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3章 第3部 学園生活
100話 魔法の授業
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シリウスの事務所で入学パーティをした翌日。陣たちは星海学園で、三時間目の魔法の実技授業を受けていた。
場所は学園内の魔法の練習や競技を目的とした、ドーム型の競技場。ここは壁や天井などあちこち対魔法用の特殊素材が使われており、防音対策も万全。広さも相当であり、授業中だけでなく放課後も一般解放されるのであった。
そして現在の魔法の実技授業は、中級クラスの魔法を行使してみるというもの。本来魔法の実技授業は、自衛目的という名目で初級クラスまでしか許されていない。だが星海学園は優秀な魔法使い育成のため、それより上のクラスの魔法にも手を出させてくれるのだ。
ちなみに初級クラスは小さな火球や、弱い風の衝撃破程度で出力もたかがしれていた。あと星葬機構により一般の人間が行使できるのはここまでとされており、それ以上は行使はもちろん練習さえも重い厳罰が下るのであった。
「はぁぁ、ヒマだな」
陣は壁にもたれながら、あくびをする。
周りではクラスメイトたちが、自分の得意な属性で中級クラスの魔法行使の練習をしていた。中等部から進級してきた者たちは、時間が少し掛かってはいるが中級クラスの魔法を無事行使できている。だが高等部から星海学園へ入学してきた生徒は、初めての経験ゆえさすがにみな苦戦しているようだ。そこは先生や中級クラスをできたクラスメイトが、手伝ってあげたりしていた。
その姿は様々。がんばって行使しようとしていたり、競い合ったり、生成スピードのタイムを縮めようとしていたり、みな熱心に取り組んでいる。誰もがどこか楽しそうにだ。魔法の先進校に通うだけあって、魔道に意欲がある者たちしかいないのだから当然といえば当然なのだろう。
「あはは! 陣くん、大きなあくび! そんなところでサボって悪い子だね!」
そこへ灯里が指をさし笑ってくる。
「いや、サボるもなにも、こんなのオレたちにとって朝飯まえどころの話じゃないだろ?」
炎の魔法を行使して、軽く中級クラスの燃え盛る炎を出してみせる。
「まあねー、どんな魔法のお題が来ても、ちょちょいのちょいでできちゃうからねー! いやー、自分の才能が恐ろしすぎるよー!」
灯里も陣と同じように軽く燃え盛る炎をだす。
ちなみに今の陣たちの形成スピードはほぼ一瞬。この程度ならそこまで集中せずにできるといっていい。ただこれはほかの人間にとっては、異常中の異常らしい。魔法はマナに色や型といった方向性を与え、魔法の原型となる核を作り上げる。生成した核は望んだ魔法そのもの。形となる方向性がさだまっているため、あとはマナをそそぐことで規模を調節。魔法が生成されるという仕組みだ。ただただどの工程も集中力と技術力が必要であり、時間もかかってしまう。普通の人からしてみれば、陣たちのように数秒で軽くできてしまうのは明らかにおかしいのだ。
ちなみに今のような中級クラスの魔法は通常どんな凄ウデの人間でも十数秒かかってしまうとのこと。普通のウデなら二十から三十秒はかかってしまうらしい。
「ははは、ここまで簡単だと達成感とかなさすぎて、逆にむなしくなってくるんだよな」
「もう完全にただの作業だもんね。当たり前すぎて新鮮味とかなにもないんだなー、これが」
「ああ、あんなふうに苦戦できたら、この力の渇きも少しはマシだったんだろうが」
「――うぅ……、全然できないよー」
陣の視線の先には、必死に魔法を生成しようとしているクラスメイトの姿が。名前を里村末緒といい、灯里と同じで高等部から星海学園に入学してきた生徒。彼女はどこかおどおどした、おっとり系の少女である。ちなみに灯里とは昨日の時点で、友達になっていたらしい。
そんな末緒は陣たちの視線に気づいたらしく、助けを求めてくる。
「あ、灯里ちゃん、四条くん、なにかアドバイスくれないかな? 全然うまくいかなくて」
「ふっふっふっ、いいよ! 末緒! 灯里さんがバッチリサポートしてあげる! もう一回やってみて!」
灯里は胸をどんっとたたき、頼もしげにほほえんだ。
「う、うん、いくよー」
末緒は魔法を生成しようと手にマナをためる。そしてそこへ属性や形を組み込んでいこうと。たどたどしいがなんとか属性と形を付与し、基盤となる魔法の核を生成。あとはここにマナをそそぎこみ、大きくしていくのだが。
「あ、あわわ!?」
末緒の手に少しずつ炎ができ始めるが、大きくなるにつれてどんどんブレだす。属性と形が維持できなくなり四散していく始末。炎が逆に小さくなっていってしまった。初級クラスの火球くらいならいけていたが、そこから中級クラスの出力までもっていくのが難しいようだ。実際魔法は核を生成するのもそうだが、一番苦戦するのは出力を上げていくとき。始めに定めた属性と形を維持しながら、肥大化させるのはかなりの集中力と技術がいるらしいのだ。
「――うぅ……、またダメだったよ……、どうすればいいのかな?」
「あれ? 魔法の核はできてたし、あとは大きくしていくだけだよね? こうバッとマナを放り込み、あとは勝手にぱぱっとできる感じに」
「ええ!? ぱぱっとできる?」
灯里のレクチャーに、末緒は目を丸くして頭にはてなマークをたくさん出してる様子。
「え? 違うの? 陣くん?」
「確かにマナを放り込むだけ放りこんで、ぱぱっと魔法を生成してるな。今思うとその末緒はつまずいてる過程なんて、意識したことないかもな」
「だよね、もう感覚で、ぱぱっと」
「え、ええ~~!? 二人のレベルがあまりに高すぎて、全然アテにならないよ~!?」
末緒は涙目になりながら、首を横にブンブン振る。
「あれー? わりと自信あったのになー。将来魔法の先生とかになって、軽く稼ごうとかも思ってたのに」
「ははは、オレたちほぼ感覚でやってるから、教えるなんて始めからムリだったようだな。よし、じゃあ、奈月あたりに聞いてみるか。あいつならうまくレクチャーしてくれるはずだ」
「え、ええ!? あの神代奈月さんに、手ほどきを受けられる!? もう恐れ多すぎて、頭がまっしろになっちゃいそうだよ~!?」
「そんな緊張しなくていいぞ。奈月は案外面倒見いいし、きちんと頼めば快く教えてくれるはずだ。ということで奈月」
「ま、待って、四条くん、心の準備が!?」
あわあわしている末緒をおいて、さっそく奈月に頼もうとするが。
「はい、アタシの勝ちね」
「はぁ!? 今のほぼ誤差でしょ!? あと出力的にはワタシの方が少し大きかったし!」
優雅に髪をはらい勝利宣言する奈月に、くいかかるクレハ。
彼女たちの片手には大きな火球が出ており、どうやら勝負していたらしい。
「そうかしら? 生成スピードも出力もこっちの方が上だと思うけど?」
「なんですって!? もう一回よ! もう一回! そこまでいうなら、今度は徹底的な差を見せつけてあげる!」
「――はぁ……、レイヴァースのお姫様はお子様なのね。こんなことでムキになるなんて」
「なに? もしかして負けるのがこわくて逃げる気?」
「ふん、まさか。いいわ、完全な敗北を教えてあげる」
そして二人はいがみ合いながら、再び魔法を生成しようと。
あまりのヒートアップ状態に、末緒のレクチャーを頼むのは少し難しそうだ。
「奈月は取り込み中のようだな」
「あはは、あの様子じゃ、クレハに頼むのもダメみたいだねー」
「――で、でも逆によかったかも。緊張してうまくできなかっただろうし……」
「じゃあ、カナメとか」
「え? あの断罪者の家系の雨宮くん!? そこも大物すぎるよ~!?」
カナメの方へと視線を移す。
だがそこには。
「カナメくーん、魔法教えて!」
「雨宮くん、あたしもー」
「いいなー、いいなー、わたしもお願いー」
「ハハハ、みんな順番にね」
クラスメイトの女子たちに囲まれ、レクチャーしようとするカナメが。
彼は顔がムダにいい、涼やかイケメン。なので女子からの人気もすごいのだ。
「カナメもダメそうだな」
「カナメくん、モテモテだねー。さすが王子様ルックス!」
「陣さん、ワタシが手伝いましょうか?」
どうしようか考えていると、今回の授業の教師であるカーティスが声をかけてきた。
「カーティス神父。まさか教頭のあなたが、授業まで。お疲れさまです」
「さすがにレイヴァース家当主のクレハさんの前で魔法の授業はこわいと、みなおじけづいてしまってですね」
「ははは、なるほど」
「では里村さん、ワタシがサポートするので、やってみてください」
「は、はい!」
末緒は先ほどと同じく、炎の魔法を生成しようと。
彼女の手から火球が出たところで、カーティスがその炎に手をかざし補助していく。
「ふむ、里村さんは形状に集中しすぎて、属性変換が少しおろそかになっていますね。もう少しそっちに気を回してみてください」
「は、はい!」
さすがカーティス。的確にアドバイスしながら、末緒の魔法のサポートをしていく。
「わぁー! できたー!」
そして末緒の手から、中級クラスの炎が燃えあがった。
「すごい! すごい! できたよ! 灯里ちゃん! 四条くん!」
末緒が子供みたいに大はしゃぎして報告してくれる。
始めてここまでのクラスの魔法ができて、感激しているようだ。
「見てるよ! 末緒! バッチリだね!」
「ははは、よかったな」
「えへへー、ありがとー」
灯里と陣のおめでとうの言葉に、末緒ははにかむようにほほえんだ。
そんな彼女をカーティスはなにか含みのある視線を向けながら、意味ありげに笑う。
「ふむ、里村さんは筋がいいですね。ワタシも手伝いますので、少しステップアップしてやってみましょうか」
「は、ハイ! お願いします!」
カーティスの提案に、末緒は熱心に教えをこおうと。
「いやー、魔法のことであんなふうに一喜一憂できるって、なんかいいよねー」
「だな。少しうらやましいよ」
末緒のことをほほえましげに見守る陣と灯里。
陣たちでは到底実感できない気持ちゆえ、感慨を覚えずにはいられなかった。
「でもこの感じ、オレたち達観しまくった、じいさん、ばあさんみたいだな」
「ちょっとやめてよ! 私まだまだぴちぴちの学生なんだから!」
「ははは」
灯里は陣のウデをぽかぽかたたき、うったえてくる
そんな彼女を笑いながら、残りの授業時間をぼんやり過ごす陣なのであった。
場所は学園内の魔法の練習や競技を目的とした、ドーム型の競技場。ここは壁や天井などあちこち対魔法用の特殊素材が使われており、防音対策も万全。広さも相当であり、授業中だけでなく放課後も一般解放されるのであった。
そして現在の魔法の実技授業は、中級クラスの魔法を行使してみるというもの。本来魔法の実技授業は、自衛目的という名目で初級クラスまでしか許されていない。だが星海学園は優秀な魔法使い育成のため、それより上のクラスの魔法にも手を出させてくれるのだ。
ちなみに初級クラスは小さな火球や、弱い風の衝撃破程度で出力もたかがしれていた。あと星葬機構により一般の人間が行使できるのはここまでとされており、それ以上は行使はもちろん練習さえも重い厳罰が下るのであった。
「はぁぁ、ヒマだな」
陣は壁にもたれながら、あくびをする。
周りではクラスメイトたちが、自分の得意な属性で中級クラスの魔法行使の練習をしていた。中等部から進級してきた者たちは、時間が少し掛かってはいるが中級クラスの魔法を無事行使できている。だが高等部から星海学園へ入学してきた生徒は、初めての経験ゆえさすがにみな苦戦しているようだ。そこは先生や中級クラスをできたクラスメイトが、手伝ってあげたりしていた。
その姿は様々。がんばって行使しようとしていたり、競い合ったり、生成スピードのタイムを縮めようとしていたり、みな熱心に取り組んでいる。誰もがどこか楽しそうにだ。魔法の先進校に通うだけあって、魔道に意欲がある者たちしかいないのだから当然といえば当然なのだろう。
「あはは! 陣くん、大きなあくび! そんなところでサボって悪い子だね!」
そこへ灯里が指をさし笑ってくる。
「いや、サボるもなにも、こんなのオレたちにとって朝飯まえどころの話じゃないだろ?」
炎の魔法を行使して、軽く中級クラスの燃え盛る炎を出してみせる。
「まあねー、どんな魔法のお題が来ても、ちょちょいのちょいでできちゃうからねー! いやー、自分の才能が恐ろしすぎるよー!」
灯里も陣と同じように軽く燃え盛る炎をだす。
ちなみに今の陣たちの形成スピードはほぼ一瞬。この程度ならそこまで集中せずにできるといっていい。ただこれはほかの人間にとっては、異常中の異常らしい。魔法はマナに色や型といった方向性を与え、魔法の原型となる核を作り上げる。生成した核は望んだ魔法そのもの。形となる方向性がさだまっているため、あとはマナをそそぐことで規模を調節。魔法が生成されるという仕組みだ。ただただどの工程も集中力と技術力が必要であり、時間もかかってしまう。普通の人からしてみれば、陣たちのように数秒で軽くできてしまうのは明らかにおかしいのだ。
ちなみに今のような中級クラスの魔法は通常どんな凄ウデの人間でも十数秒かかってしまうとのこと。普通のウデなら二十から三十秒はかかってしまうらしい。
「ははは、ここまで簡単だと達成感とかなさすぎて、逆にむなしくなってくるんだよな」
「もう完全にただの作業だもんね。当たり前すぎて新鮮味とかなにもないんだなー、これが」
「ああ、あんなふうに苦戦できたら、この力の渇きも少しはマシだったんだろうが」
「――うぅ……、全然できないよー」
陣の視線の先には、必死に魔法を生成しようとしているクラスメイトの姿が。名前を里村末緒といい、灯里と同じで高等部から星海学園に入学してきた生徒。彼女はどこかおどおどした、おっとり系の少女である。ちなみに灯里とは昨日の時点で、友達になっていたらしい。
そんな末緒は陣たちの視線に気づいたらしく、助けを求めてくる。
「あ、灯里ちゃん、四条くん、なにかアドバイスくれないかな? 全然うまくいかなくて」
「ふっふっふっ、いいよ! 末緒! 灯里さんがバッチリサポートしてあげる! もう一回やってみて!」
灯里は胸をどんっとたたき、頼もしげにほほえんだ。
「う、うん、いくよー」
末緒は魔法を生成しようと手にマナをためる。そしてそこへ属性や形を組み込んでいこうと。たどたどしいがなんとか属性と形を付与し、基盤となる魔法の核を生成。あとはここにマナをそそぎこみ、大きくしていくのだが。
「あ、あわわ!?」
末緒の手に少しずつ炎ができ始めるが、大きくなるにつれてどんどんブレだす。属性と形が維持できなくなり四散していく始末。炎が逆に小さくなっていってしまった。初級クラスの火球くらいならいけていたが、そこから中級クラスの出力までもっていくのが難しいようだ。実際魔法は核を生成するのもそうだが、一番苦戦するのは出力を上げていくとき。始めに定めた属性と形を維持しながら、肥大化させるのはかなりの集中力と技術がいるらしいのだ。
「――うぅ……、またダメだったよ……、どうすればいいのかな?」
「あれ? 魔法の核はできてたし、あとは大きくしていくだけだよね? こうバッとマナを放り込み、あとは勝手にぱぱっとできる感じに」
「ええ!? ぱぱっとできる?」
灯里のレクチャーに、末緒は目を丸くして頭にはてなマークをたくさん出してる様子。
「え? 違うの? 陣くん?」
「確かにマナを放り込むだけ放りこんで、ぱぱっと魔法を生成してるな。今思うとその末緒はつまずいてる過程なんて、意識したことないかもな」
「だよね、もう感覚で、ぱぱっと」
「え、ええ~~!? 二人のレベルがあまりに高すぎて、全然アテにならないよ~!?」
末緒は涙目になりながら、首を横にブンブン振る。
「あれー? わりと自信あったのになー。将来魔法の先生とかになって、軽く稼ごうとかも思ってたのに」
「ははは、オレたちほぼ感覚でやってるから、教えるなんて始めからムリだったようだな。よし、じゃあ、奈月あたりに聞いてみるか。あいつならうまくレクチャーしてくれるはずだ」
「え、ええ!? あの神代奈月さんに、手ほどきを受けられる!? もう恐れ多すぎて、頭がまっしろになっちゃいそうだよ~!?」
「そんな緊張しなくていいぞ。奈月は案外面倒見いいし、きちんと頼めば快く教えてくれるはずだ。ということで奈月」
「ま、待って、四条くん、心の準備が!?」
あわあわしている末緒をおいて、さっそく奈月に頼もうとするが。
「はい、アタシの勝ちね」
「はぁ!? 今のほぼ誤差でしょ!? あと出力的にはワタシの方が少し大きかったし!」
優雅に髪をはらい勝利宣言する奈月に、くいかかるクレハ。
彼女たちの片手には大きな火球が出ており、どうやら勝負していたらしい。
「そうかしら? 生成スピードも出力もこっちの方が上だと思うけど?」
「なんですって!? もう一回よ! もう一回! そこまでいうなら、今度は徹底的な差を見せつけてあげる!」
「――はぁ……、レイヴァースのお姫様はお子様なのね。こんなことでムキになるなんて」
「なに? もしかして負けるのがこわくて逃げる気?」
「ふん、まさか。いいわ、完全な敗北を教えてあげる」
そして二人はいがみ合いながら、再び魔法を生成しようと。
あまりのヒートアップ状態に、末緒のレクチャーを頼むのは少し難しそうだ。
「奈月は取り込み中のようだな」
「あはは、あの様子じゃ、クレハに頼むのもダメみたいだねー」
「――で、でも逆によかったかも。緊張してうまくできなかっただろうし……」
「じゃあ、カナメとか」
「え? あの断罪者の家系の雨宮くん!? そこも大物すぎるよ~!?」
カナメの方へと視線を移す。
だがそこには。
「カナメくーん、魔法教えて!」
「雨宮くん、あたしもー」
「いいなー、いいなー、わたしもお願いー」
「ハハハ、みんな順番にね」
クラスメイトの女子たちに囲まれ、レクチャーしようとするカナメが。
彼は顔がムダにいい、涼やかイケメン。なので女子からの人気もすごいのだ。
「カナメもダメそうだな」
「カナメくん、モテモテだねー。さすが王子様ルックス!」
「陣さん、ワタシが手伝いましょうか?」
どうしようか考えていると、今回の授業の教師であるカーティスが声をかけてきた。
「カーティス神父。まさか教頭のあなたが、授業まで。お疲れさまです」
「さすがにレイヴァース家当主のクレハさんの前で魔法の授業はこわいと、みなおじけづいてしまってですね」
「ははは、なるほど」
「では里村さん、ワタシがサポートするので、やってみてください」
「は、はい!」
末緒は先ほどと同じく、炎の魔法を生成しようと。
彼女の手から火球が出たところで、カーティスがその炎に手をかざし補助していく。
「ふむ、里村さんは形状に集中しすぎて、属性変換が少しおろそかになっていますね。もう少しそっちに気を回してみてください」
「は、はい!」
さすがカーティス。的確にアドバイスしながら、末緒の魔法のサポートをしていく。
「わぁー! できたー!」
そして末緒の手から、中級クラスの炎が燃えあがった。
「すごい! すごい! できたよ! 灯里ちゃん! 四条くん!」
末緒が子供みたいに大はしゃぎして報告してくれる。
始めてここまでのクラスの魔法ができて、感激しているようだ。
「見てるよ! 末緒! バッチリだね!」
「ははは、よかったな」
「えへへー、ありがとー」
灯里と陣のおめでとうの言葉に、末緒ははにかむようにほほえんだ。
そんな彼女をカーティスはなにか含みのある視線を向けながら、意味ありげに笑う。
「ふむ、里村さんは筋がいいですね。ワタシも手伝いますので、少しステップアップしてやってみましょうか」
「は、ハイ! お願いします!」
カーティスの提案に、末緒は熱心に教えをこおうと。
「いやー、魔法のことであんなふうに一喜一憂できるって、なんかいいよねー」
「だな。少しうらやましいよ」
末緒のことをほほえましげに見守る陣と灯里。
陣たちでは到底実感できない気持ちゆえ、感慨を覚えずにはいられなかった。
「でもこの感じ、オレたち達観しまくった、じいさん、ばあさんみたいだな」
「ちょっとやめてよ! 私まだまだぴちぴちの学生なんだから!」
「ははは」
灯里は陣のウデをぽかぽかたたき、うったえてくる
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