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踏み出した先の未来 vol.4
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「え!?亜美?なんで!?」
「よっ、久しぶり~」
「え、あ、」
「来ちゃった(笑)」
驚きに開いた口が塞がらない俺を尻目に、亜美は無邪気に笑っている。
「いや~、この旅館めっちゃ広いね!びっくりしたよー。なんか晃盛の話的にもっと小さいの想像してたからほんとに合ってるのかわかんなくて入るのちょっと躊躇っちゃったもんね!」
早口でそう捲し立てる。彼女の様子からは興奮しているのが見て取れ、こんな時でもこの旅館のオーナーとして、旅館を褒めてもらっているのは心地よかった。
「あ、そんでさっきも聞いたけど、予約してないけど泊まれる?やっぱ部屋空いてない?」
「あ、えっと、本日は空き部屋がございますので予約なしでもご利用いただけます...けど」
「なんで敬語?(笑)」
「一応お客様なわけだし...」
「一応って(笑)でもフツーでいいよん」
「あー、わかった。部屋空いてるよ。今案内する。」
「やった~!入れなかったらどうしよーかなーって思ってたんだよね~」
戸惑いながらも宿泊手続きを済ませ、亜美を部屋に案内する。
用件はまあ...なんとなく想像がつく。
「亜美、今まとまった時間取れなくてさ。夕食の後に話せる?」
「うん、いいよ~」
「ご飯楽しみにしてるね」
「任せて!飯はうちのウリの一つだからね」
「作ってるの晃盛じゃないでしょ(笑)なんでそんなドヤ顔よ(笑)」
「いや、一応経営者だし?ドヤ顔ぐらいさせてよ(笑)」
「またでた、一応(笑)口癖なの?(笑)」
「なんでもいいだろー(笑)人の発言の揚げ足取るなよ(笑)」
あ、思ったよりも普通だ。と、思った。この離れていた期間で二人ともなにか変わっているんじゃないか、そう思っていた。でも変わっていない。距離感や纏う雰囲気、人柄。
確かに周りの環境は変わったが、根本の人間性はお互いに変わっていないようだ。自分のことは近いからこそ気づきにくいもののようだ。人と関わって初めて自分を知ることができる。それを教えてくれたのは他でもない、亜美だ。
だからこそ、きちんと話し合わなければ。
「はぁ~、めっちゃ美味しかった~。もう幸せすぎて天国行きそうだもん」
「いやいや、死ぬなよ?(笑)まあとりあえず、満足していただけてなによりでーす」
「うん!もうめっちゃ満足!」
夕飯を食べ終わった亜美が満足げに部屋でゴロゴロしているのを横目に俺はポケットの中をまさぐる。
そこには一つの白い箱。中身は
指輪。
亜美のネックレスを買ったあの店のものだ。
...と言っても、俺たちが今進んでいるのは亜美にネックレスをあげていないルート。
亜美からすれば全く知らない店のものだ。
だから俺たち二人の思い出の店ってわけでもないが、俺からしたらいくつもの思い出が詰まっているわけで...
指輪を買おうと決めた時、やっぱこの店だろ!と思い、とりあえず店に向かっている自分がいた。
まあ、それは一旦置いておいて...
「亜美、話、いい?」
「うん、その顔は私がなに言いにきたかわかってる顔だね?」
「うん、なんとなくはね。こういうのは男から言うもんだろ?だから俺に言わせて。」
「まあそうね。いいよ。」
ふぅ。大きく息を吐く。緊張なんて最近はあまりしていなかったが今、この瞬間だけは全人類のうちの誰であっても緊張するだろう。
“一世一代”
まさにこの言葉に尽きる。
「亜美」
「はい」
「俺と結婚してください」
「喜んで」
ブワッと一気に鳥肌が立った。この10秒あまりの間でこれほどまでに感動できるのかと言うほどに、俺は感動している。手は震え、涙腺は決壊寸前である。
亜美は単純に嬉しそうに笑っている。なんだか全て見透かされていたようで少し悔しい。
「亜美、手出して」
「手?」
あみが右手を出す。
「あー、じゃなくて、左手」
「えっ...」
予想外、という顔。少し出し抜いたような気持ちになり、俺は得意げな顔。ここまで予想できなかったろ?
「指輪、なんで...?」
「なんでってそりゃあ、プロポーズするときに指輪は必須だろ」
「でも!私いきなり来たのに!」
「まあ俺もそろそろだなとは思ってたし。亜美がここまで来るのは完全予想外だったけど(笑)早めに用意しといてよかったよ。」
次は亜美の目に涙が溜まっていく番だった。
あぁ、綺麗だな。これが俺の奥さんになる人だぞ。みんなに自慢してやりたい。まあそれは結婚式までとっておくとしよう。
「ほんとは俺から誘って、いい感じのシチュエーションで言おうと思ってたんだけど、なんか流れで言っちゃったな(笑)」
「十分だよ。十分すぎるよ。もう今もともと幸せだったのに幸せが限界突破してるもん!」
「独特な表現だな(笑)」
幸せが限界突破している、それは俺も同じだ。今まで生きてきた中で、間違いなく一番幸せだ。そして、これからもっと幸せな人生を築いていきたいと、強く思う。
「ねえ、亜美」
「なぁに?」
「俺が絶対、何があっても亜美のこと守るから」
亜美は目を見開いて、直後にプッと吹き出した。
「何そのセリフ(笑)流石にくさすぎ(笑)でも、ありがとう!!」
くさいセリフなのは自分でも重々承知だ。でも、どうしても伝えたかった。
「こっちが恥ずかしくなるぐらい自信満々じゃん(笑)なんか根拠でもあるの?...はっ!まさか私にGPSつけてる、とか!?(笑)
「なわけ(笑)俺はストーカーかなんかかよ(笑)いやまあ、なんとなく、だけど?」
「なんとなくか(笑)なんかめっちゃ堂々と言うからなんかあるのかと思っちゃったじゃん(笑)」
「なんとなくでも自信はあるんですー(笑)」
結婚したら女は変わるだとか、彼氏彼女の距離感のままじゃいられないだとか、いろんなことを聞くが、俺たちは大丈夫だと思う。
良い意味で現状維持。変わらないことの大切さを知っているから。
“普通”がどれだけ幸せかを知っている。
これからも進んでいこう、二人で。
「よっ、久しぶり~」
「え、あ、」
「来ちゃった(笑)」
驚きに開いた口が塞がらない俺を尻目に、亜美は無邪気に笑っている。
「いや~、この旅館めっちゃ広いね!びっくりしたよー。なんか晃盛の話的にもっと小さいの想像してたからほんとに合ってるのかわかんなくて入るのちょっと躊躇っちゃったもんね!」
早口でそう捲し立てる。彼女の様子からは興奮しているのが見て取れ、こんな時でもこの旅館のオーナーとして、旅館を褒めてもらっているのは心地よかった。
「あ、そんでさっきも聞いたけど、予約してないけど泊まれる?やっぱ部屋空いてない?」
「あ、えっと、本日は空き部屋がございますので予約なしでもご利用いただけます...けど」
「なんで敬語?(笑)」
「一応お客様なわけだし...」
「一応って(笑)でもフツーでいいよん」
「あー、わかった。部屋空いてるよ。今案内する。」
「やった~!入れなかったらどうしよーかなーって思ってたんだよね~」
戸惑いながらも宿泊手続きを済ませ、亜美を部屋に案内する。
用件はまあ...なんとなく想像がつく。
「亜美、今まとまった時間取れなくてさ。夕食の後に話せる?」
「うん、いいよ~」
「ご飯楽しみにしてるね」
「任せて!飯はうちのウリの一つだからね」
「作ってるの晃盛じゃないでしょ(笑)なんでそんなドヤ顔よ(笑)」
「いや、一応経営者だし?ドヤ顔ぐらいさせてよ(笑)」
「またでた、一応(笑)口癖なの?(笑)」
「なんでもいいだろー(笑)人の発言の揚げ足取るなよ(笑)」
あ、思ったよりも普通だ。と、思った。この離れていた期間で二人ともなにか変わっているんじゃないか、そう思っていた。でも変わっていない。距離感や纏う雰囲気、人柄。
確かに周りの環境は変わったが、根本の人間性はお互いに変わっていないようだ。自分のことは近いからこそ気づきにくいもののようだ。人と関わって初めて自分を知ることができる。それを教えてくれたのは他でもない、亜美だ。
だからこそ、きちんと話し合わなければ。
「はぁ~、めっちゃ美味しかった~。もう幸せすぎて天国行きそうだもん」
「いやいや、死ぬなよ?(笑)まあとりあえず、満足していただけてなによりでーす」
「うん!もうめっちゃ満足!」
夕飯を食べ終わった亜美が満足げに部屋でゴロゴロしているのを横目に俺はポケットの中をまさぐる。
そこには一つの白い箱。中身は
指輪。
亜美のネックレスを買ったあの店のものだ。
...と言っても、俺たちが今進んでいるのは亜美にネックレスをあげていないルート。
亜美からすれば全く知らない店のものだ。
だから俺たち二人の思い出の店ってわけでもないが、俺からしたらいくつもの思い出が詰まっているわけで...
指輪を買おうと決めた時、やっぱこの店だろ!と思い、とりあえず店に向かっている自分がいた。
まあ、それは一旦置いておいて...
「亜美、話、いい?」
「うん、その顔は私がなに言いにきたかわかってる顔だね?」
「うん、なんとなくはね。こういうのは男から言うもんだろ?だから俺に言わせて。」
「まあそうね。いいよ。」
ふぅ。大きく息を吐く。緊張なんて最近はあまりしていなかったが今、この瞬間だけは全人類のうちの誰であっても緊張するだろう。
“一世一代”
まさにこの言葉に尽きる。
「亜美」
「はい」
「俺と結婚してください」
「喜んで」
ブワッと一気に鳥肌が立った。この10秒あまりの間でこれほどまでに感動できるのかと言うほどに、俺は感動している。手は震え、涙腺は決壊寸前である。
亜美は単純に嬉しそうに笑っている。なんだか全て見透かされていたようで少し悔しい。
「亜美、手出して」
「手?」
あみが右手を出す。
「あー、じゃなくて、左手」
「えっ...」
予想外、という顔。少し出し抜いたような気持ちになり、俺は得意げな顔。ここまで予想できなかったろ?
「指輪、なんで...?」
「なんでってそりゃあ、プロポーズするときに指輪は必須だろ」
「でも!私いきなり来たのに!」
「まあ俺もそろそろだなとは思ってたし。亜美がここまで来るのは完全予想外だったけど(笑)早めに用意しといてよかったよ。」
次は亜美の目に涙が溜まっていく番だった。
あぁ、綺麗だな。これが俺の奥さんになる人だぞ。みんなに自慢してやりたい。まあそれは結婚式までとっておくとしよう。
「ほんとは俺から誘って、いい感じのシチュエーションで言おうと思ってたんだけど、なんか流れで言っちゃったな(笑)」
「十分だよ。十分すぎるよ。もう今もともと幸せだったのに幸せが限界突破してるもん!」
「独特な表現だな(笑)」
幸せが限界突破している、それは俺も同じだ。今まで生きてきた中で、間違いなく一番幸せだ。そして、これからもっと幸せな人生を築いていきたいと、強く思う。
「ねえ、亜美」
「なぁに?」
「俺が絶対、何があっても亜美のこと守るから」
亜美は目を見開いて、直後にプッと吹き出した。
「何そのセリフ(笑)流石にくさすぎ(笑)でも、ありがとう!!」
くさいセリフなのは自分でも重々承知だ。でも、どうしても伝えたかった。
「こっちが恥ずかしくなるぐらい自信満々じゃん(笑)なんか根拠でもあるの?...はっ!まさか私にGPSつけてる、とか!?(笑)
「なわけ(笑)俺はストーカーかなんかかよ(笑)いやまあ、なんとなく、だけど?」
「なんとなくか(笑)なんかめっちゃ堂々と言うからなんかあるのかと思っちゃったじゃん(笑)」
「なんとなくでも自信はあるんですー(笑)」
結婚したら女は変わるだとか、彼氏彼女の距離感のままじゃいられないだとか、いろんなことを聞くが、俺たちは大丈夫だと思う。
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