ってください」
「どうして?せっかくいいお天気なのに」
「ディン様から今指示が入りました。ですから」
「あの男からの指示ですって。それなら、尚更聞けないわ。さあ、行きましょう」
そのまま中庭に向かおうとした時だった。
「シャレル、まだここにいたのかい?ディンからの指示があったはずだよ。本当に君は。僕が来てよかったよ。さあ、お部屋に戻るよ」
私の元にやって来たのは、ダーウィン様だ。私の手を掴むと、速足で歩きだした。
「ダーウィン様、どうしてお部屋に戻らないといけないのですか?こんなにいいお天気ですのに。私はバラ園でお茶を楽しもうと思っておりますの」
「どうやらバラ園の近くに、ジョーンがうろついているそうだよ。君だってジョーンには会いたくはないだろう?すぐにディンの側近が知らせてくれたのだよ。そうそう、先日君のバラ園を荒らした犯人は、マリア嬢だったそうだ。本当にあの女、どうしようもない子だな」
「その犯人も、ディン様が見つけたのですか?」
「ああ、そうだよ。現行犯で捕まえたそうだよ。さすがの母上もカンカンでね。“ジョーンとの婚約を白紙に戻す”と、怒り狂っていて。落ち着かせるのに大変だったんだ。どうやらマリア嬢と母上は、仲が悪い様でね。本当に頭が痛いよ」
はぁっとため息をつくダーウィン様。もしこのままマリア様とジョーン殿下の婚約が白紙に戻ったら…
既に1度目の生の時と、話が随分変わってきているのだ。もしマリア様とジョーン殿下が婚約を解消するなんて事になったら、この後どうなるのかしら?
考えただけで頭が痛い。
それよりも、ディン様め、手柄を次々と立てて、ダーウィン様の信頼を手に入れようだなんて。
「ダーウィン様、ディン様が非常に優秀なのは理解しております。ですが、万が一彼がジョーン殿下の手下だったらどうなさるおつもりですか?」
部屋につくなり、ダーウィン様に抗議をした。
「ディンはスパイではないよ。ちゃんと調べているから、安心して欲しい。それよりもシャレル、ディンの話をよくするね。もしかしてディンに興味があるのかい?極力ディンには、君に近づかない様に伝えてあるのだが…今日も2人で楽しそうに話しをしていたね」
「楽しそうに話しですって!ディン様がいつの通り、私に嫌味を言って来ただけですわ。あの人、本当に性格が悪いのですのよ。あんな性悪男、誰が好きになるものですか」
「シャレル、少し言葉を慎んで。いくら何でも、言いすぎだ。とにかく君は、部屋で過ごす事。分かったね。それじゃあ、また来るから」
私に口づけをして、そのまま部屋から出て行ったダーウィン様。彼は完全にあの男の味方の様だ。婚約者の私よりも、あの男を選ぶだなんて、ダーウィン様ったら。こうなったらすねてやるのだから。
それにしてもあの男、本当に気に入らないわ。いくら優秀だからって、あんな男をそばにおくだなんて。
「おはようございます、ディン様。ええ、そうですね…」
「シャレル嬢と私が話をすると、殿下の機嫌が悪くなってしまいますので、私はこれで失礼いたします。シャレル嬢、あまり王宮内をウロウロしていると、ダーウィン殿下に叱られますよ」
「ウロウロだなんてしておりませんわ。私は真っすぐと中庭に向かっているところです。それでは、失礼いたします」
あの男が王宮をウロウロとし始めてから、早3ヶ月、私のデビュータントの時、ダーウィン様に近づくためにダンスを誘って来た男。
非常に優秀と評判だが、何分1度目の生の時、ジョーン殿下の側近だった彼を信じられず、どうしたものかと考えていた所、あろう事か3ヶ月前に、上手くダーウィン様に近づき、まんまと彼の側近になったのだ。
正直あの男がダーウィン様を裏切らないか心配でたまらないが、なぜかダーウィン様は、あの男を傍に置いている。
私と会う事はほとんどないが、会うとチクリチクリと嫌味を言ってくるのだ。あんな感じの悪い男だと知っていたら、全力で止めたのに。
「何なのかしら、あの男。本当に感じの悪い男ね」
「お言葉ですがお嬢様、我が家に入り込んでいたスパイを暴いたのも、ディン様です。それに心配性のダーウィン殿下を説得して、中庭までなら出てもよいという許可を取って下さったのも、ディン様ですよ」
「そんな事は分かっているわよ。でも、なんだか癪に障るのよね。あの男」
そもそも、ダーウィン様の一番の理解者は私だ。それなのに、ダーウィン様ったら、ずっとあの男を傍に置いて。別に私だって、我が家にスパイを送りこまれていた事くらい、すぐに気づけたわよ…ただ…あの子はあまりにもいい子だったから、遠慮していただけ…
そう、決してスパイに気が付けなかったわけではない。それに別に私は、部屋から出してもらえなくてもよかったのだ。それなのにあの男が、勝手な事をしただけ…
それなのに!みんな、あの男にきっと騙されているのよ!
「お嬢様、今日は中庭でのティータイムは中止いたしましょう。すぐにお部屋に戻ってください」
「どうして?せっかくいいお天気なのに」
「ディン様から今指示が入りました。ですから」
「あの男からの指示ですって。それなら、尚更聞けないわ。さあ、行きましょう」
そのまま中庭に向かおうとした時だった。
「シャレル、まだここにいたのかい?ディンからの指示があったはずだよ。本当に君は。僕が来てよかったよ。さあ、お部屋に戻るよ」
私の元にやって来たのは、ダーウィン様だ。私の手を掴むと、速足で歩きだした。
「ダーウィン様、どうしてお部屋に戻らないといけないのですか?こんなにいいお天気ですのに。私はバラ園でお茶を楽しもうと思っておりますの」
「どうやらバラ園の近くに、ジョーンがうろついているそうだよ。君だってジョーンには会いたくはないだろう?すぐにディンの側近が知らせてくれたのだよ。そうそう、先日君のバラ園を荒らした犯人は、マリア嬢だったそうだ。本当にあの女、どうしようもない子だな」
「その犯人も、ディン様が見つけたのですか?」
「ああ、そうだよ。現行犯で捕まえたそうだよ。さすがの母上もカンカンでね。“ジョーンとの婚約を白紙に戻す”と、怒り狂っていて。落ち着かせるのに大変だったんだ。どうやらマリア嬢と母上は、仲が悪い様でね。本当に頭が痛いよ」
はぁっとため息をつくダーウィン様。もしこのままマリア様とジョーン殿下の婚約が白紙に戻ったら…
既に1度目の生の時と、話が随分変わってきているのだ。もしマリア様とジョーン殿下が婚約を解消するなんて事になったら、この後どうなるのかしら?
考えただけで頭が痛い。
それよりも、ディン様め、手柄を次々と立てて、ダーウィン様の信頼を手に入れようだなんて。
「ダーウィン様、ディン様が非常に優秀なのは理解しております。ですが、万が一彼がジョーン殿下の手下だったらどうなさるおつもりですか?」
部屋につくなり、ダーウィン様に抗議をした。
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私に口づけをして、そのまま部屋から出て行ったダーウィン様。彼は完全にあの男の味方の様だ。婚約者の私よりも、あの男を選ぶだなんて、ダーウィン様ったら。こうなったらすねてやるのだから。
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