“癒し妻”として多忙なハイエルフの王様のお傍に居させてください【連載版】

ぽんぽこ@3/28新作発売!!

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第6話 帰りたい……

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「えっ!? ああっ……!!」

 身なりと言われて、私はハッとする。

 どうやら門番の人たちは、私の恰好を見て不審者だと思ったみたいだ。
 たしかに私は地上に出てから、着の身着のままでここまで来てしまっていた。これじゃあ怪しいと思われて当然だ。


「うぅ……すみません」
「もしや、本当に何の準備もなくここへ……?」
「重ね重ね、申し訳ありません……」
「あぁ、いやすまない。貴女あなたを責めるつもりはないんだ。しかし年頃の娘になんてことを……ドワーフの王は一体なにを考えているんだ?」

 私は赤面し、その場でうずくまってしまう。
 すると優しい兵士さんの一人が、上着を私の肩に掛けてくれた。


「あ、ありがとうございます……」
「門番長はただ職務に忠実なだけでね。別に悪気があって、あんなことを言ったわけじゃないんだ。許してやってくれ」
「はい、それは勿論です……」

 その兵士さんの方を見上げれば、愛嬌のある笑顔を浮かべた、若いエルフが居た。

 なんだか活発そうな雰囲気で、短めの茶髪が良く似合っている。
 でも皮の鎧を着ている門番長さんとは、少し違う格好なのは何でだろう?
 彼は飾りのついた立派な剣と、魔物らしき素材でできた光沢のある鎧を身に付けていた。


「俺の名前はジェルモ。本来は門番じゃなく、王族を護衛する騎士をやっているんだ」
「王族の護衛……そんな人がどうしてここに?」
「名はヴェルデと言ったか? 俺はキミを迎えに来たんだ。まぁ固いことはともかく、これからよろしくな!」

 ジェルモと名乗った騎士エルフはニカっと笑うと、私に向けて右手を差し出した。
 こんな私を迎えにわざわざ? い、良いのかな……?

 不安と申し訳なさを感じつつ、私はおそるおそるその手を掴む。


「ところで、ヴェルデは独りで歩けるか? いや、その様子だと時間が掛かりそうだな……」
「え? あ、あの……」
「よし、こうしよう。ドワーフほどじゃないが、俺は力が自慢なんだ。担いでいってやるよ」
「えっ、ちょっ……きゃあっ!?」

 私が何かを言う前に、彼は私をひょいと抱え上げ、肩に乗せて城の方へと歩き出した。

 ま、待って!
 ドライアードの次は、エルフにも担がれるの私!?

 通りを歩く人たちが、次々と振り返る。

 みんな何事かと思ってるわよね、絶対!?

「ちょっとジェルモさん! 私ちゃんと歩けますから!」

 私は恥ずかしさのあまり、涙目になって訴える。


「ん? なんだ、恥ずかしがり屋なのか? だがエルフの世界樹城は広い。ヴェルデの足に合わせていたら、あっという間に日が暮れちまうぜ」
「たしかにそうかもしれないですけど……だからってこれはっ!」
「あっはっは。心配しなくても、途中で地面に落としたりなんかしないって」

 ダメだ、この人!
 私の話をまったく聞いてくれないんですけど!?

 ジェルモさんは私をしっかり抱え直す。
 え、これ以上なにを――。

「よーし、それじゃあしっかり捕まってろよ。ちょっと走るからな!」
「ひゃああ! 服がめくれて……やめてぇええ!」
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