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1章 第3部 運命の出会い
35話 残念お姉さん?
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「よう、また会ったな。自称残念お姉さんことリルよ」
「むー、自称は余計。あと残念ってなんなのかな? わたしはしっかり者のお姉さん。あまり失礼なこと言ってると、ケンカを売ってるとみなしお灸をすえちゃうんだよ」
リルはかわいらしくほおを膨らませてくる。そして腕を前に出し、不敵な笑みを浮かべてくる。
「ほう、面白い。あんた絶対ただ者じゃないから、興味深いものが見れそうだ。じゃあ、まずはこちらから」
「ちょっと、待って!? なにいきなり構えてるのかな? 冗談だよ、冗談! お姉さんとして、少し威厳をみせようとしただけなんだよ!?」
臨戦態勢をとる陣に、リルはあわあわと手で制してきた。
なにやら一瞬ただならぬオーラを感じたと思ったが、気のせいだったらしい。ただ単にお姉さんを気取りたかっただけみたいだ。
「なんだ、つまらん。ここで乗ってくれたら、なに者か見さだめられたかもしれないのに。――はぁ……、やる気だして損した」
これには肩をすくめ、ため息をつくしかない。
「わたしがわるいみたいな雰囲気、出さないでくれるかな!? この場合いきなり戦いを吹っかけてきた、ジンくんの非常識さが問題なんだからー!」
リルは心外だと、胸にバッと手を当てながら必死に身の潔白を。
「――はぁ……、まったく、もー、キミって子は……。あの子と同じで、周りを振り回すのが得意だね」
そして額に手を当て、やれやれとどこかほほえましそうな笑みを浮かべる。
「なんの話だ?」
「こっちの話だよ。うん、それにしてもジンくんは物好きだね。わたしに会うために、こんなところまで追っかけてくるなんて。今回はわたし、ノータッチだったんだけどなー」
ほおに指をポンポン当て、ニヤニヤと意地の悪い視線を向けてくるリル。
彼女の気配のようなものをわずかながら感じたので、そのまま勘にしたがいここまで来たのである。ゆえにまたリルが誘っていたと思ったが、違ったらしい。
「なに? ここにいるような気がして来たんだが、これってリルが前回同様誘っていたんじゃないのか?」
「えへへ、違うね。それはジンくんのわたしを求める想いが起こした、軌跡なんじゃないのかな? まさかキミが、そこまで情熱的な人だったとは。わたしに会いたくて会いたくて、仕方なかったんだねー。お姉さん、思わずテレちゃうほどだよー」
リルははにかんだ笑みを浮かべ、なにやら聞き捨てならないことを口に。
「うんうん、わるい気はしないね! 男の子にここまで求められるシチュエーション! えへへ、なんだかグッとくるものがあるなー」
それから両ほおに手を当て、ぱぁぁっとうっとりしだす。
「おい、なにを勘違いしている。オレは確かにリルを探していたが、それは色恋沙汰じゃ断じてなく、ただ単にあんたの昨日の言葉が気になっていただけだぞ」
彼女にしてはいいことかもしれないが、陣にとっては勝手に事実を捏造されている事態。よって不服の意を示す。
するとリルは上目遣でからかってきた。
「ふふっ、なに、なにー、テレ隠しかな? ジンくん? お姉さんの前では素直になってもいいんだぞー?」
「イラ、なに調子に乗ってんだ? フンッ」
得意げにウィンクしてくるリルの頭に、軽くチョップをくらわす。
「痛い!? ちょっ!? 理不尽な暴力がわたしを襲ったんだけど、これはいったいどういうことかな!?」
リルは両手で頭を押さえ、少し涙目になりながら抗議する。
その姿は見るからにいたいけな少女そのもの。ゆえにほんの少しばかり罪悪感のようなものを感じなくもない。だが本人いわく一つ年上らしいので、そこまで気にすることはないだろう。
「うん? なんかむかついたから、つい」
「――うぅ……、確かに調子に乗ったのは謝るけど、女の子に手をあげるのはいただけないなー」
「いや、これでも自分を押さえて、手加減してるんだからありがたく思えよ。本来なら魔法の一、二発打ち込んでるところだぞ」
「そうなの? ありがとう。――って、なんで謝ってるのわたし!? わるいのはそっちだよね! ――むー、せっかくいい気分だったのになー」
この程度で済んだと感謝するリルであったが、すぐさまおかしいことに気付き文句を。そしてほおを膨らませ、すねだす。
その姿はやはり外見相応の女の子。もはやお姉さんの欠片もなかった。
「そんなことどうでもいいから、昨日の話の続きをしろ」
「相変わらずひどいね、ジンくんは。それにせっかちさんだよ。もう少しお姉さんとのお話を、楽しもうとは思わないのかな?」
「興味があるのはリル本人じゃなく、あんたが知ってることだ。これは勘だが、オレが欲っしてる答えをリルは持ってるはず。だからなにがなんでも聞き出させてもらうぞ。たとえ力づくになったとしてもな」
あきれるリルに対し、マジの目つきで告げる。
彼女がただ者でないのはわかっていた。言葉ではうまく説明できないのだが、彼女はとにかく異質。突然消えたこともそうだがそれ以前に、リルからは星詠みに似た力の波動のようなものを感じる。そしてそれは陣が追い求めていたものの気がして止まないのだ。
「ふふっ、なかなか面白い冗談を言うね。本当にわたしに勝てるとでも思ってるのかな?」
「ッ!?」
リルの澄んだ瞳が青白く光った瞬間、思わず後ずさりしてしまった。
なぜなら彼女の雰囲気が急に一変したからだ。それは星詠みに垣間見れる寒気。あまりにも人智を超えた力ゆえ、認識することに恐怖を覚えてしまう。
「確かにジンくんはすごいよ。でもわたしと比べるとまだまだだね。だってキミはまだ、世界の真理に足を踏み入れる段階なんだもん。その最果てにまで到達したわたしに、敵うなんて道理はないんだよ?」
リルはまるで子供をたしなめるかのように、現実を突き付けてくる。
彼女の言う通りだ。それもそのはず、リルの垣間見せるオーラは尋常ではないのだ。もはやこれほどまでに濃い深度の力を見たことがなかった。そう、それほどまでに陣とリルでは、立っている位階そのものが違う。いうならば赤子と大人。しかも向こうは極限までに完成しきった、規格外の存在といっていい。
「ふふっ、なーんてね! 彼女ならともかく、今のわたしだとそう思うようにいかないんだよねー。――だってわたしは……、くす」
飲み込まれるほどの圧であったが、リルがいたずらっぽく笑い出したことで四散した。そして彼女はどこか自嘲気味につぶやき、海の方を遠い目をして見つめだす。その先にはちょうど福音島の姿が。
声をかけようとするが、今の彼女の雰囲気からはばまれてしまう。なので陣もリルと同じく、福音島の方を見ることに。波の音が辺りを支配し、そよ風が二人の髪を揺らす。しばらく無言で眺めていたかと思うと、リルがふとたずねてきた。
「ねえ、ジンくんにはこの世界がどう映る?」
「むー、自称は余計。あと残念ってなんなのかな? わたしはしっかり者のお姉さん。あまり失礼なこと言ってると、ケンカを売ってるとみなしお灸をすえちゃうんだよ」
リルはかわいらしくほおを膨らませてくる。そして腕を前に出し、不敵な笑みを浮かべてくる。
「ほう、面白い。あんた絶対ただ者じゃないから、興味深いものが見れそうだ。じゃあ、まずはこちらから」
「ちょっと、待って!? なにいきなり構えてるのかな? 冗談だよ、冗談! お姉さんとして、少し威厳をみせようとしただけなんだよ!?」
臨戦態勢をとる陣に、リルはあわあわと手で制してきた。
なにやら一瞬ただならぬオーラを感じたと思ったが、気のせいだったらしい。ただ単にお姉さんを気取りたかっただけみたいだ。
「なんだ、つまらん。ここで乗ってくれたら、なに者か見さだめられたかもしれないのに。――はぁ……、やる気だして損した」
これには肩をすくめ、ため息をつくしかない。
「わたしがわるいみたいな雰囲気、出さないでくれるかな!? この場合いきなり戦いを吹っかけてきた、ジンくんの非常識さが問題なんだからー!」
リルは心外だと、胸にバッと手を当てながら必死に身の潔白を。
「――はぁ……、まったく、もー、キミって子は……。あの子と同じで、周りを振り回すのが得意だね」
そして額に手を当て、やれやれとどこかほほえましそうな笑みを浮かべる。
「なんの話だ?」
「こっちの話だよ。うん、それにしてもジンくんは物好きだね。わたしに会うために、こんなところまで追っかけてくるなんて。今回はわたし、ノータッチだったんだけどなー」
ほおに指をポンポン当て、ニヤニヤと意地の悪い視線を向けてくるリル。
彼女の気配のようなものをわずかながら感じたので、そのまま勘にしたがいここまで来たのである。ゆえにまたリルが誘っていたと思ったが、違ったらしい。
「なに? ここにいるような気がして来たんだが、これってリルが前回同様誘っていたんじゃないのか?」
「えへへ、違うね。それはジンくんのわたしを求める想いが起こした、軌跡なんじゃないのかな? まさかキミが、そこまで情熱的な人だったとは。わたしに会いたくて会いたくて、仕方なかったんだねー。お姉さん、思わずテレちゃうほどだよー」
リルははにかんだ笑みを浮かべ、なにやら聞き捨てならないことを口に。
「うんうん、わるい気はしないね! 男の子にここまで求められるシチュエーション! えへへ、なんだかグッとくるものがあるなー」
それから両ほおに手を当て、ぱぁぁっとうっとりしだす。
「おい、なにを勘違いしている。オレは確かにリルを探していたが、それは色恋沙汰じゃ断じてなく、ただ単にあんたの昨日の言葉が気になっていただけだぞ」
彼女にしてはいいことかもしれないが、陣にとっては勝手に事実を捏造されている事態。よって不服の意を示す。
するとリルは上目遣でからかってきた。
「ふふっ、なに、なにー、テレ隠しかな? ジンくん? お姉さんの前では素直になってもいいんだぞー?」
「イラ、なに調子に乗ってんだ? フンッ」
得意げにウィンクしてくるリルの頭に、軽くチョップをくらわす。
「痛い!? ちょっ!? 理不尽な暴力がわたしを襲ったんだけど、これはいったいどういうことかな!?」
リルは両手で頭を押さえ、少し涙目になりながら抗議する。
その姿は見るからにいたいけな少女そのもの。ゆえにほんの少しばかり罪悪感のようなものを感じなくもない。だが本人いわく一つ年上らしいので、そこまで気にすることはないだろう。
「うん? なんかむかついたから、つい」
「――うぅ……、確かに調子に乗ったのは謝るけど、女の子に手をあげるのはいただけないなー」
「いや、これでも自分を押さえて、手加減してるんだからありがたく思えよ。本来なら魔法の一、二発打ち込んでるところだぞ」
「そうなの? ありがとう。――って、なんで謝ってるのわたし!? わるいのはそっちだよね! ――むー、せっかくいい気分だったのになー」
この程度で済んだと感謝するリルであったが、すぐさまおかしいことに気付き文句を。そしてほおを膨らませ、すねだす。
その姿はやはり外見相応の女の子。もはやお姉さんの欠片もなかった。
「そんなことどうでもいいから、昨日の話の続きをしろ」
「相変わらずひどいね、ジンくんは。それにせっかちさんだよ。もう少しお姉さんとのお話を、楽しもうとは思わないのかな?」
「興味があるのはリル本人じゃなく、あんたが知ってることだ。これは勘だが、オレが欲っしてる答えをリルは持ってるはず。だからなにがなんでも聞き出させてもらうぞ。たとえ力づくになったとしてもな」
あきれるリルに対し、マジの目つきで告げる。
彼女がただ者でないのはわかっていた。言葉ではうまく説明できないのだが、彼女はとにかく異質。突然消えたこともそうだがそれ以前に、リルからは星詠みに似た力の波動のようなものを感じる。そしてそれは陣が追い求めていたものの気がして止まないのだ。
「ふふっ、なかなか面白い冗談を言うね。本当にわたしに勝てるとでも思ってるのかな?」
「ッ!?」
リルの澄んだ瞳が青白く光った瞬間、思わず後ずさりしてしまった。
なぜなら彼女の雰囲気が急に一変したからだ。それは星詠みに垣間見れる寒気。あまりにも人智を超えた力ゆえ、認識することに恐怖を覚えてしまう。
「確かにジンくんはすごいよ。でもわたしと比べるとまだまだだね。だってキミはまだ、世界の真理に足を踏み入れる段階なんだもん。その最果てにまで到達したわたしに、敵うなんて道理はないんだよ?」
リルはまるで子供をたしなめるかのように、現実を突き付けてくる。
彼女の言う通りだ。それもそのはず、リルの垣間見せるオーラは尋常ではないのだ。もはやこれほどまでに濃い深度の力を見たことがなかった。そう、それほどまでに陣とリルでは、立っている位階そのものが違う。いうならば赤子と大人。しかも向こうは極限までに完成しきった、規格外の存在といっていい。
「ふふっ、なーんてね! 彼女ならともかく、今のわたしだとそう思うようにいかないんだよねー。――だってわたしは……、くす」
飲み込まれるほどの圧であったが、リルがいたずらっぽく笑い出したことで四散した。そして彼女はどこか自嘲気味につぶやき、海の方を遠い目をして見つめだす。その先にはちょうど福音島の姿が。
声をかけようとするが、今の彼女の雰囲気からはばまれてしまう。なので陣もリルと同じく、福音島の方を見ることに。波の音が辺りを支配し、そよ風が二人の髪を揺らす。しばらく無言で眺めていたかと思うと、リルがふとたずねてきた。
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