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新たな仲間編
49 旅立ち
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今俺は魔王城に1人だ。のんびりと書庫で本を読んでいる。この静けさは久し振りだ。何で1人なのかと言うと、ヒロシとハルカが旅に出て行ったからだ。旅といっても、魔王城の周りの広大な樹海の中を冒険しているだけだけどね。ヒロシが強いヤツと闘いたい!とか言い出して、それにハルカが乗っかった形だ。でも俺はすぐには『行って来い』とは言わなかった。2人共水魔法が使えない。水が飲めなければ待ってるのは死だ。だから水魔法を2人が修得出来たら行ってもいいと条件を出した。
ハルカはすぐに『雨は何で降るのか』を考え、書庫に入って調べたが、答えが出なかった様だ。まあ書庫の本は前魔王様が書いた物だから、そんな基本的な事は書いて無いだろう。次にハルカは俺に聞いて来た。俺はハルカに小学校2年生の授業をやって見せた。鍋に水を入れて湯を沸かし、湯気を見せた。これが空に上がると曇になって、雲が沢山集まると雨が降るんだぞ、と。最初は『???』だったが、鍋が湖で火が太陽だと教えると何となく分かったみたいで、大気中に水分がある事を理解した様だ。
そこからは早かった。たった2日で水を出せる様になった。
一方ヒロシの方はと言うと頭が固くて、どうやって水を出そうか考えているだけだった。全く・・・・ヒロシは土魔法しかやって来なかったからな。ヒロシはバカじゃない。ただ柔軟に物事を考える力が弱いだけだ。そんなヒロシを見かねたハルカが、俺と同じ方法でヒロシに説明するが、ヒロシは理解出来ないみたいだった。そのヒロシが、ハルカが水を扱える様になった事で焦ったのか、俺に助けを求めて来た。
仕方無いから俺は乾いたサラサラの土と、湿った土を出して、森の土には水が含まれている事を教えた。するとヒロシは、土から水を分離すればいいと気づいて練習を始めた。最初は上手くいかなかったみたいだが、3日目でやっと成功した。最初のヒロシには笑ったな。魔法を掛けると土が乾いてサラサラの砂になるだけで、水は蒸発してたもんな。それから必至に練習して、5日目には失敗せずに水が出せる様になった訳だ。
それから更に2日後に、ヒロシ達は旅立つ事になった。俺は布と魔物の革で2人のリュックを作り、戦争の時に兵士から奪った鎧の鉄を使って、鍋とフライパンとナイフを作って2人に渡した。勿論、俺の宝物の調味料も待たせてやった。もう子供を送り出す父親そのものだよ。
そんな事があっての1人なんだ。ヒロシ達もどの位で帰って来るのか分からない。1年先か、それとも5年先か。戻って来ないかも知れない。寂しいが、それはそれで構わないと思ってる。2人共、元々はこの樹海の魔物だったからな。故郷に戻るだけだ。この11年は楽しませて貰った。それだけでも感謝だ。
ヒロシ達が旅立って1ヶ月。静か過ぎて何か物足りない。今まで騒がしかったからな。俺も何かしようかな。何をしようか・・・・いきなり1人になると何も思い付かない。やりたい事・・・・この世界に来たばかりの頃は、魔物や他の種族に出会う事を夢見た。この60年で魔物には沢山会った。他種族には会って無いが、今はそんなに興味無い。もっと色んな事に興味を持ってこの世界を見ないといけないのだろうが、60年以上も生きてると興味も色褪せてくる。他の大陸に行くのも悪くは無いが、まだ早過ぎると思う。楽しみが減ってしまう。後1940年も生きなくてはならないのだから。
色々考えた結果、気分転換に俺も旅に出る事にした。この大陸の東側半分を巡って見ようと思う。まだ行った事の無い街があるかも知れない。いや、町や村でもいい。何か俺を驚かせてくれる物があるかも知れない。そう思ったらすぐに旅に出たくなった。読まれるか分からんが、ヒロシとハルカの部屋に『旅に出る。城は好きに使え。』と書いた手紙を置いてすぐに飛び立った。
別に急ぐ旅じゃない。のんびりとゆっくりと空を飛んで東に向かった。下を見ると緑の樹海が広がる。ヒロシとハルカは今頃何をしてるだろうか。魔物と闘ってんのかな。今のアイツらに勝てる魔物なんてそうは居ない。簡単に勝ちすぎて落胆してんのかな。やっぱり俺か育てた子供達だから気になってしまう。でも今は自分の事を考えよう。
森を抜けると平坦な大地が広がる。森の近くにも小さな集落が点々とある。集落のすぐ側には畑が。そんなに多くを望まず、慎ましく暮らしているのだろう。あそこには俺が驚く事なんて無いな。やっぱり少しは大きい街に行った方がいいのかも知れない。そのまま更に東へと飛ぶ。暫く飛んでいると、城門がある街が見えて来た。あそこに行ってみよう。何かあるかも知れない。
ハルカはすぐに『雨は何で降るのか』を考え、書庫に入って調べたが、答えが出なかった様だ。まあ書庫の本は前魔王様が書いた物だから、そんな基本的な事は書いて無いだろう。次にハルカは俺に聞いて来た。俺はハルカに小学校2年生の授業をやって見せた。鍋に水を入れて湯を沸かし、湯気を見せた。これが空に上がると曇になって、雲が沢山集まると雨が降るんだぞ、と。最初は『???』だったが、鍋が湖で火が太陽だと教えると何となく分かったみたいで、大気中に水分がある事を理解した様だ。
そこからは早かった。たった2日で水を出せる様になった。
一方ヒロシの方はと言うと頭が固くて、どうやって水を出そうか考えているだけだった。全く・・・・ヒロシは土魔法しかやって来なかったからな。ヒロシはバカじゃない。ただ柔軟に物事を考える力が弱いだけだ。そんなヒロシを見かねたハルカが、俺と同じ方法でヒロシに説明するが、ヒロシは理解出来ないみたいだった。そのヒロシが、ハルカが水を扱える様になった事で焦ったのか、俺に助けを求めて来た。
仕方無いから俺は乾いたサラサラの土と、湿った土を出して、森の土には水が含まれている事を教えた。するとヒロシは、土から水を分離すればいいと気づいて練習を始めた。最初は上手くいかなかったみたいだが、3日目でやっと成功した。最初のヒロシには笑ったな。魔法を掛けると土が乾いてサラサラの砂になるだけで、水は蒸発してたもんな。それから必至に練習して、5日目には失敗せずに水が出せる様になった訳だ。
それから更に2日後に、ヒロシ達は旅立つ事になった。俺は布と魔物の革で2人のリュックを作り、戦争の時に兵士から奪った鎧の鉄を使って、鍋とフライパンとナイフを作って2人に渡した。勿論、俺の宝物の調味料も待たせてやった。もう子供を送り出す父親そのものだよ。
そんな事があっての1人なんだ。ヒロシ達もどの位で帰って来るのか分からない。1年先か、それとも5年先か。戻って来ないかも知れない。寂しいが、それはそれで構わないと思ってる。2人共、元々はこの樹海の魔物だったからな。故郷に戻るだけだ。この11年は楽しませて貰った。それだけでも感謝だ。
ヒロシ達が旅立って1ヶ月。静か過ぎて何か物足りない。今まで騒がしかったからな。俺も何かしようかな。何をしようか・・・・いきなり1人になると何も思い付かない。やりたい事・・・・この世界に来たばかりの頃は、魔物や他の種族に出会う事を夢見た。この60年で魔物には沢山会った。他種族には会って無いが、今はそんなに興味無い。もっと色んな事に興味を持ってこの世界を見ないといけないのだろうが、60年以上も生きてると興味も色褪せてくる。他の大陸に行くのも悪くは無いが、まだ早過ぎると思う。楽しみが減ってしまう。後1940年も生きなくてはならないのだから。
色々考えた結果、気分転換に俺も旅に出る事にした。この大陸の東側半分を巡って見ようと思う。まだ行った事の無い街があるかも知れない。いや、町や村でもいい。何か俺を驚かせてくれる物があるかも知れない。そう思ったらすぐに旅に出たくなった。読まれるか分からんが、ヒロシとハルカの部屋に『旅に出る。城は好きに使え。』と書いた手紙を置いてすぐに飛び立った。
別に急ぐ旅じゃない。のんびりとゆっくりと空を飛んで東に向かった。下を見ると緑の樹海が広がる。ヒロシとハルカは今頃何をしてるだろうか。魔物と闘ってんのかな。今のアイツらに勝てる魔物なんてそうは居ない。簡単に勝ちすぎて落胆してんのかな。やっぱり俺か育てた子供達だから気になってしまう。でも今は自分の事を考えよう。
森を抜けると平坦な大地が広がる。森の近くにも小さな集落が点々とある。集落のすぐ側には畑が。そんなに多くを望まず、慎ましく暮らしているのだろう。あそこには俺が驚く事なんて無いな。やっぱり少しは大きい街に行った方がいいのかも知れない。そのまま更に東へと飛ぶ。暫く飛んでいると、城門がある街が見えて来た。あそこに行ってみよう。何かあるかも知れない。
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