11 / 16
足掻き
しおりを挟む私はスタンで這いつくばっている人を見渡す。
…うん。プリシアとジルベルト以外は女神の意思に反するよりも貴族のプライドを捨てて生卵をちゃんと食べたみたいね。偉い。
やっぱり、さっきの特級光魔法とベルリーナの容姿が醸し出した神聖さによって「女神の意思」の説得力があったみたいでなによりだわ。
この方法は女神信仰が強いこの国ならではよね。
「あらあらあら、お2人以外皆様食べ終わっていますよ?随分ゆっくりお食事されるのね。
味わうことはいい事だけれど、『ウソ』についてもプリシア様から聞きたいの。早くしてくれる?
あぁ、それとも、お喋りしながらでないと食べられないかしら?」
しょうがないわねーと言いながら声が出るようにしてあげる。
「おい、おまえー「ごめんなさい!!!」」
ジルベルトがなにか喋る前にプリシアは大声で謝った。
「さ、さっきは勘違いとか言って罪をのがれようとしてしまったけど、ベルリーナ様に虐められたなんてウソを言ってごめんなさい。
何年も苦しめてごめんなさい。
私の家は貴族だけどとても貧乏人で…贅沢ができる暮らしに、カッコイイ王子様に愛されることに夢を見てしまった。
お金持ちで、婚約者で恵まれた貴女がただ、ただ羨ましくて。
最初は少しくらい痛い目見ればいいと思ってやったことが、いつの間にか皆が味方してくれるようになって、上手くいくって思ってしまったの。
チヤホヤされて嬉しくて、貴女に虐められたことにすれば私の欲しい地位は手に入ったの。辞められなかったの。ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…
この卵も…ごめんなさい…残さず食べ…ます…ので…ごめんなさい…」
号泣しながらプリシアは謝罪を口にする。
先程のピアスの映像を見ても半信半疑だった人は、本人の自首する言葉を聞いてザワザワとしている。
プリシアが本心で謝っていることは心を読めば分かる。
女神として、罪を認め、更生する人は応援しなければならない。
でもね、プリシア。貴方が謝っている”ベルリーナ”は貴女のせいで、貴女の言葉や行動のせいで、死んでしまったのよ。
『殺人未遂犯』はどっちでしょうね。
もっとも、私が助けていなければ死んでいたから『殺人犯』の方が正しいかもしれないけど…
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
70
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる