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1章 第2部 幼馴染の少女
26話 灯里とクレハ
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「おお、灯里、ナイスタイミングだ! これでクレハのうるさいお小言から解放される!」
陣は親指を立てながら、灯里を快く歓迎する。
「陣、ばっちり聞こえてるんだけどー! ワタシが逃がすと思ってるの?」
「ははは、そういうなって。ほら、自己紹介だ。こいつが」
クレハの追求を笑って誤魔化しつつ、彼女に灯里を紹介してやった。
「どもどもー! 陣くんの助手の水無瀬灯里だよー! よろしくねー!」
すると灯里が手を上げながら、人懐っこい笑みであいさつを。
「ワタシはクレハ・レイヴァースよ。それで陣、これがどういうことか説明してくれるのよね?」
クレハは両腰に手を当て、納得がいかなさそうに詰め寄ってくる。
「なんだ? 灯里のことか? そんなのクレハと二人っきりだったら、お小言のオンパレードで疲れるだろ? だからその防波堤になってもらおうと、急きょ雇った。どうだ? なかなかいいアイディアと思わないか?」
「フフフ、本人を目の前にしていい度胸ね! そこまでしてワタシと二人っきりが嫌なわけ? ふん! ――こっちは少し楽しみだったのに……、陣のバカ……」
クレハは少し涙目になりながら、そっぽを向いてしまった。どうやら拗ねてしまったらしい。
これには陣も少し戸惑ってしまう。確かに少しひどい言葉だったかもしれないが、昔はこんなやりとり当たり前。ゆえにいつものように陣の軽口に対し、呆れながら文句を言ってくるはずだった。だがまさかここまで重く受け取ってしまうとは。もしかすると子供のころと違って、なにか心境の変化があったのかもしれない。
「陣くん、今のはひどすぎるよー。ほらほらー、クレハ、こんなにもいじけちゃったじゃん。口でいろいろ言ってるのは気になって仕方ないからで、きっと好意の表れ。そんな乙女心をくみ取ってあげないとー」
灯里はそんな陣たちのやりとりを見かねたらしい。クレハの肩に後ろから手を置き、陣にダメだししてきた。
「こ、好意ってなにを言って!?」
「ふっふっふっ、クレハ、みなまで言わなくていいよ! 灯里さんはすべてお見通しだから! ここは愛のキューピットに任せて、大船に乗った気でいてね! あはははは!」
顔を真っ赤にして取り乱すクレハに、灯里はどんとこいと胸をたたきながら力強く宣言を。
「ぐふっ、愛のって……、ただの勘違いだから!? ワタシは陣のことなんて全然っ!?」
クレハはその爆弾発言にダメージを受けながらも、灯里の両肩をブンブン揺さぶって抗議する。
だが灯里はクレハの言い分を聞いていないのか、楽しそうに笑って応えるだけで。
「まあまあ、そうテレなさんな! あはははは!」
「ちょっと聞いてる!? お願いだから聞く耳を持って!?」
「――まぁ、なんだ……。別にクレハのことは嫌いじゃないぞ。お前に後ろからお小言を聞かされるのも、あれはあれで心地よいというか。なかったら寂しく感じてしまうぐらいだしな」
クレハとは腐れ縁の幼馴染とあって、普段より軽口がのってしまった気がする。なので彼女に一応フォローの言葉を。
「おぉ! お熱いラブコールがきたよー! クレハ、よかったね!」
「――べ、別にワタシはそんなことで喜ばないし……。ふ、ふーん、そうなんだ程度ぐらいの感想しか、出てこないんだから」
クレハは視線を逸らし、髪をいじりながらそっけなさそうに答えた。
「あはは、クレハは見事なまでのツンデレさんだなー! でもそれだと鈍感そうな陣くん相手には、厳しいかも。うん、ここで会ったのもなにかの縁ということで、この灯里さんが一肌脱いであげよう! クレハの恋路を全力でサポートするね!」
だがそのテレ隠しは、灯里に通じなかった様子。彼女はまたもや胸をどんっとたたき、得意げな笑みを浮かべる。
「だだだ、だからそんなんじゃないんだってばー! ――はぁ、はぁ、なんなのこの子……。もしかしてすごいお節介焼き? 自分の得にもならないことをよくもまあ、ここまで……」
少し迷惑そうにしながらも、きっと心優しい女の子なのだろうと灯里に感心のまなざしを向けるクレハ。
「うんにゃ、ただ単に面白そうだからだよ! 他人の恋路ってすっごく楽しいもん!」
しかし灯里はその感動を裏切るように、満面の笑顔でカミングアウトしてきた。
「はっきり言い切った、この子!?」
「それにクレハの場合は、反応が可愛くてからかい甲斐があるんだよねー! うんうん、まさにクレハはからかって遊ぶのにもってこいの逸材! これからのことを考えると、腕が鳴って仕方ありませんなー!」
「いい子だと思ったら、とんでもない子だった!?」
そんな灯里のルンルン気分の本音に、クレハは目を丸くしながら心からのツッコミを。 どうやら彼女の応援はクレハのためではなく、ただ自分が楽しむためというはた迷惑な思考からだったらしい。
「あはは、私は楽しいこと大好き人間だからねー! もう快楽主義の人生まっしぐら! せっかくの人生楽しんだもの勝ちってのが、灯里さんの信条なのだよ!」
そしてふふんとドヤ顔で、胸を張りながら人生観をかたりだす灯里。
「おっ、その意見には賛成だな。どうせならかきまわしまくって、面白くするってのが華ってもんだ」
「だよね! だよねー! 陣くん、話がわっかるー! さっすが私の親友だー! これからも一緒に、楽しいことを探究し続けよう!」
「フッ、悪くない。灯里と一緒なら、いろいろ退屈せずに済みそうだ。さあ、行くぞ、同士よ!」
「おー、二人で全国制覇だー!」
二人でノリノリで宣言しあいながら、ハイタッチする。
あまりにも灯里と気が合ったため、陣もがらになくはしゃいでしまっていたのだ。
「――ダメだ。この二人をまぜたら、とんでもないことになりそうな予感が……」
二人で盛り上がっていると、後ろから頭を抱え憂鬱そうにするクレハの声が聞こえてくるのであった。
陣は親指を立てながら、灯里を快く歓迎する。
「陣、ばっちり聞こえてるんだけどー! ワタシが逃がすと思ってるの?」
「ははは、そういうなって。ほら、自己紹介だ。こいつが」
クレハの追求を笑って誤魔化しつつ、彼女に灯里を紹介してやった。
「どもどもー! 陣くんの助手の水無瀬灯里だよー! よろしくねー!」
すると灯里が手を上げながら、人懐っこい笑みであいさつを。
「ワタシはクレハ・レイヴァースよ。それで陣、これがどういうことか説明してくれるのよね?」
クレハは両腰に手を当て、納得がいかなさそうに詰め寄ってくる。
「なんだ? 灯里のことか? そんなのクレハと二人っきりだったら、お小言のオンパレードで疲れるだろ? だからその防波堤になってもらおうと、急きょ雇った。どうだ? なかなかいいアイディアと思わないか?」
「フフフ、本人を目の前にしていい度胸ね! そこまでしてワタシと二人っきりが嫌なわけ? ふん! ――こっちは少し楽しみだったのに……、陣のバカ……」
クレハは少し涙目になりながら、そっぽを向いてしまった。どうやら拗ねてしまったらしい。
これには陣も少し戸惑ってしまう。確かに少しひどい言葉だったかもしれないが、昔はこんなやりとり当たり前。ゆえにいつものように陣の軽口に対し、呆れながら文句を言ってくるはずだった。だがまさかここまで重く受け取ってしまうとは。もしかすると子供のころと違って、なにか心境の変化があったのかもしれない。
「陣くん、今のはひどすぎるよー。ほらほらー、クレハ、こんなにもいじけちゃったじゃん。口でいろいろ言ってるのは気になって仕方ないからで、きっと好意の表れ。そんな乙女心をくみ取ってあげないとー」
灯里はそんな陣たちのやりとりを見かねたらしい。クレハの肩に後ろから手を置き、陣にダメだししてきた。
「こ、好意ってなにを言って!?」
「ふっふっふっ、クレハ、みなまで言わなくていいよ! 灯里さんはすべてお見通しだから! ここは愛のキューピットに任せて、大船に乗った気でいてね! あはははは!」
顔を真っ赤にして取り乱すクレハに、灯里はどんとこいと胸をたたきながら力強く宣言を。
「ぐふっ、愛のって……、ただの勘違いだから!? ワタシは陣のことなんて全然っ!?」
クレハはその爆弾発言にダメージを受けながらも、灯里の両肩をブンブン揺さぶって抗議する。
だが灯里はクレハの言い分を聞いていないのか、楽しそうに笑って応えるだけで。
「まあまあ、そうテレなさんな! あはははは!」
「ちょっと聞いてる!? お願いだから聞く耳を持って!?」
「――まぁ、なんだ……。別にクレハのことは嫌いじゃないぞ。お前に後ろからお小言を聞かされるのも、あれはあれで心地よいというか。なかったら寂しく感じてしまうぐらいだしな」
クレハとは腐れ縁の幼馴染とあって、普段より軽口がのってしまった気がする。なので彼女に一応フォローの言葉を。
「おぉ! お熱いラブコールがきたよー! クレハ、よかったね!」
「――べ、別にワタシはそんなことで喜ばないし……。ふ、ふーん、そうなんだ程度ぐらいの感想しか、出てこないんだから」
クレハは視線を逸らし、髪をいじりながらそっけなさそうに答えた。
「あはは、クレハは見事なまでのツンデレさんだなー! でもそれだと鈍感そうな陣くん相手には、厳しいかも。うん、ここで会ったのもなにかの縁ということで、この灯里さんが一肌脱いであげよう! クレハの恋路を全力でサポートするね!」
だがそのテレ隠しは、灯里に通じなかった様子。彼女はまたもや胸をどんっとたたき、得意げな笑みを浮かべる。
「だだだ、だからそんなんじゃないんだってばー! ――はぁ、はぁ、なんなのこの子……。もしかしてすごいお節介焼き? 自分の得にもならないことをよくもまあ、ここまで……」
少し迷惑そうにしながらも、きっと心優しい女の子なのだろうと灯里に感心のまなざしを向けるクレハ。
「うんにゃ、ただ単に面白そうだからだよ! 他人の恋路ってすっごく楽しいもん!」
しかし灯里はその感動を裏切るように、満面の笑顔でカミングアウトしてきた。
「はっきり言い切った、この子!?」
「それにクレハの場合は、反応が可愛くてからかい甲斐があるんだよねー! うんうん、まさにクレハはからかって遊ぶのにもってこいの逸材! これからのことを考えると、腕が鳴って仕方ありませんなー!」
「いい子だと思ったら、とんでもない子だった!?」
そんな灯里のルンルン気分の本音に、クレハは目を丸くしながら心からのツッコミを。 どうやら彼女の応援はクレハのためではなく、ただ自分が楽しむためというはた迷惑な思考からだったらしい。
「あはは、私は楽しいこと大好き人間だからねー! もう快楽主義の人生まっしぐら! せっかくの人生楽しんだもの勝ちってのが、灯里さんの信条なのだよ!」
そしてふふんとドヤ顔で、胸を張りながら人生観をかたりだす灯里。
「おっ、その意見には賛成だな。どうせならかきまわしまくって、面白くするってのが華ってもんだ」
「だよね! だよねー! 陣くん、話がわっかるー! さっすが私の親友だー! これからも一緒に、楽しいことを探究し続けよう!」
「フッ、悪くない。灯里と一緒なら、いろいろ退屈せずに済みそうだ。さあ、行くぞ、同士よ!」
「おー、二人で全国制覇だー!」
二人でノリノリで宣言しあいながら、ハイタッチする。
あまりにも灯里と気が合ったため、陣もがらになくはしゃいでしまっていたのだ。
「――ダメだ。この二人をまぜたら、とんでもないことになりそうな予感が……」
二人で盛り上がっていると、後ろから頭を抱え憂鬱そうにするクレハの声が聞こえてくるのであった。
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