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最終話 木漏れ日に揺れる朱い雪
しおりを挟むアルフィ様が暗殺未遂から生還して、さらに1か月が経ち。
先王の喪が明けたその日のうちに、アルフィ様はこの国の王に即位した。
そして今。
王城の広場にて、国民に向けた演説を行っていた。
これまでの断罪は、国内に蔓延る悪を取り除くために必要だったこと。
民には安心感を、貴族に対しては誠意を持ってほしかったこと。
これからは自分が王として、率先してそれらをもたらすことを誓う。
言葉をまとめると、つまりは断罪ショーを終幕にするという宣言だった。
「そしてこのめでたき日に、我が妻として紹介したい者がいる。エミリー王妃だ」
私は王子の暗殺を防ぎ、命を救ったという功績を得た。
その報酬として、一時的に私の実家である公爵家を復興させた。つまり、私が公爵家当主となった。
「今までは私の妹として振る舞ってもらっていたが、実際は私の婚約者候補として王妃教育を受けていたのだ。今回のことを鑑みても、王妃となる権利は十分。よって今日、彼女を私の妻とさせてもらった。皆の者も、異論はないな?」
王城前の広場に集まった民からは歓声が上がり、控えていた貴族たちも拍手を送ってくれた。
今まで玉座の隣りが空席になることを危ぶんでいたのだから、それも当然よね。
しかも私のおかげで、あれだけ冷酷だったアルフィ様が少しずつ笑顔を見せるようになった。
これでいったい、誰が反対するというのだ。
「アルフィ様。これからも末永く、よろしくお願いしますわ」
「あぁ、エミリー。頼りない王だが、隣りで支えてくれ」
こうして私は愛すべきアルフィ様を矯正し、幸せな生活を手に入れることができたのだった。
◇
即位前こそ仮面の王と呼ばれたアルフィ王だったが、即位後はその生涯を終えるまで、誰かを処刑台送りにすることは一度もなかった。
政治の手腕が鋭さを増すことはあっても、その隣りにいた女性が王を常に律していたからである。
雪のように白い頬を赤く染めて微笑む王妃の姿は、王だけではなく誰もが見惚れ、心が安らいだ。
そのことから彼女は『朱雪の花』と呼ばれ、多くの者から親しまれた。
そして王妃の部屋には、その花が表す『朱雪草』が毎日のように飾られていたという――。
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