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秘密と夜会
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何度となく自問自答してきた言葉を、また繰り返す。
何故僕はΩなんだろう、と。せめて男でさえなければ。
堂々巡りばかりで馬鹿馬鹿しい仮定の話は虚しくなるだけだ。覆しようのない現実に文句をつけても仕方ない。諦めるしかないのだ。
この時はまだ、そう思っていた。
**********
ぽすん、とベッドに仰向けに倒れこむ。靴を履いたまま、行儀が悪いのは勘弁してもらおう。薄い紗のかかった天蓋つきのベッド。思わず溜め息が出る。
少女趣味が悪い、ということはないが、15歳の男のベッドとしてはどうなんだ。拾ってもらった身で、文句など言えた義理ではないが。ずっと女として育ててこられたせいか、本来の男としての自分、15歳の多感な少年としての自分がどうあるべきなのかがよく分からない。上の二人の兄たちは気がついた頃にはもう大人だった。年の近い二人も一般男子としては参考にならない気がするし、このまま本当に女として生きていけるのかどうか、正直自信はない。
学校にいた男子たちの中には、ガサツだったり乱暴だったり、近寄りがたい人たちもいた。女として扱われた経験、というか養父母や兄たちに溺愛された経験しかない僕にとっては、男子という生き物は少し恐い。同性のはずなのだが。
かといって、いつまでも恋に恋する女の子たちとお手々つないで、というのも正直しんどい。別に恋愛感情があって女の子たちにドキドキする、というわけでは決してない。僕の性的嗜好はヘテロではないからだ。
自分が男しか好きになれないらしい、と気づいたのは小学生の頃だった。僕が淡い憧れやトキメキを覚えるのはいつも男子で、女子を見ても可愛いな、以上の感情は出てこなかった。外見からすればきわめて普通の状況に見えただろうけれど、実際のところ僕は男なわけで同性への愛情を持つ者は市民権を得てはいるものの、いまだ少数派であることは否めない。
それよりも何よりも、同級生のガキどもよりも、兄たちの方がはるかに大好きすぎて困った。比べるべくもないほど優しく優秀で美しい兄たちが身近にいると、男を見る目が厳しくなるらしい。兄たちを超える存在には、出逢えなかった。
中学生になり、色恋に盛んな時期ともなると、熱に浮かされたような鼻息荒い男の子たちに告白されたりもした。
でも断るしかない。実は男なんです、なんて言えるはずがない。どうやら中学校までの『私』は、ひどく奥手な女の子として位置づけられていたらしい。
恋愛に消極的な深窓のご令嬢。少し背が高くて、身体つきは貧相。顔と家柄だけは文句なし、といったところか。
敵もいないが、味方もいない。秘密のために、仲の良い友達も作れない。
中途半端な、男にも女にもなれないモノ。本当の僕はひどく空っぽだ。
何故僕はΩなんだろう、と。せめて男でさえなければ。
堂々巡りばかりで馬鹿馬鹿しい仮定の話は虚しくなるだけだ。覆しようのない現実に文句をつけても仕方ない。諦めるしかないのだ。
この時はまだ、そう思っていた。
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ぽすん、とベッドに仰向けに倒れこむ。靴を履いたまま、行儀が悪いのは勘弁してもらおう。薄い紗のかかった天蓋つきのベッド。思わず溜め息が出る。
少女趣味が悪い、ということはないが、15歳の男のベッドとしてはどうなんだ。拾ってもらった身で、文句など言えた義理ではないが。ずっと女として育ててこられたせいか、本来の男としての自分、15歳の多感な少年としての自分がどうあるべきなのかがよく分からない。上の二人の兄たちは気がついた頃にはもう大人だった。年の近い二人も一般男子としては参考にならない気がするし、このまま本当に女として生きていけるのかどうか、正直自信はない。
学校にいた男子たちの中には、ガサツだったり乱暴だったり、近寄りがたい人たちもいた。女として扱われた経験、というか養父母や兄たちに溺愛された経験しかない僕にとっては、男子という生き物は少し恐い。同性のはずなのだが。
かといって、いつまでも恋に恋する女の子たちとお手々つないで、というのも正直しんどい。別に恋愛感情があって女の子たちにドキドキする、というわけでは決してない。僕の性的嗜好はヘテロではないからだ。
自分が男しか好きになれないらしい、と気づいたのは小学生の頃だった。僕が淡い憧れやトキメキを覚えるのはいつも男子で、女子を見ても可愛いな、以上の感情は出てこなかった。外見からすればきわめて普通の状況に見えただろうけれど、実際のところ僕は男なわけで同性への愛情を持つ者は市民権を得てはいるものの、いまだ少数派であることは否めない。
それよりも何よりも、同級生のガキどもよりも、兄たちの方がはるかに大好きすぎて困った。比べるべくもないほど優しく優秀で美しい兄たちが身近にいると、男を見る目が厳しくなるらしい。兄たちを超える存在には、出逢えなかった。
中学生になり、色恋に盛んな時期ともなると、熱に浮かされたような鼻息荒い男の子たちに告白されたりもした。
でも断るしかない。実は男なんです、なんて言えるはずがない。どうやら中学校までの『私』は、ひどく奥手な女の子として位置づけられていたらしい。
恋愛に消極的な深窓のご令嬢。少し背が高くて、身体つきは貧相。顔と家柄だけは文句なし、といったところか。
敵もいないが、味方もいない。秘密のために、仲の良い友達も作れない。
中途半端な、男にも女にもなれないモノ。本当の僕はひどく空っぽだ。
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