曖-昧-多-色

muscat my cut

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かなめリカバリー -曖昧な距離-

-7-

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―ここは星が良く見える。周りには何も無い。

まるで、自分の心の中みたいに。

あるとしてもせいぜい小屋が1つというところだろう。ここに来ると気持ちが落ち着くし、考え事もはかどる。なんというか、秘密の場所みたいな物だろうか。

しかし私はこの場所に来ると、何故か「懐かしい」という感情が溢れてくるのだった。考え事ははかどっても、それだけは分からなかった。

何となく田舎に来ると懐かしくなる様な感じなのだろうか。故郷っぽく感じるのだろうか。

でも、私の故郷は都会だった。ここよりもずっと、都会。

将来は親の仕事を継ぐ事が決まっている。婚約者とかそういう物も作られて、けれど私は婚約者募集中とかふざけて言ってみたりして、精一杯普通になろうとした。皆の当たり前が分からないし、当たり前にはなれない。

皆みたいにまだ決まっていない未来の、将来の夢の話をしたい。

本当はモデルになりたい、って話をいつかしてみたい。いつも周りはスタイルや顔を褒めてくれたが、それならきっと応援してくれるだろう。…って思ってたい。

普通に、普通になりたかった私はこういう…言い方は少し悪いが、田舎っぽい場所に来ては皆がやってそうな事をやってみていた。

だから、懐かしかったのか?
それで正解だと思うのだが、何か抜け落ちている情報がある気がする。記憶がある気がする。

―思い出がある気がする。

「あの星は私の星。」

…!そうだ。そうだった。いつもの様にここに来た私は、いつも通りに独りで過ごしていた。けれど優理がやって来た。優理は寂しそうにああやって呟いた。

その言葉が優理にとってどんな意味なのかは分からなかったが、私は励まそうと思い、とっさにこう言った。

「この星はふたりの星。」

あの星が1人の星なら、ふたりの星を作ればいいって。すると、優理は少し笑って

「この言葉はね、決め台詞なんだよ。べ、別に寂しくなんて無かったもん。けど、優しいんだね。」

と照れ隠しにか、格好付けにかは分からなかったが、おそらく、そういう理由で誤魔化そうとしたのだろう。それでも、少なくともあの時の私は優理にとって優しい人であった事は嘘では無いと思いたい。

―信じて、信じ込んでいたい。

「決め台詞とか…んなわけあるか。」

呆れが混じった口調で私は言った。
良く考えればそんなわけないということは、明らかだったと思うのだが。どんな決め台詞だよ、それ。って感じだ。

いや、意外と格好良いかもしれないぞ。
ただし、時と場合によるから、あの時の優理が言っても、そんな情けない顔で言っても、それは情けないだけなのだけれどね。

本当に情けないなー優理。全然格好良くない。けど、その情けない顔は意外と好みだから心配するなよ。

あれ。おかしいな。あの時の優理みたいに照れ隠しをしてみようと思ったのに、情けない顔が好みって、そんなこと言ってたら普通に嫌われる。仲直りどころでは無い。

ああ…そうだ仲直りしなきゃいけないのか…。方法は無事思い付けたが、やっぱりしたくないな…とか思ってしまうその時の自分は誰よりも情けなかっただろう。

「さてと、明日が楽しみだなあー。」

あえて棒読みっぽく、私は言った。

綺麗な綺麗なこの空を見上げながら。
綺麗とは言えない自分だけれど。
綺麗とは言えない思い出抱えて。
叶いそうもない夢を背負って。

こんなんでもいーかなと思えた、今日この頃。
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