目覚めはガングロギャル?!黒歴史は封印!清楚系美少女になって初恋の彼の闇落ちを阻止します!!

むぎてん

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5 ~脱・ガングロギャル 目指すは清楚系

    
  
玄関の前に立ち、軽く深呼吸をした。

未来の自分はアパート暮らしだったから、実家はずいぶん久しぶりでなんか緊張する。
このころの私、ちょっと家族とギクシャクしてたっけ。
思春期ってやつだな。

「 おかえりなさい 。今日は早かったのね。アップルパイが焼けたとこよ。 着替えて手を洗ってらっしゃい」

ママだ! 久しぶり! めっちゃ若いっ! 
こんなにふっくらしてたっけ?

未来のママの顔を思い浮かべた。
67歳、だったかな。
趣味のお菓子づくりもとっくにやめて、なんだかいつも元気がなくてため息をよくついていた。

誰もが年とっていくって、この頃は知らなかった。
いや、知ってたけどね。気づかないふりをしてたんだ。

髪を後ろで緩くまとめて、レースの付いたかわいらしいエプロンを着ている。

ママが私を生んだのはたしか25歳だったはず。
今の私は高校3年で17歳だから
・・・・・・42歳!!
このママとあの未来の私、同じ歳じゃん!
何この差。未来の私、なんて残念な子。

ガックリと肩を落としながら階段を上り、自分の部屋に入る。

うわっ!懐かしい!

濃いピンクに紫、ヒョウ柄ゼブラ柄。
これぞまさにギャル部屋だ。
懐かしいけどすごく目がチカチカする。
当時の自分の趣味とはいえ、居心地が悪すぎる。
 
そんなギャル部屋をぐるりと見渡すと、壁にかかった姿見があった。
鏡の前に立つ。

「ひいぃぃぃぃ!!!!」

その場でしゃがみこみ、頭をぐしゃぐしゃと掻きむしりながら鏡に映る自分に叫んだ。

「何よこれ! こんなにひどかったの?!  ヤバいでしょ私っ!!」

保健室ではちらりと目元を見たし、早苗とありさの格好から自分もガングロギャルだということは解ってた。
っていうか、自分が当時ガングロギャルだったという記憶もちゃんとある。
でも。でも。これはないわ!! 
 ひどい!早苗やありさの段じゃない! 
ひど過ぎる!!

慌てて制服のシャツを脱いだ。
パンツが見えそうなほど短いスカートも、ルーズソックスも脱ぎ捨てる。
ネックレスも腕輪もすべて外した。

ベッドの上にあったパーカーと短パンを着てバタバタと洗面所に走る!
ブシュッ、ブシュッとポンプを押して、これでもか! とメイク落としを手のひらにのせて顔を擦る。

ドギツいガングロメイクは一度の洗顔では落ちなかった。
何これ、油性ペン? 
このキラキラシール、取れないんだけど?
まさかア○ンアルファ?

・・・・・・馬鹿だろ過去の私っ!

二度、三度、四度と洗顔を繰り返しやっと自分の顔が見えてきた。


目の前の鏡をまじまじと見る。
17歳の私。
血色が良く、ほんのりとピンク色の肌はシミなんかひとつもない。
笑わなくても常に存在していたほうれい線も、怒ってる?と聞かれた眉間の縦じわも、寝ても覚めても消えることのなかった目の下のくまもない。
ぱっちり二重がなかなかかわいいね。
私、確かにこんな顔だった。

でも、このつまようじのような細くつり上がった眉毛はよくない。
なんとかしなきゃ、
って、いや、そんなことは後まわしだ。

私は洗面台の横の収納棚を開けて、ガチャガチャと漁った。
たしか二段目のここに
・・・・・・あった! 見つけた!
 パパ愛用のビ○ン白髪染め(純黒)だ!
それを持って浴室に飛び込んだ。


黒く染め直した髪に、たっぷりとトリートメントを塗り込む。
ブリーチしすぎてバッサバサに傷んでるからね。
あとでママのお高いヘアオイルも使っちゃおう。

ドライヤーの弱風で優しく乾かすと、元が金髪だったからか、純黒にはならず自然な栗色になってて安心した。

ふわりと軽く内巻きにして、自分で切ったであろうサイドのダサいシャギーは耳に掛けてごまかす。
とりあえず髪はこれで良しとしよう。

部屋に戻り鏡の前に座る。

お待ちかねの眉毛だ。
眉毛、これは大事。
たかが眉毛と侮るなかれ。
眉毛で顔全体の印象が決まるといっても過言ではない!

このころは、細眉つり眉が流行っていた。
ガングロだってふつうに流行ってた。
でも令和の時代を生きていた私には、それらがひどくダサく見えてしまう。
未来の世界で流行ってたファッションだってまた時が経てばダサくなる。
流行なんて時代とともに移り変わるのだ。

だからナチュラル、これにかぎる。
それにいくら流行ってるからといって童顔の私に細眉やつり眉は似合わない事くらい、40代独身の枯れおばさんでも分かる。
ていうか弁当工場に勤めるまではおしゃれ大好きだったからね。
流行には敏感だったのよ。

とりあえず、アイブロウペンシルで本来眉があるべきところを書き足していこう。
色だって大切だ。
黒髪に茶色い眉じゃ、ちぐはぐでおかしい。
大きなメイクポーチの中身をひっくり返した。
・・・・・・いらないコスメが多すぎる。

童顔の私に似合うように、少し下がり気味のやわらかい感じにしよう。
ふんわりと優しく仕上がるように軽いタッチで書いていく。
そしてしっかりとブラシでぼかす。眉頭はとくに念入りに。

つまようじ眉と格闘する事10分。
何とかいい感じに仕上がった。
清楚な感じ。あのガングロを見たあとだからね、可愛らしさ万倍だ。
清楚系で可愛い系、いいね!
 
よし、イメージは決まった。
すっぴんに見えるフルメイク、これでいこう!
 
でも今日はここまでだ。だって、あとはごはん食べて寝るだけだしね。

フフフ、待ってなさい! この土、日で完璧に仕上げて見せるわよ。
三宅冬馬も見惚れるほどの『清楚系美少女』に!


───────
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