い、異世界だと・・【あるオッサンの普通の転移物語】

オグリギャップ

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第十六話 帰還

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 光りに包まれ浮遊感を感じた後、すぐに体の重みを感じる。恐る恐る目を開けてみると、まだ真っ暗な部屋にいた。
移動したのか、失敗したのか全くわからない。

「失敗なのか?体が浮いた感じはあったのだが・・・もう離れてくれていいぞ?」

あ、すんません。ついつい・・・お尻が柔かったもので。名残惜しくも柔かったお尻の辺りから手を放した。

 暫くすると暗闇にも目が馴れ、うっすらと辺りがみえるようになる。さっきよりも部屋か小さく感じる。それなら骸骨は?先程自分がいた方向に確認しにいくと、そこには何も無かった。

「隊長!成功ですよ!転移してますよ!骸骨が在りません!」

「!!成功か!やったな!しかし・・・何処へ飛んだのたろうな・・・」

 確かに・・・同じ15階層では無いと思うが、あんまり深い階層だと2人だけで上がって行くのはかなり難しい。特に水が無い。魔法職が居ないと厳し過ぎる。まさか、魔物の血を飲む訳ににもいかないし・・・
そんな事を考えていると

『ガコ』

ん、ガコ?何だこの音?

「ユウノスケ、周りを調べていたら壁が引っ込んだぞ?」

壁が動くと言う事は、外に出られるかも!

「隊長、もっと強く押してみて下さい。もしかしたら開くかも知れないですよ!」

「分かった、やってみる。フン!!!」

グゴゴゴ・・・

音とともに光りが差し込んできた。どうやら上手くいったようだ。

「ユウノスケ!やったぞ!出れたぞ!」

(あ、馬鹿!飛び出すなよ!魔物がいたらどうすんのよ!)

 俺も恐る恐る覗いてみる。目の前の壁は確か、1~2階層で見た気がする。グゴゴゴ・・・ヤベッ扉が閉まり始めた。俺も急いで外に出た。
右側が明るい。見るとそこは2日前に入って来た、1階層の入り口があった。
助かった・・・・

 ダンジョンの外に出ると、レイラ隊長が15階層であった事を警備兵に説明していた。
話を聞き終わると警備兵は走って行ってしまった。

「あの人は何処にいったんですか?」

「あぁ、あの兵は領主様に、事の顛末を伝えにいったんだ。私達はギルドに説明に行くぞ。」

 俺達は疲れた体に鞭を打ち、街まで1時間の道のりを歩き始めた。
 最初の10分位は生きて帰れた喜びと、死んでいった仲間逹の話をしていたが、それ以降は疲れがピークを越え無言で街まで歩いた。

 暫くすると街に着き、ギルドですぐにこれまでの事を受付嬢に報告すると、ギルドマスターに呼ばれた。

「・・・ドラゴンに全員やられたと?」

「あぁ、受付に説明した通りだ。確認した訳では無いが、あの状況の中では生きてはいないだろう。」

レイラ隊長が報告する。

「ボス部屋を誰かが開けて、ドラゴンが出てきたんではないか?」

「いや、それは無い。私達は15階層に入った直後に襲われている。ドラゴンの大きさも30mクラスだ。ボス部屋の扉の大きさに合わない。」

「!?30mクラスのドラゴンだと?災害級じゃないか!ギルドに伝わっている大きさは10mクラスだぞ!」

「私も文献でしか知らないが、10mクラスだと思っていた。しかし実際に居たのは間違い無く30mクラスだった。」

「そんなものがダンジョンから出て来たら、この街は一瞬で潰されるぞ。今すぐどうこうは無いと思うが・・・
それよりも冒険者が全員殺られたのが痛い・・・・・中高ランクがかなり参加してたからな。仕事に支障が出るな・・・」

ギルマスは頭を抱えている。

「私も部下逹が全員殺られたんだ。騎士団は志願者が後を絶たない位居るから、直ぐにでも即席の騎士団ができるだろう。しかし冒険者はな・・・王都のギルド本部に頼んでみてはどうだ?
それとドラゴンに関しては此処の領主様から王宮に話が行くはずだ。直ぐにとは行かないだろうが、討伐隊が組まれるだろう。心配するな。私からも頼んでみよう。」

「レイラ殿、すまない。お願いする。」

ギルマスとの話が終り、受付で報酬を貰いギルドを出た。日が傾き夕方になっていた。


「ユウノスケ此れからどうする?食事でもどうだ?」

「いいですよ。でも一度宿屋に寄って部屋を確保してからですね。」

どちらかと言うと、直ぐにでも横になりたかったが、腹も減っていたので付き合う事にした。
いつもの宿屋に入ると女将さんが笑顔で迎えてくれた。

「お帰り。よく生きて帰って来たね。」

「女将さん。ただいま。」

「いつもの部屋でいいかい?はい、カギね。食事はどうする?」

俺は後ろを見てどうするか確認すると、レイラ隊長が頷いた。

「お願いします。」

「ハイよ。出来たら呼びに行くよ。」

 銀貨1枚を渡して階段を上り部屋に入った。リュックを降ろし一息ついた時、魔石をギルドに渡すのを忘れたの思い出した。どの位あるのか確認しようとリュックを開けた。
すると、転移部屋の遺体から回収した剣と埃まみれのズタ袋が見えた。
(あーこんなのあったな。)
 ショートソードより少し長めの剣の鞘を抜いてみる。錆びだらけだろうと期待はしてなかったが、以外にも錆びはなく、刃こぼれもしてなかった。
(ラッキー♪高く売れそうだ)
 ズタ袋も確認しようと革紐をほどき、床に中身を出す。丸まった数枚の羊皮紙?と金貨3枚、銀貨2枚が出てきた。
(やったぜ!金貨だ!)
羊皮紙を広げて見ると魔法陣が書かれていた。
(何の魔法陣なんだろ?)
 そんな事を考えていると、いきなり部屋のドアが開いた。ビックリして体に力がはいってしまった。
その時手にしていた羊皮紙の魔法陣が光った!

「突然すまない。私もこの宿にとま・・うわぁ!」

 羊皮紙を部屋に入って来たレイラ隊長に向けてしまった。マズイ!!と思った時は既に遅く、レイラ隊長は光りに包まれていた。

「た、隊長!大丈夫ですか!」

光りは直ぐに消えたがレイラ隊長が何かおかしい。
俺を見つめボーーとしている。

「隊長、レイラ隊長!大丈夫ですか?」

俺は隊長の両腕を掴んで揺すって見た。すると、いきなり抱きしめられた。

「ご主人様!あなたこそ私の主だ!」

は?ご主人様!?

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