61 / 86
61. 計画の第一歩
しおりを挟む
「エヴァンただいま!エミリアは居るかしら?!」
クルト村から王都へ戻ると既に夜になっていた。アンナはリチャードとリリアナの二人を連れて家に帰ると、帰宅の挨拶もそこそこに、頼りになる親友の姿を探したのだった。
「姉さん?!早かったね?!」
「アンナ、え?本当に連れ戻しこれたの?!」
エヴァンとエミリアは、丁度夕食を食べているところで、アンナの帰還がリチャードを探すと言って出て行ってからまだ一日しか経っていなかったので、あまりの早さに、二人はあんぐりと驚いていた。
「えぇ。無事に連れ戻す事が出来たわ。二人とも入って来てください。」
そう言ってアンナは後ろに連れていた二人を家の中へと招き入れると、二人にエミリアを紹介したのだった。
「リチャード様、リリアナ様、こちら昨日お話しした女優のエミリアです。」
「えぇっと。初めまして、エミリアです?」
急にアンナに紹介されて、エミリアは戸惑いながらも一礼をすると、名を名乗り簡単に自己紹介をしてみせた。
「初めましてエミリア嬢。私はリチャード。この前貴女の舞台を観賞しました。とても素晴らしかったですよ。」
「初めましてエミリアさん。私はリリアンナと申します。この間観させていただいた劇には、本当に感動しましたわ!」
リチャードとリリアナは、とてもにこやかにエミリアの事を賞賛し、笑顔で手を差し出してきたので、エミリアはそれぞれと戸惑いながら握手を交わした。
「それはどうも……。えーっと……有難うございます?」
エミリアはこの状況が全く飲み込めず、何をどうしたら良いのか分からなくて、アンナに困惑の目配せして彼女に助けを求めると、それに気付いたアンナは、リチャードとリリアナとの事の経緯を簡単に説明すると、それからエミリアの手を取ると、真剣な眼差しで彼女に訴えかけたのだった。
「単刀直入に言うわ。エミリア、貴女の協力が必要なのよ。お願い、力を貸して!!」
「アンナ、私は貴女の助けになるならば喜んで力を貸すけれども、でも一体、何をすればいいの??」
大体の経緯は説明を聞いて何となく把握したものの自分に何を求められているのかが全く分からずに、エミリアは未だ戸惑っていた。アンナのみならず、リチャードやリリアナまで、何かを期待する目をエミリアに向けているのだ。
自分に何かとんでもなく重要な事を頼むのではないかと、エミリアは少し身構えてアンナの言葉を待った。
そんなエミリアの緊張が伝わって来たのか、アンナは張り詰めた空気の中、真剣な顔で重々しく口を開いた。
「あのね、今から言うこの計画は、劇団の協力なくては実現できないの。だからエミリアには、劇団との橋渡しになって欲しいの。」
アンナはエミリアの手をギュッと握って彼女の目を真っ直ぐに見てそう言うと、エミリアとエヴァンに、自身が素案を考えて、リチャードとリリアナと共に丁寧に練り上げた計画を詳しく説明したのだった。
***
「成程!それは面白いわ!!!うちの劇団の話題にも繋がるし、きっと団長も協力するわ!いいえ。私が絶対に協力させるから、任せて!!」
「それは、とても頼もしい。頼りにしてるよ、エミリア嬢。」
「えぇ、えぇ。任せて下さい。」
アンナの説明を聞き終えると、エミリアはさっきまでの不安そうな態度は影を潜めて、顔を輝かせて興奮した口調でアンナの計画に賛同の意を示していた。
彼女は説明を聞いてこの計画に凄く乗り気になったのだ。
心強い味方を手に入れて、リチャードもリリアンナも嬉しそうに笑みを浮かべていた。
こうして、アンナの計画はまた一歩実現に近づいたのだった。
しかし、一歩進んだは良いものよ、アンナはたちには今解決しなければいけない別の問題がまだ残っていた。
「それで、当面の問題は……どうやって、ルーフェスを外に連れ出すかと、リチャード様とリリアンナ様をどこで匿うかね。うちは流石に二人も泊められないわ。」
家出中の身であるリチャードとリリアナを、どこで匿うのか。その場所が無いのだ。
一人くらいならアンナの家でも何とかなったが、狭い借家なので、二人一緒に匿う事は流石に無理だった。
「そうね……家に一人来てもらうって言いたいところだけど、ごめんね、家にはその余裕が無いわ。」
「そうよね……」
そんな風にアンナとエミリアが頭を悩ませていると、横からリチャードが「考えている事がある」と、口を挟んだのだった。
「私たちの居場所については、もう一人協力者を巻き込もうと思ってる。そうすれば彼の屋敷に匿って貰えるし、それに彼の協力があれば、ルーフェスとも接触できると思うんだ。」
「当てが有るんですか?」
「うん。でもそれには、エミリア嬢の協力が絶対に必要なんだけど、いいかな?」
「えっ、私???」
「後はそうだな……。ルーフェスに接触するのには君にも手伝って貰いたいかな。」
「えっ、俺も??」
エヴァンとエミリアは、急な指名に戸惑ってお互い顔を見合わせると、怪訝そうな顔をリチャードに向けた。
するとリチャードは、そんな二人の戸惑いを解消するべくニッコリと笑って、自信を持ってその考えを皆に披露したのだった。
クルト村から王都へ戻ると既に夜になっていた。アンナはリチャードとリリアナの二人を連れて家に帰ると、帰宅の挨拶もそこそこに、頼りになる親友の姿を探したのだった。
「姉さん?!早かったね?!」
「アンナ、え?本当に連れ戻しこれたの?!」
エヴァンとエミリアは、丁度夕食を食べているところで、アンナの帰還がリチャードを探すと言って出て行ってからまだ一日しか経っていなかったので、あまりの早さに、二人はあんぐりと驚いていた。
「えぇ。無事に連れ戻す事が出来たわ。二人とも入って来てください。」
そう言ってアンナは後ろに連れていた二人を家の中へと招き入れると、二人にエミリアを紹介したのだった。
「リチャード様、リリアナ様、こちら昨日お話しした女優のエミリアです。」
「えぇっと。初めまして、エミリアです?」
急にアンナに紹介されて、エミリアは戸惑いながらも一礼をすると、名を名乗り簡単に自己紹介をしてみせた。
「初めましてエミリア嬢。私はリチャード。この前貴女の舞台を観賞しました。とても素晴らしかったですよ。」
「初めましてエミリアさん。私はリリアンナと申します。この間観させていただいた劇には、本当に感動しましたわ!」
リチャードとリリアナは、とてもにこやかにエミリアの事を賞賛し、笑顔で手を差し出してきたので、エミリアはそれぞれと戸惑いながら握手を交わした。
「それはどうも……。えーっと……有難うございます?」
エミリアはこの状況が全く飲み込めず、何をどうしたら良いのか分からなくて、アンナに困惑の目配せして彼女に助けを求めると、それに気付いたアンナは、リチャードとリリアナとの事の経緯を簡単に説明すると、それからエミリアの手を取ると、真剣な眼差しで彼女に訴えかけたのだった。
「単刀直入に言うわ。エミリア、貴女の協力が必要なのよ。お願い、力を貸して!!」
「アンナ、私は貴女の助けになるならば喜んで力を貸すけれども、でも一体、何をすればいいの??」
大体の経緯は説明を聞いて何となく把握したものの自分に何を求められているのかが全く分からずに、エミリアは未だ戸惑っていた。アンナのみならず、リチャードやリリアナまで、何かを期待する目をエミリアに向けているのだ。
自分に何かとんでもなく重要な事を頼むのではないかと、エミリアは少し身構えてアンナの言葉を待った。
そんなエミリアの緊張が伝わって来たのか、アンナは張り詰めた空気の中、真剣な顔で重々しく口を開いた。
「あのね、今から言うこの計画は、劇団の協力なくては実現できないの。だからエミリアには、劇団との橋渡しになって欲しいの。」
アンナはエミリアの手をギュッと握って彼女の目を真っ直ぐに見てそう言うと、エミリアとエヴァンに、自身が素案を考えて、リチャードとリリアナと共に丁寧に練り上げた計画を詳しく説明したのだった。
***
「成程!それは面白いわ!!!うちの劇団の話題にも繋がるし、きっと団長も協力するわ!いいえ。私が絶対に協力させるから、任せて!!」
「それは、とても頼もしい。頼りにしてるよ、エミリア嬢。」
「えぇ、えぇ。任せて下さい。」
アンナの説明を聞き終えると、エミリアはさっきまでの不安そうな態度は影を潜めて、顔を輝かせて興奮した口調でアンナの計画に賛同の意を示していた。
彼女は説明を聞いてこの計画に凄く乗り気になったのだ。
心強い味方を手に入れて、リチャードもリリアンナも嬉しそうに笑みを浮かべていた。
こうして、アンナの計画はまた一歩実現に近づいたのだった。
しかし、一歩進んだは良いものよ、アンナはたちには今解決しなければいけない別の問題がまだ残っていた。
「それで、当面の問題は……どうやって、ルーフェスを外に連れ出すかと、リチャード様とリリアンナ様をどこで匿うかね。うちは流石に二人も泊められないわ。」
家出中の身であるリチャードとリリアナを、どこで匿うのか。その場所が無いのだ。
一人くらいならアンナの家でも何とかなったが、狭い借家なので、二人一緒に匿う事は流石に無理だった。
「そうね……家に一人来てもらうって言いたいところだけど、ごめんね、家にはその余裕が無いわ。」
「そうよね……」
そんな風にアンナとエミリアが頭を悩ませていると、横からリチャードが「考えている事がある」と、口を挟んだのだった。
「私たちの居場所については、もう一人協力者を巻き込もうと思ってる。そうすれば彼の屋敷に匿って貰えるし、それに彼の協力があれば、ルーフェスとも接触できると思うんだ。」
「当てが有るんですか?」
「うん。でもそれには、エミリア嬢の協力が絶対に必要なんだけど、いいかな?」
「えっ、私???」
「後はそうだな……。ルーフェスに接触するのには君にも手伝って貰いたいかな。」
「えっ、俺も??」
エヴァンとエミリアは、急な指名に戸惑ってお互い顔を見合わせると、怪訝そうな顔をリチャードに向けた。
するとリチャードは、そんな二人の戸惑いを解消するべくニッコリと笑って、自信を持ってその考えを皆に披露したのだった。
0
あなたにおすすめの小説
離婚するはずの旦那様を、なぜか看病しています
鍛高譚
恋愛
「結婚とは、貴族の義務。そこに愛など不要――」
そう割り切っていた公爵令嬢アルタイは、王命により辺境伯ベガと契約結婚することに。
お互い深入りしない仮面夫婦として過ごすはずが、ある日ベガが戦地へ赴くことになり、彼はアルタイにこう告げる。
「俺は生きて帰れる自信がない。……だから、お前を自由にしてやりたい」
あっさりと“離婚”を申し出る彼に、アルタイは皮肉めいた笑みを浮かべる。
「では、戦争が終わり、貴方が帰るまで離婚は待ちましょう。
戦地で女でも作ってきてください。そうすれば、心置きなく別れられます」
――しかし、戦争は長引き、何年も経ったのちにようやく帰還したベガは、深い傷を負っていた。
彼を看病しながら、アルタイは自分の心が変化していることに気づく。
「早く元気になってもらわないと、離婚できませんね?」
「……本当に、離婚したいのか?」
最初は“義務”だったはずの結婚。しかし、夫婦として過ごすうちに、仮面は次第に剥がれていく。
やがて、二人の離婚を巡る噂が王宮を騒がせる中、ベガは決意を固める――。
【完】出来損ない令嬢は、双子の娘を持つ公爵様と契約結婚する~いつの間にか公爵様と7歳のかわいい双子たちに、めいっぱい溺愛されていました~
夏芽空
恋愛
子爵令嬢のエレナは、常に優秀な妹と比較され家族からひどい扱いを受けてきた。
しかし彼女は7歳の双子の娘を持つ公爵――ジオルトと契約結婚したことで、最低な家族の元を離れることができた。
しかも、条件は最高。公の場で妻を演じる以外は自由に過ごしていい上に、さらには給料までも出してくてれるという。
夢のような生活を手に入れた――と、思ったのもつかの間。
いきなり事件が発生してしまう。
結婚したその翌日に、双子の姉が令嬢教育の教育係をやめさせてしまった。
しかもジオルトは仕事で出かけていて、帰ってくるのはなんと一週間後だ。
(こうなったら、私がなんとかするしかないわ!)
腹をくくったエレナは、おもいきった行動を起こす。
それがきっかけとなり、ちょっと癖のある美少女双子義娘と、彼女たちよりもさらに癖の強いジオルトとの距離が縮まっていくのだった――。
本の虫令嬢ですが「君が番だ! 間違いない」と、竜騎士様が迫ってきます
氷雨そら
恋愛
本の虫として社交界に出ることもなく、婚約者もいないミリア。
「君が番だ! 間違いない」
(番とは……!)
今日も読書にいそしむミリアの前に現れたのは、王都にたった一人の竜騎士様。
本好き令嬢が、強引な竜騎士様に振り回される竜人の番ラブコメ。
小説家になろう様にも投稿しています。
【完結】これは紛うことなき政略結婚である
七瀬菜々
恋愛
没落寸前の貧乏侯爵家の令嬢アンリエッタ・ペリゴールは、スラム街出身の豪商クロード・ウェルズリーと結婚した。
金はないが血筋だけは立派な女と、金はあるが賤しい血筋の男。
互いに金と爵位のためだけに結婚した二人はきっと、恋も愛も介在しない冷めきった結婚生活を送ることになるのだろう。
アンリエッタはそう思っていた。
けれど、いざ新婚生活を始めてみると、何だか想像していたよりもずっと甘い気がして……!?
*この物語は、今まで顔を合わせれば喧嘩ばかりだった二人が夫婦となり、紆余曲折ありながらも愛と絆を深めていくただのハイテンションラブコメ………になる予定です。
ーーーーーーーーーー
*主要な登場人物*
○アンリエッタ・ペリゴール
いろんな不幸が重なり落ちぶれた、貧乏侯爵家の一人娘。意地っ張りでプライドの高いツンデレヒロイン。
○クロード・ウェルズリー
一代で莫大な富を築き上げた豪商。生まれは卑しいが、顔がよく金持ち。恋愛に関しては不器用な男。
○ニコル
アンリエッタの侍女。
アンリエッタにとっては母であり、姉であり、友である大切な存在。
○ミゲル
クロードの秘書。
優しそうに見えて辛辣で容赦がない性格。常にひと言多い。
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
田舎暮らしの貧乏令嬢、幽閉王子のお世話係になりました〜七年後の殿下が甘すぎるのですが!〜
侑子
恋愛
「リーシャ。僕がどれだけ君に会いたかったかわかる? 一人前と認められるまで魔塔から出られないのは知っていたけど、まさか七年もかかるなんて思っていなくて、リーシャに会いたくて死ぬかと思ったよ」
十五歳の時、父が作った借金のために、いつ魔力暴走を起こすかわからない危険な第二王子のお世話係をしていたリーシャ。
弟と同じ四つ年下の彼は、とても賢くて優しく、可愛らしい王子様だった。
お世話をする内に仲良くなれたと思っていたのに、彼はある日突然、世界最高の魔法使いたちが集うという魔塔へと旅立ってしまう。
七年後、二十二歳になったリーシャの前に現れたのは、成長し、十八歳になって成人した彼だった!
以前とは全く違う姿に戸惑うリーシャ。
その上、七年も音沙汰がなかったのに、彼は昔のことを忘れていないどころか、とんでもなく甘々な態度で接してくる。
一方、自分の息子ではない第二王子を疎んで幽閉状態に追い込んでいた王妃は、戻ってきた彼のことが気に入らないようで……。
崖っぷち令嬢は冷血皇帝のお世話係〜侍女のはずが皇帝妃になるみたいです〜
束原ミヤコ
恋愛
ティディス・クリスティスは、没落寸前の貧乏な伯爵家の令嬢である。
家のために王宮で働く侍女に仕官したは良いけれど、緊張のせいでまともに話せず、面接で落とされそうになってしまう。
「家族のため、なんでもするからどうか働かせてください」と泣きついて、手に入れた仕事は――冷血皇帝と巷で噂されている、冷酷冷血名前を呼んだだけで子供が泣くと言われているレイシールド・ガルディアス皇帝陛下のお世話係だった。
皇帝レイシールドは気難しく、人を傍に置きたがらない。
今まで何人もの侍女が、レイシールドが恐ろしくて泣きながら辞めていったのだという。
ティディスは決意する。なんとしてでも、お仕事をやりとげて、没落から家を救わなければ……!
心根の優しいお世話係の令嬢と、無口で不器用な皇帝陛下の話です。
【完結】辺境伯の溺愛が重すぎます~追放された薬師見習いは、領主様に囲われています~
深山きらら
恋愛
王都の薬師ギルドで見習いとして働いていたアディは、先輩の陰謀により濡れ衣を着せられ追放される。絶望の中、辺境の森で魔獣に襲われた彼女を救ったのは、「氷の辺境伯」と呼ばれるルーファスだった。彼女の才能を見抜いたルーファスは、アディを専属薬師として雇用する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる