国民的アイドルは乙女ゲームのヒロインに転生したようです~婚約破棄の後は魔物公爵に嫁げ?えー、何でよ?!

むぎてん

文字の大きさ
37 / 38

36 最終話 おやすみ ~レオナルド目線

しおりを挟む

~レオナルド目線

「レオナルド様、今日から私、リリア・ボンディングになったんですね、嬉しいです。これから毎晩こうやってレオナルド様の腕の中で眠る事ができるなんて、夢みたい・・・・・・」

夢を見ているようなのは俺の方だ。
ああ、リリア、やっとお前を抱く日が来た。

優しく、優しく抱いてやる。

この世界では全くモテなかった、というか怖がられ忌避された俺だが、前世ではそれはもう、沢山の女とヤった。
女のカラダは知り尽くしている。
大丈夫だ、俺に任せろ。


細い首筋を指先でなぞりながら、優しくキスをした。
甘い甘い、蕩けるようなキスを。

リリアは気持ち良さそうに目を細め、言った。

「レオナルド様・・・・・・お休みのキス、憧れてたの。お休みなさい、レオナルド様が良い夢を見られますように」

そして、俺の腕に抱きつくと静かな寝息を立てて夢の中に旅立った。


・・・・・・は? う、嘘だろ? 初夜だぞ?
いくら何でもそれはない!!

幸せそうに微笑みを浮かべたまま眠るリリアは、やっぱり俺のミューズだ。
彼女のおでこに軽くキスをして、
俺は、はあ、とため息をついた。

このままでは眠れない。
俺は健全な20代の男子だ。

落ち着け、落ち着け。
そうだ、溜まっている仕事を少し片付けてから寝ることにしよう。
俺は隣の執務室に行こうと、そっと寝室を抜け出した。


「レオナルド、何してる?」

「トトトーマス!お前こそ何をしてるんだ!」

「いや、別に何も・・・・・・それよりリリアは?」

「・・・・・・リリアは・・・・寝た」

「はぁ? ね、寝た?! 嘘だろ! いくらリリアでもまさか、初夜だぞ?」

「ああ、初夜だ。初夜なのだが‥‥‥しかしリリアは寝ちまった!俺は泣きてぇよ!!
ああ、俺のエンジェル、俺のミューズ!まさか、俺の渾身のキスをお休みのキスと受けとるなんて信じられねぇ!オーマイガ!!」

「・・・・・・ま、まあ、仕方ないね。ゆっくり、時間をかけて頑張りな!俺もう寝るわ、お休み!」

「ああ・・・・お休み」




「ナタリー、予想どおりアイツ、転生者で間違いないぞ。心の中が声に出てて、まじウケる!あの口調からしてアメリカ人とかだろうな」

「レオナルドはレイモンド・ボーイングよ?」

「レイモンド・ボーイングってあのボクサーの?マジで?ナタリー、何で分かんの?」

「レオナルドと手合わせしたらすぐわかったわよ、あたし、鳴海の時に一度試合してるの。それにリリアちゃんが前世でボクシングファンだったって話をすると、ニヤニヤして聞き耳を立ててるし!」

「そういえばあいつら前世で一回共演してたな。リンが初めてうっすらだけど意識した男だったんだ。レイモンドは‥‥‥あれは完全にリンに一目惚れしてた」

「リリアちゃん、レオナルドがレイモンドだって知ったら驚くかな?」

「レオナルドはリリアには絶対に秘密にするだろ、10人以上の女性たちとめくるめく愛欲に溺れてるとか、そりゃもう生々しく報道されてたしな。隠し子までいたとかいないとか」

「あはは!前世の行いが悪いと痛い目見るよねー!」

「でもあいつ、俺たちにバレてないと思ってるぞ。ホント馬鹿だよな。転生者でもなきゃ理解出来ないことだらけなのに普通に納得してるし」

「マリッジリングはどうする~?とかさぁ、ホントバカを通り越してかわいいわよ」






雑念を追い払うようにバリバリと仕事を終えた俺は、寝室に戻り眠るリリアの隣に横になった。

リリアは時々、前世でボクシングのスーパーヘビー級の男のファンだったという話をナタリーにしている。
俺の事か?!
やっぱりリンも、俺の事が好きだったのか?!

だが、俺がレイモンド・ボーイングだったということは口が裂けても言えない。

リンは、レイモンドの淫らな女遍歴の報道を見ていたはず、絶対に俺の前世は内緒だ!
そう決意して、リリアの寝顔を眺める。

可愛い寝息をたてるリリアの髪をそっと撫でると、俺の腕にぎゅうっと抱き付いてきた。

「うふふ、レオナルド様、大好き・・・・・・」

リリアが寝言で俺の名を呼んだ。
マシューでもなく、トーマスでもなく、俺の名を。

不意に涙がこぼれた。
嬉しくて、嬉しくて、次から次に溢れ出る涙は止まらない。

ああ、リリア。
俺のリリア。

そうだよ、セバスの言う通りだ。
俺はお前に狂ってる。
前世から、レイモンドの頃から狂ってるんだ。

絶対に離さない。
ずっと一生お前に愛される努力をし続けよう。

お前を小さな檻に閉じ込めてしまわずに済むように。
鍵も鎖も使わずに済むように・・・・・・
俺は絶対にマサヤの様にはならない。


だから、安心して俺の腕の中でおやすみ。

俺の可愛いリリア。


────────────────────

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

【完結】地下牢同棲は、溺愛のはじまりでした〜ざまぁ後の優雅な幽閉ライフのつもりが、裏切り者が押しかけてきた〜

うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
悪役令嬢の役割を終えて、優雅な幽閉ライフの始まりだ!! と思ったら、なぜか隣の牢との間の壁が崩壊した。 その先にいたのは、悪役令嬢時代に私を裏切った男──ナザトだった。 一緒に脱獄しようと誘われるけど、やっと手に入れた投獄スローライフを手放す気はない。 断れば、ナザトは「一緒に逃げようかと思ったけど、それが嫌なら同棲だな」と言い、問答無用で幽閉先の地下牢で同棲が開始されたのだった。 全4話です。

逃げたい悪役令嬢と、逃がさない王子

ねむたん
恋愛
セレスティーナ・エヴァンジェリンは今日も王宮の廊下を静かに歩きながら、ちらりと視線を横に流した。白いドレスを揺らし、愛らしく微笑むアリシア・ローゼンベルクの姿を目にするたび、彼女の胸はわずかに弾む。 (その調子よ、アリシア。もっと頑張って! あなたがしっかり王子を誘惑してくれれば、私は自由になれるのだから!) 期待に満ちた瞳で、影からこっそり彼女の奮闘を見守る。今日こそレオナルトがアリシアの魅力に落ちるかもしれない——いや、落ちてほしい。

【完結】前提が間違っています

蛇姫
恋愛
【転生悪役令嬢】は乙女ゲームをしたことがなかった 【転生ヒロイン】は乙女ゲームと同じ世界だと思っていた 【転生辺境伯爵令嬢】は乙女ゲームを熟知していた 彼女たちそれぞれの視点で紡ぐ物語 ※不定期更新です。長編になりそうな予感しかしないので念の為に変更いたしました。【完結】と明記されない限り気が付けば増えています。尚、話の内容が気に入らないと何度でも書き直す悪癖がございます。 ご注意ください 読んでくださって誠に有難うございます。

【完結】モブの王太子殿下に愛されてる転生悪役令嬢は、国外追放される運命のはずでした

Rohdea
恋愛
公爵令嬢であるスフィアは、8歳の時に王子兄弟と会った事で前世を思い出した。 同時に、今、生きているこの世界は前世で読んだ小説の世界なのだと気付く。 さらに自分はヒーロー(第二王子)とヒロインが結ばれる為に、 婚約破棄されて国外追放となる運命の悪役令嬢だった…… とりあえず、王家と距離を置きヒーロー(第二王子)との婚約から逃げる事にしたスフィア。 それから数年後、そろそろ逃げるのに限界を迎えつつあったスフィアの前に現れたのは、 婚約者となるはずのヒーロー(第二王子)ではなく…… ※ 『記憶喪失になってから、あなたの本当の気持ちを知りました』 に出てくる主人公の友人の話です。 そちらを読んでいなくても問題ありません。

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

逆行した悪女は婚約破棄を待ち望む~他の令嬢に夢中だったはずの婚約者の距離感がおかしいのですか!?

魚谷
恋愛
目が覚めると公爵令嬢オリヴィエは学生時代に逆行していた。 彼女は婚約者である王太子カリストに近づく伯爵令嬢ミリエルを妬み、毒殺を図るも失敗。 国外追放の系に処された。 そこで老商人に拾われ、世界中を見て回り、いかにそれまで自分の世界が狭かったのかを痛感する。 新しい人生がこのまま謳歌しようと思いきや、偶然滞在していた某国の動乱に巻き込まれて命を落としてしまう。 しかし次の瞬間、まるで夢から目覚めるように、オリヴィエは5年前──ミリエルの毒殺を図った学生時代まで時を遡っていた。 夢ではないことを確信したオリヴィエはやり直しを決意する。 ミリエルはもちろん、王太子カリストとも距離を取り、静かに生きる。 そして学校を卒業したら大陸中を巡る! そう胸に誓ったのも束の間、次々と押し寄せる問題に回帰前に習得した知識で対応していたら、 鬼のように恐ろしかったはずの王妃に気に入られ、回帰前はオリヴィエを疎ましく思っていたはずのカリストが少しずつ距離をつめてきて……? 「君を愛している」 一体なにがどうなってるの!?

モブ令嬢、当て馬の恋を応援する

みるくコーヒー
恋愛
侯爵令嬢であるレアルチアは、7歳のある日母に連れられたお茶会で前世の記憶を取り戻し、この世界が概要だけ見た少女マンガの世界であることに気づく。元々、当て馬キャラが大好きな彼女の野望はその瞬間から始まった。必ずや私が当て馬な彼の恋を応援し成就させてみせます!!!と、彼女が暴走する裏側で当て馬キャラのジゼルはレアルチアを囲っていく。ただしアプローチには微塵も気づかれない。噛み合わない2人のすれ違いな恋物語。

処理中です...