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第1章 おじいさんとおばあさんは天国に行きました。
1-1 伝説の始まり
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御覧くださりありがとうございます!!
新連載を始めました。お付き合いいただけると嬉しいです。
―――――――――――――――――――――
――むかしむかしの物語。
とある島国の田舎に、おじいさんとおばあさんがおりました。
今日もおじいさんは裏山へ、しばかりに。
おばあさんは近くの村へ、せんたくに。
辺鄙な田舎の村に住む老夫婦は慎ましく、それでいて仲睦まじく。
残された老後のスローライフをゆったりと楽しんでおりましたとさ。
山のすそ野をトンビの家族が飛び交い、落ちかけた太陽が地平線をゆらゆらと融かし始める黄昏時。
仕事を終えたおばあさんは村で得た野菜入りの籠を片手に、夕焼け色に染まった川沿いの道をトコトコと歩いて帰っておりました。
「ふぅ、今日も平和に過ごせたわねぇ。これもきっと、お天道様と土地神さんが私らを見守ってくれているお陰だよ」
何も無い田舎であれば、荒狂う自然や襲い来るケモノといった災害は最早あって当然。
ましてやおばあさんたちは腰の曲がった老境の身なのです。
だから一日を無事に過ごせただけで、今日は実に良い日であったと心の底から思えるのでしょう。
茜差す陽の光は、たしかに老いた目には灼けるように眩しい。
しかし人々を暖かく照らし、豊かな恵みをもたらしてくれるその力はまさに神様のように偉大。
おばあさんは平穏に一日を終えられたお礼を込めてそっと目を瞑り、太陽や山河に祈りを捧げ始めました。
すると……おばあさんは、見えない誰かに『こっちですよ』と呼ばれた気がしました。
それに驚き、声のした方へと目を向けると……なんと、川の上流からドンブラコ、ドンブラコと何か大きなモノが流れてくるではありませんか!
「おやおや、なんて立派で美味しそうな桃なんでしょう。これは是非とも持って帰って、おじいさんを喜ばせてあげましょうねぇ」
そう言っておばあさんは大きな籠に入ったそれを川から拾うと、大事にそうに抱えながらおじいさんの待つ家へと帰りました。
「お帰り、おばあさん。……おや? どうしたんだい、赤子なんて抱えて。村の子でも預かったのかい?」
そうなのです。
おばあさんが川で見つけたのはなんと、プリプリすべすべとした桃尻をもつ赤ちゃんだったのです。
「あまりにも可愛いお尻をしていた赤子が川を流れていたからねぇ。それに、そのまま放っておくわけにはいかないでしょう?」
「ほっほっほ。不思議なこともあるもんじゃな。これはきっと、神様が子に恵まれぬワシたちにこの坊を授けてくださったのだろう。せっかくじゃ。これからワシたち二人でこの子を大事に育てようじゃないか」
「えぇえぇ。私達に育てろという天の思し召しに違いないでしょう。ではさっそく、名を付けなくてはですね。――この子の名はピーチ=ジョー。いえ、この国由来の言葉を使って“桃太郎”としましょうか」
桃から生まれたからピーチ=ジョー。
それをこの島国特有の古代語に翻訳し名付けられた桃太郎は、二人の愛情を受けてすくすくと育ちました。
――そして桃太郎が18歳ほどの見た目になった頃。
彼にとって、生涯忘れられぬ事件が起きてしまったのです。
「オイィ……これァどういうこった? 俺様のハイスペックなスーパーアイには、大事な大事な生まれ故郷が燃えているように見えるんだが?」
一月ほどの遠征を無傷で終え、山から狩ったばかりの熊の亡骸を背負いながら悠々と帰還した桃太郎。
その彼が目にしたのは、轟轟と炎を巻き上げながら崩れ落ちるかけがえのない我が家でした。
「ジジィ!! ババァ!! おい、どこにいる!? ……クソッ! 火が強過ぎる!!」
未だ燃え続ける家の中で、必死に両親を探す桃太郎。
火傷を負い、煤だらけになりながらも部屋から部屋へと移動していくと……そこで見つけたのは、寝室だった場所で横たわっている傷だらけのおばあさんでした。
「おいっ! いったいどうしたんだよ! ここで何があった!」
どうやらこの家に居たのはおばあさんだけのようでした。
辛うじて生きてはいるようですが、既に虫の息でゼェゼェと辛そうに息を吐いています。
桃太郎の呼びかけに気付いたおばあさんはその声に応じてうっすらと目を開けました。
自身は瀕死の身であるにもかかわらず、そこに息子である桃太郎が居ると分かると安心したような表情を見せます。
そして、まるで蚊のようにか細い声で最愛の息子に語りかけました。
「おぉ、桃太郎や。お前は無事だったのかい。良かった良かった……」
「俺様のことはいい! それより何が起きたッ!? あのジジィは何処に行ったんだよ!」
唾を飛ばしながら叫ぶ息子に、おばあさんはふるふると頭を振って答えます。
「……あ、あの人は村を襲ってきた鬼人どもを追って行っちまったよ。わたしは村を結界で守っていたんじゃが……あの数には敵わんくての……。救世の姫巫女と言われたわたしがこのザマじゃ。ふ、不甲斐ないねぇ……」
「まさか異界の勇者と言われたジジイでも敵わねぇ相手だと!? おい、ババアの宣託は降りなかったのか? クソッ、せめて俺が村に残っていれば……」
桃太郎が抱える胸の中で、姫巫女と呼ばれたおばあさんはヒューヒューと苦しそうに喉から空気を出しながら、愛する息子に最期の言葉をかけます。
「あぁ、わたしの可愛い桃太郎。アイツらに復讐するなんて考えちゃいけないよ。あの恐ろしい鬼人達のボスである鬼神は、わたし達【妖狐の尻尾】と呼ばれた英雄達でも封印するのが限界だったんだ。わたしとおじいさんの息子も昔、ヤツらに……ゴホッ、ゴホッ」
「おい。そいつァどういうこったババア! ……息子、いたのか!?」
「大陸にある王国に住んでいた時にね。わたしらは英雄だなんて持ち上げられて。ゆ、油断したのさ。あの子の仇を取ろうと、鬼人の棲むこの島国に来たが……ふふふ、このざまだよ。それからは鬼神の封印を守るためだけにのうのうと生きてきたが……そんな時にお前を拾ったんじゃ……」
血に染まった手で力を振り絞りながら、桃太郎の顔を愛おしそうに撫でるおばあさん。
彼女の皺だらけの顔に、悔しさと喜びの混ざった液体が伝っていきます。
「わたし達は……お前を拾ってからは幸せじゃった。ただただ余生を無為に過ごすだけじゃった生活に、再び生きる意味を……だか、らせめて、お前だけは……生き、て……」
無情にもぱたり、と落ちるおばあさんの血に濡れた手。
桃太郎はわなわなと震える手でおばあさんの目蓋を優しく閉じさせると、猛烈なスピードで村へと駆け出します。
「おいジジイ!! どこだ! 何処にいるクソ勇者!! テメェの大事なババア置いて、いったいどこに行きやがったぁああ!!」
大声で叫びながら辺りを見渡すも、視界に入るのはバラバラになった家屋と元が何だったのか判別不能な肉塊のみ。
それなりの人数がいたはずの村の人達は、おじいさんとおばあさんが時間を稼いで逃がしたようで、人のような残骸は見当たりません。
しかしおじいさんの姿も、生きているナニカも……なにも一向に見つかりません。
それでも諦めることなく壊れた家々を隈なく探していく桃太郎。
そして遂に――村の集会所のある広場で、人影のようなモノがあることに気付きました。
「あ……お、おい。う、そだろ……」
そしてそれは……巨大な体躯をした鬼人の胸部に刀を突き刺したまま、微動だにしないおじいさんでした。
むせ返るような血の匂いが立ちこめるその場所に、よろよろと近付いていく桃太郎。
「父……さん……」
しかし桃太郎の言葉に何かを返す者は居りません。
あまりの激情により口元から赤い筋を垂らしながら、桃太郎は形見となってしまったおじいさんの愛刀を無言で引き抜きました。
昔は腕相撲すら勝てなかった父を片手で抱き上げ、左手で刀を引きずりながら母の元へ。
二人を地面に並べて置き、桃太郎はこの国の風習となっているポーズで冥福を祈ります。
重ねた手を戻し、目を開けると……二人がいつも胸元にかけていた、ルビーの様な紅色の宝玉付きのネックレスがふと目につきました。
いい歳した爺婆が色気付くなと悪口を叩いていましたが、今の桃太郎の瞳にはそれが奇妙に映ったようです。
「こんなクソ辺鄙なところ住むような田舎モン夫婦が、何でこんな上等な宝石のついた首飾りをしているんだ? って、おいおい……まさか!?」
――そういえば死ぬ寸前に、ババアは鬼神を封印していたと言っていた。
――もしその手下である鬼人が封印を解くカギを探していたとしたら。
――そしてそれがこの宝玉であるとするならば。
「コイツを俺が持っていれば、いずれあのクソ鬼共が追ってやってくるはずだ。そしてソイツらを片っ端からブチ殺し、親玉である鬼神もブッ殺せば……」
――己の命より大切だった恩人の仇を。
どちらが鬼とも分からぬ顔で、歯を剥き出しにしてニヤリと笑う桃太郎。
二つの首飾りを誓いを込めるように己の腰元に提げ、かつての勇者が使った伝説の刀をグッと握り締めました。
未だ燃え続ける故郷を背に、必ずやり遂げてみせるという決意を胸に。
一人の新たな英雄が今、この廃墟の村から旅立つのでありました。
むかしむかし。
ある島国に生まれ、そして愛する全てを失った男の復讐譚のはじまり、はじまり……。
新連載を始めました。お付き合いいただけると嬉しいです。
―――――――――――――――――――――
――むかしむかしの物語。
とある島国の田舎に、おじいさんとおばあさんがおりました。
今日もおじいさんは裏山へ、しばかりに。
おばあさんは近くの村へ、せんたくに。
辺鄙な田舎の村に住む老夫婦は慎ましく、それでいて仲睦まじく。
残された老後のスローライフをゆったりと楽しんでおりましたとさ。
山のすそ野をトンビの家族が飛び交い、落ちかけた太陽が地平線をゆらゆらと融かし始める黄昏時。
仕事を終えたおばあさんは村で得た野菜入りの籠を片手に、夕焼け色に染まった川沿いの道をトコトコと歩いて帰っておりました。
「ふぅ、今日も平和に過ごせたわねぇ。これもきっと、お天道様と土地神さんが私らを見守ってくれているお陰だよ」
何も無い田舎であれば、荒狂う自然や襲い来るケモノといった災害は最早あって当然。
ましてやおばあさんたちは腰の曲がった老境の身なのです。
だから一日を無事に過ごせただけで、今日は実に良い日であったと心の底から思えるのでしょう。
茜差す陽の光は、たしかに老いた目には灼けるように眩しい。
しかし人々を暖かく照らし、豊かな恵みをもたらしてくれるその力はまさに神様のように偉大。
おばあさんは平穏に一日を終えられたお礼を込めてそっと目を瞑り、太陽や山河に祈りを捧げ始めました。
すると……おばあさんは、見えない誰かに『こっちですよ』と呼ばれた気がしました。
それに驚き、声のした方へと目を向けると……なんと、川の上流からドンブラコ、ドンブラコと何か大きなモノが流れてくるではありませんか!
「おやおや、なんて立派で美味しそうな桃なんでしょう。これは是非とも持って帰って、おじいさんを喜ばせてあげましょうねぇ」
そう言っておばあさんは大きな籠に入ったそれを川から拾うと、大事にそうに抱えながらおじいさんの待つ家へと帰りました。
「お帰り、おばあさん。……おや? どうしたんだい、赤子なんて抱えて。村の子でも預かったのかい?」
そうなのです。
おばあさんが川で見つけたのはなんと、プリプリすべすべとした桃尻をもつ赤ちゃんだったのです。
「あまりにも可愛いお尻をしていた赤子が川を流れていたからねぇ。それに、そのまま放っておくわけにはいかないでしょう?」
「ほっほっほ。不思議なこともあるもんじゃな。これはきっと、神様が子に恵まれぬワシたちにこの坊を授けてくださったのだろう。せっかくじゃ。これからワシたち二人でこの子を大事に育てようじゃないか」
「えぇえぇ。私達に育てろという天の思し召しに違いないでしょう。ではさっそく、名を付けなくてはですね。――この子の名はピーチ=ジョー。いえ、この国由来の言葉を使って“桃太郎”としましょうか」
桃から生まれたからピーチ=ジョー。
それをこの島国特有の古代語に翻訳し名付けられた桃太郎は、二人の愛情を受けてすくすくと育ちました。
――そして桃太郎が18歳ほどの見た目になった頃。
彼にとって、生涯忘れられぬ事件が起きてしまったのです。
「オイィ……これァどういうこった? 俺様のハイスペックなスーパーアイには、大事な大事な生まれ故郷が燃えているように見えるんだが?」
一月ほどの遠征を無傷で終え、山から狩ったばかりの熊の亡骸を背負いながら悠々と帰還した桃太郎。
その彼が目にしたのは、轟轟と炎を巻き上げながら崩れ落ちるかけがえのない我が家でした。
「ジジィ!! ババァ!! おい、どこにいる!? ……クソッ! 火が強過ぎる!!」
未だ燃え続ける家の中で、必死に両親を探す桃太郎。
火傷を負い、煤だらけになりながらも部屋から部屋へと移動していくと……そこで見つけたのは、寝室だった場所で横たわっている傷だらけのおばあさんでした。
「おいっ! いったいどうしたんだよ! ここで何があった!」
どうやらこの家に居たのはおばあさんだけのようでした。
辛うじて生きてはいるようですが、既に虫の息でゼェゼェと辛そうに息を吐いています。
桃太郎の呼びかけに気付いたおばあさんはその声に応じてうっすらと目を開けました。
自身は瀕死の身であるにもかかわらず、そこに息子である桃太郎が居ると分かると安心したような表情を見せます。
そして、まるで蚊のようにか細い声で最愛の息子に語りかけました。
「おぉ、桃太郎や。お前は無事だったのかい。良かった良かった……」
「俺様のことはいい! それより何が起きたッ!? あのジジィは何処に行ったんだよ!」
唾を飛ばしながら叫ぶ息子に、おばあさんはふるふると頭を振って答えます。
「……あ、あの人は村を襲ってきた鬼人どもを追って行っちまったよ。わたしは村を結界で守っていたんじゃが……あの数には敵わんくての……。救世の姫巫女と言われたわたしがこのザマじゃ。ふ、不甲斐ないねぇ……」
「まさか異界の勇者と言われたジジイでも敵わねぇ相手だと!? おい、ババアの宣託は降りなかったのか? クソッ、せめて俺が村に残っていれば……」
桃太郎が抱える胸の中で、姫巫女と呼ばれたおばあさんはヒューヒューと苦しそうに喉から空気を出しながら、愛する息子に最期の言葉をかけます。
「あぁ、わたしの可愛い桃太郎。アイツらに復讐するなんて考えちゃいけないよ。あの恐ろしい鬼人達のボスである鬼神は、わたし達【妖狐の尻尾】と呼ばれた英雄達でも封印するのが限界だったんだ。わたしとおじいさんの息子も昔、ヤツらに……ゴホッ、ゴホッ」
「おい。そいつァどういうこったババア! ……息子、いたのか!?」
「大陸にある王国に住んでいた時にね。わたしらは英雄だなんて持ち上げられて。ゆ、油断したのさ。あの子の仇を取ろうと、鬼人の棲むこの島国に来たが……ふふふ、このざまだよ。それからは鬼神の封印を守るためだけにのうのうと生きてきたが……そんな時にお前を拾ったんじゃ……」
血に染まった手で力を振り絞りながら、桃太郎の顔を愛おしそうに撫でるおばあさん。
彼女の皺だらけの顔に、悔しさと喜びの混ざった液体が伝っていきます。
「わたし達は……お前を拾ってからは幸せじゃった。ただただ余生を無為に過ごすだけじゃった生活に、再び生きる意味を……だか、らせめて、お前だけは……生き、て……」
無情にもぱたり、と落ちるおばあさんの血に濡れた手。
桃太郎はわなわなと震える手でおばあさんの目蓋を優しく閉じさせると、猛烈なスピードで村へと駆け出します。
「おいジジイ!! どこだ! 何処にいるクソ勇者!! テメェの大事なババア置いて、いったいどこに行きやがったぁああ!!」
大声で叫びながら辺りを見渡すも、視界に入るのはバラバラになった家屋と元が何だったのか判別不能な肉塊のみ。
それなりの人数がいたはずの村の人達は、おじいさんとおばあさんが時間を稼いで逃がしたようで、人のような残骸は見当たりません。
しかしおじいさんの姿も、生きているナニカも……なにも一向に見つかりません。
それでも諦めることなく壊れた家々を隈なく探していく桃太郎。
そして遂に――村の集会所のある広場で、人影のようなモノがあることに気付きました。
「あ……お、おい。う、そだろ……」
そしてそれは……巨大な体躯をした鬼人の胸部に刀を突き刺したまま、微動だにしないおじいさんでした。
むせ返るような血の匂いが立ちこめるその場所に、よろよろと近付いていく桃太郎。
「父……さん……」
しかし桃太郎の言葉に何かを返す者は居りません。
あまりの激情により口元から赤い筋を垂らしながら、桃太郎は形見となってしまったおじいさんの愛刀を無言で引き抜きました。
昔は腕相撲すら勝てなかった父を片手で抱き上げ、左手で刀を引きずりながら母の元へ。
二人を地面に並べて置き、桃太郎はこの国の風習となっているポーズで冥福を祈ります。
重ねた手を戻し、目を開けると……二人がいつも胸元にかけていた、ルビーの様な紅色の宝玉付きのネックレスがふと目につきました。
いい歳した爺婆が色気付くなと悪口を叩いていましたが、今の桃太郎の瞳にはそれが奇妙に映ったようです。
「こんなクソ辺鄙なところ住むような田舎モン夫婦が、何でこんな上等な宝石のついた首飾りをしているんだ? って、おいおい……まさか!?」
――そういえば死ぬ寸前に、ババアは鬼神を封印していたと言っていた。
――もしその手下である鬼人が封印を解くカギを探していたとしたら。
――そしてそれがこの宝玉であるとするならば。
「コイツを俺が持っていれば、いずれあのクソ鬼共が追ってやってくるはずだ。そしてソイツらを片っ端からブチ殺し、親玉である鬼神もブッ殺せば……」
――己の命より大切だった恩人の仇を。
どちらが鬼とも分からぬ顔で、歯を剥き出しにしてニヤリと笑う桃太郎。
二つの首飾りを誓いを込めるように己の腰元に提げ、かつての勇者が使った伝説の刀をグッと握り締めました。
未だ燃え続ける故郷を背に、必ずやり遂げてみせるという決意を胸に。
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