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ROUND2
02
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絡まる強さが増して、熱のこもった吐息を交わし合いながら、深く深くまで飲み込むように舌を合わせる。裏側から歯列をまたなぞると、今度こそ腰が跳ねた。そのことに羞恥の表情を浮かべる様子さえ、艶っぽくてそそられる。
左手で耳に指を入れて軽くかき混ぜるだけで、んんっ、とくぐもった喘ぎが零れた。
…さてはこの人、めちゃめちゃ快楽に弱いな?
舌を動かしながら耳を攻めれば、急にジタバタし始める。ても背中はピッタリとついていて、オレとの距離はゼロ。逃げ場も当然、ゼロ。
乗りかかるように更に上半身を密着させれば、ゴリっと下半身が当たった。お互いの興奮が言葉ナシでも明確に伝わる。ビックリしたようにまた目を見開く顔が、深いキスを受けてまた、とろりと蕩ける。
弛緩し始めた身体に指先を滑らせて、首筋を舌で舐めあげると、今度こそ隠しきれない嬌声が漏れた。しまった、という顔をして慌てて腕を噛もうとする、その動作のあまりの自然さに一瞬止めるのが遅れた。失敗した。
"男の喘ぎ声が聞きたい、なんて思うわけないんだよ、普通は。だから声が聞こえなかったんなら絶対、100パーセント、どっかを噛んでた筈だよ"
血が滲んで青くなるほど強くね、と苦笑いをした副部長の言葉を思い出す。どんな気持ちであの夜、声を殺してたのかと思うと、それだけで胸が潰れそうだった。そして、それに気づけなかった自分のアホさ加減にも吐き気がした。
今度こそは、って思ってたのに。一瞬遅れちゃった。
食い込んだ歯と、真っ赤な腕に、そっと触れる。怯えたように滲む瞳にオレが映って、心臓がギュっと引き絞られる痛みを堪えた。オレよりもこの人の心の方が、何倍も痛かったはずだ。
「ねぇ、お願い」
ゆっくりと腕をさする。強ばりが解けるまで何度も。
「オレの大好きな人を傷つけないで」
ぴくり、と肩が揺れた。
「たとえ、それがあなた自身であっても、オレは悲しいよ。だから、お願い。この手を離してあげて」
真っ直ぐ正面から覗きこめば、戸惑ったように首を傾げて、たっぷり十秒。まだ迷った顔をしながらも、口唇が開いて、腕が離れていく。
「ありがと。大好き」
はっきりと歯形の残った赤黒い腕をそうっと撫でる。一瞬痛そうに眉をしかめて、どうしたらいいか分かんないって顔をしてる、その姿は何だか頼りなくて儚くて、オレの胸はまたきゅうっと締め付けられた。
「ねぇ、オレはあなたが大好きで、大切にしたいんです。気持ちよくしたいし、イヤなことはしたくない。あなたはオレとこういうコトするの、しんどい?」
正直に言っていいよ、と言えば慌ててふるふると必死に首を振る。イヤなわけじゃないなら。
「じゃあ、我慢しないで?声も聞きたいし、辛かったら言って欲しいし、オレに爪立てたっていいよ」
そんなんで壊れるほどヤワじゃないし。
「だから自分のコトも大事にして?ね、お願い」
真っ直ぐな言葉は真っ直ぐに伝わるだろうか。
少しまだ躊躇いながらも、こくりと上下する頭の動きは同意の証。
両方の手をギュっと握りこんで、恋人繋ぎ。そのまま上にあげて、頭の後ろで縫い止める。少し膝を立てて覆い被さるようなキス。浅く深くを繰り返して、どんどん奥まで深みにハマっていく。
息が上がってグズるようにイヤイヤと首を振る姿が何とも言えず可愛くて、堪らなくて、このまま食べてしまいたい気持ちをグッと抑える。
ゆっくりと耳に舌を差し込んでくちゅくちゅと濡らせば、身体全体が跳ねて、高い鳴き声が放たれる。ねぶりながら耳を犯せば、んーっとまた堪えた口許から息が漏れる。
「……ね、声、我慢しちゃヤダ……お願い、聞かせて?」
吐息混じりに耳に口づけて囁けば、恐る恐る小刻みに吐き出される息に混じる甘い甘い泣き声。…うわぁ、もう存在自体ドエロいんだけど。
ふるふると目の縁に涙を浮かべながら、遠慮がちに開く口唇。気持ちいいポイントに舌が触れる度に喉仏が上下して、頸動脈が収縮する。顎が上がって、しなる背骨。まだキスしかしてないのにコレって、めちゃめちゃヤバい。エロすぎる。……オレの理性保つかな。
可愛くてつい、もっと泣かせたくなる。
首筋に舌を這わせながら徐々に下へと降りていき、片手は頭上で手首を縫い止めたまま、空いた方の手をシャツの下に滑り込ませた。
触れた肌が燃えるように熱い。指先を滑らせるだけで弓なりにしなる背中、反対に突き出される胸の飾りをカリっと引っ掻けば、耐えきれずに濁った叫び声があがった。
「……もっと聞かせてよ」
我ながら意地悪だとは思いつつ耳たぶを噛んで囁けば、必死に快感を逃がそうと首を振る。ふわふわの柔らかな髪はすっかり汗に濡れて、オレの手でこんなに蕩けているのかと思うと腹の底から昏い欲望が迫り上がってきた。
カリカリと引っ掻いてぷくりと腫れ上がってきた先端をきゅっと潰すと、また叫んで腰が当たる。わざとゆっくりと服を捲り上げて下から覗きこめば、期待と困惑に揺れた瞳がオレを捉えた。
そのまま視線を合わせながら、舌を絡めてきゅうっとキツく吸い上げる。腰がガクガクと揺れている。強すぎる刺激にポロリと涙が零れる。
……何でこんなに可愛いんだ、この人は。8つも年上のアラサーのクセに。無理、これは無理。理性が限界だわ。
「っあ"あ"、っんあ"っも、もうダメっ、だぁっ、めぇえ」
呂律の回らなくなってきた口を塞いで、ぐちゃぐちゃに舌で犯せばもう、声すら出せずにヒィヒィと泣いている。目が合った。
…ヤッバ。ブチ犯すところだった。
ほんの少し残っていた理性を総動員して一旦身体を離した。くたり、と身体を投げ出して息も絶え絶えにころりと寝転がる様は、どこかあどけなくて、子供っぽかった。
左手で耳に指を入れて軽くかき混ぜるだけで、んんっ、とくぐもった喘ぎが零れた。
…さてはこの人、めちゃめちゃ快楽に弱いな?
舌を動かしながら耳を攻めれば、急にジタバタし始める。ても背中はピッタリとついていて、オレとの距離はゼロ。逃げ場も当然、ゼロ。
乗りかかるように更に上半身を密着させれば、ゴリっと下半身が当たった。お互いの興奮が言葉ナシでも明確に伝わる。ビックリしたようにまた目を見開く顔が、深いキスを受けてまた、とろりと蕩ける。
弛緩し始めた身体に指先を滑らせて、首筋を舌で舐めあげると、今度こそ隠しきれない嬌声が漏れた。しまった、という顔をして慌てて腕を噛もうとする、その動作のあまりの自然さに一瞬止めるのが遅れた。失敗した。
"男の喘ぎ声が聞きたい、なんて思うわけないんだよ、普通は。だから声が聞こえなかったんなら絶対、100パーセント、どっかを噛んでた筈だよ"
血が滲んで青くなるほど強くね、と苦笑いをした副部長の言葉を思い出す。どんな気持ちであの夜、声を殺してたのかと思うと、それだけで胸が潰れそうだった。そして、それに気づけなかった自分のアホさ加減にも吐き気がした。
今度こそは、って思ってたのに。一瞬遅れちゃった。
食い込んだ歯と、真っ赤な腕に、そっと触れる。怯えたように滲む瞳にオレが映って、心臓がギュっと引き絞られる痛みを堪えた。オレよりもこの人の心の方が、何倍も痛かったはずだ。
「ねぇ、お願い」
ゆっくりと腕をさする。強ばりが解けるまで何度も。
「オレの大好きな人を傷つけないで」
ぴくり、と肩が揺れた。
「たとえ、それがあなた自身であっても、オレは悲しいよ。だから、お願い。この手を離してあげて」
真っ直ぐ正面から覗きこめば、戸惑ったように首を傾げて、たっぷり十秒。まだ迷った顔をしながらも、口唇が開いて、腕が離れていく。
「ありがと。大好き」
はっきりと歯形の残った赤黒い腕をそうっと撫でる。一瞬痛そうに眉をしかめて、どうしたらいいか分かんないって顔をしてる、その姿は何だか頼りなくて儚くて、オレの胸はまたきゅうっと締め付けられた。
「ねぇ、オレはあなたが大好きで、大切にしたいんです。気持ちよくしたいし、イヤなことはしたくない。あなたはオレとこういうコトするの、しんどい?」
正直に言っていいよ、と言えば慌ててふるふると必死に首を振る。イヤなわけじゃないなら。
「じゃあ、我慢しないで?声も聞きたいし、辛かったら言って欲しいし、オレに爪立てたっていいよ」
そんなんで壊れるほどヤワじゃないし。
「だから自分のコトも大事にして?ね、お願い」
真っ直ぐな言葉は真っ直ぐに伝わるだろうか。
少しまだ躊躇いながらも、こくりと上下する頭の動きは同意の証。
両方の手をギュっと握りこんで、恋人繋ぎ。そのまま上にあげて、頭の後ろで縫い止める。少し膝を立てて覆い被さるようなキス。浅く深くを繰り返して、どんどん奥まで深みにハマっていく。
息が上がってグズるようにイヤイヤと首を振る姿が何とも言えず可愛くて、堪らなくて、このまま食べてしまいたい気持ちをグッと抑える。
ゆっくりと耳に舌を差し込んでくちゅくちゅと濡らせば、身体全体が跳ねて、高い鳴き声が放たれる。ねぶりながら耳を犯せば、んーっとまた堪えた口許から息が漏れる。
「……ね、声、我慢しちゃヤダ……お願い、聞かせて?」
吐息混じりに耳に口づけて囁けば、恐る恐る小刻みに吐き出される息に混じる甘い甘い泣き声。…うわぁ、もう存在自体ドエロいんだけど。
ふるふると目の縁に涙を浮かべながら、遠慮がちに開く口唇。気持ちいいポイントに舌が触れる度に喉仏が上下して、頸動脈が収縮する。顎が上がって、しなる背骨。まだキスしかしてないのにコレって、めちゃめちゃヤバい。エロすぎる。……オレの理性保つかな。
可愛くてつい、もっと泣かせたくなる。
首筋に舌を這わせながら徐々に下へと降りていき、片手は頭上で手首を縫い止めたまま、空いた方の手をシャツの下に滑り込ませた。
触れた肌が燃えるように熱い。指先を滑らせるだけで弓なりにしなる背中、反対に突き出される胸の飾りをカリっと引っ掻けば、耐えきれずに濁った叫び声があがった。
「……もっと聞かせてよ」
我ながら意地悪だとは思いつつ耳たぶを噛んで囁けば、必死に快感を逃がそうと首を振る。ふわふわの柔らかな髪はすっかり汗に濡れて、オレの手でこんなに蕩けているのかと思うと腹の底から昏い欲望が迫り上がってきた。
カリカリと引っ掻いてぷくりと腫れ上がってきた先端をきゅっと潰すと、また叫んで腰が当たる。わざとゆっくりと服を捲り上げて下から覗きこめば、期待と困惑に揺れた瞳がオレを捉えた。
そのまま視線を合わせながら、舌を絡めてきゅうっとキツく吸い上げる。腰がガクガクと揺れている。強すぎる刺激にポロリと涙が零れる。
……何でこんなに可愛いんだ、この人は。8つも年上のアラサーのクセに。無理、これは無理。理性が限界だわ。
「っあ"あ"、っんあ"っも、もうダメっ、だぁっ、めぇえ」
呂律の回らなくなってきた口を塞いで、ぐちゃぐちゃに舌で犯せばもう、声すら出せずにヒィヒィと泣いている。目が合った。
…ヤッバ。ブチ犯すところだった。
ほんの少し残っていた理性を総動員して一旦身体を離した。くたり、と身体を投げ出して息も絶え絶えにころりと寝転がる様は、どこかあどけなくて、子供っぽかった。
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