君が死ぬのを何度も見てきた

yu~

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踏み出した先の未来 vol.1

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「は!?お前亜美ちゃんと別れたのかよ!?

「なんでなん!?あんな惚気てたのに!?」

「お前なんなの...」

俺は今悠太、瞬、晴翔の三人から猛抗議を受けていた。

「いや、俺だって別れたくて別れたわけじゃ...」

なんて、そんな言い訳が通用するはずもなく...

てか晴翔に至っては明らかな軽蔑の目で俺を見てるよね?酷くない?

____________________________________________


三月下旬、俺たちは花見も兼ねて昼から居酒屋で飲み会を開催していた。念願の飲み会だ。こいつらにとっては少し前の約束だが、俺にとってはもう何年も前の約束をやっと果たせたという感じだ。





そう、三月。亜美を振ってから約四ヶ月が経過した。あれから亜美とは連絡をとっていない。

でも、亜美と別れてから毎日、薄目を開いては新聞のお悔やみ欄をチェックした。亜美の名前はなかった。そもそも結婚を前提としたお付き合いということで、互いの両親に紹介していたので、万が一のことが亜美にあったら俺に連絡が来るはずだ。

つまり、つまりだ。亜美は生きている。喉から手が出るほど欲していた未来を俺は今、進んでいるのだ。



そして冒頭の会話へと繋がるわけだが...亜美と別れたことを知った三人からはブーイングの嵐だ。ましてや、俺が振られたわけではなく俺が振った、と言う事実に「何が別れたくて別れたわけじゃないだ、ふざけんな」と言う非難の目を向けられていた。亜美とも面識がある三人からすれば、俺は随分と薄情な奴に見えるだろう。

「あーあー、亜美ちゃんええ子やったのになー」

「晃盛なんかに振られてかわいそーだなー」

「晃盛サイテー」

「いや!だから違うんだって!事情があってさ!」

さっきからこれの堂々巡りだ。

晴翔...お前のその短い一言が何気に心に突き刺さってるんだからな?

「「「事情?」」」

声揃えんなよ、仲良しかよ(苦笑)まるで取り調べを受けているかのようなこの状況に俺は疲弊しつつも、やっと日常を取り戻せたようで心の底から安堵していた。

「ほらほら、何があったか全部吐け!」

「カツ丼食うか?カツ丼(笑)」

「いや、食わねーわ(笑)」

こいつらも俺と同じで、俺に白い目を向けつつも、取り調べみたいなこの空気を楽しんでいた。


「で?何があったん?晃盛が理由もなしに亜美ちゃん振るなんて考えられへんし」

「そーだぞー、全部吐けー」

「何があったの?」

んー、こいつらになんで説明しようか。タイムリープのことは言えないし...いや、言っちゃダメってこともないんだろうが、なんかダメな気がする。世界の摂理を壊すようなことをそうホイホイと言っては、これまでこの世界を作り上げてきた先人たちの苦労が無駄になるというか、なんというか...

んー、そーだなー、むずいなー...

「あー、えーと、なんていうかさ、このまま俺といても亜美は幸せになれないんだよ」

こんなことしか言えない...でも事情を知らない奴からしたら、こんなの一番薄情に映るんだろうなぁ。

「「「はぁ!?」」」

...ほらな?

「そんなん晃盛が決めることちゃうやろ!」

「それじゃ亜美ちゃんの気持ち完全無視じゃん!」

「独りよがり...」

うっ...否定はできない。

「晃盛は亜美ちゃんのこと嫌いになったの?」

「え、いや、なってない」

「「「はぁ」」」

「じゃあ亜美ちゃんに嫌いとかそーゆーこと言われたの?」

「...言われてない...デス」

「「「はぁぁぁぁ」」」

今日は溜息まで揃うのかよ...俺が居た堪れねぇよ。

「おい、晃盛、まさかお前、これで終わりにしようとか思ってんとちゃうやろうな?」

「え?」

「亜美ちゃんとのこと、これで終わらせたらただの自己満やで」

こいつらは、なんていうか、ほんっと、無自覚に鋭いこと言ってくるから嫌だ。

「思ってないし、終わらせるつもりもないよ」

「それならええけど」

「え、待って晃盛、ドユコト?」

「復縁、すんの?」

「そのつもり」

「は?お前それなんのプレイだよ。焦らしてんの?何なの?あえて一回別れたってこと?欲求不満かよ、ほんと何なの?」

めっっっちゃまくし立てられた。てか、欲求不満関係ないだろ、おい。

「てか瞬!何でお前は訳知り顔なんだよ!何ちゃっかり晃盛側についてんだよ!」

「いや、別に晃盛の肩持つわけやないけど、晃盛見てたらなんか俺らには言えん理由あるんやろなーって」

「瞬、お前、良い奴な。ありがと」

素直な感想がこぼれた。

「まあ、そうゆうことなら...」

「なんか...ごめん」

瞬の言葉に当てられたように二人もなんだか納得してくれたようだ。

...ん?なんか晴翔、こっち見てね?と思ったのも束の間、

「俺らには言えない理由なんだ...」

心臓を掴まれたような思いだった。もう、言ってしまおうか。こいつらの悲しそうな顔は見たくない。

と悩みはじめたのだが、珍しく優しい笑顔になった晴翔が俺の不安を払拭してくれた。

「まあいいよ!」

「うん、親友だからってなんでも言わなきゃいけないわけでもないしな!」

一気に心の中が温かくなった。こいつらにはタイムリープのことは言えないけれど、他のことは本当になんでも言える。俺が胸を張って、こいつらは俺の親友なんだ!すごいだろ!って周りに自慢できるような、そんな最高の奴らばっかりだ。

「どしたん、晃盛、顔赤いよ~(笑)」

「照れたんか?(笑)」

「っ/// そんなんじゃないから!」

正直図星だったけれど、俺の顔が赤いのは暖冬で気温が高いせいにでもしておこう。




こうして気づけば辺りは暗く、夜桜も楽しみつつ、俺たちの夜は更けていった。

「じゃあなー晃盛ー」

「またな~」

「バイバイ」

それぞれが帰路についていく。それを見送りながら、これからのことを考える。確かに瞬の言う通り、このままではいけない。ダラダラしていてはいつまた大事な人を手放すことになるのかなんて、誰にもわからないのだ。

亜美とのこの不可解な出来事は全部が全部俺にとってマイナスだったわけじゃなかったな。考え方が深まったというか、少し強くなれた気がする。




...まあ、今日ぐらいは余韻に浸って幸せな気分でベッドに入ろう。
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