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一章
18 もしも勇者がいるのなら
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どれほどの時間がたったのだろう。気がつけばレッドドラゴンは動かなくなっていた。
レッドドラゴンの首に牙を食い込ませていた俺は、顎の力を緩めて身を引いた。
「……ごぶっ」
やったあ、勝てた。そんなことをつぶやこうとした口から血が溢れる。これ以上失血したらまずい。〔ヒーリング〕を使用しても意識が朦朧としていてうまくいかない。出血だけは止まるが、高揚して忘れていた痛みが一気に戻ってくる。HPの問題ではなく、気力が尽きそうだった。
辺りは静まり返っていた。いや、俺の耳がどうにかなっただけだ。このまま倒れて、気絶してしまいたいけれど。
――アリス。ソフィー。まだ彼女たちを助けられるかもしれない。
ソフィーは蘇生魔法の使い手なのだと誰かが言っていた。
今ならまだ、間に合う。
急いで駆け付けたいのに、体がうまく動かなかった。
歩き方がわからない。そもそも自分が今どんな形状をしているのかわからない。
イスミの姿に戻ろうとするが、集中力が欠けているせいか中途半端にしか戻れなかった。結局二足歩行ができずに、ずるずると体をひきずって移動する。
体中が軋むが、とにかく今はソフィーだ。彼女の蘇生魔法さえあれば、助けられる。
四つ足で這いずりながら、アリスとソフィーが倒れていた場所にたどりつく。遺体は無残に焼け焦げている。これまで人の遺体から能力を得たことはないが、彼女たちを蘇生させるために、やるしかない。
同族である人の遺体を口にする。その拒否感を押し殺し、はいつくばったまま、二人の身体に向かって頭を突っ込むようにして、喰らう。
新たに覚えたのは〔アブソリュート・ゼロ〕。違う。これはアリスの身体だ。それならば、こっちがソフィーか。
ソフィーと思われる遺体に牙を立てる。ステータスに〔エクストラヒーリング〕〔リバイバル〕の二つが追加される。
――〔リバイバル〕は確かに蘇生魔法ではあるが、これは自動復活の効果がある魔法だ。味方にかけると、戦闘不能に陥った際に一度だけ自動で蘇生する。つまり、生きている間に発動させなければ復活させられない。
「ア゛……アア゛……ッ!」
不可能だとわかっている。それでも俺はコマンド画面から〔リバイバル〕を選択した。――なにも起こらなかった。何度繰り返しても、二人が蘇ることはない。
二人とも、命をかけて戦ったのだろう。死しても〔リバイバル〕で蘇り、MPが尽きるまで、調査隊が逃げる時間を稼いだ。
「――――」
呆然としている俺の背後から、何かが聞こえた気がした。
ぼやけた視界に映ったのはレオの姿だった。
レオの存在を認識した瞬間、麻痺していた感情が堰を切る。
――ああ、レオ。来てくれたんだ。でも、ごめん。駄目だった。アリスも、ソフィーも、助けられなかった。
無力感と絶望に沈みながら、縋るように手を差し出す。
そんな俺に、レオは剣を向けた。
「――――!」
さっきよりも強く、レオが何かを叫んでいるようだった。
徐々に聴力が戻って来る。血で濡れて視野の狭まった目を凝らす。レオの表情は、いつもの優しい笑顔じゃない。おぞましいものを見るような目をしていた。
なんで? どうして俺のことをそんな目で見るの?
「答えろ! イスミ殿……いや、イスミ。今の貴様の醜い姿は、一体なんだ!」
――そうだった。今の俺はニールじゃない。かろうじてイスミの甲冑姿にはなっているが、〔形態変化〕のスキルが不完全だった。剥き出しの顔に両手で触れれば、ブリザードウルフの鋭い牙が生えたまま。目や耳の位置もおかしい。
今の俺は、さぞかし不気味な化け物に見えるだろう。
「それだけではない、あの邪悪な技の数々……貴様は魔物なのか!?」
剥き出しの敵意を向けられて、停止していた思考がようやく動き出す。
レオは怪我人を安全圏まで運んだ後、イスミの加勢をする為に戻ってきてくれたのだろう。そしてイスミが戦う姿を見た。なりふり構わず、魔物から得たスキルを駆使して戦う俺の姿を。
その上、アリスとソフィーの遺体を喰らっている姿まで見られた。この状況で「魔物ではない」と言っても、信じてもらえるはずがない。
俺はコマンド画面から〔エクストラヒーリング〕を選択した。一桁になっていたHPが瞬時に全回復して、体中に蔓延っていた痛みが消え去る。集中を取り戻し、改めて〔形態変化〕のスキルを駆使して、黒騎士イスミの姿に戻った。
甲冑も兜もスキルで生成している。頭の先からつま先まで完璧に変化していることを確かめながら立ち上がり、レオと真正面から相対する。
クリアになった視界で改めてレオの姿を確認すると、簡単な手当てを受けただけで、怪我を負ったままだった。レオの瞳には、ありありと恐怖が滲んでいた。それでも敢然と俺に剣を向けている。
――もしレオが俺の本当の姿を知ったなら、どう思うだろうって、考えたことがあった。
俺に剣を向けているレオ。これがその答えだ。
正義感にあふれたレオは、人々に害をなす邪悪な存在を許せない。だから、邪悪な化け物である俺に敵意を向けるのは当然だ。
俺の存在は確かに邪悪だ。姿や能力だけの話じゃない。復讐心に駆られ、力を得るために他者を欺き、何もかも利用する。俺を踏みにじった奴らに思い知らせてやることだけしか考えられない、おぞましい化け物。
――だからといって、大人しく倒されてやるわけにはいかない。
俺は〔身体強化〕〔腕力増強〕のスキルを発動させ、ガントレットで包まれた手で素早くレオの剣を掴み、鋼の刀身を折った。レオが怯んだ隙を見逃さず、もう片方の手でレオの胸ぐらを掴んで持ち上げる。
「ぐ、う……っ!」
レオは俺の腕を掴み、逃れようと暴れる。胴に回し蹴りを喰らうが、〔身体強化〕のスキルのおかげでダメージを受けることはない。そもそも既に満身創痍のレオの攻撃など大して効きもしない。こんな状態でよく他人を助けにやってくる気になったな。正義感も行き過ぎれば滑稽だ。
もがき続けるレオに、俺は淡々と話しかける。
「お前がここで目撃したことを、一言でも他人に漏らしてみろ。そのときはお前の大事なものを奪う」
「っ!? ニールは関係ない!」
真っ先に上がるのが俺の名前。たった数か月一緒にいただけなのに、レオの中でニールという存在はそんなにも大きくなっていたのか。
それなら脅しがいもある。
「……確か魔法石商人だとか言っていたな。そいつだけではない。お前の家族も友人も一人残らず見つけ出して、生まれてきたことを後悔するまでいたぶり尽くしてから殺す」
「な! ひ、卑劣、な……!」
「なんとでも言え。――いいか、口外したら殺す。噂になっても殺す。どこに隠れようが、世界の果てまででも追い詰めて必ず殺す」
レオの性格上、自分よりも他人をターゲットにされる方が辛いだろう。
思った通り、レオの瞳から反抗心が薄れていく。
「返事はどうした」
「…………わかった」
完全に抵抗を止めたレオに念押ししてから手を離すと、レオは力なくその場に崩おれた。
うなだれ、握りしめた拳を焼け焦げた地面に叩きつける。そんなレオに、俺は背を向けた。
例え歯が立たないとわかっている相手であっても、人々を護るためにその身を投げ出して戦う。大切な者を助けるためならば、自分の身を犠牲にする。
――もし、この世界に勇者がいるのだとしたら。きっとそれはレオのような人だ。
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同族である人の遺体を口にする。その拒否感を押し殺し、はいつくばったまま、二人の身体に向かって頭を突っ込むようにして、喰らう。
新たに覚えたのは〔アブソリュート・ゼロ〕。違う。これはアリスの身体だ。それならば、こっちがソフィーか。
ソフィーと思われる遺体に牙を立てる。ステータスに〔エクストラヒーリング〕〔リバイバル〕の二つが追加される。
――〔リバイバル〕は確かに蘇生魔法ではあるが、これは自動復活の効果がある魔法だ。味方にかけると、戦闘不能に陥った際に一度だけ自動で蘇生する。つまり、生きている間に発動させなければ復活させられない。
「ア゛……アア゛……ッ!」
不可能だとわかっている。それでも俺はコマンド画面から〔リバイバル〕を選択した。――なにも起こらなかった。何度繰り返しても、二人が蘇ることはない。
二人とも、命をかけて戦ったのだろう。死しても〔リバイバル〕で蘇り、MPが尽きるまで、調査隊が逃げる時間を稼いだ。
「――――」
呆然としている俺の背後から、何かが聞こえた気がした。
ぼやけた視界に映ったのはレオの姿だった。
レオの存在を認識した瞬間、麻痺していた感情が堰を切る。
――ああ、レオ。来てくれたんだ。でも、ごめん。駄目だった。アリスも、ソフィーも、助けられなかった。
無力感と絶望に沈みながら、縋るように手を差し出す。
そんな俺に、レオは剣を向けた。
「――――!」
さっきよりも強く、レオが何かを叫んでいるようだった。
徐々に聴力が戻って来る。血で濡れて視野の狭まった目を凝らす。レオの表情は、いつもの優しい笑顔じゃない。おぞましいものを見るような目をしていた。
なんで? どうして俺のことをそんな目で見るの?
「答えろ! イスミ殿……いや、イスミ。今の貴様の醜い姿は、一体なんだ!」
――そうだった。今の俺はニールじゃない。かろうじてイスミの甲冑姿にはなっているが、〔形態変化〕のスキルが不完全だった。剥き出しの顔に両手で触れれば、ブリザードウルフの鋭い牙が生えたまま。目や耳の位置もおかしい。
今の俺は、さぞかし不気味な化け物に見えるだろう。
「それだけではない、あの邪悪な技の数々……貴様は魔物なのか!?」
剥き出しの敵意を向けられて、停止していた思考がようやく動き出す。
レオは怪我人を安全圏まで運んだ後、イスミの加勢をする為に戻ってきてくれたのだろう。そしてイスミが戦う姿を見た。なりふり構わず、魔物から得たスキルを駆使して戦う俺の姿を。
その上、アリスとソフィーの遺体を喰らっている姿まで見られた。この状況で「魔物ではない」と言っても、信じてもらえるはずがない。
俺はコマンド画面から〔エクストラヒーリング〕を選択した。一桁になっていたHPが瞬時に全回復して、体中に蔓延っていた痛みが消え去る。集中を取り戻し、改めて〔形態変化〕のスキルを駆使して、黒騎士イスミの姿に戻った。
甲冑も兜もスキルで生成している。頭の先からつま先まで完璧に変化していることを確かめながら立ち上がり、レオと真正面から相対する。
クリアになった視界で改めてレオの姿を確認すると、簡単な手当てを受けただけで、怪我を負ったままだった。レオの瞳には、ありありと恐怖が滲んでいた。それでも敢然と俺に剣を向けている。
――もしレオが俺の本当の姿を知ったなら、どう思うだろうって、考えたことがあった。
俺に剣を向けているレオ。これがその答えだ。
正義感にあふれたレオは、人々に害をなす邪悪な存在を許せない。だから、邪悪な化け物である俺に敵意を向けるのは当然だ。
俺の存在は確かに邪悪だ。姿や能力だけの話じゃない。復讐心に駆られ、力を得るために他者を欺き、何もかも利用する。俺を踏みにじった奴らに思い知らせてやることだけしか考えられない、おぞましい化け物。
――だからといって、大人しく倒されてやるわけにはいかない。
俺は〔身体強化〕〔腕力増強〕のスキルを発動させ、ガントレットで包まれた手で素早くレオの剣を掴み、鋼の刀身を折った。レオが怯んだ隙を見逃さず、もう片方の手でレオの胸ぐらを掴んで持ち上げる。
「ぐ、う……っ!」
レオは俺の腕を掴み、逃れようと暴れる。胴に回し蹴りを喰らうが、〔身体強化〕のスキルのおかげでダメージを受けることはない。そもそも既に満身創痍のレオの攻撃など大して効きもしない。こんな状態でよく他人を助けにやってくる気になったな。正義感も行き過ぎれば滑稽だ。
もがき続けるレオに、俺は淡々と話しかける。
「お前がここで目撃したことを、一言でも他人に漏らしてみろ。そのときはお前の大事なものを奪う」
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