192 / 253
4章 第4部 それぞれの想い
187話 立ちふさがる敵
しおりを挟む
レイジとカノンはあれからリネットに言われた、高層ビルへとたどり着いていた。
ところどころツタに浸食され、かたむきかけた廃墟のビル。しかも真横にある大きな湖に沈みかけているという、かなりヤバ目な建物であった。そんなビルの屋上を目指して階段を上り、ようやく屋上の扉を開ける。
すると屋上には二人の人影が。
「透だって?」
「ルナもどうしてこんなところに?」
そこにいたのは如月透とルナ・サージェンフォード。本来ならエデン財団上層部の人間がいるはずなのだが、周りを見渡してもほかには誰も見当たらない。
「カノン、レイジさん。どういう経緯で来られたかはわかりませんが、彼らを追わすわけにはいきません」
「わるいけど、ここで足止めさせてもらうよ」
ルナはエストックを。透はダガーを取り出し、レイジたちの行く手を阻んでくる。
「チッ、一足先に逃げられたか!?」
「レージくん、どうするのかな?」
「まだ遠くには逃げていないはずだ。透たちをなんとか突破して、追いかけるしかない!」
ここに来るまで、このビルから出ていく人影は見えなかった。なので上層部の人間は、レイジたちがビルに侵入してから避難したことになる。ならばまだこの近くにいるはず。追いかければまだ間に合うかもしれない。
しかし。
「レイジくん、そうはさせないよ」
「クッ!?」
カノンとどうするか話し合っていると、ダガーの一閃(いっせん)が。
その不意打ちの斬撃を、ギリギリ刀で受け止める。なんと透は即座に間合いを詰め、レイジに斬りかかってきたのだ。結果、刀とダガーでつばぜり合う状況に。
「レージくん!?」
「ルナ! 今だ!」
「ハイ!」
透がレイジを押さえているうちに、ルナが風のアビリティを起動。大気に乗っての高速移動で突撃し、カノンに斬撃を。
「きゃっ!?」
カノンはなんとか剣でしのぐ。
しかし大気に乗ることでさらに加速した勢いまでは殺しきれず、そのまま吹き飛ばされ屋上から投げ出されてしまった。
「透、あとは頼みました」
そしてカノンに追撃をかけようと、ルナも屋上から飛び降りる。
「カノン!?」
「レイジくん、カノンさんの心配をしているひまはないよ。キミの相手はボクだ!」
今すぐにでもカノンの安否を確かめたいが、透がそうさせてくれない。つばぜり合いの状況から、ダガーを押しつけそのまま斬り込もうと。
カノンのことは心配だが、彼女は相当強いらしい。なのでこれぐらいでやられはしないはず。よってここは目前の脅威に専念するべきだろう。でなければその隙を付け込まれ、やられるのはレイジなのだから。
「いい加減に!」
レイジはせまりくるダガーを、力任せに押し切り振り払った。
透はその反動を利用し、後方へと下がる。そしてダガーを突き付け、宣戦布告を。
「レイジくん、前の続きといこう。今回はあの時のように逃がしはしないよ」
「なら、無理にでも押し通らせてもらう! カノンの理想のためにも、このチャンスを逃すわけにはいかない!」
その宣言にレイジも応える。
ここで透にかまっているひまはないのだ。今は冬華の条件をクリアするためにも、上層部の人間を追わなければ。
ところどころツタに浸食され、かたむきかけた廃墟のビル。しかも真横にある大きな湖に沈みかけているという、かなりヤバ目な建物であった。そんなビルの屋上を目指して階段を上り、ようやく屋上の扉を開ける。
すると屋上には二人の人影が。
「透だって?」
「ルナもどうしてこんなところに?」
そこにいたのは如月透とルナ・サージェンフォード。本来ならエデン財団上層部の人間がいるはずなのだが、周りを見渡してもほかには誰も見当たらない。
「カノン、レイジさん。どういう経緯で来られたかはわかりませんが、彼らを追わすわけにはいきません」
「わるいけど、ここで足止めさせてもらうよ」
ルナはエストックを。透はダガーを取り出し、レイジたちの行く手を阻んでくる。
「チッ、一足先に逃げられたか!?」
「レージくん、どうするのかな?」
「まだ遠くには逃げていないはずだ。透たちをなんとか突破して、追いかけるしかない!」
ここに来るまで、このビルから出ていく人影は見えなかった。なので上層部の人間は、レイジたちがビルに侵入してから避難したことになる。ならばまだこの近くにいるはず。追いかければまだ間に合うかもしれない。
しかし。
「レイジくん、そうはさせないよ」
「クッ!?」
カノンとどうするか話し合っていると、ダガーの一閃(いっせん)が。
その不意打ちの斬撃を、ギリギリ刀で受け止める。なんと透は即座に間合いを詰め、レイジに斬りかかってきたのだ。結果、刀とダガーでつばぜり合う状況に。
「レージくん!?」
「ルナ! 今だ!」
「ハイ!」
透がレイジを押さえているうちに、ルナが風のアビリティを起動。大気に乗っての高速移動で突撃し、カノンに斬撃を。
「きゃっ!?」
カノンはなんとか剣でしのぐ。
しかし大気に乗ることでさらに加速した勢いまでは殺しきれず、そのまま吹き飛ばされ屋上から投げ出されてしまった。
「透、あとは頼みました」
そしてカノンに追撃をかけようと、ルナも屋上から飛び降りる。
「カノン!?」
「レイジくん、カノンさんの心配をしているひまはないよ。キミの相手はボクだ!」
今すぐにでもカノンの安否を確かめたいが、透がそうさせてくれない。つばぜり合いの状況から、ダガーを押しつけそのまま斬り込もうと。
カノンのことは心配だが、彼女は相当強いらしい。なのでこれぐらいでやられはしないはず。よってここは目前の脅威に専念するべきだろう。でなければその隙を付け込まれ、やられるのはレイジなのだから。
「いい加減に!」
レイジはせまりくるダガーを、力任せに押し切り振り払った。
透はその反動を利用し、後方へと下がる。そしてダガーを突き付け、宣戦布告を。
「レイジくん、前の続きといこう。今回はあの時のように逃がしはしないよ」
「なら、無理にでも押し通らせてもらう! カノンの理想のためにも、このチャンスを逃すわけにはいかない!」
その宣言にレイジも応える。
ここで透にかまっているひまはないのだ。今は冬華の条件をクリアするためにも、上層部の人間を追わなければ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる