俺を召喚したのは神じゃなくて魔王かよ!

オグリギャップ

文字の大きさ
3 / 72
プロローグ 魔王との遭遇編

3 ナイフを作ろう

しおりを挟む
あれから半年位は過ぎた様に思う。(体感的にだから良くはわからんが)
火、風、水、土魔法はほぼアニメやラノベに出て来る物と同じ位には使える様になった。

(最初は楽しかったんだけとなぁ・・・・魔法が使えてどんどんレベルが高くなって、魔法が強力になって・・・・でも魔物も今じゃ相手にならない程弱く感じるし、魔法を自慢する相手も居ない。つまらん。)

(っと・・・そろそろ服が欲しいなあ・・・・コッチに来てからずっと裸だし。でもどうする?布なんて無いし、マトモな植物なんて見た事無いぞ・・・・使えるとしたら、狼とか猪型の魔物の毛皮位だけど、ナイフとか無いぞ・・・・)

俺は暫くどうしたら服(身に纏う物)を手に入れるか考えていた。

(う~む・・・・土魔法で土の中にある砂鉄からナイフを作れないかな・・・・)

俺は四つんばいになって鉄や固い物をイメージして魔法を放った。結果は・・・・

『石がいっぱい取れましたー!』

(くっ・・・・バカにしやがって!・・・・でもいい兆候だろう。何とかなるかもしれない。)

それから魔物狩り以外の時間は、暫く土魔法で物を探し回った。お陰で俺の拠点の周りは石だらけだ。今さらだが、俺は鉱物ってどんな物か知らない。最初は土魔法を使えば簡単に砂鉄が取れるもんだと思っていたんだ。

(こりゃー砂鉄は諦めるしかないかねぇ・・・・でもこの山の様にある石を砕いて焼いて溶かしてみたらどうだろう?)

そう思った俺は風魔法で周りの石を切り刻んでみた。

(こりゃ骨が折れるなぁ・・・いっぺんに何とかするしか無いんだろうけど・・・)

俺は竜巻を圧縮した物をイメージして魔法を放ってみた。この所しっかりイメージ出来た物は、初見であっても成功する事が多い。

「タイフーンっ!」

徐々につむじ風が威力を増して、でっかい竜巻になる。

(おー、いい感じに竜巻が出来・・・・お、おいおい、何か止まらんぞ?どんどんでかくなってくぞ!?)

俺の放った魔法は何もかも巻き込んで、トンでも無くデカイ渦になりつつある。
慌てた俺は威力はそのままに、小さく圧縮するイメージで竜巻に魔法を放った。ついでに竜巻の中で鋭い刃が無数に飛び交うイメージも加えて。

竜巻は10m四方位に収まり、巻き込んだ物を渦の中ですり潰してる様だ。暫くして魔法を解除すると、物凄い量の粉が出来上がった。

「ゴホ、ゴホゴホ、うーー、凄い量の粉だな。次はこいつを溶かして固めるイメージで魔法を使わないとな。」

「イフリートっ!」

精霊の名前だった様な気もするが、熱で溶かす魔法なんて知らん。俺の知識の中で最強の炎に関する魔法だ。
すると、いつもは赤い炎が出るのだが、青白い炎が大量の粉を包んだ。

(おおー、何かカッコいいな!青白い炎なんて!)

青白い炎は、石を砕いた粉を焼いて溶かしていった。あんなに大量にあったのに10分の1位程度の量に減った。

(そろそろいいかな?オレンジ色に溶けた鉄っぽいヤツをナイフの形に固めりゃいいんだろ?)

俺はサバイバルナイフをイメージして形を作り、風魔法で冷やして行く。ある程度冷えたら水魔法で冷やして行く。ジュワッと音をたてて、真っ黒になったナイフが出来上がった。

(う~む、コイツを磨いたり研いだりしないといけないのかぁ・・・・拭くものなんて無いぞ・・・)

出来上がったナイフを見ながら考えていた。研ぐのは出来るだろう。砥石で研げばいい。磨くのは・・・・砂!砂だ!目の前に沢山ある砂で磨けばいいんだ。
俺は早速ナイフを砂の中に突っ込み、手でゴシゴシと磨き始めた。
すると、真っ黒だったナイフが銀色になり始めた。

(よし!これなら何とかなるな。)

それから霧中でゴシゴシと磨き続けた。どの位たったのか分からんが、銀色に輝くとはいかないが、綺麗な鉄っぽいナイフが出来上がった。

(ふう、中々いいじゃん!後は、研いで刃を付けるだけだな。)

しかし、元来面倒臭がりの俺。簡単に魔法でどうにかならないか考える。
ウォーターカッターや、ウインドカッターを上手く使えないだろうか。そう考えた俺は、ウォーターカッターをその場に留める事を意識して、魔法を出してみた。結果は失敗。目の前にはスライムが浮いている。正しくは水の塊が浮いている。

(上手くいかねーな・・・・・どうしたもんかねぇ・・・・そういや、魔法が使えるんだから魔力も有るよな。魔力で何とかならねーかな?)

それから何日も魔力を使う練習をした。
魔力って何?どんな物?と考察する所から始まり、アニメや、小説に出て来る物を思い出しながらの練習だった。

小説なんかでは、血液の様に体の中を循環しているとか書いてあった様な気がするが、俺はそうは思わなかった。
なんでそう思わなかったのか。それは俺は普通の人間で、この世界に来てから魔法を使える様になったからだ。元の世界では魔法なんて使えなかったしね。
だったら、魔力と言う物はこの世界の大気にあるんじゃないのか、と考えた訳だ。
実際いくら魔法を使っても、小説の主人公の様に疲れたり、だるくなる事が無い。

(この考えは外れちゃ居ないと思うんだけどな。)

この考えに至ってから魔力を意識すると体の周りに膜が出来てまとわりついている感覚あった。
強く意識すると分厚い膜が、あんまり意識しないと薄い膜が体に張り付いている様な感覚だ。
そんな感覚があるだけで、別に動きには差し支え無い。普通に動ける。

(こんだけ自由に魔力が動かせるなら、どんな魔法も威力も自由自在に使えるんじゃね?)

そう思った俺は、得意の炎の魔法を最大にして使ってみたくなった。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした【改稿版】

きたーの(旧名:せんせい)
ファンタジー
自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。 その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ! 約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。 ――― 当作品は過去作品の改稿版です。情景描写等を厚くしております。 なお、投稿規約に基づき既存作品に関しては非公開としておりますためご理解のほどよろしくお願いいたします。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

処理中です...