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三章
25 あくなき探究心
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「ヴリュソール」
しんと静まり返った牢獄に響いた声が影を呼び寄せる。闇の中でより一層深い黒色の影が踊り、凝縮して竜の形を成していく。
再び僕の前に現れた小さなヴリュソールは、心なしか嬉しそうに羽をはためかせて僕の周りを飛んだ。
「よかった、また来てくれて」
思わず安堵のため息をつく。召喚魔法なしで無理やり人間界に顕現しているのだから、魔界にいる本体はかなり消耗するに違いない。姿を消した直後はどれだけ呼んでも気配すら感じられなかったが、この数日間で回復したらしい。僕が右手を差し出すと、ヴリュソールは手のひらの上にちょこんと着地しておねだりのポーズをした。
〈もちろん。お前の体、すき〉
邪悪な竜のはずが、今や食いしん坊のちびトカゲだ。おかげで助かるけれど。僕はヴリュソールに再び働いてもらうべく、左手の薬指の爪に歯をかけて一息に剥がした。
「ぅぐ……」
二度目で慣れたとはいえ、痛いものは痛い。傷口を咥えて、こぼれ出る魔素が収まるまで舌で抑える。自分の魔素は無味なのが不思議だ。
爪を与えてやると、羨ましそうにしている魔物たちに見せびらかしながらちまちまと食べはじめた。か弱い魔物たちから上がる哀切の悲鳴がスパイスになるらしい。相変わらず趣味が悪いな。
たっぷりと時間をかけて僕の爪を味わっていたヴリュソールだったが、魔素の補給を終えてからの動きは早かった。前回と同じ要領で窃視魔法を展開し、僕の要望通り玉座の間へと飛び立った。
監視の目をすり抜けて壁の隙間から侵入する。半ば廃墟と化した薄暗い空間で、魔界召喚陣が相変わらず邪悪な光を湛えていた。
一方で床には大きな変化が見られた。瓦礫などが完全に撤去され、代わりに魔術式が書き込まれた紙片が辺り一面に散らばっている。おそらくジュリアンが解析結果をメモしているのだろう。本人の姿はない。柱の影から身を乗り出したヴリュソールが首を巡らせると、入り口付近に数人の人だかりができていた。
「これは本当に魔法陣なのであろうか……」
「わからない……近寄るだけでおぞましい……」
「正に悪魔の所業……魔術を冒涜している……」
集まっているのはほとんどが老人だった。身を寄せ合い、怯えた表情で囁くばかり。手の届く範囲に散らばっているジュリアンのメモを拾って読んではいるが、誰も玉座の間に足を踏み入れようとはしなかった。
老人たちが着ているローブには、いずれも王立魔術学院の紋章が刺繍されている。僕は面識がないが、位の高い魔術博士と思われる。そんな彼らを蹴散らすようにかき分けて現れたのは、膨れっ面をしたジュリアンだった。
「あーもーだから言ったじゃん、雑魚を増やしても意味ないって! 邪魔だから散れ! てゆうか僕の物に勝手に触るな!」
老人の一人が手にしていたメモを奪い取ってずかずかと玉座の間に踏み入る。雑魚と言われた老人たちは気色ばんだが、誰も反論しようとはしなかった。悪魔の魔術に恐れをなして足を踏み入れることすらできないのだから反論のしようもない。
「申し訳ありません、ご足労いただいたのに」
すっかりジュリアンのお世話係が板についたフロレンツが老人たちに頭を下げる。老人たちはぶちぶちと文句を言いながらも、フロレンツに連れられて玉座の間を離れていった。ジュリアンはそんな彼らの動向を一切無視して、すでに魔界召喚陣の解析作業に戻っていた。床に這いつくばって一心不乱にペンを走らせている。相変わらず凄まじい集中力だ。
「ヴリュソール。もう少し端に寄れるか? 南側の、崩れた柱の近く」
〈お安いごよう〉
ジュリアンの集中は深く、ヴリュソールが大胆に移動しても気づく気配はない。これ幸いと散らばったメモを読んでいく。かなり癖のある字だが読めないほどではない。内容も正確だった。だからこそ首を傾げてしまう。
魔界召喚のために用意されたこの魔法陣には高度な隠蔽魔法が施されていた。それを看破して、魔法陣が魔界を召喚するためのものであり、さらにシグファリスかアリスティドどちらかの死によって発動されることまで見抜いた。それなのになぜ解除に十年もの月日が必要になるのだろうか。
「ジュリアンであれば半年、いや、三ヶ月もあれば解除できると思ったのだが……」
何やらぶつぶつと呟きながら一心不乱に手を動かしているジュリアンを眺めながら首を傾げる。
ジュリアンほどの才能はないが、僕も幼い頃から魔術研究に打ち込んでいたので人並み以上の知識はある。それでもディシフェルが魔界召喚陣を編成する過程を目の当たりにしていなかったら理解できなかったかもしれない。使われている魔術式も、人間の魔術師が使うものと比べたら高度すぎてほとんど暗号に近い。
だが、やはり腑に落ちない。僕は床に散らばったメモを読みつつ腕組みした。
悪魔が作り出した魔法陣は高度で複雑ではあるが、基本的な構成は人間の魔術師が扱うものと変わりない。魔法を発動させるまで魔法陣を維持する必要があり、そのためには術者が魔素を供給し続けなくてはならないという点では同じ。魔界召喚のための魔法陣が僕の手を離れても消滅せずに機能し続けているのは、魔素の供給を自動で行う機構が埋め込まれているからだ。
画面の奥、ジュリアンの背後で怪しい光を放つ魔界召喚陣に視線を移す。
魔界召喚陣の中心にあるのは、僕の体ほどの大きさがある金剛石。数万人分の魂を封じた結晶体だ。それが明滅する光の正体であり、魔界召喚を発動させるエネルギー源になっている。そして魔法陣が維持されているのもこの結晶体から魔素が供給されているからだ。
――早い話、この結晶体を切り離せば魔法陣は消滅する。
「やはり、ジュリアンがそのことに気づかないとは思えないな……」
周囲に散らばるメモを読めば読むほど、ジュリアンの魔術に対する造詣の深さがよくわかる。それに何より、魔術学院の魔術博士たちのように悪魔に対して過剰な恐れを抱いていない。遠巻きに見ているだけの彼らには理解できないだろうが、間近に相対しているジュリアンであれば結晶体のことにも考えが及んでいるはずだ。
嫌な予感がする。
「ヴリュソール、もう少しだけジュリアンに接近してみてくれないか」
〈うむむ。やってみる〉
ジュリアンも魔術師だ。いくら集中しているとはいえ、これ以上接近すれば気配を察知されてしまう恐れがある。それでもどうしても確認しておきたかった。
ヴリュソールは慎重に、そろそろと距離を詰めていく。やがてジュリアンの独り言を聞き取れる距離まで近づいた。
「は……はひひ……すっご……何この仕組み、魂の特定方法なんてあったんだ……? この魔術式で魂を構造解析してる……? ふへへぇ……? やばい……魂を操れるってことは、応用すれば死者の蘇生もできるってこと……? いやまさか、ははっ、はわ……はわわワァ……」
ジュリアンは恍惚とした表情で、うわ言を漏らしながら魔界召喚陣に見入ってはペンを走らせていた。その取り憑かれたような様子を見て確信が深まっていく。
「まさか……魔法陣全体を解析したいから解除を先延ばしにしているのか……!?」
人間が扱う魔術式に比べて、悪魔の魔術式は格段にレベルが高い。火おこしを覚えたばかりの原始人がライターを与えられたようなものだ。壊してしまうなんてとんでもない、破壊しなくてはならないのなら、せめて仕組みを理解してから――ジュリアンがそう考えているのだとしたら。
あり得る話だ。そういえば、前回覗き見した時も、ジュリアンは「解析に十年以上かかる」とは言ったが、「解除できない」とは言っていなかった。
魔法陣を解除する方法を理解しているが、解除してしまえば魔法陣を研究対象として解析することはできなくなる。
悪魔の魔術式を完全に解析できれば魔術の発展に大いに役立つだろう。でもそれは世界滅亡のリスクを負ってまですることではない。
もし解除前にシグファリスが不慮の事故で死んでしまったら、という想定はジュリアンもしていた。危険性は百も承知で、それでもたっぷりと時間をかけて、魔術博士たちを追い払って一人きりで構造解析に取り組もうとしている理由は、おそらく。
「アッハハ……やばいこれすごい、いひひ……一生やってたい……」
――ジュリアンは、ただ自分が心ゆくまで悪魔の技術を堪能したいから魔界召喚陣の解除を後回しにしているのだ。
「悪魔かこいつは……」
ジュリアンのあくなき探究心に恐れおののいているうちに、ヴリュソールは活動限界を迎えて魔界へと去っていった。
ヴリュソールが消えてしまうと、再び牢獄に静寂が満ちた。
「はぁ……どうしたものか……」
ジュリアンの研究成果は人類社会の発展に役立つのだろうが、リスクが高すぎる。何より十年もの間、シグファリスは憎い仇である僕を殺すこともできず、殺さないように手を尽くさなくてはならない。シグファリスの苦悩を思うといたたまらない。
何か打てる手はないのか考えながら牢獄内を歩き回ると、引き摺られた鎖がじゃりじゃりと音を立てた。その不快な音はジュリアンの狂気じみた笑い声を思い出させる。
悪と善。ジュリアンは危ういバランスで善の側にいる。
正直にいえばジュリアンの気持ちもわからなくはないのだ。彼ほど狂っていないにせよ、知識欲が満たされる無上の喜びを、僕も知っているから。
しんと静まり返った牢獄に響いた声が影を呼び寄せる。闇の中でより一層深い黒色の影が踊り、凝縮して竜の形を成していく。
再び僕の前に現れた小さなヴリュソールは、心なしか嬉しそうに羽をはためかせて僕の周りを飛んだ。
「よかった、また来てくれて」
思わず安堵のため息をつく。召喚魔法なしで無理やり人間界に顕現しているのだから、魔界にいる本体はかなり消耗するに違いない。姿を消した直後はどれだけ呼んでも気配すら感じられなかったが、この数日間で回復したらしい。僕が右手を差し出すと、ヴリュソールは手のひらの上にちょこんと着地しておねだりのポーズをした。
〈もちろん。お前の体、すき〉
邪悪な竜のはずが、今や食いしん坊のちびトカゲだ。おかげで助かるけれど。僕はヴリュソールに再び働いてもらうべく、左手の薬指の爪に歯をかけて一息に剥がした。
「ぅぐ……」
二度目で慣れたとはいえ、痛いものは痛い。傷口を咥えて、こぼれ出る魔素が収まるまで舌で抑える。自分の魔素は無味なのが不思議だ。
爪を与えてやると、羨ましそうにしている魔物たちに見せびらかしながらちまちまと食べはじめた。か弱い魔物たちから上がる哀切の悲鳴がスパイスになるらしい。相変わらず趣味が悪いな。
たっぷりと時間をかけて僕の爪を味わっていたヴリュソールだったが、魔素の補給を終えてからの動きは早かった。前回と同じ要領で窃視魔法を展開し、僕の要望通り玉座の間へと飛び立った。
監視の目をすり抜けて壁の隙間から侵入する。半ば廃墟と化した薄暗い空間で、魔界召喚陣が相変わらず邪悪な光を湛えていた。
一方で床には大きな変化が見られた。瓦礫などが完全に撤去され、代わりに魔術式が書き込まれた紙片が辺り一面に散らばっている。おそらくジュリアンが解析結果をメモしているのだろう。本人の姿はない。柱の影から身を乗り出したヴリュソールが首を巡らせると、入り口付近に数人の人だかりができていた。
「これは本当に魔法陣なのであろうか……」
「わからない……近寄るだけでおぞましい……」
「正に悪魔の所業……魔術を冒涜している……」
集まっているのはほとんどが老人だった。身を寄せ合い、怯えた表情で囁くばかり。手の届く範囲に散らばっているジュリアンのメモを拾って読んではいるが、誰も玉座の間に足を踏み入れようとはしなかった。
老人たちが着ているローブには、いずれも王立魔術学院の紋章が刺繍されている。僕は面識がないが、位の高い魔術博士と思われる。そんな彼らを蹴散らすようにかき分けて現れたのは、膨れっ面をしたジュリアンだった。
「あーもーだから言ったじゃん、雑魚を増やしても意味ないって! 邪魔だから散れ! てゆうか僕の物に勝手に触るな!」
老人の一人が手にしていたメモを奪い取ってずかずかと玉座の間に踏み入る。雑魚と言われた老人たちは気色ばんだが、誰も反論しようとはしなかった。悪魔の魔術に恐れをなして足を踏み入れることすらできないのだから反論のしようもない。
「申し訳ありません、ご足労いただいたのに」
すっかりジュリアンのお世話係が板についたフロレンツが老人たちに頭を下げる。老人たちはぶちぶちと文句を言いながらも、フロレンツに連れられて玉座の間を離れていった。ジュリアンはそんな彼らの動向を一切無視して、すでに魔界召喚陣の解析作業に戻っていた。床に這いつくばって一心不乱にペンを走らせている。相変わらず凄まじい集中力だ。
「ヴリュソール。もう少し端に寄れるか? 南側の、崩れた柱の近く」
〈お安いごよう〉
ジュリアンの集中は深く、ヴリュソールが大胆に移動しても気づく気配はない。これ幸いと散らばったメモを読んでいく。かなり癖のある字だが読めないほどではない。内容も正確だった。だからこそ首を傾げてしまう。
魔界召喚のために用意されたこの魔法陣には高度な隠蔽魔法が施されていた。それを看破して、魔法陣が魔界を召喚するためのものであり、さらにシグファリスかアリスティドどちらかの死によって発動されることまで見抜いた。それなのになぜ解除に十年もの月日が必要になるのだろうか。
「ジュリアンであれば半年、いや、三ヶ月もあれば解除できると思ったのだが……」
何やらぶつぶつと呟きながら一心不乱に手を動かしているジュリアンを眺めながら首を傾げる。
ジュリアンほどの才能はないが、僕も幼い頃から魔術研究に打ち込んでいたので人並み以上の知識はある。それでもディシフェルが魔界召喚陣を編成する過程を目の当たりにしていなかったら理解できなかったかもしれない。使われている魔術式も、人間の魔術師が使うものと比べたら高度すぎてほとんど暗号に近い。
だが、やはり腑に落ちない。僕は床に散らばったメモを読みつつ腕組みした。
悪魔が作り出した魔法陣は高度で複雑ではあるが、基本的な構成は人間の魔術師が扱うものと変わりない。魔法を発動させるまで魔法陣を維持する必要があり、そのためには術者が魔素を供給し続けなくてはならないという点では同じ。魔界召喚のための魔法陣が僕の手を離れても消滅せずに機能し続けているのは、魔素の供給を自動で行う機構が埋め込まれているからだ。
画面の奥、ジュリアンの背後で怪しい光を放つ魔界召喚陣に視線を移す。
魔界召喚陣の中心にあるのは、僕の体ほどの大きさがある金剛石。数万人分の魂を封じた結晶体だ。それが明滅する光の正体であり、魔界召喚を発動させるエネルギー源になっている。そして魔法陣が維持されているのもこの結晶体から魔素が供給されているからだ。
――早い話、この結晶体を切り離せば魔法陣は消滅する。
「やはり、ジュリアンがそのことに気づかないとは思えないな……」
周囲に散らばるメモを読めば読むほど、ジュリアンの魔術に対する造詣の深さがよくわかる。それに何より、魔術学院の魔術博士たちのように悪魔に対して過剰な恐れを抱いていない。遠巻きに見ているだけの彼らには理解できないだろうが、間近に相対しているジュリアンであれば結晶体のことにも考えが及んでいるはずだ。
嫌な予感がする。
「ヴリュソール、もう少しだけジュリアンに接近してみてくれないか」
〈うむむ。やってみる〉
ジュリアンも魔術師だ。いくら集中しているとはいえ、これ以上接近すれば気配を察知されてしまう恐れがある。それでもどうしても確認しておきたかった。
ヴリュソールは慎重に、そろそろと距離を詰めていく。やがてジュリアンの独り言を聞き取れる距離まで近づいた。
「は……はひひ……すっご……何この仕組み、魂の特定方法なんてあったんだ……? この魔術式で魂を構造解析してる……? ふへへぇ……? やばい……魂を操れるってことは、応用すれば死者の蘇生もできるってこと……? いやまさか、ははっ、はわ……はわわワァ……」
ジュリアンは恍惚とした表情で、うわ言を漏らしながら魔界召喚陣に見入ってはペンを走らせていた。その取り憑かれたような様子を見て確信が深まっていく。
「まさか……魔法陣全体を解析したいから解除を先延ばしにしているのか……!?」
人間が扱う魔術式に比べて、悪魔の魔術式は格段にレベルが高い。火おこしを覚えたばかりの原始人がライターを与えられたようなものだ。壊してしまうなんてとんでもない、破壊しなくてはならないのなら、せめて仕組みを理解してから――ジュリアンがそう考えているのだとしたら。
あり得る話だ。そういえば、前回覗き見した時も、ジュリアンは「解析に十年以上かかる」とは言ったが、「解除できない」とは言っていなかった。
魔法陣を解除する方法を理解しているが、解除してしまえば魔法陣を研究対象として解析することはできなくなる。
悪魔の魔術式を完全に解析できれば魔術の発展に大いに役立つだろう。でもそれは世界滅亡のリスクを負ってまですることではない。
もし解除前にシグファリスが不慮の事故で死んでしまったら、という想定はジュリアンもしていた。危険性は百も承知で、それでもたっぷりと時間をかけて、魔術博士たちを追い払って一人きりで構造解析に取り組もうとしている理由は、おそらく。
「アッハハ……やばいこれすごい、いひひ……一生やってたい……」
――ジュリアンは、ただ自分が心ゆくまで悪魔の技術を堪能したいから魔界召喚陣の解除を後回しにしているのだ。
「悪魔かこいつは……」
ジュリアンのあくなき探究心に恐れおののいているうちに、ヴリュソールは活動限界を迎えて魔界へと去っていった。
ヴリュソールが消えてしまうと、再び牢獄に静寂が満ちた。
「はぁ……どうしたものか……」
ジュリアンの研究成果は人類社会の発展に役立つのだろうが、リスクが高すぎる。何より十年もの間、シグファリスは憎い仇である僕を殺すこともできず、殺さないように手を尽くさなくてはならない。シグファリスの苦悩を思うといたたまらない。
何か打てる手はないのか考えながら牢獄内を歩き回ると、引き摺られた鎖がじゃりじゃりと音を立てた。その不快な音はジュリアンの狂気じみた笑い声を思い出させる。
悪と善。ジュリアンは危ういバランスで善の側にいる。
正直にいえばジュリアンの気持ちもわからなくはないのだ。彼ほど狂っていないにせよ、知識欲が満たされる無上の喜びを、僕も知っているから。
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