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第2話
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「あの、エルレイン・フローティア様でいらっしゃいますか?」
そのご令嬢は、人気のないアカデミーの裏庭で一人静かに本を読んでいらっしゃった。
透き通るような白い肌に真っ赤な唇。それにカラスの濡れ羽色の様な艶のある黒髪と漆黒の瞳。正に絵にかいたような深窓の令嬢がそこに座っており、その御姿は、同性の私でも思わず見惚れる程であった。
「……貴女は?」
「あっ、失礼いたしました。私イレーザー伯爵の娘、セシリアでございます。」
彼女のあまりに美しさに思わず惚けてしまっていた私は、慌てて挨拶が遅れてしまった非礼を詫びると名を名乗り頭を下げた。
するとエルレイン様は、読んでいた本を閉じて私の事を一瞥すると、表情を全く変えずに真顔のまま、自分が私の探している人物であることを認めたのだった。
「そう。いかにも私がエルレイン・フローティアよ。何か御用かしら?」
「あ、あの……私、エルレイン様のお噂を聞きまして……」
美しく気高い彼女の前に若干気後れしてしまっていたが、私は怯まずにアカデミー内で噂になっている、エルレイン様の”おまじない”について切り出そうとした。
けれども、私が言葉を続けるより前にエルレイン様が口を開いて、私の言葉を遮ってしまったのだった。
「あら、どんな噂かしら?本ばかり読んでる怪しい術を使う気味の悪いご令嬢だとか?」
それはまるで自虐するかのように、エルレイン様は表情を変えぬまま、冷たく、抑揚のない声でアカデミーに広まっている悪意ある噂話を持ち出したのだ。
彼女の口から出てきたその噂話については、私も実際に耳にしたことがあったが、しかし、本人を目の前にしては、それがあくまで噂で真実では無いというのがはっきりと分かっていた。
だから私は、力いっぱいエルレイン様の言葉を否定したのだった。
「いいえ、違います!私が聞いた噂は、エルレイン様の”おまじない”によって、悩みごとが解決したって話ですわ。気味が悪いですって?そんなの有り得ませんわ!だってエルレイン様はこんなにお美しく、同性の私でもウットリと見惚れてしまう程素敵なんですもの!」
するとエルレイン様は、一瞬ポカンとした表情をすると、直ぐにクスクスと笑いだしたのだった。
「まぁ、貴女、面白い人ですわね。ご令嬢から口説き文句を受けるのは初めてですわ。」
「わ、私は別に口説いてる訳じゃ……」
エルレイン様の言葉に、私は思わず赤面した。確かに言葉だけ聞いたら、これは、まるで口説いているように聞こえるのだ。
私は恥ずかしくて逃げ出したくなったが、ここで逃げたら”おまじない”をかけて貰えないので、思いとどまって言葉を続けた。
「と……とにかく、私、エルレイン様に”おまじない”をかけて頂きたいんです!」
するとエルレイン様は、楽しそうに笑いながら私の懇願に応じてくださったのだった。
「ふふっ、良いですわ。気に入りました。貴女のお話しを聞いてあげるわ。立ち話も何ですから、横に座りなさい。」
「あ……有難うございます!!」
私は目一杯頭を下げて感謝すると、エルレイン様が指し示した彼女の隣に腰を下ろした。
改めて間近で見る彼女の顔は本当にお人形の様に美しく、私はドギマギしてしまったが、エルレイン様は実に淡々とした様子で、私が横に座るや否や早速本題を訊ねられたのだった。
「それで、貴女は何がお望みなのかしら?」
エルレイン様からのその問いかけに、私は自分の両手をギュッと握りしめて覚悟を決めると、彼女の目をじっと見つめて、真剣に、何故自分がここへ来たのかの説明を始めた。
「あの……エルレイン様は、カラーラス・ドラグニア様をご存知ですか?」
「まぁ、それはね。アカデミーの中でも一、二を争う人気者ですから存じてますわよ。あの方の周りには、いつも女生徒が集っておりますよね。」
「……私、カラーラス様とは幼馴染なんです。ですが、私がアカデミーに入ってからはカラーラス様はそっけない態度で私を遠ざけるようになってしまって……。それで、エルレイン様にお願いしたいのは、以前のように、カラーラス様と普通にお話し出来るようになりたいんです。」
私はエルレイン様の目を見て、切実に訴えた。
カラーラス様と前のように仲良く出来るのであれば、なんだってやる覚悟は既に決まっている。だから例えどんな法外な報酬を言われても、なんだって受け入れるつもりで、私はエルレイン様の目をじっと見つめた。
すると彼女は、ふむ。と小さくつぶやくと、私の事をまじまじと見つめ返して確認したのだった。
「なるほど。それで貴女は、カラーラス様と仲良くなるおまじないをかけて欲しいのね?」
「いえ、少し違いますわ。私とカラーラス様は元から仲良しですから!」
「……貴女、存外めんどくさいですわね……」
私としては、そこは間違えないで欲しかったので強く訂正させて貰った。
するとエルレイン様は、そんな私の気持ちを汲み取ってくださったのか、ジトっとした目でこちらを見ると、ため息を一つ吐いてから言い直して話を続けたのだった。
「つまり、カラーラス様と、仲が良かった頃のように戻りたいと?」
「はい!そうなんです。私たち子供の頃は本当に仲が良かったのですのよ。一緒に遊んで、お茶して……そうそう、お昼寝の時も一緒で、本当に常に一緒に居たのです。それにそうそう、あれは確か十歳の頃……」
「あーはいはい。それ以上は結構ですわ。もう十分に分かりましたから。」
エルレイン様からの問いかけに、私はどんなにカラーラス様と仲が良かったのかを、余すところなく過去の思い出話を交えて彼女に事細かに説明しようとしたのだが、エルレイン様は軽く右手を上げて、途中でそれを遮ってしまった。
なので私はまだまだ話足りなかったがそれ以上は多くを語らずに、ただ率直に、改めてエルレイン様にお願いをしたのだった。
「それで、エルレイン様。……私のお願い、お受けして頂けますか?」
エルレイン様の目を真剣に見つめて、全身全霊の想いを込めてお願いし、私は固唾をのんでエルレイン様の返答をまった。
するとエルレイン様は、まるで面白いモノを見つけたような顔をしてにっこりと笑うと、嬉しそうに答えてくださったのだった。
「そうですわね……まぁ、良いでしょう。そうね……貴女の場合ですとお金は要らないですわ。その代り、私のおまじないによって、貴女の身に何が起こって、どう変化したのか、それを逐一包み隠さず全部報告しなさいね。」
「えっ……そんなことで良いのですか?」
「えぇ。貴女からはなんだか、とっても面白いお話が聞けそうな予感がするんですもの。」
そう言って、満面の笑みで笑うエルレイン様に、私はきょとんと首を傾げた。一体彼女が何にそんなに興味を惹かれたのかが分からなかったのだ。
けれども私のお願いを聞いてくれると言うのだから、そんな細かい事は気にしている暇はなかった。このチャンスを逃す訳にはいかないのだ。
「それでは、お受けして頂けるのですね?」
「えぇ、良いですわ。ですが私の力は本物で、その分術も強力ですわ。生半可な気持ちでは、きっと貴女は後悔しますわよ?」
「望むところですわ!よろしくお願いします!!」
エルレイン様に承諾していただけると、私は全身でその喜びを表現し、彼女からの注意事項にも力強く頷いた。
「ふふ。私の事を怖がる人も多いというのに。貴女の度胸は嫌いじゃなくってよ。さぁ、両手をこちらに出してごらんなさい。」
そんな私の様子をエルレイン様は可笑しそうに眺めながら、優雅にその手を差し出すと私にも両手を差し出すように促した。
そして私が言われた通りに両手を彼女の前に差し出すと、エルレイン様は私の手を包み込むように両手でそっと握って、目を瞑り、聞き慣れない言葉を紡いだのだった。
時間にしてほんの数分。エルレイン様は私の手を握りながら綺麗な声で、呪文を唱えた。言葉の意味は分からなかったが、それはまるで詩のようであった。
……
「さぁ、貴女にお望みの”おまじない”をかけましたわ。」
そう言ってエルレイン様は、私の手を離されたのだが、私は怪訝な顔で彼女を見返した。エルレイン様の”おまじない”は、発光したり、熱くなったり、目に見える効果がある訳ではなかったのだ。
「……特に変わったことは無いのだけれども、エルレイン様の”おまじない”というのはこれで成功したのでしょうか?」
「ええ。勿論成功していますわ。まぁ、その効果は、カラーラス様とお会いしたらすぐに分かりますよ。」
「そう……なのですね。それでは私、これからお兄様に会いに行ってみますわ。エルレイン様、有難うございました。」
私の疑うような目にも、全く気にしないといった感じでエルレイン様が堂々とにこやかに言い切ったので、私は彼女に深く頭を下げてお礼を言うと”おまじない”を受けたという実感がないまま、半信半疑でカラーラス様の元へ向かった。
(これで、お兄様と昔のようにお話し出来るのよね……?)
そんな想いを胸に、私はカラーラス様の居る鍛錬場へと急いだ。
そして、鍛錬場に着くと直ぐに、エルレイン様の言っていた”おまじない”の強力な効果を、否が応にも自覚するのであった。
そのご令嬢は、人気のないアカデミーの裏庭で一人静かに本を読んでいらっしゃった。
透き通るような白い肌に真っ赤な唇。それにカラスの濡れ羽色の様な艶のある黒髪と漆黒の瞳。正に絵にかいたような深窓の令嬢がそこに座っており、その御姿は、同性の私でも思わず見惚れる程であった。
「……貴女は?」
「あっ、失礼いたしました。私イレーザー伯爵の娘、セシリアでございます。」
彼女のあまりに美しさに思わず惚けてしまっていた私は、慌てて挨拶が遅れてしまった非礼を詫びると名を名乗り頭を下げた。
するとエルレイン様は、読んでいた本を閉じて私の事を一瞥すると、表情を全く変えずに真顔のまま、自分が私の探している人物であることを認めたのだった。
「そう。いかにも私がエルレイン・フローティアよ。何か御用かしら?」
「あ、あの……私、エルレイン様のお噂を聞きまして……」
美しく気高い彼女の前に若干気後れしてしまっていたが、私は怯まずにアカデミー内で噂になっている、エルレイン様の”おまじない”について切り出そうとした。
けれども、私が言葉を続けるより前にエルレイン様が口を開いて、私の言葉を遮ってしまったのだった。
「あら、どんな噂かしら?本ばかり読んでる怪しい術を使う気味の悪いご令嬢だとか?」
それはまるで自虐するかのように、エルレイン様は表情を変えぬまま、冷たく、抑揚のない声でアカデミーに広まっている悪意ある噂話を持ち出したのだ。
彼女の口から出てきたその噂話については、私も実際に耳にしたことがあったが、しかし、本人を目の前にしては、それがあくまで噂で真実では無いというのがはっきりと分かっていた。
だから私は、力いっぱいエルレイン様の言葉を否定したのだった。
「いいえ、違います!私が聞いた噂は、エルレイン様の”おまじない”によって、悩みごとが解決したって話ですわ。気味が悪いですって?そんなの有り得ませんわ!だってエルレイン様はこんなにお美しく、同性の私でもウットリと見惚れてしまう程素敵なんですもの!」
するとエルレイン様は、一瞬ポカンとした表情をすると、直ぐにクスクスと笑いだしたのだった。
「まぁ、貴女、面白い人ですわね。ご令嬢から口説き文句を受けるのは初めてですわ。」
「わ、私は別に口説いてる訳じゃ……」
エルレイン様の言葉に、私は思わず赤面した。確かに言葉だけ聞いたら、これは、まるで口説いているように聞こえるのだ。
私は恥ずかしくて逃げ出したくなったが、ここで逃げたら”おまじない”をかけて貰えないので、思いとどまって言葉を続けた。
「と……とにかく、私、エルレイン様に”おまじない”をかけて頂きたいんです!」
するとエルレイン様は、楽しそうに笑いながら私の懇願に応じてくださったのだった。
「ふふっ、良いですわ。気に入りました。貴女のお話しを聞いてあげるわ。立ち話も何ですから、横に座りなさい。」
「あ……有難うございます!!」
私は目一杯頭を下げて感謝すると、エルレイン様が指し示した彼女の隣に腰を下ろした。
改めて間近で見る彼女の顔は本当にお人形の様に美しく、私はドギマギしてしまったが、エルレイン様は実に淡々とした様子で、私が横に座るや否や早速本題を訊ねられたのだった。
「それで、貴女は何がお望みなのかしら?」
エルレイン様からのその問いかけに、私は自分の両手をギュッと握りしめて覚悟を決めると、彼女の目をじっと見つめて、真剣に、何故自分がここへ来たのかの説明を始めた。
「あの……エルレイン様は、カラーラス・ドラグニア様をご存知ですか?」
「まぁ、それはね。アカデミーの中でも一、二を争う人気者ですから存じてますわよ。あの方の周りには、いつも女生徒が集っておりますよね。」
「……私、カラーラス様とは幼馴染なんです。ですが、私がアカデミーに入ってからはカラーラス様はそっけない態度で私を遠ざけるようになってしまって……。それで、エルレイン様にお願いしたいのは、以前のように、カラーラス様と普通にお話し出来るようになりたいんです。」
私はエルレイン様の目を見て、切実に訴えた。
カラーラス様と前のように仲良く出来るのであれば、なんだってやる覚悟は既に決まっている。だから例えどんな法外な報酬を言われても、なんだって受け入れるつもりで、私はエルレイン様の目をじっと見つめた。
すると彼女は、ふむ。と小さくつぶやくと、私の事をまじまじと見つめ返して確認したのだった。
「なるほど。それで貴女は、カラーラス様と仲良くなるおまじないをかけて欲しいのね?」
「いえ、少し違いますわ。私とカラーラス様は元から仲良しですから!」
「……貴女、存外めんどくさいですわね……」
私としては、そこは間違えないで欲しかったので強く訂正させて貰った。
するとエルレイン様は、そんな私の気持ちを汲み取ってくださったのか、ジトっとした目でこちらを見ると、ため息を一つ吐いてから言い直して話を続けたのだった。
「つまり、カラーラス様と、仲が良かった頃のように戻りたいと?」
「はい!そうなんです。私たち子供の頃は本当に仲が良かったのですのよ。一緒に遊んで、お茶して……そうそう、お昼寝の時も一緒で、本当に常に一緒に居たのです。それにそうそう、あれは確か十歳の頃……」
「あーはいはい。それ以上は結構ですわ。もう十分に分かりましたから。」
エルレイン様からの問いかけに、私はどんなにカラーラス様と仲が良かったのかを、余すところなく過去の思い出話を交えて彼女に事細かに説明しようとしたのだが、エルレイン様は軽く右手を上げて、途中でそれを遮ってしまった。
なので私はまだまだ話足りなかったがそれ以上は多くを語らずに、ただ率直に、改めてエルレイン様にお願いをしたのだった。
「それで、エルレイン様。……私のお願い、お受けして頂けますか?」
エルレイン様の目を真剣に見つめて、全身全霊の想いを込めてお願いし、私は固唾をのんでエルレイン様の返答をまった。
するとエルレイン様は、まるで面白いモノを見つけたような顔をしてにっこりと笑うと、嬉しそうに答えてくださったのだった。
「そうですわね……まぁ、良いでしょう。そうね……貴女の場合ですとお金は要らないですわ。その代り、私のおまじないによって、貴女の身に何が起こって、どう変化したのか、それを逐一包み隠さず全部報告しなさいね。」
「えっ……そんなことで良いのですか?」
「えぇ。貴女からはなんだか、とっても面白いお話が聞けそうな予感がするんですもの。」
そう言って、満面の笑みで笑うエルレイン様に、私はきょとんと首を傾げた。一体彼女が何にそんなに興味を惹かれたのかが分からなかったのだ。
けれども私のお願いを聞いてくれると言うのだから、そんな細かい事は気にしている暇はなかった。このチャンスを逃す訳にはいかないのだ。
「それでは、お受けして頂けるのですね?」
「えぇ、良いですわ。ですが私の力は本物で、その分術も強力ですわ。生半可な気持ちでは、きっと貴女は後悔しますわよ?」
「望むところですわ!よろしくお願いします!!」
エルレイン様に承諾していただけると、私は全身でその喜びを表現し、彼女からの注意事項にも力強く頷いた。
「ふふ。私の事を怖がる人も多いというのに。貴女の度胸は嫌いじゃなくってよ。さぁ、両手をこちらに出してごらんなさい。」
そんな私の様子をエルレイン様は可笑しそうに眺めながら、優雅にその手を差し出すと私にも両手を差し出すように促した。
そして私が言われた通りに両手を彼女の前に差し出すと、エルレイン様は私の手を包み込むように両手でそっと握って、目を瞑り、聞き慣れない言葉を紡いだのだった。
時間にしてほんの数分。エルレイン様は私の手を握りながら綺麗な声で、呪文を唱えた。言葉の意味は分からなかったが、それはまるで詩のようであった。
……
「さぁ、貴女にお望みの”おまじない”をかけましたわ。」
そう言ってエルレイン様は、私の手を離されたのだが、私は怪訝な顔で彼女を見返した。エルレイン様の”おまじない”は、発光したり、熱くなったり、目に見える効果がある訳ではなかったのだ。
「……特に変わったことは無いのだけれども、エルレイン様の”おまじない”というのはこれで成功したのでしょうか?」
「ええ。勿論成功していますわ。まぁ、その効果は、カラーラス様とお会いしたらすぐに分かりますよ。」
「そう……なのですね。それでは私、これからお兄様に会いに行ってみますわ。エルレイン様、有難うございました。」
私の疑うような目にも、全く気にしないといった感じでエルレイン様が堂々とにこやかに言い切ったので、私は彼女に深く頭を下げてお礼を言うと”おまじない”を受けたという実感がないまま、半信半疑でカラーラス様の元へ向かった。
(これで、お兄様と昔のようにお話し出来るのよね……?)
そんな想いを胸に、私はカラーラス様の居る鍛錬場へと急いだ。
そして、鍛錬場に着くと直ぐに、エルレイン様の言っていた”おまじない”の強力な効果を、否が応にも自覚するのであった。
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