君が死ぬのを何度も見てきた

yu~

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進むために vol.5

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彼女は信じると言った

俺は彼女のその言葉を信じていなかった

でも、彼女は本当に俺の理解不能な話を信じ、それどころか、受け入れた






「なんかそんな感じしとってんてねー。なんて言うか、デジャヴ?っていうの?」

「え、いや、俺に、聞かれても...」

普通テンション逆のはずだろ?俺の想像の中なら戸惑う亜美を俺がなだめる構図だったんだが、完全に逆になってしまっている。

と、その時、バシィッと背中を叩かれた。

「もー、いつまでそんな間抜けな顔してんの!?」

「なっ!?間抜け...って」

「自分の顔鏡で見てみー、すごい面白いことになってるよ(笑)」

「面白いとか...俺結構真面目に悩んだんだからな?」

「私に話すかどうか?」

「うん」

「それだけ私のこと信用してたってこと?うれし~」

「そうだよ。でも、それだけじゃなくてさ、えーっと...ちょっと自己満も入ってる、ごめん。」

「別にどんな理由でも話してくれたってことは変わんないし、別にいいよ!」

ニカッと笑うその顔はさっき別れ話を切り出された人間のものではなかった。あぁ、やっぱり亜美には全部バレてたなー(笑)俺の別れたいって気持ちが嘘だったことがバレてるのは想定内だったけど、まさかタイムリープのことまで勘づかれていたとは...女って怖。いや、亜美だけなのか?

「あ!」

「!?」

いきなり思い出したように大声をあげる亜美に俺は素直に肩をビクッと震わせ怪訝な目を向ける。

「晃盛!」

「はい?なんでしょう?」

勢いがすげぇな、おい。

「一個確認していい?」

「うん。てか、ダメって言っても聞くだろ?」

「よくお分かりで(笑)じゃあ聞くけどさ、さっきの別れたいっていうのは本音じゃないんでしょ?あれは私の中で無かったことにしてもおーけー?」

喉が締め付けられるようだった。

別れたくない=別れない

この等式が成立しないことをなんて説明したらいいんだ?

さっき全部話す!と意気込んだ手前弱音を吐くわけではないが、じゃあ、あれか?亜美本人にあなたは俺といる限りどう足掻いても死にます、とでも言うのか?それはさすがに...残酷すぎやしないか?

「じゃあ、聞き方変える!私のこと嫌い?」

うっ...それはズルイ。そんなの、決まってるじゃないか。

「...好き、すごく」

「そっか!それだけ聞けたら満足です!」

あぁ、クッソかわいいな!おい!俺の彼女ってこんな可愛かったの!?

って...ラブストーリー繰り広げてる場合じゃないんだった。

「ねぇ、亜美」

俺は亜美に向き直る。さすがにド直球で全部話すほどの勇気はないが、亜美のことを傷つけない最善の説明をしよう。

「好きだよ」

「うん、知ってる」

このまま時が止まればいいのに。さりげない告白でこの場が収まればいいのに。

でも

「でも、ダメなんだ。」

「なにが?」

もう亜美はすべてを受け入れる態勢に入ったようだった。戸惑いや焦りは一切見せない。強いな、と、そう思う。

「俺の語彙力じゃ、あんまりうまく伝わらないと思うんだけど、俺にあったこと、聞いてほしい。」

「うん、聞くよ」

俺は出来る限り理解しやすいように、でも傷つけないように、グロめの描写は少し穏やかにしながらもこれまでのことをすべて話した。

亜美が11月25日に死んでしまったこと

もう終わりだと絶望していたら、タイムリープしたこと

それでも亜美は救い出せなかったこと

何度も何度も、亜美が死ぬのを見たこと

そして行き着いた一つの仮説...

原因は俺なんじゃないかってこと

「確信はない、けど、もうこれ以外に考えられないんだよ。ねぇ、亜美は神様って信じる?」

「え?」

いきなりの突拍子もない話題の転換にさすがの亜美も戸惑っているようだった。別に宗教勧誘とかその類ではなくて、最近かんがえていたことがある。

「俺は前は信じてなかったんだ。亜美が死ぬのを一度も見たことがなかったときは。でも、最近は信じてる。もしかしたら神様が俺に亜美を救うチャンスをくれてるんじゃないかって。だとしたらさ、正解がないなんてことないだろ?俺たちの神様がそんな冷酷だとか、思いたくねぇし(笑)」

「...だから、別れなきゃいけないって言いたいの?」

「そうだよ。俺は亜美とずっと一緒にいたいけど、それは一番じゃない。俺の中で一番大事なのは、亜美、君が生きてることだよ。」

お互いの目に涙が目一杯溜まっているのがわかった。

「亜美、わかってくれる?」

二人とも、もう限界だった。涙は頬を伝って亜美の家のフローリングを濡らす。畳じゃなくてよかったな、なんて、いつもなら考えているところだが、今日ばかりは互いの胸の苦しさに向き合うほかなかった。

「うぐっ、うぅ...わかっだぁぁ」

不細工な返事だ。声はかすれていて、鼻水混じりの不細工な返事。不細工で、愛らしい、絶対に壊したくない者の、返事だ。

「ありがとう!」

これまで色んな奴に弱いところを見せてきた。その度に励まされてきた。思いやりは巡るっていうだろう?次は俺の番だ。俺が亜美を励ます番。安心させる番なんだ。

ねぇ、亜美、俺は今ちゃんと笑えてる?君の不安を軽くしてあげられてる?

そんなことを思っていたが亜美が泣き止んだことからすると少しばかり効果はあったのだろう。

「一つ!お願いがあるの!」

「ん?なに?」

「絶対守ってくれる?」

「うん、守るよ」

「誓う?」

「誓います」

そんなに念押しして俺になにをさせようっていうんだ?

亜美が息を吸い込む音だけが、部屋の中に静かに響く。

「絶対迎えにきて!いつまででも私待ってるからね!他の女の子と付き合ったりしたら私怒るから!私もずっと晃盛のこと待ってるから!だから、だから!ずっと私のこと好きでいてね?」

最初は威勢よく話し出したかと思えばその声は尻すぼみになり、最後は消え入るような声だった。でもちゃんと聞こえたよ。ちゃんと届いたよ。

「当たり前だろ!」

今の顔には自信あるな、結構いい顔できてるんじゃね?もう間抜けなんて言わせねぇから。

「お前こそ?そこらの男にホイホイついてくような真似すんじゃねえぞ!」

「当たり前じゃん!」


















亜美と話しながら気づいたことがあるんだ。それは別れるのは決定事項。だけど、

“ずっと別れたまま”

でいる必要はないんじゃないかってこと。

熱りが冷めた頃、また付き合ったって、バチはあたらねぇよな?神様?そんぐらいは許してくれよ。それまでにめっちゃ良いことしまくって文句なしに幸せな人生歩める資格取っとくからさ。

だから、



















だからそれまで待っててよ。




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