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1-8♡ 手に残る熱、初めての射精補助
しおりを挟む勇者レオと魔王ウルの魂がひとつの身体に入ってしまったが故に。
体内に魔力の暴走が起こり、レオの身体に危機が迫っているという話をされたモナは戸惑っていた。
(俺の自慰を手伝って欲しい、ですって……!?)
誰のかも分からない墓標を背にしたまま、自分の想い人の見た目をした男に吐精を懇願されているという珍妙過ぎる光景。
墓の下で眠る者たちにとっては迷惑過ぎる話である。
ましてや隣りは女神を崇める教会。罰当たりもいいところだ。
とはいえ、目の前の男はそんなことを気にしている余裕はない。
先程から聖女であるモナが彼に治療を試みているが、効果はまるで無かった。
「たのむ……駄目なら今から他の町娘に「駄目よ!! ……それだけは、絶対にダメ」ならっ!! ううぅっ! ああっ……」
この性格のひね曲がった魔王がその辺の女に手を出しておいて、そのまま無事に返すとは思えない。
今ここで自分が見逃したせいで他の女性が犠牲になるのは許せない。
それにいくら中身が魔王だからって、レオが自分を差し置いて他の誰かと初めてをするのはもっと許せない。
出来ることと言えば、抱き合うような形で彼の背中を優しく撫でてあげることぐらい。
苦しそうに喘ぐ熱い吐息が耳元に掛かる。彼の熱が自分にも移ったかのように暑い。
もう限界に近いのだろう。
シュウシュウと紫色の煙が彼の身体から立ち上り始めた。
このまま放っておけば身体の細胞が膨れ上がった魔力に耐え切れず、自壊してしまう。
つまり、行き着く先は“死”あるのみ。
もはや一刻の猶予もない。
だがしかしモナは具体的にどうすればいいのか分からず、ひとりアタフタと慌てている。
「ぐうっ……モナっ、助け、て……」
「どうしよう……このままじゃ本当に不味いわ!!」
いったいどうすれば、と半分パニックになってしまう。
そんな調子で手で直接回復魔法を当てながら、ペタペタと彼の身体を触っていると――
「あっ……「んんあっ……!!」ご、ごめんなさい!!」
抱き着かれている状態で良く見えなかったせいで、モナの右手が彼の下腹部に触れてしまった。
ウルも最も敏感な部分を刺激されたために、切ない声を上げてしまう。
(す、すごい熱い……それに、とても硬い……)
ポケットに発熱する魔道具でも入っているのかと勘違いしてしまうほどの熱だった。
そしてそれの正体は、女のモナには無い雄の部分。
久しぶりに――モナとなってからはもちろん初めての――触った男性の性器。
それも、愛する異性の大事で繊細なトコロ。
ガチガチで火傷しそうなあの感触が、モナの脳内でひたすらにループする。
完全にフリーズ状態になってしまっている彼女だが、スイッチを入れられてしまったウルはそれどころではない。
続きを、その先を、と餌を強請る犬のように短く息をしながら、じいっとモナを見つめる。
あの彼が必死になって自分を求めている、という現状にモナの心臓はバクバクと高鳴りを上げていた。
かといって、いつまでも彼をおあずけさせるわけにもいかない。
ウルはともかく、大事なレオの命が懸かっているのだ。
(わ、分かったわよ。やれば良いんでしょう……?)
心配をしなくても、最後まで行為をするわけではない。
……たぶん。
幼馴染の性器なんて幼少の頃から見ていたし、旅の途中もお互い裸で水浴びすることだってあった。
今更ちょっと触れるぐらい、彼の手を握るのとそう変わらないだろう。
……きっと。
(……よし、やってやるわ)
おそるおそる、己の手を彼の股間に伸ばしていく。
上半身の陰からでも分かるほどに、その彼の分身がいつもより数倍もの大きさになって服の上から主張しているのが覘けている。
取り敢えずコレに刺激を与えればいいのだろう。
きっと、そうに違いない。
(ええい、ままよ!)
「モナ、服の上からじゃなくて、中から……」
「ええっ!? ちょ、直接ってこと!?」
聖女の細く白い指を手を伸ばそうとした瞬間、ウルから注文が飛び出した。
ちょっと服の上から擦ればいいと思っていた彼女は思わず手を引っ込めようとしてしまう。
――が。
「ごめん、もう。いいから、手を貸して」
「あっ、ちょっと!? ああっ、だめぇっ!!」
ガシっと手首を掴まれたモナは、そのままウルに導かれるかのようにズボンの中に――。
「うっ、くうっ……」
「ひゃああっ、は、離して!! あ、あついっ!!」
つい反射的に握ってしまったが、怒張した彼の肉槍は彼女の握力程度ではまるで意に介さない。
焼けた鉄棒のようなその凶器は手だけでなく、モナの脳までも火傷させた。
(アレがこんなにも凄いなんて……こんなので、されちゃったら私……!)
気付けば無意識に彼女はウルの肉槍を夢中で擦り上げていた。
(先端って、エラが張っているのね……あぁ、ここは敏感みたい。――ふふっ。レオ、とっても気持ち良さそうな表情してる……)
まったりと手で味わうように、こねくり回すように。
愛する人の生命の危機だということも忘れ、夢中になって彼の一番反応する箇所を探っている。
この時の彼女は知る由もないが――レオとウルの莫大な魔力は呼吸や体液からも漏れ出ていた。
それは、純粋な魔力の塊。
常人であれば摂取しただけで発狂するか、理性を失くして壊れるまで性行為に走る人形となってしまうほどの濃密さだった。
それを至近距離で摂取してしまっていたせいで、モナは発情していたのだ。
むしろ発情だけで済んでいたあたり、彼女もさすが英雄の一人だと言えるだろう。
「モナ……モナぁ……!!」
「つらいのね、出したかったら出しちゃいなさい? ほら、此処が良いのでしょう?」
途中から楽しそうな手つきで彼の淫棒を擦る。
優しく、時に苛めるように。
先端の入り口や裏の筋を念入りにさすってやると、遂に堪えきれなくなったのかふるふると震え始めた。
「ああっ、もう……でる……っ!!」
「え? あっ!?」
「うあぁああっ」
その言葉に冷静を取り戻したのも束の間、ひと際つらそうな呻き声を上げ、彼は絶頂した。
同時にモナの手にマグマのようなドロドロとした液体が止め処なく溢れ出てくる。
その熱と量にびっくりして手を引こうとするも、ウルに抱きしめられているせいで逃げることも出来ない。
結果、モナの右手には掬いきれないほどの量の、レオの分身が残されてしまった。
「はぁ……はぁ……ご、ごめん。おさえ、きれなくって……」
「……いいわよ、別に。それよりも……」
「う、うん。たぶん、もう大丈夫。……きっと」
「じゃなくって! ……いい加減、この手を離してくれる?」
「あっ、ごめん……」
未だ彼女のことを抱きしめていたことに気付いたウルはハッとした表情になり、ようやく彼女を解放した。
モナはさっさと立ち上がると少しだけ名残惜しそうに墓場の脇の草むらにゼリー状をしたレオの精液を打ち捨てる。
男性の吐精物など初めて触ったが、あの感触はなんだか気持ちが悪い。愛おしい人の物ならなんでも愛せると思っていたが、アレはちょっと違う。
とはいえ、あの絶頂を迎えた時のレオの顔は可愛かった。
……それが中身が魔王だったとしても。
「よしよし、良くできたわね」
「……なんか、立場が逆転していないかな?」
「そうかしら? でも私は貴方の命の恩人ってことよね? なら感謝してもらわないとだわ」
「ちが……くはないけど……ていうか、その手で頭を撫でるのやめてくれない?」
「……浄化魔法は使ったわよ」
「そういう問題じゃ……あぁ、もう。これじゃあ色々と台無しだよ……」
真っ赤になった顔を両手で隠し、俯きながらもそのまま撫でられ続ける魔王ウル。
すでにもう、当初の魔王らしさはとっくに鳴りを潜めてしまっている。
なんなら今のモナでも簡単に魔王の首を取れそうだ。
(なんだかこうして見ると普通の男の子ね……って、何を考えているのよ私は!? 相手はレオの身体を奪った魔王なのよ!? どうにかしてあの契約を遂行することを考えなくっちゃ!)
未だ手に残っている熱に気付かないフリをしながら、残るひと月をどうやってこの魔王を扱うべきなのかで頭を悩ませる聖女モナなのであった。
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