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2章 第4部 手に入れた力
82話 灯里の星
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「――クハハ……、どうやらここまでか……。なあ、オレ様とお前さん、命運を分けたのはなんだったんだろうな」
アンドレーは倒れながら、自嘲気味にたずねてくる。
すでに陣の渾身の一撃により、勝敗は決していた。もはやアンドレーのボロボロの身体で、これ以上の戦闘は不可能。あとは陣が引導を渡すだけであった。
「――そうだな……。しいて言えば、ちんちくりんな女神様につきまとわれた差かな。でないとオレもサイファス・フォルトナーの疑似恒星に振り回され、あんたの二の舞になってたはずだ」
すぐ後ろをただよっているリルに視線を向け、答えてやる。
おそらくリルがいなければ、いくら陣でもアンドレーと同じ道をたどっていたはず。ゆえに彼女に感謝せずには入られなかった。
ただその答えに気に入らない部分があったのか、リルはムッとした表情を。文句を言いたかったようだが、さすがに今の空気をよんで我慢していた。
「クハハ、なるほどな……。お前さんにとりついてる、そこの嬢ちゃんが鍵だったわけか……。なら、仕方ねーかもな。ガキのおもりなんてがらじゃねーし、どの道無理だったわけだ。――グフッ……」
リルと関係の深いサイファス・フォルトナーの疑似恒星を使っていたためか、彼にも彼女が見えたようだ。そしてその事実に対し、おかしそうに納得を。だがそれもつかの間、完全に限界がきたようで。
「マスター、彼はもう……」
「ああ、アンドレー、今楽にしてやるよ」
陣はとどめを刺すため、創造の疑似恒星をにぎりしめ力を解放する。
彼は暴走しかけており、こうして話しているだけでもつらいはず。ゆえに早く楽にしてやりたかった。
「クハハ、ほんと残念だよ。お前さんがたどり着くだろう結末を、地獄で見ていたかったんだが」
しかしそこでアンドレーが、不穏な笑みをこぼす。
もはや彼の身体は動かず、なにもできないはずなのだが。
「どういうことだ?」
「わるいが、時間切れだ。とどめを刺すのが少し遅かったみたいだな。オレ様の星は臨界点を超えた。もうオレ様が死のうが止まらず、ここら一帯を飲み込むだろうよ……」
「おいおい、しゃれになってねーぞ!? 最後の置き土産にしたら、悪質にもほどがあるだろ!?」
まさかのカミングアウトに、心からの文句を。
「クハハ、じゃあな、陣とやら……。――オレ様は先に逝ってるぜ……」
アンドレーが別れの言葉を告げたと同時に、彼の星に異変が。
これまで押さえ込まれた力がなくなり、黒いオーラが止めどなくあふれ出てくる。
「ッ!? アンドレーの星が!?」
「マスター、このままだと本当にやばいんだよ!? 彼の押さえ込んでいた力がなくなり、星が一気に解き放たれようとしてる!?」
「クッ? オレだけならまだしも、近くには灯里やセナ、ルシアだっているんだぞ!? それに灯里の話じゃ、奈月やクレハも来てるっていうし!? リル、どうにかならないのか?」
このままでは星が爆発し、辺り一帯を吹き飛ばす恐れが。
しかもその輝きは力の概念という、破壊に関して最高位に位置する代物。もはや普通の星詠みでは、防ぎようがなかった。
「そうだね。今のあの星は完全に制御を失い、力の概念を際限なく生み出してる。これなら創造の星でなんとかできるかも」
「ほんとか!?」
「うん、創造の星のリル・フォルトナーの役割は、サイファス・フォルトナーの無限に内包する力を制御し、方向性を与えるものなんだよ。だからサイファス・フォルトナーと同じである彼の星にも、干渉できるはず。そして力の概念を生み出すプロセスそのものを、書き換えてしまえれば」
リルは胸に手を当て、冷静に分析を。
「おっ、それならいけそうだな。よし、それならさっそく」
「ただプロセスを書き換えるには彼の暴走する星の中心付近まで、創造の星の輝きを持って行かないとだめなんだよ。だから今のマスターのレベルじゃ、正直望み薄かもしれない。たぶん暴走一歩手前で、無茶すればあるいは……」
よほど無茶な賭けなのか、目をふせ表情に陰りをみせるリル。
「ははは、可能性があるなら賭けるまでだ。リル! サポート頼んだぞ! 」
「任せてなんだよ! 絶対わたしの手を離さないでね。力を求めすぎて創造の星に飲み込まれたら、戻ってこれなくなるから」
リルは陣の疑似恒星をにぎる手に、彼女の手をそえてくる。そして切実にうったえてきた。
「わかってるよ! 創造の星よ! はぁぁぁぁぁっ!」
彼女の注意を頭に入れ、陣は創造の疑似恒星の力を解き放つ。
そして星の輝きがあふれ出るアンドレーの身体へ手を近づけた。
(――ッ!? きついとはわかっていたが、これは想像以上だ!? このままじゃ干渉どころか、このアンドレーの星に飲み込まれてしまう勢いだぞ!? もっと出力をあげないと! ――ッ!?)
陣は創造の星で彼の星に干渉しようと試みるが、なかなかうまくいかない。というのもあふれ出る力があまりに強いせいで、こちらの創造の星の力が押し返され届かないのだ。今の陣は創星使いゆえ、押し返すほど高出力をまだ出せないのであった。
そんな中、アンドレーの星は次々に膨張し、爆発するカウントダウンを刻んでいく。しかも同時に身体から放出されていく黒いオーラの余波が、次第に激しくなっていき。
(――意識が途切れそうだ……。全快の時ならまだしも、この疲労しきった状態だと絶望的か……。力をうまく制御しきれない……。くっ……、――ここまでなのか……。なら、せめて灯里たちだけでも……)
すでに陣もこの度重なる戦闘で限界に近かった。それゆえこれ以上出力を上げるのは不可能に近く、絶望的。もはや陣に残された選択支は魂の汚染レベルを上げまくり、暴走する勢いで力を求めていくしかない。そうすれば自分は助からないだろうが、せめてここにいる仲間たちは助けることができるかもしれなかった。なので陣は覚悟を決め、創造の疑似恒星をにぎる右手に意識を集中。暴走覚悟で力を求めようと。
だがそこへ陣の疑似恒星をにぎる手に、温かいぬくもりが。
「灯里!?」
なんと気づけば灯里が隣に来ていて、陣の疑似恒星をにぎる手に彼女の手をそえてくれていたのだ。
「安心して。陣くんだけに重荷を背をわせたりしないよ」
灯里は慈愛に満ちたほほえみを向け、さとしてくる。
「――なにを言って……」
「あはは、言ったでしょ? 二人の進む道について行くって! だから私はこの目で見るよ! 二人の奇跡を、星の輝きを、ずっと、ずっと……、ね……」
灯里はあたたかい陽だまりのような笑みを向け、万感の思いを込めて告げる。まるでこれからの未来を、予言するかのように。
そして次の瞬間、灯里の瞳が青白く光り星詠みによる星の輝きが。
「なっ!? これは星詠み……?」
「――あぁ……、そっか……。ふふっ、どおりで灯里を特別に感じてしまうわけなんだよ。その目、その星……。キミはわたしと同じさだめを背負った、女の子だったんだね……」
そんな異常事態に、リルは灯里の星詠みを見てなにやら納得を。感慨深く笑いながら、意味ありげな言葉をつぶやいていた。
「陣くん、創造の星の力、少し借りるね! 私の観測の星で!」
「灯里も創造の星を!? いや、それよりこの二人の出力でなら!」
ここでさらに驚くことは、灯里の星の輝きに創造の星の輝きが混ざり始めたことだ。すなわち陣と同じ、創造の星を使えることにほかならない。この二人の力を合わせた出力なら、アンドレーの星に干渉できるかもしれなかった。
「やるぞ! 灯里!」
「あはは、任せて!」
「「ハァァァァァァァァァァァーッ!」」
そして二人で創造の星の輝きをぶち込んでいく。
それにつれて視界が真っ白に飲み込まれていき。
アンドレーは倒れながら、自嘲気味にたずねてくる。
すでに陣の渾身の一撃により、勝敗は決していた。もはやアンドレーのボロボロの身体で、これ以上の戦闘は不可能。あとは陣が引導を渡すだけであった。
「――そうだな……。しいて言えば、ちんちくりんな女神様につきまとわれた差かな。でないとオレもサイファス・フォルトナーの疑似恒星に振り回され、あんたの二の舞になってたはずだ」
すぐ後ろをただよっているリルに視線を向け、答えてやる。
おそらくリルがいなければ、いくら陣でもアンドレーと同じ道をたどっていたはず。ゆえに彼女に感謝せずには入られなかった。
ただその答えに気に入らない部分があったのか、リルはムッとした表情を。文句を言いたかったようだが、さすがに今の空気をよんで我慢していた。
「クハハ、なるほどな……。お前さんにとりついてる、そこの嬢ちゃんが鍵だったわけか……。なら、仕方ねーかもな。ガキのおもりなんてがらじゃねーし、どの道無理だったわけだ。――グフッ……」
リルと関係の深いサイファス・フォルトナーの疑似恒星を使っていたためか、彼にも彼女が見えたようだ。そしてその事実に対し、おかしそうに納得を。だがそれもつかの間、完全に限界がきたようで。
「マスター、彼はもう……」
「ああ、アンドレー、今楽にしてやるよ」
陣はとどめを刺すため、創造の疑似恒星をにぎりしめ力を解放する。
彼は暴走しかけており、こうして話しているだけでもつらいはず。ゆえに早く楽にしてやりたかった。
「クハハ、ほんと残念だよ。お前さんがたどり着くだろう結末を、地獄で見ていたかったんだが」
しかしそこでアンドレーが、不穏な笑みをこぼす。
もはや彼の身体は動かず、なにもできないはずなのだが。
「どういうことだ?」
「わるいが、時間切れだ。とどめを刺すのが少し遅かったみたいだな。オレ様の星は臨界点を超えた。もうオレ様が死のうが止まらず、ここら一帯を飲み込むだろうよ……」
「おいおい、しゃれになってねーぞ!? 最後の置き土産にしたら、悪質にもほどがあるだろ!?」
まさかのカミングアウトに、心からの文句を。
「クハハ、じゃあな、陣とやら……。――オレ様は先に逝ってるぜ……」
アンドレーが別れの言葉を告げたと同時に、彼の星に異変が。
これまで押さえ込まれた力がなくなり、黒いオーラが止めどなくあふれ出てくる。
「ッ!? アンドレーの星が!?」
「マスター、このままだと本当にやばいんだよ!? 彼の押さえ込んでいた力がなくなり、星が一気に解き放たれようとしてる!?」
「クッ? オレだけならまだしも、近くには灯里やセナ、ルシアだっているんだぞ!? それに灯里の話じゃ、奈月やクレハも来てるっていうし!? リル、どうにかならないのか?」
このままでは星が爆発し、辺り一帯を吹き飛ばす恐れが。
しかもその輝きは力の概念という、破壊に関して最高位に位置する代物。もはや普通の星詠みでは、防ぎようがなかった。
「そうだね。今のあの星は完全に制御を失い、力の概念を際限なく生み出してる。これなら創造の星でなんとかできるかも」
「ほんとか!?」
「うん、創造の星のリル・フォルトナーの役割は、サイファス・フォルトナーの無限に内包する力を制御し、方向性を与えるものなんだよ。だからサイファス・フォルトナーと同じである彼の星にも、干渉できるはず。そして力の概念を生み出すプロセスそのものを、書き換えてしまえれば」
リルは胸に手を当て、冷静に分析を。
「おっ、それならいけそうだな。よし、それならさっそく」
「ただプロセスを書き換えるには彼の暴走する星の中心付近まで、創造の星の輝きを持って行かないとだめなんだよ。だから今のマスターのレベルじゃ、正直望み薄かもしれない。たぶん暴走一歩手前で、無茶すればあるいは……」
よほど無茶な賭けなのか、目をふせ表情に陰りをみせるリル。
「ははは、可能性があるなら賭けるまでだ。リル! サポート頼んだぞ! 」
「任せてなんだよ! 絶対わたしの手を離さないでね。力を求めすぎて創造の星に飲み込まれたら、戻ってこれなくなるから」
リルは陣の疑似恒星をにぎる手に、彼女の手をそえてくる。そして切実にうったえてきた。
「わかってるよ! 創造の星よ! はぁぁぁぁぁっ!」
彼女の注意を頭に入れ、陣は創造の疑似恒星の力を解き放つ。
そして星の輝きがあふれ出るアンドレーの身体へ手を近づけた。
(――ッ!? きついとはわかっていたが、これは想像以上だ!? このままじゃ干渉どころか、このアンドレーの星に飲み込まれてしまう勢いだぞ!? もっと出力をあげないと! ――ッ!?)
陣は創造の星で彼の星に干渉しようと試みるが、なかなかうまくいかない。というのもあふれ出る力があまりに強いせいで、こちらの創造の星の力が押し返され届かないのだ。今の陣は創星使いゆえ、押し返すほど高出力をまだ出せないのであった。
そんな中、アンドレーの星は次々に膨張し、爆発するカウントダウンを刻んでいく。しかも同時に身体から放出されていく黒いオーラの余波が、次第に激しくなっていき。
(――意識が途切れそうだ……。全快の時ならまだしも、この疲労しきった状態だと絶望的か……。力をうまく制御しきれない……。くっ……、――ここまでなのか……。なら、せめて灯里たちだけでも……)
すでに陣もこの度重なる戦闘で限界に近かった。それゆえこれ以上出力を上げるのは不可能に近く、絶望的。もはや陣に残された選択支は魂の汚染レベルを上げまくり、暴走する勢いで力を求めていくしかない。そうすれば自分は助からないだろうが、せめてここにいる仲間たちは助けることができるかもしれなかった。なので陣は覚悟を決め、創造の疑似恒星をにぎる右手に意識を集中。暴走覚悟で力を求めようと。
だがそこへ陣の疑似恒星をにぎる手に、温かいぬくもりが。
「灯里!?」
なんと気づけば灯里が隣に来ていて、陣の疑似恒星をにぎる手に彼女の手をそえてくれていたのだ。
「安心して。陣くんだけに重荷を背をわせたりしないよ」
灯里は慈愛に満ちたほほえみを向け、さとしてくる。
「――なにを言って……」
「あはは、言ったでしょ? 二人の進む道について行くって! だから私はこの目で見るよ! 二人の奇跡を、星の輝きを、ずっと、ずっと……、ね……」
灯里はあたたかい陽だまりのような笑みを向け、万感の思いを込めて告げる。まるでこれからの未来を、予言するかのように。
そして次の瞬間、灯里の瞳が青白く光り星詠みによる星の輝きが。
「なっ!? これは星詠み……?」
「――あぁ……、そっか……。ふふっ、どおりで灯里を特別に感じてしまうわけなんだよ。その目、その星……。キミはわたしと同じさだめを背負った、女の子だったんだね……」
そんな異常事態に、リルは灯里の星詠みを見てなにやら納得を。感慨深く笑いながら、意味ありげな言葉をつぶやいていた。
「陣くん、創造の星の力、少し借りるね! 私の観測の星で!」
「灯里も創造の星を!? いや、それよりこの二人の出力でなら!」
ここでさらに驚くことは、灯里の星の輝きに創造の星の輝きが混ざり始めたことだ。すなわち陣と同じ、創造の星を使えることにほかならない。この二人の力を合わせた出力なら、アンドレーの星に干渉できるかもしれなかった。
「やるぞ! 灯里!」
「あはは、任せて!」
「「ハァァァァァァァァァァァーッ!」」
そして二人で創造の星の輝きをぶち込んでいく。
それにつれて視界が真っ白に飲み込まれていき。
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