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最終章⑤ プロポーズ side三宅冬馬
side三宅冬馬
「 冬馬くんは私と一緒に幸せになるんだよ!! 私しか冬馬くんを幸せに出来ない!私のことも冬馬くんにしか幸せに出来ない! 冬馬くんの幸せな未来も、私の幸せな未来も、絶対絶対、誰にもあげないんだから!!!!」
突然酒をイッキ飲みしたゆかりが叫んだ。
そしてそのまま俺の膝に顔を埋めて大声で泣き出した。
こんなに苛烈なゆかりを見たのは初めてだ。
これまでゆかりが自分の思いを主張したことは、数えるほどしかない。
そんなゆかりの吐き出すような強い主張は俺の心臓に深く突き刺さった。
ああ、これはもう、一生抜けないだろう。
俺の心臓には今日のゆかりが突き刺さったまま、生きていく。
十年後も、二十年後も、ずっとずっと。
こんな幸せになことがあるのか。
ありさに頬をつねられたゆかりが恥ずかしそうに俺を見た。
「ゆかり、俺が卒業したら結婚しよう。俺はゆかりと初めて話をしたあの時から、ずっと幸せなんだ。毎日毎日、幸せが増えていく。そんな幸せを続けていこう。ずっと、死ぬまで。ゆかり、結婚してくれ」
「と、冬馬くん・・・・・・、うん、ずっと、一緒に冬馬くんと幸せを続ける、だからずっと私だけを好きでいて」
「当たり前だ。言っただろう、ゆかり以外は男も女もみんな同じ、ただの人間だ。俺はゆかりしか愛せない」
「はー、ゆかりちゃんの裏側、初めて見た。強烈だね。三宅、お前、ゆかりちゃんと出会えてよかったな」
「ゆかりー、ホントに三宅でいーの?考え直すなら今だよー」
「ありさは黙れ」
「あははー、じょーだんだよ! 三宅、頑張んなよー、ゆかりを泣かしたら怒るから!」
ありさが俺の顔の前で人差し指を立てて言った。
その仕草、そのセリフ。
高校時代の、あの時のありさのままだ。
「ありさ、ずっとゆかりの親友でいてくれ。俺が間違ったら怒ってくれ。お前と早苗は俺にとっても大事な親友だと思ってる。これからもよろしく頼む」
「えー、あんたがあたしの親友? まー、しょーがないな、三宅はゆかりの大事な人だからね」
とたんに店の中が割れんばかりに賑わった。
ピュー、ピューと指笛まで聞こえる。
「お二人さん! おめでとー!」
「すっげ! 三宅の彼女、マジすげぇ!」
「三宅、お前、そんな顔できたのかよ!」
「あの三宅が公開プロポーズとかヤバいだろ!」
「お幸せにー!!」
「おーい、店長、みんなにケーキ出して!俺のオゴリ!!」
田中が叫んだ。
合コンしか興味がない男だと思っていたが、みんなにケーキを奢るとは。
以外といい奴だ。
「三宅、お前の独身生活もあと僅かだ!来週の合コン、G大の音楽学部だぞ。お前も参加しろよ!」
前言撤回だ。
「断る。お前は二度と俺を誘うな」
「ちぇー、付き合い悪りーったら。ゆかりちゃん、こいつ、つまんないでしょ? 俺に乗り換えなよー」
「ゆかりちゃんって呼ぶな、そして二度と俺に話しかけるな」
「冗談だろ!友達じゃん、んなこと言うなよ!」
こいつは俺の友達だったのか。
知らなかった。
「・・・・・・スマホが無くてよかった、動画拡散とかされたら本気で生きて行けない」
ゆかりが小さな声で何かブツブツ言っていたが、回りの笑い声に遮られてよく聞き取れなかった。
店中のみんなが笑ってる。
さっきの知らない女も、ゆかりを撫でた女の子も、その両親も。
こんな光景を見るのはもう何度目だろう。
ほらな、ゆかりはみんなに好かれる。
無理に笑っていなくても、そんなの関係ないんだ。
君は君のままで、ずっとずっと、俺と共に。
──────────
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